沢田綱吉、逆行。   作:ちびっこ

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また体調崩してました。ごめんなさい。




夏休みに入っても相変わらずオレはバタバタと過ごしていた。理由は黒曜中との合同体育祭が今年もあるから。オレの中では去年限定だったんだけど、あの2人がヤル気満々で……。もう2人でやってよって言いたくなったよ。

 

というか、まだヒバリさんはわかるんだよ。骸だよ、骸。あいつはヴァリアーが攻めてくる可能性があるってわかってるはずだよね!?なんで開催する気満々なの!?

 

あいつの言い分としては、リング争奪戦がある軸とは限らないから。まぁそれはわかるよ、パラレルワールドって話だよね。あと骸の記憶だと、ヴァリアーが攻めてくるのは10月らしい。僕が仕掛けてこないだけありがたく思いなさいだって。ふざけんなってオレは一瞬思った。最後に、去年やったのにやらないのはおかしいから。……これは絶対去年負けたのが関係している。いろいろ理由をつけて勝ちたいだけだろ!ってなった。もうこれ伝統行事になりそうだよ……と思いながらオレは走り回ってる。

 

そんな中でも風紀委員としての仕事もまわってきた。普段はないんだけど、夏祭りにひったくりが出たからオレも駆り出されたんだ。並盛でひったくりなんてよくやるよね。

 

実はこのひったくり、オレは知ってるはずなんだけど、思い出せない。屋台をやったのとみんなと花火を見たことは印象に残ってるから覚えているんだけど、ひったくり犯の顔はさっぱり。相変わらずオレの記憶力って酷いよなと思いながら、制服で歩き回る。

 

「ツナさーん」

 

ハルの声が聞こえたので、キョロキョロと周りを見渡す。女の子達みんな揃ってるじゃん。しかもみんな浴衣だ。クロームの浴衣は骸が買ったんだろうなぁ。この中の誰かのところで着せてもらったんだろうね。

 

「みんなすっげー可愛いよ!」

 

うんうんとオレは満足そうに頷いた後に気付いた。お兄さんもいる。

 

「お兄さん、お疲れ様です」

「む?」

 

あれ?お兄さんはナンパ避けじゃないのかな。

 

「よくわかったじゃない。私が京子のお兄さんに頼んだの」

「あ、やっぱり」

 

黒川はやっぱしっかりしてるなー。このメンバーなら絶対やってくるってわかりきってるもんね。そしてお兄さんは付き合ってくれてるけど、意味はわかってないんだ。でもまぁ嫉妬の視線に気付いてないみたいだし、いいよね。

 

「ツナさん、風紀委員のお仕事はまだ終わらないのですか?」

「え?」

「一緒に花火見たいなって」

「うーん、どうだろ。花火会場の方は厳しいけど、並盛神社のところだったら間に合うかも」

 

あそこは穴場だからよく見えるよとみんなに教えれば、そこに集合しようってことになった。……って思い出した。あそこでひったくり犯と戦った気がする。あっぶねー!

 

「あそこは混まないし、ギリギリに来てくれない?いやさ、さっきからいい匂いでお腹減っちゃって……出来ればあったかいの買っててくれない?」

 

そういうことならとみんなが頷いてくれた。いやほんと助かる。実際ちょっとお腹減ってたし。クロームにお金を預けて、みんなに楽しんでねーと言って別れた。

 

あの2人ってやっぱ相性いいよねと思いながら、フラフラとオレは歩く。黒川にはオレも気をつけろって言われたけど、オレなんかにナンパする人なんていないんだよね。迷子を見つけたっていう声はかけらるけど。

 

「あれ?獄寺君?それに山本も」

「10代目!?」

「よぉツナ」

 

オレが忙しいのもあって町内会の出し物に出なかったから、屋台をしてるとは思わなかったなぁ。

 

「あの、もしかしてだけど……また獄寺君バイト?」

「え、ええ……まぁ」

「獄寺が1人じゃ大変だっていうからオレは助っ人なのな」

「バカ、山本!言うんじゃねぇ!」

 

獄寺君が怒ってるのは変わりないけど、この2人は前より仲良いよね。これはオレが女だからかな。獄寺君はいつも側に居てくれるけど、女の子達と話すときは譲ってくれるもんね。女子同士で盛り上がってる間とか、気まずいのもあって山本と話すことが多いんだろうなぁ。前は3人でつるんでたからちょっと寂しい。……その分、オレは京子ちゃん達と一緒にいるから仕方ないよね。

 

「じゃぁオレもちょっとは貢献するよ」

 

前に大人イーピンに教えてもらったことを2人に話す。オレってこういうのは覚えているんだよね、楽しかったし。

 

「さすが、10代目です!」

「や、これ受け売りなんだよね」

「受け売りでも覚えていたのはツナだろ。すげーことには変わりねーのな」

 

えへへ、そうかなってちょっとテレた。オレの記憶は偏りすぎって思っていたから、ちょっと嬉しい。って、オレがテレてる間に、獄寺君が山本にケンカ売っていた。なんで!?

 

「ちょ、獄寺君!?」

 

オレが慌てて2人を止めようとしたら、人の気配がしたから振り向く。お客さんかな。

 

「あれ?ヒバリさん?」

「いつまでサボってるの」

「わー!すみません!」

 

そうだった、オレは風紀委員として活動中だった!

 

「君達はさっさと5万出しなよ」

「ショバ代ーー!」

「活動費だよ」

 

違うって否定されたけど、みんなからすれば一緒だってば。……あれ?でもオレには集めろって言わなかったよね。

 

「適材適所」

「あ、はい」

 

……オレどんな顔してたんだろ。とにかくヒバリさんはオレがそういう得意じゃないと思って振らなかったってことだよね。ヒバリさんの言う通りだよ、オドオドしながら集める自分の姿が浮かんだよ……。

 

「君はいい加減仕事に戻りなよ」

 

そうでしたとオレは何度も頷く。2人にひったくりが多発しているからお金の管理だけは気をつけてねって伝え、歩き出そうとしたところで獄寺君に小声で呼び止められた。あんまり聞かれたくない話かなと思って、オレも小さい声で返事をする。

 

「どうしたの、獄寺君」

「チョコバナナ、持って行ってください」

「え、でも……」

「ヒバリの野郎にバレなきゃいいんスよ」

 

いや、そのヒバリさんがめっちゃ睨んでるんですけど……。オレがどうしようと悩んでいると、山本がヒバリさんにチョコバナナを渡していた。……すっげー。山本のそういうところ感心する。ヒバリさんが受け取ったらオレも受け取ってもいいって山本は考えたんだろうなぁ。考えることは出来るけど、なかなかヒバリさんに渡せないよね。ふつーは。

 

「ありがとうね、2人とも。あ、もし良かったら後で花火一緒に見ようね。オレは間に合うかわかんないけど、京子ちゃん達は行ってるよ。場所は山本が知ってるから」

「おう、任せとけって」

 

またねーと別れたけど、獄寺君がなんでおめーは知ってんだよってイラついている声が聞こえた。まぁそこまで怒ってはなさそうだし、山本なら大丈夫だよね。

 

山本とは小学生の低学年の時に一緒に行ってるから、あの場所を知ってるんだよね。山本のお父さんは店は開けてないけど祭り関係の注文が毎年入ってるみたいで。子ども1人でウロウロさせるわけにはいかないから、それならオレん家と一緒に行けばいいじゃんってなったんだよ。懐かしいなぁ、家綱はよく花火が始まる前に寝落ちしちゃって次の日に文句言ってたね。オレからすればあの音の中でよく眠れるなーって思ってた。

 

食べながら歩くのは危ないと思って近くのベンチを探す。ラッキー、空いてるじゃん。……って、ヒバリさんが居るからだった。

 

「いいよ」

「え?まじで?」

 

……睨まれちゃったよ。いやでもさ、普通許可貰えるとは思わないじゃん。まぁさっさと食べて見回りに戻れってことなんだろうけど。

 

ヒバリさんのお言葉に甘えて、ベンチの端っこに座ってオレもチョコバナナを食べる。うん、こだわってるだけあって美味しい。

 

「今日はひったくり被害出てます?」

「まだ」

 

一応見回りの効果は出てるってことかな。よかったよかったと思っていれば、ヒバリさんはもう食べ終わったみたいで立ち上がった。

 

「これ捨てといて」

 

はいはいとオレは頷く。どうせオレも捨てに行くからね。ゴミをオレに渡したヒバリさんはフラッと歩き始めた。お金回収するんだろうな……。

 

チョコバナナを食べ終わったオレはゴミを捨てた後、再びふらふらと歩く。途中で母さんとちび達に出会って、財布が軽くなった。まぁちび達は喜んでるし、フゥ太が家綱と一緒に食べようと誘っていたのをみてるとなんか和んだし。それにこっそり母さんがオレの財布を心配してくれたからね。大丈夫って答えたけど、気持ちは嬉しい。つか、母さんとビアンキが持ってる景品の袋で思った、リボーンは射的したな。屋台のおじさん泣かされたね。

 

後、炎真の家族とも出会った。家族で来ているし邪魔しちゃ悪いかなって思っていたんだけど、オレの姿を見つけたらみんなこっちに向かって来てくれたから挨拶した。ここの祭りは骸から聞いたんだって。まぁその骸は来てないんだけど。家でゆっくりしてるのかな、あの家からは花火見えるからね。炎真達にも穴場スポットを教えた。

 

そんな感じで知り合いと会いつつ、さらに花火を誘いながら歩いていたら、オレと同じぐらいの体格の男の子が引ったくりしているところのを見つけた。すぐさまオレはその子の腕を掴んで、お金をおじさんに返す。

 

「痛い痛い痛い!!」

「え?ご、ごめん」

 

そんな強く掴んだつもりはなかったんだけど……と、力を緩めれば、逃げられた。

 

「……うそーん」

 

やばいやばいとオレは引ったくられたおじさんに気をつけてねと声をかけて、その子を追いかける。このまま逃げられたらヒバリさんに咬み殺される。

 

その子が逃げた先は階段をあがった神社のところだった。って、やっぱりここなんだ。オレが階段をかけあがると、体格の良さそうな人が10人ほど待ち構えていた。でもまだ隠れているみたいで、オレの感覚では50人近いかも。

 

この人なんか見たことあるなぁっていう人が、いろいろと話してくれた。なんでもヒバリさんに恨みがあるんだって。海でライフセイバーのバイトしていただけなのに咬み殺されたみたい。

 

「あ!オレが言ったよ、それ。ガラ悪いって苦情きてたから」

 

街を歩いてたら、いろんな人から聞いてさ。ヒバリさんに報告したよ。あれ、ヒバリさん自ら動いたんだ。つーか、一回咬み殺されたのに懲りなかったんだ……この人達。

 

「あれ?でもなんでオレ?」

 

この人達の反応からして、このことを知ってたみたいじゃないし、わざわざオレをここに誘き出す必要ってあるのかな?って首を傾げる。

 

「ヒバリの女だろ」

「……誰が?」

「お前が」

「わぁ」

 

相変わらずオレは巻き込まれ体質でした……。でもまぁ理由はわかったよ。オレはヒバリさんの人質なのね。

 

「えっと、じゃぁヒバリさんを呼べばいいんですね?」

「……お、おう」

 

オレが素直に動いたから、ちょっと動揺された。いやだってさ、呼んだ方が絶対いいもん。とりあえず電話をかけながら、ラルに大丈夫と口パクする。手を出す必要ないよって。残念ながら電話をかけ終わると拘束されちゃった。素直に動いたのにね。

 

「あ、ヒバリさん」

「……君、なにしてんの」

 

オレの首元にナイフがあるのをみて、ヒバリさんはそう言った。……まぁそうだよね。

 

「動くなっ!この女がどうなってもいいのか!?」

「いい加減にしなよ。フザげてるの?」

 

これ、オレが人質にされて怒ってるようにみえるけど、オレに言ってるからね。ちょー怖くて、すぐさま拘束から抜け出して相手を気絶させた。

 

「すみませんっ!この人数だと何人か逃しそうで、ヒバリさんを呼びました!」

「ふぅん」

 

周りの気配を探ったヒバリさんはちょっとは納得してくれたっぽい。いくらオレでもこの人数が全員逃げに徹されると、流石にキツイ。好きでヒバリさんの手を煩わせたわけじゃないんだってば。

 

「あ、この人達は多分ひったくり常習犯ですよ。手慣れてたので可能性は高いです」

「ワォ。許してあげるよ」

「ありがとうございますっ!」

 

オレ達はのんきに会話しながら、バタバタと相手を倒していく。ヒバリさんはトンファーを使ってるけど、オレは素手。こういうタイミングぐらいしかトンファーの使い道がない気もするんだけど、手加減が難しいしオレは気絶させれば十分だから。

 

 

 

「終わったー」

 

前は4人で倒したけど、今回はオレとヒバリさんだけで済んだよ。まぁ逃げられる可能性がなかったら、どっちか一人でも問題なかったもんね。

 

「後はこっちで処理するよ」

「あ、はい。オレは見回りに戻りますね」

「いい。これがひったくり犯なら、君の仕事は終わりだよ」

 

そういえば、オレはひったくりが出たから駆り出されたんだ。

 

「ってことは……花火みれる?」

「そうだね」

 

やったー!って喜んだけど、ヒバリさんならオレ達の会話を聞こえていたかも……。もちろんヒバリさんの言う通り、オレの仕事が終わったってのもあるだろうけど、これってヒバリさんの優しさだよね。

 

「あの、ヒバリさん」

「なに」

「ヒバリさんも、花火楽しんでくださいね。あ、いや……風紀委員活動があるのはわかってますけど、空を見上げる時間ぐらいはあるかなって」

 

オレ達と一緒に見ようとかは言えないけど、ヒバリさんにも見てほしいなって思ったんだよ。

 

「……気が向いたらね」

「はいっ!」

 

オレがニコニコと返事をすれば、ヒバリさんはため息を吐いた。え、なんで!?

 

「10代目ー!」

 

獄寺君の声が聞こえたと思って視線を向けると、みんな揃って階段をのぼっていた。ブンブンと手を振ってたオレは忘れていたけど、まだひったくり犯が転がっていたよ。

 

「なんなの、これ……」

「あはは……」

 

黒川のツッコミには笑ってごまかして、こっちこっちと誘導する。ヒバリさんは獄寺君の声が聞こえたところで、別のところから下へおりたけどこれの回収に風紀委員のみんなが来るからね。邪魔にならないように動く。

 

女子達に感謝しつつ、ご飯を食べてる間に花火が始まった。わぁ、綺麗だなぁ。

 

「ん?」

 

誰か人の気配がしたからオレは振り向いた。こっちに来ることはなかったし離れた位置に居たけど、ちょっとオレは驚いた。

 

「ツナ、オメーが誘ったのか?」

「花火楽しんでくださいとは言ったんだけどね」

「そうか」

 

まぁここは穴場スポットだし、知っていても不思議じゃないよね。

 

「リボーン、楽しいね」

「ああ」

 

やっぱり、みんなと見たこの日の花火は最高にキレイだった。

 




沢田ツナ
ナンパされないのは学ランのせいとは気付いていない。
みんなと花火見れてよかった。
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