バジル君の怪我は命に別状がないことがわかったから、ディーノさんは本物のハーフボンゴレリングをオレに見せた。
「やっぱ気づいていたのか」
「……はい。リングを見てすぐに偽物とわかりました」
ディーノさんだけじゃなく、リボーンも薄々察していたらしい。オレ、このリングはって言ってたし、ちゃんと確認までしたから。
「ツナ」
「大丈夫です。わかってます」
わかってるって言ったのに、ディーノさんに頭撫でられたよ。うーん、また顔に出てるのかな。とりあえず眉間にシワがよってないよね?と確認する。
「それをディーノさんが持ってるってことは父さんと会ったんですよね?」
「ああ。オレと一緒に来たんだ」
「じゃぁ今は家に居るかな」
一応、オレが強いという報告は聞いてるはずだし。だから父さんは母さん達の方へ向かってると思う。前の時のことを思い出せればいいんだけど、オレの頭じゃそんな細かいところまで覚えてないんだよね。あの頃、すっげー嫌いだったし。
「……あーでも、何から話せばいいんだろう」
どーしよーとオレは頭を抱える。前みたいに反抗していないのに、なんでこんなに気まずいのー!?
「なんとかなんだろ」
「え?ほんと?」
リボーンがそういうなら大丈夫だよね?とオレはちょっと楽観的になる。おいおい……って感じで、ディーノさんは困った感じに頬をかいちゃったけど。
「順番がわからないだけで、話したい内容は決まってるみてーだからな」
「……そうかも」
オレ、さっき何から話せばいいとしか言わなかったよ。黙ってたこともあったし……まぁそれはお互い様だけど。父さんは母さん似のオレのこと大好きだしなぁ。説得が難しそうな気がするのも気が重いんだよね。前はオレの判断に任せてた部分が大きかったし。放任主義って言えばそれまでだけど、オレがボスになって困ってたらさりげなくフォローしてくれたんだよなぁ。……最初はそれすら腹がたったけど。オレ、やっぱり歳とったね。
「とにかく帰ろっか、リボーン」
「ああ」
そろそろ帰らないとクロームが心配するだろうしね。バジル君のことをディーノさんにお願いして、オレはリボーンと一緒に家に帰った。もちろん、ハーフボンゴレリングはディーノさんから預かって。
家に帰ったらすぐにクロームが出迎えてくれた。ただいまとありがとうを伝えてから、クロームに父さんが帰ってないと聞くとリビングに案内してくれた。
「……逃げたね」
「だな」
ぐーすか、お酒を飲んで寝ている父さんを見て呟いたらリボーンが肯定してくれた。
「えっと、ラルは?」
「あの子なら、ママンと家綱の護衛よ。パパンが全部食べちゃったから食料の買い出しに行ったわ」
ビアンキが教えてくれたから、そっかそっかと何度も頷く。ラルが居なくなったから飲めたんだね。ビアンキは父さんがお酒を飲んだとしても止めないだろうし、クロームはこういう相手はしたことはないからね。仕方ないよね。
「みんな、オレの部屋で遊ぼっか」
オレの言葉でちび達が嬉しそうに二階へあがっていった。もちろんクロームとビアンキも一緒に連れて行く。リボーンはどうするかなって思ったら、気配を消すように隠れた。……そうだよね、リボーンはとばっちりを食らう可能性あるもんね。
数十分後、オレの予想通りラルの怒鳴り声と銃声が響いたよ。ラルはきっちりしてるから、一般人には手を出さないからね。母さんと家綱の心配はしていない。心配するとすれば、この家かな。
母さんの晩御飯が出来たわよという声でラルのお仕置きが終わった。長かったし凄かった。家綱がオレの部屋で過ごしてたぐらい。まぁフゥ太と話してたけど。
それでもあの家綱がオレと一緒に居るぐらいだから、ラルのキレっぷりは相当凄かった。オレはそんな中でもご飯を作ってた母さんが一番凄いと思う。いや、オレも手伝おうとしたんだけどね。あの中に入っていけるのはオレぐらいだし。でも母さんはちび達の面倒を見てほしそうだったから、そっちを優先。父さんが助けてほしそうだったのは無視したよ。自業自得だから。
せっかくまともに父さんと顔を合わすことが出来たけど、母さんの前ではマフィア関係の話はしない暗黙のルールがうちにはある。だから家綱も何も言わない。一応、オレの独り言という感じでさっきの間に家綱に今日あったこと説明したけどね。それでも父さんに聞きたいことはあるはず。
それにしても、前の時オレは父さんにめっちゃムカついてたけど、家綱はそこまで反抗してないんだよね。この差ってなんだろ……。
母さんがちび達と風呂入ってる間、父さんと家綱は話をした。オレは長くなるかもしれないから、譲ったんだ。
席を外そうと思ってたんだけど、初めてリボーンがオレの膝に乗ったんだ。だからオレは動かなかったよ。ビアンキが居るのにオレのところに座ったってことは聞いとけってことだから。家綱は嫌そうな顔をしたけどね。リボーンには逆らえないから……。
ポツポツと語る家綱の内容に耳を傾ける。マフィアとかについてはちょっと怒ってるけど、父さんが無事でよかったという内容だった。
え、なにそのすっげー大人な感じ。オレは前に一度ボスを経験したから、やっと父さんの気持ちとか理解出来たのに。
そのあとは前にオレに宣言したように、家綱は家に残るから継ぐ気はないと言った。父さんはただ「そうか」としか返事をしなかった。最初は知らなかったけど、ボンゴレのNo.2が誰か家綱もわかっちゃったからね。だから父さんが家綱に継いでほしいと考えてたことも知ってる。どっちも複雑なんだと思う。
家綱の話はそれで終わりみたいで、席をたった。けど、その場から動くことはなくて。言うか迷った素振りを何度かした後に口を開いた。
「……何かあったら母さんが悲しむんだから、まじめに仕事しろよ」
父さんはフッと笑って「任せろ」って答えた。父さんが笑ったことが気に食わなかったのか、ドスドスと足音を立てながら、家綱は二階へあがっていった。あの感じだと風呂も入らずに寝ちゃう気がする。
「愛されてんなぁ」
「へ?あ、うん。よかったね、父さん」
くぅーという感じで感動してるから、ほっとこうかなと思ったんだけど、リボーンがオレの膝を叩いたから、父さんに付き合って返事をする。
オレが慌てて合わせたことに気付いたのか、父さんは苦笑いしてオレの頭を撫でて部屋を出ていった。その時にオレも風呂に入っちゃおうかなー?って風呂場に向かって叫んだから、すっげー微妙な気持ちになったよ。オレ、結婚は出来なかったけど、経験がないわけじゃないからね。微笑ましい感じに取れないから。父さんはオレが純粋と信じ込んでるみたいだけど。
「なぁ、リボーン」
「なんだ?」
「夜中に父さんと話そうと思ったけど、今日はちび達と寝た方がいいのかなぁ?」
「……ツナ、その質問は予想外だったぞ」
え?そんな変なこと言った?もしかしてリボーンもオレが純粋だと信じ込んでたのかな。それなら悪いことしちゃったね。
リボーンが問題ないと言ったから、みんなが寝静まった後にリビングへと向かう。父さんはやっぱり起きていたみたいで、ベランダで腰をかけながらお茶を飲んでた。
父さんが不器用なのは知ってる。そしてオレ自身も不器用。お茶を挟んでオレも座ったのはいいけど、会話はなかった。
そんなオレ達がじれったく感じたのか、気を遣って隠れていたはずのリボーンが姿を見せてオレの名を呼んだ。
「……うん。えっと、父さん」
「ああ」
「リングなんだけど、オレからみんなに渡してもいい?」
前は父さんが勝手に配った気がしたけど、門外顧問が選んだ守護者に渡す決まりだから、一応正しかったんだよね。オレの気持ちはアレだったけど……。
父さんからの返事はないから、慌てて付け加える。
「や、多分、父さんが考えてる人と同じだと思うよ。あ、後さ、オレからじゃないと受け取らない人もいるだろうし」
骸とか骸とか。
オレは絶対そうだと何度か心の中で頷く。今居ないのを抜きにしても、骸はオレからじゃないと納得しない。勝手に家に置いても、リングのことを知ってるのに無視する。
「……オレはいい父親じゃねぇな」
「……うん、そうだね」
一瞬、そんなことないよって言おうとしたけど、オレの本音を聞きたいと感じたから誤魔化すのはやめた。
オレは確かに父さんのことを凄いと思ったよ。けどそれは強さであったり、部下をまとめたり、影から支えることとか、母さんを守り通す覚悟をしたこととか、そういうのであって、子ども目線でみる父親としては凄いと思わなかった。
オレの返事に「だよなー……」と父さんは項垂れた。いやでも父さんは頑張ってたんだよ。オレが前の記憶があるせいで、マフィアのことを知っちゃっただけで、ボンゴレの筆頭候補が相次いで亡くならない限り、本当は知ることがなかったんだから。
「母さんがさ、オレは父さんそっくりなんだって」
「ツナが、か?」
「うん。オレもそう思った。気付いたのは今日だったけど」
父さんと話すから、いろいろ考えたんだよね。それで気付いたんだよ。家綱とオレってそっくりじゃんって。家のことをほったらかしていた父さんのことが大っ嫌いだった前のオレとさ。前の記憶のこともあって、母さんの手伝いとかはしてたけど、オレ子どもの時から外のことばっかり考えてたじゃん。そりゃ腹たつよ。前のオレがそうだったから。
「オレはいい妹じゃなかったと思うよ。そんなとこまで似ちゃったよ」
今でも家綱とは微妙な関係だけど、多分みんなが居なかったらもっと酷くなってた。10年後のランボが家綱が亡くなってるって教えてくれなきゃ、そこまで気にかけなかったかもしれないし。山本やリボーンがアドバイスくれなきゃ、今日一緒の部屋で過ごすことは無理だったと思う。
あーもう心当たりがありすぎる。それもオレは家にいるし、家綱はもっとモヤモヤしただろうなぁ。当たり散らすぐらいしたくなるよね。オレが女ってのもあって、手を出すのを我慢してるんだから。
「なぁに、大丈夫だ。家綱も成長してる。さて、もう寝ないと明日が辛いぞ。リングは自分で配るんだろ?」
「え、あ、うん」
ほらほら寝ろーと父さんに言われて、自分の部屋に戻る。ずっと気配を消していたリボーンがそのまま残ったから、2人で話でもするのかな。報告書だけじゃ伝わらないこともあるだろうしね。
沢田家綱
ツナはそう感じたが、ダメツナや記憶がない状態でも家綱の性格はどこかで捻くれる。確定事項。
兄貴分のディーノと弟分のフゥ太と出会い、リボーンのスパルタで心境の変化が起きた。
もしかしたら、門外顧問になる未来もどこかにあったかもしれない。
ラルは怖い。
沢田家光
複雑な親心。家綱とツナに悪いとは思っている。
家綱の言葉の意味をちゃんと理解した。
またツナはそっち方向では何も知らない純粋な子だと信じて疑わない。
リボーン
家綱の言葉を聞かせてやろうとして、ツナを残した。
ツナが気付かないまでは想定内だった。
意外とツナがおませさんだった。めんどくさいから家光には教えなかった。
沢田ツナ
実は経験者だった。
経験済みなのに、性格が入れ替わっても受け入れられる。
これが大空なのか(違っ
相手はヒミツ。