前と全然違う大人ランボの態度に、オレはすぐに返事をできなかった。そんなオレを見て大人ランボはまた口を開いた。
「ボンゴレがオレを守ろうとしてくれてるのはわかってます。ですが、オレはもう大人ですよ」
「いや、それはわかってるけど……」
「それにオレはボンゴレの雷の守護者です」
ハッと顔をあげたら、大人ランボはまっすぐオレを見ていた。
「……うん。ありがとう、決心がついたよ」
「やれやれ。……あなたは本当に優しい人だ」
あはは。大人ランボにも、オレの顔を見れば何を考えてるのか、バレるようになるんだ。
決まったのもあって安心したのか急に眠くなってきたなぁ。オレはもう寝るよって声をかけて立とうとすれば、大人ランボがそういえば……と続けた言葉を聞いて動けなくなった。
「ちょ、ちょっと待って。今、なんて言ったの?」
「ですから、白蘭さんとはお会いしましたか?」
こんなタイミングで白蘭の名前を聞くと思わなかったオレは混乱しながらも、なんでって聞いたんだ。
「以前、白蘭さんに頼まれていたんですよ。オレが過去に行くことがあれば、過去の白蘭さん宛に郵送して欲しいものがあるって」
「はぁ!?ちょ、お前、何やってんの!?」
「え?ちゃんとボンゴレの許可はとってますよ。もちろんオレの時代のボンゴレからですが……」
オレの……?と聞き返せば、オレは獄寺氏に散々アホ牛と呼ばれてますが、そこまでアホではありませんって大人ランボに言われたよ。
「中身は?」
「さぁ?未来のボンゴレも苦笑いするだけで、中身は見ませんでしたから」
未来のオレ、何してんだろ……。え、ちょっと待って。これ、オレが骸に怒られるパターンじゃない?いやでも、超直感には引っかからなかったから大丈夫なはず。そうだよね?そうであって、お願いだから!!!
「受け取ったオレも、過去に行けるかわかりませんよと伝えたんですが、白蘭さんですからね。オレが送ったのは間違いないので、あの人の力を考えれば、もうボンゴレと接触していると思ったんですけどねぇ」
いや、牛乳飲んでる場合じゃないから。っていうか、大人ランボも白蘭の能力知ってるんだ。
「あ、あのさ。お前から見て、白蘭ってどんな奴?」
「……変な兄ちゃん、ですね」
ボフンという音がして、10年バズーカの効果が切れてちっこいランボが戻ってきた。……寝てるし、勝手に10年バズーカ使っちゃダメかな。……使ったとしても、これ以上情報を得れないと思うから使わないけど。
あーなんで1つ解決したのに、また悩みが増えるのー!?
結局オレは一睡も出来ずに、ヒバリさんの元へ向かった。だから、ため息を吐かれちゃったよ。言われたのに、こんな状態だったから。
「違うんです、ちゃんと解決しました!でも別の問題があぁぁぁ……」
ヒバリさんの視線に耐えきれず、オレは嘆いた。
「あー……ツナ、恭弥もそういう気分じゃねーみてぇだし、話してみろよ。相談に乗るぜ?」
ディーノさんにそう言ってもらえたけど、オレは口ごもる。どう説明すればいいかわからなかったから。オレが何も言わないから、ディーノさんがチラッとリボーンを見たよ。でも朝からリボーンにも話してみろって言われたんだよ。結局言えなくて……だからリボーンも首を横に振った。
「ふーん。僕があれだけ言ったのに、理由も話す気がないんだ」
あ、あの、意気揚々とトンファーかまえるの、やめてくれませんか。元々骸のせいで鍛えられていたヒバリさんが、ディーノさんに鍛えられたんだよ。すっげー怖い。つい根っからのビビリ体質のオレは必死に話しますと首を振った。
「なるほど。だが、これは女に優しくするリボーンには厳しいな」
ギロってヒバリさんがディーノさんをにらんだけど、これでも褒めてんだぜ?って流したよ。もうヒバリさんの性格掴んでる……。そしてオレもリボーンに蹴られてたら、話してたって思った。これについてオレは頑固だったわけじゃなかったみたい。
3人が話を聞く体制になったのもあって、オレはしどろもどろになりながら説明し始めた。
「ええっと、オレと骸が警戒していた奴がいて、10年後のランボが10年後のそいつに頼まれて、この時代のそいつに情報を流したみたいで……」
「なっ!?」
ディーノさんの反応に、慌てて未来のオレの許可はあったことを教える。このままじゃ大人ランボが怒られるから。リボーンはそれを聞いて、補足としてヒバリさんに10年バズーカのことを教えていた。知ってる程でオレが話しちゃったからね。
「それで、そいつが多分?リング争奪戦を企てた?た、タンマ。黒幕とかそういうのじゃないと思います。うーん、きっかけ?」
「……XANXUSの氷をとかしたのはそいつか」
「あ、それは間違いないと思う。骸からはまだなんも聞いてないけど、多分そう」
オレの気持ちがわかったのか、ディーノさんが頬をひきつらせていた。だよね、そうだよね!未来のオレ何してんの!?って言いたくなるよね!
「君と南国果実が警戒するんだ。強いよね?」
気にするのはそこですか……、ヒバリさん……。
「強い、ですよ。でもまだ骸の方が強いと思う。ただ……あいつの力がやっかいで」
「力?」
「そいつ、パラレルワールドの自分と情報を共有できちゃって。多分目覚めちゃってます」
未来のオレのせいで、と付け加える。頭の良いこの3人なら、目覚める前からオレがどうしてその力のことを知ってるのかとか疑問に思ってるだろうけど、そこは聞かないみたい。オレがどっか変ってのはなんとなく気付いているのもあるけど、多分オレを信用してるからだろうなぁ。
「おめーが許可したってことは10年後のそいつは悪いやつじゃねぇだろうな」
数少ないオレの長所をまたリボーンが見つけてくれた。ちょっと感動。
「大人ランボも変な兄ちゃんって言ってたし、そうだと思う。でもそいつが酷い奴になる可能性があるってオレはよくわかってるはずなんだよねぇ」
「そこまで危険なのか?」
「3:7……、やっぱ2:8かも。それとも1:9?あ、酷い奴になる可能性が後ろです」
「……何考えてんだ?」
「だから寝れなかったんです!」
未来のオレ、ほんと何してるんだろうね。自分のことなのに全然わかんないよ!
「それだけか?」
へ?とリボーンの言葉に首をかしげる。
「未来のおめーが何考えてるかなんて、この際、どうでもいいだろ。……ツナ、おめーはどうしたいんだ」
あ、そっか……とオレは腑に落ちた。未来の自分のことばっかり考えてたけど、そんなの後でいいんだ。
「あいつと……友達になりたい」
「答えは出てんじゃねーか」
うんとオレが頷けば、リボーンは満足そうな顔をした。相変わらずポーカーフェイスでわかりにくかったけどね。
なんかすっげースッキリしたから眠くなってきた。……昨日の夜も同じことを思ったね。ってことは、オレの経験上、ロクなことがない。
「さっさと準備しなよ」
「……そうでした」
ハハハと乾いた笑いを浮かべる。この人がいたよ、寝させてくれるはずがない。
「恭弥、オレが相手するから。な?」
「君はまだ逃げない。けど、日曜じゃなきゃ彼女は逃げる」
……ヒバリさんオレの性格よくわかってる。基本、日曜の代わりにとかそういう交換条件じゃなきゃ、オレって戦おうとしないよね。そして状況がわかってるから、ディーノさんの性格も読んで動いてるよ……。
「ヒバリ、ツナの代わりにオレが相手すっぞ。それならいいだろ?」
ブワッとヒバリさんから殺気が膨れ上がった。殺気は殺気でも、歓喜の殺気だったけど。
「ちょ、リボーン、お前どうしたんだよ」
やる気満々のヒバリさんを見て、オレはリボーンに慌てて確認する。正直オレが女っていうのを入れても、リボーンがわざわざオレの代わりに相手するなんて思わなかった。
「ツナ、おめー超直感がずっと反応して、本調子じゃねーだろ」
「……そんな顔に出てた?」
「こいつらの顔見れば、答えはわかんだろ」
言われて、ヒバリさんとディーノさんに目を向ければ、うまく隠せてたんだなぁって思った。ディーノさんが難しい顔をしていたし、ヒバリさんは睨んでるし。超直感が反応してるってことは厄介ごとだからね。
「ヴァリアーが来てから、ずっと何かに反応してるんです。XANXUSが来た時に少し強く反応したから、それかなって思ったんですけど、それからも弱いけど継続中で……」
オレの場合、明確に何に反応してるかわかんないんだよ。だから白蘭のことかな、母さんや家綱かな、ちび達かな、勝負のことかな、それとも炎真達に危機が迫ってるとか、京子ちゃん達は?まさかの骸!?って考えたんだけど、これだ!って感じでどうも反応しないんだよね。前の経験もだけど、小さい時から使ってるのもあって超直感は使いこなせてると思ってたのになぁ。
「何か気付いたら、ちゃんと相談するよ」
まぁそんな時間があればだけど。
一応それで納得してもらえたみたいで、リボーンがヒバリさんの相手をし始めた。
うーん、ヒバリさんが凄いのは間違いないけど、やっぱリボーンは別格だなぁ。強すぎ。……というか、あいつマジでやってない?ゴム弾だけどさ。
「……ディーノさん頑張ってください」
「おう」
ヒバリさんはやっとリボーンと戦えたけど絶対満足しない。機嫌悪くなるだろうし大変と思って声をかけたら、ディーノさんは軽く返事したよ。オレの言った意味をちゃんとわかってるのにね。やっぱそういうところが兄貴分って感じでカッコイイや。今度こそ、身につけたいよね。
大人ランボ
ツナを驚かせる天才かもしれない(2回目)
沢田ツナ
実はずっと超直感が反応していた。
ツナの超直感は外れないので、ツナが例にあげたこと以外で反応中。
忘れているだけ。
白蘭については方針が決まったのでスッキリした。
リボーン
ツナの話を聞けば簡単な話だったのですぐ導けた。
しかし話してくれなければ意味がない。
女であるツナに無理強いが出来ないため、ツナに無理強いが出来る雲雀を鍛えようと考えた。
強くなければ、話してくれない内容の可能性があるため。
ちなみにツナが本気で隠していることに気付くのは、今のところリボーンと骸だけ。
ただし骸は聞き出そうとはしないため、リボーンの中では論外。
沢田家光
泣いていいと思うよ。