沢田綱吉、逆行。   作:ちびっこ

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せっかく学校に通えていたのに、今日からまた外でウロウロする羽目に。いやまぁオレが悪いんだけどね。XANXUSの地雷を踏んだのはオレだし。もちろんヒバリさんに許可をもらって休んでる。理由を説明したら、ああそう、って言われたよ。正直ちょっと呆れられるかなと思ってたんですけどって言ったら、君だからねという返事をもらった。……意味わかんないんですけど。まぁいいけど。

 

そして予想通りというかなんというか、雇われたのか殺し屋がやってきたよ。やっぱあれは禁句だったね。なんて考えながらも気絶させる。

 

「殺さねーの?」

「そうだね。オレのそういうの嫌いだし」

「ふーん。つまんねーの」

 

なんて言いながらも、オレの後ろをベルフェゴールがついてくる。にしても、なんで居るんだろうね。手を出したいけど出せないから、秘密裏に雇ってるはずなのにね。お前、ここに居ていいの?あ、もちろんリボーンも一緒にいるよ。リボーンもベルには手を出せないから居るだけだけど。

 

「オレ、そろそろ飯にするけど一緒に食う?」

「うししっ。いいぜ」

 

財布に入ってるお金を確認して、オレは山本ん家に向かった。

 

「いらっしゃい。おー、ツーちゃんじゃないか。学校はいいのかい?」

「こんにちはー。今日は家庭の事情で休みました」

 

リボーンはオレが女だから自分で払うけど、こいつは絶対気にせず食うよね。だから先にお金を相談しようとしたら山本のお父さんの眼がカッと開いた。

 

「ツーちゃん、誰だその男は!まさか恋人とか言わねーだろうな」

 

……山本の話は本当だったんだね。オレ、今まで本気にしてなかったよ。

 

「違いますって。ちょっと危険人物なんで、この店を頼らせてもらったんです。ふつーの店じゃ危なっかしくて」

「おー、そうかそうか。おじさん、ツーちゃんに頼られるなんて嬉しいね」

 

いや、ほんとにオレに激甘じゃない?山本のお父さん、それでいいの?と思いながらも頼らせてもらった手前、何も言えない。ベルはオレ達の会話を気にもせず、珍しそうに店内を見ていた。寿司屋には来たことなかったみたい。その間に、ちゃんと予算を伝えた。山本のお父さんだから割引してくれるんだろうなぁ。申し訳ないけど、すげー助かる。

 

「オレの奢り。つっても、お前らみたいに稼いでないから、上限はあるけどね」

「なに、賄賂?」

「ある意味そうかも。ちゃんと獄寺君の相手をしてほしいから」

「当たり前じゃん。殺すぜ」

 

頑張ってねといい、オレは握ってもらった寿司に手を伸ばす。ベルも普通に食べ始めた。笑ってるし、気に入ってくれたっぽい。山本のお父さんの寿司は美味しいもんね、わかる。

 

「そんな強いの?」

「強さでいえば、オレの守護者の中では弱い方かも」

「なにそれ、つまんねー」

「それはちょっと違うかな。オレんとこ、規格外がいるから基準が変なんだよ。だよね?」

「ああ。あいつはちょっと別格だな」

 

だよねーとオレはため息を吐く。おかげでヒバリさんもつられておかしくなって来てるんだから。あーやだやだ。次から相手するの怖くなって来た。

 

「ん。そんな奴、居たっけ?王子の勘には引っかかってないぜ」

「そりゃ居ないもん。今オレの頼みで動いてもらってんの。もう1ヶ月ぐらい連絡なくってさ。酷いと思わない?」

「死んでるんじゃね?」

「ないない。オレへの扱いが雑なだけ。でもちゃんとオレがキレる前に帰ってくるよ」

 

なんだかんだ言いながら付き合い長いしね。あいつはそれをちゃんとわかってる。

 

「期待して損した。お前より弱いってことじゃん」

「今のオレは弱いからね。けど、オレの強さを一番知ってんのはそいつなの。オレの逆鱗に触れないよう、誰よりも気を付けてるね」

「ふーん?」

「ちなみにこれ二度目の忠告だからね。まったく、誰に言ってもお前ら共有しようとしないから困っちゃうよ。オレ一人一人しないといけないの?」

「オレ、王子だしー」

 

あーほんとコイツらヤダ、バラバラ過ぎ。XANXUSに話を通さないと聞きやしない。まぁそれがコイツらの良いとこでもあるんだけど。

 

結局、真面目に話をしたのはこれだけでふつーに一緒に食事してベルと別れた。その後も暗殺者は襲ってきたけどね。でも明日までかなぁ……なんて思う。スクアーロ、XANXUSのこと大好きだから。

 

 

 

 

5分前になっても獄寺君は姿を見せない。けど、オレらはいつも通り駄弁ってた。みんな、獄寺君は来るって信じてるからね。そんなオレらの緊張感のない様子を見て、ヴァリアーからは殺気がガンガン飛んでくるけどね。これはいつものことだからスルーする。けど、その殺気に混じってヒバリさんも飛ばすからオレは窓を開けて叫んだ。

 

「廊下の広さはヒバリさんが一番知ってるでしょ!!」

 

プイッと横向いたよ、あの人。そんなことはわかってるけど、群れてるのを見るのはムカつくんですね、わかります。や、わかんないけど。

 

「ヒバリはあんなところに居たのか」

「ははっ、ヒバリだもんな」

 

オレの発言でお兄さんと山本は校舎の屋上から見ていたことに気付いたらしい。ってことは、オレにだけ殺気を送ってたんだ、あの人。

 

「まっ、そんだけ恭弥が気に入ってるってことだろ?」

「ディーノさん!と、ロマーリオさん。……よかったですね、ディーノさんも好かれてますよ!」

「……いや、オレのは違うだろ」

 

やってきたディーノさんにだけ、またまた器用に殺気を送ってたから思わず言えば、頬を引き攣らせてたよ。この後もバトルらしい。頑張ってください。

 

そんな事をしてる間に、針が進み11時になろうとしていた。流石にみんなが心配そうな顔をしてピリピリした空気になる。けど、オレは近づいてきた気配にふわりと笑う。後1秒もないところで、みんなが見ていた時計が爆発した。

 

「おまたせしました10代目!!獄寺隼人いけます」

「……うん、来てくれてありがとう獄寺君。でもね、あっち見て」

「なんスか?……うげっ!」

 

オレらはヒバリさんが居るのを知ってたからね。ばっちり見られていた獄寺君にオレ達は心の中でエールを送った。

 

「ほんと、しまんねーな」

 

呆れつつも、リボーンの口角が上がってるのを見て、これがやっぱ正解だったと思えた。そりゃヴァリアーからすれば、ふざけた態度にしか見えないよ。けど、これがオレらの肩の力の抜き方だ。前と違ってボスであるオレが裏の世界にどっぷり浸かる気でいて、守護者の中で一番真面目なのが獄寺君だ。オレの影響を一番受けやすい。こう言う時だからこそ、獄寺君は肩の力を抜かないといけない。いつも通りわちゃわちゃしてるのが一番なんだよね。

 

「獄寺君、お願いね」

「はいっ!10代目!!」

 

獄寺君の眼を見て、オレはこれ以上何も言わない事を決めた。

 

嵐戦の試合内容も前と変わりなかった。や、オレの覚えてる範囲だけどね。ほら、オレはポコポコと色々抜けてるからさ。強いて言うなら、観覧席とフィールドの間に赤外線感知式レーザーがないくらいかな。あれはオレが雷戦を妨害したから出来たからね。今回は端から棄権したもん。

 

開始合図の前にベルが獄寺君の肩に手を置いた。ピクっとオレが反応したことに気付いたのか、触れたことを誤魔化すためかは知らないけど、ベルがオレに向かって「昼はご馳走さん♪」といいつつ手を振ってきた。

 

予想はしてたけど反応は凄かった。獄寺君はギギギと首を機械のように動かして、オレがはいはいと手を振り返してるのを見た途端、膝から崩れ落ちたよ。スクアーロもうるさかったね。後はそこまでかな。オレとベルがそういう性格だからと流したんだよ、多分。

 

「……10代目。オレ、このいざこざが終われば、10代目と食事に行きたいです」

「へ?あ、うん。行こうね」

 

なんでわざわざ今から声をかけたんだろうと不思議に思いつつオレは返事した。だってね、獄寺君とだよ。行かない理由ないじゃん。でもまぁその約束で獄寺君が元気出て、切り替わることができたみたい。……なんかみんな優しい目で獄寺君をみてるよね。オレとお兄さんは一緒に首を傾げたよ。なんだろ、この空気って感じでさ。

 

オレとお兄さんが不思議でいっぱいになってる間に、チェルベッロが試合開始の合図を出したから意識を切り替える。

 

気流に乗ったナイフが獄寺君の頬を切り裂いたのをみて、やっぱりとオレは軽く息を吐いた。お兄さんの時といい、ちょっとズルいよね。黙ってたオレが思うのは微妙かもしれないけどさ。

 

「ツナ」

 

あぁ、リボーンのその一言だけでオメー気付いてたんだろとオレに訴えてるのがわかる。そうだよね、お兄さんの時は言い訳が厳しいけど、獄寺君には言ってもよかったんだよ。オレがこの目でベルが細工したことに気付いていたんだから。うーん、獄寺君の眼を見て決めたから?前の時に見破ったから?……違う。オレはベルが他の仕掛けをしたとしても獄寺君には言わなかった。

 

「……獄寺君はオレの右腕だから。オレの側に一番いることになるし、オレが居ないところで采配することも一番多くなる。オレがそう決めちゃったから、他のみんなより求めるものが多くなっちゃうんだ。獄寺君からすれば酷い話だよね、負わなくてもいい怪我をしてるんだから」

「ツーちゃんの期待に応えろよ、隼人」

「あったりまえだろうが!!」

 

シャマルってば女の子に甘すぎ、獄寺君はオレに甘すぎだよ。

 

オレが苦笑いしてる間に、獄寺君は試合前にワイヤーを肩につけられたことに気が付き、ベルの技を見破った。その勢いのまま、獄寺君は新技のロケットボムでベルに一泡吹かせた。けど、ベルフェゴールの本領はここからで、獄寺君は前と同じように追い詰められていく。そんな中でも獄寺君は活路を探し続け、ベルのワイヤーを利用して獄寺君のボムを食らわせた。

 

「これが嵐の守護者の怒涛の攻めだぜ」

 

ズキっとオレの超直感が反応する。前の時は全然気づかなかった。だからシャマルが必死に声をかけて、オレが土壇場で怒鳴った。……気付いてくれ、獄寺君。オレは君をもう一度怒りたくない。オレは今まで君に目一杯伝えたつもりだよ。

 

「……ッチ。仕方ねーか」

 

最初のハリケーン・タービンの爆発音が聞こえてすぐ、獄寺君はベルフェゴールに自分が持っていた嵐のリングを投げた。周りが驚きの声をあげる中、オレは画面越しじゃなくて獄寺君の顔を見たくて駆け出した。

 

オレが辿り着いた時、獄寺君はリングを持って喜んでるベルを引きずり、ヴァリアーの前に置いていくところだった。

 

「ゔぉぉい!テメェなんのつもりだ!」

「オレは10代目の意志を尊重したまでだ。オレはもちろんのこと、こいつが死ぬことも悲しむ優しいお方だ。右腕のオレがリングに拘って、10代目のお気持ちを蔑ろにすれば、他の守護者に示しがつかねーだろうが」

「……獄寺君!!」

 

オレが近くに来ていると思ってなかったみたいで、獄寺君はちょっと焦っていた。けど、オレの顔を見てホッとしたんだ。この判断は間違ってなかったとわかったから。それでも獄寺君は真面目だからね、最初の一言は予想がつく。オレはそれに被せるように声をかけた。

 

「すみません、10代目」

「ありがとう、獄寺君」

 

ぷっとオレ達は吹き出す。そして獄寺君はオレの後ろに続いてやってきた山本に声をかけた。

 

「後、頼むぞ」

「おう!」

 

やっぱオレが女なのもあって一緒にいる機会が多いのか、この2人は仲良くなるのが早いよね。獄寺君がいやいや言ってないもん。

 

ヴァリアーには理解できないだろうけど、これがオレ達だよと視線を向ける。オレを馬鹿にするのはいい、けどもし獄寺君の行動を笑うようなら許さないという視線だったからなのか、ヴァリアーは何も言ってこなかった。

 

少しの沈黙のあと、チェルベッロがベルフェゴールの勝利を宣言し、明日のカード「雨」の守護者の勝負と発表した。前と違ってヒバリさんは理解してるから暴れることもなく、スクアーロが勝利宣言だけして去っていったよ。随分平和だなぁ。や、ディーノさんは慌ててヒバリさんを追いかけてったけどね。あそこだけ嵐だよ。あれ?雲雀さんって雲じゃなかった?

 

「って、獄寺君、治療しなきゃ!シャマル!」

「……しゃーねぇな。ツーちゃんの頼みだ」

 

ありがとうと視線を向けると、これぐらいかすり傷ですよと獄寺君が強がるからオレはムッとした。

 

「カッコつけないの!すごい傷なんだよ!」

「ゔっ、すみません……」

「や、ごめん。えっと、そんなことしなくても、獄寺君はカッコよかったよ。すっごく!……あれ?獄寺君?」

 

気を失ってない?やっぱ無理してたんだよ!!とオレはシャマルに獄寺君は大丈夫なの!?と詰め寄った。

 

「ぁー、隼人はここで死んでも悔いはねぇから大丈夫だろ」

「んなっ!?シャマル、どうにかして!?」

「……ここまで耐性がない奴いるか?オレはお手上げだな」

「そこをなんとか!」

 

いや無理だろ、これ……と呟きながらもシャマルはちゃんと手を動かしてくれて、獄寺君は無事に目を覚ましてくれた。

 




沢田ツナ
今回は怒る必要がなくて、とても喜んでる。
獄寺君、かっこよかったなぁ。

獄寺隼人
最後の最後に致命傷を負った。
ツナと了平、子どものランボ以外にはバレバレ。
ヴァリアーにもバレバレ。

シャマル
正直、匙を投げたい。
悩ませつつアドバイスを送るが、日頃の行いのせいで獄寺は聞きやしない。
どうすりゃいいんだ……?

リボーン
全然ダメだなと獄寺に呆れている。


作者
ベルとベルフェゴールの表記の違いはなんとなくで深い意味はないです。
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