今日はベルが来なかったぐらいで昨日と大体同じような感じで過ごし、夜になったから並中にやってきた。リボーンが一緒に居たからまだマシだったけど、寂しかったのもあっていつもより少し早めだけどね。
「みんな、どうしたの?」
なんか重い空気になってるから声をかけると弾かれるように山本とディーノさんがオレを見た。すっかりオレは忘れてたけど、ディーノさんとスクアーロは同級生で、スクアーロのことを山本に教えてくれていたらしい。本当は昨日教えてあげたかったけど、ヒバリさんをほっとくことも出来なくてギリギリになったみたい。ディーノさんにすまんって言われちゃったよ。
「んー謝る必要ないですよ。山本が継いだ時雨蒼燕流は凄いですから」
「……ツナ、オレの話をちゃんと聞いてたか?」
もちろんとディーノさんに頷く。
「ははっ。だな!親父も時雨蒼燕流は完全無欠最強無敵だ!って言ってたのな」
「そうそう。山本なら大丈夫だよ」
山本はもうディーノさんの話は気にならなくなったみたいで、うしっ!とストレッチを始めた。ディーノさんは困ったように頬をかいてたけどね。
オレらがわちゃわちゃしてるとスクアーロとチェルベッロがやってきた。やっぱB校舎かぁと軽く頷きつつ、ディーノさんにチラッと視線を送ればウインクをもらったよ。
「跳ね馬、テメェなに10代目に色目を使ってやがる!」
「ぁ、いや、今のはそのだな……」
まぁまぁとオレは仲裁に入る。スクアーロの性格と強さを同級生だからこそ知ってるからね。それでなくても今回のような誤魔化せそうなステージなら優しいディーノさんが手を回すのはわかるもん。
「獄寺君、まだ安静が必要なんだよ。だから無理しちゃだめだよ、ね?」
「ぐはっ」
ディーノさんみたいに意思疎通できるかなってオレも獄寺君にウインクしてみたけど、獄寺君の意識が飛びかけていた。そんなに酷かったのかなぁ……。そりゃディーノさんと比べるとオレはブサイクだよ。それでもオレ今は女だよ。ちょっとショックなんだけど……。
「ツナ、さっさと行くぞ」
ズーンと落ち込みつつも、リボーンに言われたからと身体が勝手に動くオレはやっぱ重症だよねと思った。
試合が始まりディーノさんは唖然と画面モニターを見ているから、オレは口を開いた。
「ディーノさんは毎日手を合わせてるから、ヒバリさんが才能の塊で天才だと思ってたでしょ。や、ヒバリさんも天才と呼ばれる分類に入るんですけどね。オレもしょっちゅうあの人は天才だからって言いますし。でも、オレの守護者の中で一番の天才は誰かと聞かれたら、オレは山本と答えるんです。普通なら刀を持ってまだ一年っていうでしょうけど、山本の場合は一年も握ったっていう表現になるんです。これが初めての実戦とか関係ないんです、山本の才能の前には……」
そしてその山本がマフィアごっことは思ってなくて、オレについていくと覚悟を決めている。……オレは野球にだけ使って欲しかったよ。
「ツナ。おまえが気付かなくても、オレが山本の才能に気付いていたぞ」
「だよねー。オレもそう思って覚悟してたんだよ。ヒバリさんにも怒られたのもあるしさ、リボーンが巻き込んだらもう諦めようって。相変わらずの逃げ腰で、また骸には呆れられたけどさ。でもまさかオレ自身がやらかして山本をこの道に進ませるとは思ってなかったよ」
ハハハ……と笑って誤魔化しながら、画面モニターを見る。スクアーロが時雨蒼燕流を知っていて見切ったとしても、山本はスクアーロの見越した想像の上を行く。
「流派を超えるか……。ツナおまえのいう通り、オレの心配は杞憂だったんだな」
ほんと、オレの周りって規格外ばっか。なんとか技の出先がわかっていたから致命傷を避けていたけど、山本が放った攻式・八の型……山本のお父さんが作った『篠突く雨』の前にはなす術もなく、スクアーロは敗れた。
「勝ったぜ」
カメラに向かってリングを見せる山本の笑顔に、フッと息を吐いた。いくら山本が凄くても無傷とはいかなかったよ。けど、今までの試合の中じゃ圧倒的だった。だから恐怖心というもの少しは生まれるはずなのに、この山本の笑顔を見たら吹き飛んじゃうんだよね。
「……すみません。オレ、もっかい修行してきます」
「きょくげーん!」
って思ってたんだけど、獄寺君とお兄さんの闘争心に火をつけちゃったよ。
「や、ほら、山本もオレの幼馴染だから。ガキの頃からつるんでるからね。山本はあの2人と交流なかったけどさ。なかったから真っ直ぐに育ったというか……ちょっと影響受けて規格外になっちゃったけど」
あれ?フォローになってる?と首を傾げる。なんかついでにヒバリさんと骸に喧嘩売ってない?大丈夫?とわけわかんなくなってきた。
オレがうーんと頭を抱えて悩んでると、スクアーロが負けたことにXANXUSが笑い始めた。
「なんで……わかんないのかな」
「沢田?」
「10代目?」
2人の驚いた姿で気付いた。どうやらオレは無意識にハイパー死ぬ気モードになってたらしい。
「オレは……オレには出来そうにないだけで、恐怖で人を束ねることが悪いとは思わない。オレの周りにも居るしな」
そういって、オレはヒバリさんに視線を向ける。けど、ヒバリさんとXANXUSは違う。
「お前はボンゴレのボスの座についた時、どんな景色を見るつもりだ」
「はっ。カス如きがボンゴレのボスを語るのか」
「……お前はなにも見えてない。頂点に立つからこそ、見なければならないものがある。それが見えてなければ、たとえ頂点に立ったとしてもほんの一瞬だ」
そう考えると、XANXUSは前の時に出会ったばかりの頃のヒバリさんに似ている。今のヒバリさんとは出会ってすぐでもそんなこと思いもしなかったけどね。恐怖で縛りながらも、ヒバリさんはちゃんと見えている。自分についてきてくれてる人達の顔が。
ふぅと息を吐いて、ハイパー死ぬ気モードを解除して画面モニターに視線を向ける。
「……山本。疲れてるところ悪いんだけどさ、スクアーロを連れて帰ってきて。色々言うだろうけど、オレの誇りもかかってるからよろしくね」
「もとよりそのつもりだったぜ。獄寺がみせてくれたしな」
「うん。ありがとう、みんな」
もう一度オレはXANXUSに視線を向ける。
「スクアーロはオレが一旦預かる。お前らに殺させないよ」
「カスには似合いの行き場だな」
「……ほんとうにお前はなにもわかってないんだね」
はぁとオレはため息を吐いて、チェルベッロに進行を促す。雨のリングの争奪戦はもちろん山本の勝利で明日の対決は霧と発表された。それを聞いたXANXUS達はスクアーロに一瞥することもなく、去っていった。
戻ってきた山本にお礼を言いつつ、ボロボロでも色々と叫んで暴れようとするスクアーロにオレは一発入れる。オレが容赦なく気絶させたから、みんなちょっと引いてたよ。あのままだとスクアーロが自殺しちゃう可能性もあったのも気付いてたからか、なにも言っては来なかったけどね。
「あの、ディーノさん。オレ偉そうに言っちゃったんですけど、今のオレの伝手じゃどうしようもなくて……スクアーロのこと頼んでもいいですか?」
いや、ヒバリさんに頭を下げれば何とかなるのはわかってるけどね。それは最終手段です……。心優しい兄弟子のディーノさんは軽く引き受けてくれた。
「あ、あと……すみません。手を回してくださったのに」
「ん?オレが勝手にやったことだしな。ツナが謝る必要はねーよ」
よしよしと頭を撫でられて、えへへと照れる。やっぱディーノさんはカッコイイ大人だよ!
オレは幸せだったんだけど、獄寺君がイライラしてきた。随分大人っぽくなったかなぁと思ってたけど、獄寺君はまだ年上の人はあんまり得意じゃないみたい。ディーノさんもそう思ったのか、慌ててオレの頭から手を離して話題を振ってきた。
「そ、そういや、明日は霧の試合だが六道骸は間に合いそうなのか?」
「間に合わせてきますよ。そういうのにあいつは抜かりないんで」
オレが来るって信じてるから、みんなも納得してくれたね。……結局あいつって、守護者の中だとヒバリさん以外とは大して交流してないんだよな。そりゃ前よりはマシだけど。クロームのおかげで、そこまで悪い印象はないだろうし。よくもないけど。
んー、仲良くして欲しいところだけど、オレがみんなを誘導してあいつの心に踏み込ませるのは間違ってるだろうし。やっぱ様子見かな。
「とにかく明日の試合はやりすぎないように注意するぐらいだよ」
試合には心配する必要が全くないのもあって、オレは家に帰って爆睡した。
なんて余裕な態度で居たのが悪かったのか、骸の性格をすっかり忘れてたのが悪かったのか、オレは頭を抱える羽目になった。
山本武
覚悟決めて一年たってるため、規格外の仲間入り。
骸と雲雀さんに隠れていたけど、間違いなくやべぇ奴。
後日、新しい型とか作らないの?とツナに言われ、いろいろと編み出す。
雲雀恭弥
早い段階で部下が見えてる。
ツナがわかりやすい例で、無駄なことはせず適材適所に指示を出す。
あと聞く耳を持つぐらいは、大人に成長している(骸を除く)
毎週訴える人物がいたから。
沢田ツナ
ウインクはビアンキに教えてもらった。
獄寺には今後やらなくなる。ビアンキの顔を見た時と似たような反応だったため。
ちなみにビアンキは相手のハートを撃ち抜くために教えたが、ディーノの使い方を見て、ツナは意思疎通のために使うんだと学習。
そのため守護者の中で一番貰えるのは山本。