念のために今日も学校を休んだけど、オレが予想した通りピタリと暗殺者が来なくなった。リボーンとはこれについて何も話し合わなかったけど、多分全部察してる。オレ自身の性格が甘いっていうのもあるけど、無意識にハイパー死ぬ気モードになるぐらいスクアーロに肩入れしたのもわかってくれたんだろうなぁ。オレが決めたから何も言わなかったけど、多分リボーンはオレの甘さにも心配してたと思うから。あそこまでした理由がわかってスッキリしてるんじゃないかな。や、説明もなく爆睡したオレが悪いんだけどね。
お兄さんと獄寺君は普通に心配で、ランボはどうするか悩んでだし。そりゃ山本は試合については心配してなかったよ。でも勝った後に山本らしさがなくなるんじゃないかなという心配はしてたんだよ。オレが心配する必要無かったぐらい、山本はいつも通りだったけど。まぁそういうのもあって、やっとオレはスッキリと眠れたの。リボーンもそれがわかってたから、何も言わなかったんだよ。もしオレが男だったら蹴り飛ばして、オレの考えを言わせてたと思うけど。……や、でも、そんなこともなかったかもしれない。前よりオレはしっかりしてるから。リボーンはオレがちゃんと考えて出した結論だったら、理不尽に怒ったりしないもんね、昔っから。
……にしても、相変わらずあいつは来るのが遅いなぁ。コロネロももう来ちゃってんだけど。体育館なのもあって、すげーヒバリさんイライラしてるんだよね。って、来た来た。気配が守護者の中じゃ一番わかりやすいんだよな。
「お前、おっそい」
はぁとオレがため息吐きつつ、体育館の入り口に視線を向けた。
「「「クローム!?」」」
獄寺君と山本とお兄さんが慌てて駆け寄って行ったのを見て、首を傾げる。
『骸様が間に合わないから……私が代理……』
お前マジかよ……とオレは膝から崩れ落ちた。頼むから嘘だと言ってくれ。骸がそういう奴だと知っていたけど、オレ悪くないよね?悪いのはあいつだから。絶対オレじゃないよ?と現実逃避する。
もうやだと嘆いてる間に、マーモンのペットが興奮してるのもあって、代理でもいいみたいな空気になっていた。チェルベッロも代理は認めるけど途中交代はできませんとか言ってるし。あの、勝手に話を進めるのやめて。え?オレが現実逃避してるから悪いの?
オレがどうにかするのが嫌だから、崩れ落ちたまま期待を込めてヒバリさんに視線を向ける。……つまんなさそうにヒバードと戯れてた。
「うん。オレ、帰る」
パッと切り替えたオレは立ち上がり、出入り口に向かう。
「ツナ、待ってて。まっ気持ちはわかるけどな」
「ディーノさん……!」
「間に合わなかったのは仕方ねーんだ。棄権するにしても、霧のボンゴレリングはあいつらに渡す必要があるだろ?」
「……ちょっと待ってください」
オレ、すげー感動したから落差が激しいんだけど。落ち着くように息を吐いて、リボーンに視線をむける。お前はオレの味方だよね?
「しっかりしろ、ツナ。おめーがボスなんだぞ」
「……リボーン、お前……本気で言ってんの?」
「当たり前だぞ」
マジかー。マジかー。とオレは天を仰ぐ。体育館の照明ってこんなに明るいんだなぁ……。やだなー、やりたくないなー。女に優しいリボーンなら、絶対助けてくれるのに。もうこの際、XANXUSでもいいよ。ぶち壊して欲しいんだけど。
「はぁぁぁぁぁ」
肺の中の空気を全部出す勢いのため息が出たよ。幸せが逃げていっちゃったなぁ……ハハハ。
「あーもう!いい加減にしろ、骸!!」
キッ!とオレは骸に睨みつける。オレのことをよく知ってる人から順に正解に辿り着いていく。だってね、オレがクロームを睨むとかない。つーか、そもそもオレがクロームを放って帰ろうとするわけないじゃん。
「ま、まさか……」
「……六道、骸」
「クフフフ。お久しぶりです。僕がいない間に腕が落ちたのではないですか?ああ、あなた方に見破られるとは露程も思ってません」
うわぁぁぁとオレは頭を抱える。ヒバリさんだけじゃなく、獄寺君達にも喧嘩売ったよ、こいつ。いや、予想はしてたよ?だからオレは帰りたかったの!だって、これだけで終わるわけないもん!
「しかし余興のつもりでしたが、ボンゴレが誇る暗殺部隊ヴァリアーも、マフィア界最強と呼ばれるアルコバレーノも、大したことありませんね。期待外れです」
ほんと、ありえねぇ……全方向に喧嘩売ったよ……。
「骸!!」
「事実でしょうに」
いやだから、お前が規格外なの!なんで『仕方ありませんね、僕が大人になりましょう』みたいな態度なの。お前が煽ったから、こんなギスギスした空気になってんの!……でもまぁ元気そうでよかった。
「……あなたは変わりないようで。胸焼けしました」
「それがオレなの!」
はぁとまたため息を吐きつつ、霧のハーフボンゴレリングを取り出す。
「オレの霧の守護者は、骸……お前しか居ない。だからお前に渡すけど、いつ捨ててもいいよ。や、流石にリングは返してもらわないと困るけど。……オレの最期まで付き合う必要ないから」
「……当然です。あなたは図々しくも最期の最期まで僕に頼み事を言いそうですからね。絶対に嫌です」
ごめんってば。でもお前オレが頼まないとクローム達の前からも消えそうな気がしたんだよ。
「骸、お前に霧のリングを預ける」
「ええ。僕の気が変わるまでの間は引き受けましょう」
あははと笑いつつ、オレは骸にリングを投げた。多分みんな思うところがあるけど、オレの顔を見て飲み込んだね。相変わらず、オレの顔はどうなってんのって話だけど。
「あ、やりすぎんなよ」
「はいはい、わかってます。それに彼を殺せば、アルコバレーノの呪いを解く難易度があがりますからね。僕としても面倒です」
お前……そういうとこだから……。コロネロとマーモンは骸を見てるけど、リボーンはオレから視線を離さない。ふぅと軽く息を吐いて、リボーンと視線を合わせる。どうせどこかのタイミングで言わなきゃいけなかったしね。復讐者のことは気になるけど、悪い予感はしないしなんとかなるかな?
「道筋は見えてるんだ。ラルもちゃんと解けるよ。でもまだ全然。あれもこれも足りてないから黙ってた、ごめん」
「……ウソつくんじゃねーぞ」
「や、本当に解けるってば」
「そっちじゃねぇ。オメーのことだ、その方法を話せばオレが反対するから黙ってたんだろ」
あはは……と苦笑いする。ほんと、リボーンはオレのことなんでもお見通しだよ。
「うん、でもお前の負けだよ。オレは絶対諦めないし、みんなが今の話を聞いちゃったから。手伝ってくれるでしょ?」
そういってオレは周りを見渡す。オレの守護者はもちろん、ディーノさん、コロネロ、立場が問題だから態度には出さないけど、呪いを解きたいマーモンもオレの味方だもん。あ、ヒバリさんには交渉しに行きますから怒らないでくださいと視線を送る。すげー楽しそうな顔された。いっぱい搾り取る気ですね、知ってました。
「……おめーと約束したからな」
はぁとため息を吐きつつも、リボーンが協力する気になってくれたから、ごめんねと笑う。あの約束をした時も黙ってたことに気付いたけど、オレが女だから飲み込んで何も言わなかったみたいだし。
よし、と切り替えて、XANXUSに視線を向ける。
「待ってくれてありがとう。チェルベッロ、進めていいよ」
チェルベッロが頷きあい、霧戦が始まった。
当然というように骸の圧勝。マーモンは骸の余興でヤバイとわかってたから、すぐに抑えていたアルコバレーノの力を解放したんだけどね。骸には敵わなかったよ。マーモンも薄々察していたからか、死んだ風に見せかけてやっぱり逃走。呪いが解ける可能性が出てきたからね。絶対逃げると思ってた。
今回は骸が逃走したと教えなかったけど、オレの態度でマーモンが生きてるのはみんな察してたよ。あとは最初にいっぱい煽ったからか、骸は大人しかったかな。ヴァリアーが帰ってから、ヒバリさんとはバチバチしてたけど。
明日は雲戦だから慌ててディーノさんがヒバリさんを宥めてたよ。オレは何もしなかったよ?基本的にやり過ぎないなら、オレは止めないことにしてるし。止めてたらキリがないんだもん、この2人と幼馴染という時点で察して。
日付けがかわり、深夜。オレは骸ん家に居た。霧戦後に骸と一緒にオレん家に居るクロームを迎えに行って、そのままオレも一緒に骸ん家に来たんだ。骸はオレん家で休まないからね。ガキの頃と違って今はマフィア関係の居候が多いから。
「んで、遅くなった理由は?」
「僕は遅刻してませんよ」
これは詳しく話す気はないな。オレはまぁいいけどよ、クロームにはちゃんとフォローしろよとベッドがある部屋の方角に視線を向ける。オレも前に京子ちゃん達に似たようなことしてたけどさぁ。やっぱ自分がしちゃったのと、見るとでは感じ方も違うんだよ。そりゃクロームは我慢強い子だから泣きはしなかったけど、寂しがってたのはわかったし。だからオレはクロームと一緒にベッドに寝転んで、骸はクロームの枕元で眠るまでそばに居た。本当はそのまま一緒に眠ってあげたかったんだけど、流石に報告を聞かないとまずいかなって。朝にはリボーンに報告しないといけないし。
実はこの場にリボーンがいない。多分すげー着いてきたかったと思うんだよ。でもリボーンが居ると骸がクロームを甘やかせることができない。オレら3人ともクロームに甘いから、暗黙の了解だったよ。
「なら、白蘭は?」
「……正直なところ、僕にはわかりません」
オレが白蘭の存在に気付いていたことには動揺しなかったけど、接触したはずの骸が答えに窮するのか……。
「んっと、あいつから聞いたかも知れないけど、未来のランボが未来のオレの許可を得てなんか送ったらしい」
「ええ。内容まではわかりませんでしたが、本人から聞きました。ですから、彼の興味は大空のアルコバレーノではなく、君に向かってます」
「うーん、それはいいよ。未来のオレのせいだし。ユニに興味持っちゃって、アリアさんから世代交代しようと暗躍されても困るから」
「それはそうですが……いえ、君が判断するでしょう」
これはマジで骸が困惑してるね。元々、白蘭は何考えてるかわかりにくいからなぁ。
「今のところおかしな動きはありません。僕が置いてきた監視も壊す様子もありませんね」
「そうなんだ。ってか、オレはお前と一緒に来るかと思ってたんだけど」
「そうしたいところでしたが、間に合いませんでした」
間に合う?と首を傾げる。え?何かやってんの?
「僕とヴェルデ博士の研究に白蘭が手を貸している状況で。後もう少しでしたが……最後まで付き合えば間に合わなくなると予想しました。出来上がり次第、やってくるそうですよ」
「お前、結局遅くなった理由を話してるじゃん。って、そこじゃないや。お前とヴェルデ博士がなんか作ってるのはいいよ。なんでそこに白蘭が??そもそもお前よく手を借りたよな。白蘭のことよくわかってないんだろ?」
「ヴェルデ博士が保証しましたから」
だったら、大丈夫かな……?うーん、ヴェルデ博士とは会ってるから、そういう嘘はつかないだろうなってのはわかるけど、白蘭がなぁ。会わないとなんとも言えないや。まぁ近々来るみたいだし、そん時に判断するしかないね。
沢田ツナ
前回に最期まで付き合ってくれたからこそ、骸に最期まで付き合う必要はないと伝えた。
六道骸
少しはストレス発散ができた。ただストレスが溜まってなくても、多分やった。
白蘭の手を借りたのは、ヴェルデが保証したからだけではない。
ツナに伝えた通り、白蘭のことはわからないから。ヴェルデが保証しただけでは骸は信用できない。
リボーン
本当にいろいろと飲み込んだ。