沢田綱吉、逆行。   作:ちびっこ

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スーツをきた状態で、オレは朝から並中にやってきた。いくらなんでも今日はディーノさんとバトルしてないだろうからね。ディーノさんが休ませようとして逃げてるはずだから。

 

校門がよく見える位置にやっぱ居たよ。この前と一緒でヒバリさんと目で会話してお咎めなし。今回は教室に寄らないから、ここでクロームと獄寺君と別れ、応接室にオレは向かった。

 

「お茶」

 

……開口一番それですか。オレ結構気合入れてきたんですけど。いやまぁいいけどさ。草壁さんが居ないみたいだし、ヒバリさんが自分で入れるわけがないからね。それにオレの分のお茶も入れていいっていう意味だから、前と比べればすげー優しい。

 

「早速で悪いんですけど、これ見てもらえます?このメガネをかければもっと詳しく読めますよ」

「ふざけてる?」

 

メガネをかけずにチラッと見ただけで、ゴーラ・モスカの設計図とわかってもらえたみたい。

 

「オレが意味もなくヒバリさんの楽しみの邪魔をすると思いますか?」

 

言ったのはいいけど、素直にヒバリさんが手を伸ばすとは思わなくて驚いたよ。もしかして前のオレはコミュニケーションが足らなかったのかな。いやでもコミュニケーションの取り方が、バトルってどうなの……。若干遠い目をしつつも、ヒバリさんを見る。

 

「ヒバリさんってメガネも似合いますね。カッコいい人ってなんでも似合うからずるいなぁ」

「……君、その思ったことを口に出すのやめれば?」

「き、気をつけます。これでも昔よりマシになったと思うんですけど……」

 

どこが?っていう顔をされたよ。ガキの頃からの付き合いだとこういう時に困るよね。前と比べれば絶対マシになってるから、骸は同意してくれるんだけどなぁ。……あれ?骸の呆れた顔が思い浮かんだんだけど。え?もしかしてそんなことないの?

 

「君の要件はわかった。僕も校内で死人が出ると困るからね。うん、いいよ」

「ヒバリさんっ……!」

 

対価もなく引き受けてくれたのもあって、すげー感動した目でヒバリさんをみていれば、ため息を吐かれてしまったよ。なんか最近こういうこと多いよね。

 

「それで、あのボス猿を君はどうする気?」

「え?……XANXUSですか?うーん、とりあえず殴るかな」

「いつ?」

 

まさか僕が負けると思ってるの?って感じで睨まれたよ。負けると思ってるなら頼んだりしませんっていう意味で机にある資料をトントン叩く。納得してくれたのか、睨まれることは無くなったよ。いやほんとコミュニケーション取れてるね。昔のオレが見れば腰を抜かすよ、絶対。

 

「大空戦やろうかと思ってるんです」

「へぇ。君が?」

「ヒバリさんも気付いてるでしょ。オレ、怒ってるんです」

 

そう言いつつも、オレは微笑んだ。つっても、怒ってるのを隠す笑顔だけど。

 

「うらやましいな」

 

へ?とオレはヒバリさんを見る。オレがいつもの雰囲気に戻ったからか、ヒバリさんはつまらなそうに窓の外を見ながら言った。

 

「出会い方が違えば、僕にもそれを向けてもらえたのかな」

「それは……無理じゃないかな」

「どうして?」

 

いや、だってさ。前の時と出会い方が違ったのに、全然変わんないんだもん。そりゃ優しいなぁとは思うよ。けど、根っこの部分は変わらない。ガキの頃から骸に負け続けてプライドがボロボロだったはずなのに、ヒバリさんは折れなかった。

 

「んー……ヒバリさんがヒバリさんである限り無理な気がします。オレ、ヒバリさんの生き様が好きなんで。オレを本気で怒らせるってことはもうそれはヒバリさんじゃないような……」

 

なんか自分で言っててよくわかんなくなってきた。うーん……とオレが悩んでると、またヒバリさんがオレを呆れて見てたよ。

 

「君って僕のこと好きだよね」

「へ?そりゃもちろん、好きですよ。さっき言ったじゃないですか」

「……君のそういうところ、ムカつく」

 

うわっ、オレなんかやらかしたっぽい。すぐさま咬み殺すほど怒ってはないけど、ヒバリさんがムカついてるのは本当だから。

 

「えっと、その……」

「別にいいよ、わからなくて。ムカつくけど、現状に僕は満足してるから。けど、もし……」

「もし?……や、やっぱいいです!失礼しました!」

 

ヒバリさんの眼を見て、オレはすぐさま逃げ出した。あれは狩る者の眼だよ。ヒバリさんをこれ以上怒らせないように、気をつけなきゃ。今日は大丈夫だったけど、本気になったヒバリさんにオレは逃げれるような気がしないもん。

 

 

 

 

 

 

前の時はちゃんと見れなかったもんなぁとオレは周りを見渡す。有刺鉄線にガトリング……地雷もあるかな。他の守護者の中でも殺傷力が高い気がする。

 

「ヒバリはまだ来ねぇのかよ」

「多分、ギリギリに来るんじゃないかなぁ。ほら、ヒバリさんって群れを見るの大嫌いだから。オレらが来るのは諦めが入ってるけど、見たくないものは見たくないだろうから」

「ヒバリだしな」

 

オレらもオレらでヒバリさんだからって諦めが入ってるよねとみんなで笑う。

 

「む。六道兄もいないのか?」

「ちゃんと来てますよ。ヒバリさんは目が離せない存在ですから。オレも総合的に見れば、一番恐ろしいのはヒバリさんですし」

「ああ。普通なら骸と答えるだろうが、ヒバリは底が見えねぇからな」

 

そうなんだよ!とリボーンの補足にオレは大きく頷く。オレも気が気じゃないもん、ヒバリさんにガッカリされたくないから。

 

わちゃわちゃといつものように話していたら、ヒバリさんがやってきた。ムスッと機嫌が悪くなってるから、苦笑いしつつ見送っていれば呟かれた。

 

「貸しひとつね」

「んなっ。朝はそんなこと言ってなかったじゃないですか!」

「今、僕の前で群れてる君が悪い」

 

そ、そんなぁ〜……とオレは肩を落とす。言いたいことはわかるけどさぁ。昨日まではまだ見逃せるけど、今日はヒバリさんの試合だからダメってことでしょ。オレの嘆きや獄寺君の抗議を無視して、ヒバリさんは雲のフィールドに入っていった。

 

チェルベッロからの試合説明が終わり、開始合図をした途端、オレはゆっくりと歩き出した。

 

「10代目?」

「ツナ?」

「沢田?」

 

みんなが不思議そうにしているけど、オレは歩みを止めない。ちゃっかりリボーンがオレの頭に乗ってるよ。約束通り報告したから、リボーンからすれば当然か。

 

一瞬だった。本当に一瞬だった。別に疑ってたわけじゃないけど、やっぱ凄いなぁと感心する。ヒバリさんに言えば、呆れられるだろうけど。オレの足音が聞こえていたはずだから。どの口が言ってるの、みたいな感じでさ。

 

「ふぅん。これ、そんなに凄いの?」

 

カチリと嵌め、ヒバリさんは月明かりでリングをまじまじと見ていた。最後までしてくださいよと思いつつ、ヒバリさんが参加した理由だもんなぁと思うオレもいる。あとオレが歩いてきてるのを知ってるからっていうのもあるんだろうけど。

 

「チェルベッロ、入るよ?」

「は、はい」

「んっと、質問の答えですけど、ヒバリさんが一番実感すると思います」

 

オレはまだ死ぬ気の炎を身体から出せるからね。骸はあのヤバいヘルリングを使いこなせるし。というか、波動に耐えれなくてリングを砕くってどういうことなの。や、オレも砕いちゃうけどね。でもね、オレは血筋という言い訳が出来るから。

 

なんて話つつ、オレはゴーラ・モスカの外装をぶっ壊した。XANXUSが手を出さなかった理由は、リボーンがキレてるから。後、骸が動いてるのもあるだろうね。

 

「すみません。遅くなりました、9代目」

「……ああ、そうか。君が沢田ツナちゃん、だね」

「無理して話さないでください。後はオレに任せて」

「すまない。ありがとう……」

 

ホッと息を吐く。衰弱から気を失ったけど、命の別条はないみたい。

 

「ディーノさん、頼めますか!」

「ああ!」

 

オレが動けば怪しまれる可能性があったからリボーンから話してもらって、ディーノさんに医療班の手配をしてもらっていた。9代目が運ばれるのを横目にしつつ、オレはXANXUSに視線を向ける。

 

「ネタばらしってわけじゃないけど、骸はボンゴレに詳しくてさ。それはマフィアが大っ嫌いだからなんだけど。まぁそれでお前のことも知ってたんだ。お前の性格も、苛烈さも。つっても、骸には別件で動いてもらってたから、ゴーラ・モスカの情報を持ち帰ってくるとは思わなかったけど。だからお前の持つ直感に引っ掛からなかったのかもしれないね。ってか、本当にそんな余裕どこにあったの?」

「ついで、でしたから」

「……うわっ、わかりたくないけど、わかった」

 

白蘭がゴーラ・モスカの情報を欲しがったってことだろ。ついでにヴェルデも見てるでしょ、絶対。最悪の組み合わせじゃん!

 

「というか、そういうのも報告して!?」

「察することができない君がおバカなだけです」

「悪かったな!」

 

なんでオレお前と喧嘩してんの!?今回、お前にすげー感謝してたのに。……だからなのかもしれなけど。

 

「まっお前が何を考えて、ゴーラ・モスカに9代目を入れたとか、そういうのはいいよ。9代目からも話を聞ける状況じゃないしね。……ううん、今だから出来るんだ、大空戦。やろうよ、10代目の座をかけてさ」

 

XANXUSとジッと見つめ合う。

 

「お待ちください!……沢田氏、本当によろしいのですか?」

「うん。頑張ってくれたみんなには悪いけど、XANXUSを殴らないとオレの気が済まないんだ」

 

オレがやる気だから、みんなも武器を持ち始めた。ほんと、オレの守護者って好戦的だよね。まぁそれはヴァリアーも一緒だけど。

 

結局、チェルベッロの仲裁が入って明日が大空戦となった。今日じゃないならって、オレは帰ることにしたけど、オレが去る最後までXANXUSの視線が外れることはなかった。

 




笹川了平
クロームの方が妹を通して交流が多いので、骸のことを六道兄と呼ぶ。
骸は違和感があると思ってるけど、絡みたくないのでそのまま。


雲雀恭弥
興味がツナ≧リング>XANXUSだったので暴れなかった。
なお、そっち方面の興味は今のところないので現状維持。
ツナが垂れ流し状態だから少しムカつくが、気付いたら気付いたでツナの反応が予想できないのもあってスルー。
恥ずかしがられてバトルできなくなるのが一番困る。
その気になったら一番簡単に手に入れることができる人物なのは間違いない。
そのためリング争奪戦が行われない未来で、10年後のランボが言っていたツナを掻っ攫った人物は彼。


沢田ツナ
好きな人ほど無意識に対象外にしている。
対象にできるなら、そもそも逆行していない。
ただ迂闊にポロポロこぼすからタチが悪い。


XANXUS
ツナの考えが読めない。
ゆりかごを知りつつ、9代目への仕打ちも知りつつ、圧勝していたのに大空戦をやると言い出した。
深読みしすぎているだけで、ツナはちゃんと全部口に出してる。


念のため
この世界はリング争奪戦が起きた未来なので、ルートは不明。
作者もまだ決めていない。候補は今のところ4人かな。
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