オレの朝は早い。前世では考えれなかったけど、朝の方がランニングに行きやすいんだ。夜だと母さんが心配するからさ。朝から走っているといつも同じ場所でお兄さんと会う。お兄さんも毎朝走り込みしてるからね。
「沢田ツナ!今日も極限だな!」
ちょっと意味がわからないけど、なんとなくわかるからオレも笑って返事をする。
「お兄さんも元気ですね!」
「おう!そうだ!昨日、沢田の知り合いが転校してきたんだってな!京子が仲良くなりたいと嬉しそうに話していたぞ!」
「それは良かったです。クロームも友達欲しいと思うから」
「ああ!極限青春だ!!」
お兄さんは変わらないなぁと思いながら別れる。その場で足踏みしながら話しているけど、あんまり止まるのは良くないから。お兄さんも走りながら話すのはダメだと思ってるから、毎日ちょっとずつ話して終わり。前の時は不良に絡まれて額に怪我をしたって聞いたけど、今のところは不良に目をつけられてる様子はない。あれかな、オレに負けられないな!って言いながら必死に走ってるからかな。まぁまだどうなるかわからないから、油断しないようにしよう。
それにしてもクローム、大丈夫かな。予定通りクロームは六道凪という名前で転校して来た。一応、骸と兄妹っていう設定らしい。クロームは骸とオレがつけたあだ名ってことにした。オレのことはツナって呼ぶように頼んで、骸は……骸様だったけど、オレ達とは普通に話せてたからこれなら大丈夫かなって思ってたんだ。でも学校では骸も居ないし、オレにべったり。やっぱまだ小さいのに自分の意思で家を出たんだから、甘くみるのは間違いだった。
今日も迎えに行った方がいいかなと考える。クロームは可愛いから、いろんな奴が寄って来るんだよな。もちろんオレが防波堤になるつもりだけど、黒川の話だと喜ばせてるだけって言うんだよ。オレ、そんなにナメられてるのかな……。あまりに酷いなら、骸が学校まで迎えに来るって言ってたけど、あいつはあいつで大変なんだよな。
この前出かけた時に、あいつ炎真のお父さんと接触したらしいんだよ。川平さんは炎真の顔がわからないからってのもあるけど、まさかすぐに骸が見つけるとは思わなかった。どうするつもりなのかわからないけど、あいつ炎真のことは任せろって言うし。今度の3連休にオレがアリアさんのおしゃぶりに大量の炎を込めるっていうのもあるんだろうけど。骸の負担が多すぎないか?って思うんだよな。炎真達を守るのは自分の身を守ることに繫がるのですって骸はいうけどさー。
「はぁ」
「ツナ、ため息吐いてっと怪我するのな」
「あ、山本!おはよう!そうだね、ありがとう。気をつけるよ」
今日は山本とも会った。山本は日によって走る場所を変えるみたいで、会う日と会わない日があるんだ。
「で、どうしたんだ?」
「いやさ、やりたいこといっぱいあるのに、オレ器用じゃないからさ。何をどこからすればいいのかなって」
「んー、1個ずつやっていくしかねーんじゃね?オレも野球の試合に出たいけど、体力ねーと先輩についていけないって思って毎日走り込みしてるのな。遠回りに見えっけど、ツナはちゃんと進んでるって」
「……うん!ありがとう、山本!」
「いいってことよ」
やっぱ山本はすげー。ちょっとオレ気が楽になったもん。
「オレ、もっと鍛えるよ」
「ははっ。ツナは強くなりてーのか」
「うん。それが一番の近道だと思うんだ」
「そっかそっか」
なにかあった時にみんなを守る力がいる。オレがみんなを守るんだ。
「ツナ……?」
「って、ごめん。時間だ!」
「えっと……もうそんな時間か?」
「や、まだ大丈夫。オレはクローム迎えに行くからさ。山本も遅刻しないように気をつけてね」
「おう。また学校で会おうぜ」
バイバイと手を振って山本と別れ、オレはダッシュした。急がないと遅刻するー!!
家に帰ったオレはシャワーを浴びて、朝ご飯を食べる。家綱はまだ起きていないらしい。……こういうだらし無い感じは前世のオレとそっくりだ。まぁオレと違って家綱は遅刻しないけど。
「ツーちゃん悪いけど、イッ君起こしてくれる?母さんが言っても起きないのよ」
「う、うん……」
母さんはオレが言えば起きるとわかってるから頼むけど、あんまり気が進まないんだよなー。母さんが困るから起こすけど。
「家綱、起きてる?起きてるなら入らないよ」
ノックしたけど返事はない。今日は二度寝したな。仕方ないから、布団に近寄って声をかける。
「そろそろ起きないと遅刻するよ、家綱。おーい、家綱?」
「……うるせー!見てわかんねーのかよ、起きてるだろうが!」
さっきまで寝てたじゃん……ってツッコミしたいけど、グッと我慢する。オレが言い返した方が家綱は機嫌が悪くなるから。
「着替えるんだ、出て行け!」
「ご、ごめん」
慌てて部屋を出る。まぁあそこまで怒鳴ってたなら、完全に目が覚めただろう。
「母さん、家綱起きたよ。多分もうすぐ来るよ」
「ありがとうね、ツーちゃん」
よしよしと母さんに頭を撫でられた。あいつ怒鳴ってたからな、さっきの声が聞こえてたのかも。母さんは自分が言っても起きないのもあると思うけど、オレが全然気にしてないから頼むんだろうな。はっきり言って、ヒバリさんが怒った時に比べれれば家綱の怒りはなんてことないから……。
ヒバリさんで思い出した。骸、あれから会ったのかな。……あいつの性格を考えてると、会ってそうだ。今度やり過ぎてないか確認した方がいいのかなぁ。でも行けばヒバリさんに目をつけられる気がする。早いか遅いかの違いってオレの超直感が訴えてるのは気のせいと思いたい。
さよなら、オレの平穏ライフ。……川平さんに会いに行った瞬間から、平穏は諦めてたけど。
「っと、母さん。オレそろそろ行くね。クローム迎えに行くんだ」
「そうね。今度連れてきてね。骸君と一緒に」
「うん。わ、弁当もありがとう」
母さん、骸とクロームの分まで用意してくれてるじゃん。母さんのことだから、これからずっと作ってくれるんだろうな。
「重いから気をつけてね」
「わかった!母さん、いつもありがとう!行ってきます!」
うわー、ほんとオレ母さんの子どもで良かった。オレだけじゃ絶対そこまで気がまわらなかったよ。クロームはまだしも、骸も母さんのこと気に入ってるみたいだし、変われば変わるもんだなーって思いながらオレは骸の家に向かった。
学校では、クロームの防波堤をしつつ京子ちゃんと黒川との間に入る。多分恥ずかしがってるだけだと思うけど、まだ会話は成立していない。京子ちゃんはおっとりしてるし、黒川は精神年齢高くて気にしてないから何とかなってる。オレの超直感だと、今回骸はクロームを戦士にする気はなさそうなんだよな。そりゃクロームの体質のことはあるから、危険回避っていう意味で少しは幻術のやり方を教えるみたいだけど。本人が望まない限り、骸はクロームに平穏を歩んで欲しいのかも。オレの山本みたいな感じなんだろうな。だから早い内から京子ちゃん達と会わせたと思う。未来を選べるように。
「オレ達、歳とったなぁ」
しみじみ呟いていると、黒川に何言ってんのよってツッコミされた。いやでもさ、そう思うんだって。オレは2人で霧の守護者って感覚だったけど、今回は違うって思ったよ。だって骸と一緒にクロームを見て和むもん。流石オレ達の紅一点だった。問題児が多い守護者のなかで、唯一の癒し枠だった凄さを改めて思い知ったよ。オレ、父親?いや母親の気分だよ。まぁこんなこと黒川達には説明できないから笑って誤魔化すけどさ。
不思議そうな顔をしてオレのことを見ているクロームの頭を撫でる。なんでパイナッポーにしたのかな。クロームが嬉しそうだから何も言わないけど。
ちなみに家綱はクロームのことを可愛いと思ってるのか、チラチラとクロームを見にくる。あいつ隣のクラスだからさ、休憩時間になったらわざわざやってくるんだ。オレと視線があえば、そらすけど。珍しくオレと骸との意見が完全一致して、家綱にクロームには近づけさせないという協定を結んだ。他の男子にはあまり効果がないけど、家綱にはオレの防波堤は効いてるみたいでちょうど良かったよ。
そんなことをしつつ授業を真面目に受ける。ほとんどわかることが多いけど、理科とかだと結構忘れてて面白い。そんな名前だったー!って懐かしく思うから意外と飽きずに過ごせてる。女の子3人はちゃんと真面目に授業を聞いてるけど、山本はよく寝ている。この時からだったんだってちょっと苦笑いしながら、オレがまとめたノート貸してあげようかなって考え中。山本はやればできるし、勉強のせいで野球が疎かになるのはオレが許しません!
笹川了平
京子を通して幼稚園の時にツナと会った。
出会った当初、京子の呼び方から勘違いし沢田ツーと呼んでいた。また間違えてるとツナは笑っていたが、京子が怒って覚え直させた。
女子ということで勝負を仕掛けないが、ツナの努力を見てライバルだと思っている。負けないためにも極限努力するのみ。不良とケンカしている時間は極限にない。
クローム髑髏改め、六道凪
生きている意味があるのか、子どもながら薄々疑問に思い始めたところで骸とツナに出会った。
今までなんだったのかというぐらい愛されて幸せ。だからこそ2人が居なくなるのが怖く、べったり。2人が何かしていることに気付いているから尚更。
沢田ツナと六道骸
クロームを見てオトンとオカン気分になった人。
将来もしクロームが彼氏を連れて来たら、ひっそりと泣くかも知れない。
山本武。
知らない間に家庭教師がいた。
押し売り加減が某赤ん坊と同レベルのため、流されてしまう。
蓋を開けてみれば、野球に絡めて問題を作ったりしてくれるので、超ラッキーだった。
テストを親父に見せれば、泣いて喜ばれた。