沢田綱吉、逆行。   作:ちびっこ

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今日は前々から計画していたアリアさんのおしゃぶりに炎を込める日だ。最初、オレはまた飛行機で移動するのかなって思ったけど、川平さんの力で夢で会うことなったんだ。骸の時と違ってわざわざ会いにいく必要はないからね。

 

「本当に出来るのですか?」

「うーん、多分……?」

 

骸が心配するのはわかる。オレ、結局手に炎を灯すことは出来なかったんだ。おしゃぶりを通せば出来ると思うんだけど、オレの超直感はユニほど正確にわからない。大空のおしゃぶりを見ればはっきりすると思う。以前、川平さんに白のおしゃぶりを見せてもらったけど、オレの超直感は何も反応しなかったから。

 

「まぁやるだけやってみるよ」

「……そうですね」

 

夢で会うのは川平さんとオレだけ。出来るだけ大空の炎以外の人は入れたくないのもあるし、オレが戻ってきた後のこともある。絶対疲れて倒れると思うから。だから連休中にして、今日と明日は骸ん家に泊まることになってる。川平さんはもしオレが炎を込めれれば、しばらくアリアさんから目を離せれないからね。だから事情を知っている2人に頼むしかないんだ。熱とか出なきゃいいんだけど……。

 

「私の方は準備出来ましたよ」

「……めちゃくちゃ怪しいね」

 

川平さんはリボーンが鉄の帽子の男って呼んでいた姿に変わったから、ちょっとビビった。

 

「間違っても私を川平さんと呼ばないでください」

「うん、わかった。川平さんもオレの名呼ばないでね」

「もちろんですとも」

 

やっぱその姿でいつものノリで話されるとすっげー違和感。クロームもちょっと怖いのか、骸の後ろに隠れてるし。

 

「よし、オレの方も準備いいよ!」

 

エストラネーオファミリーに乗り込んだ時と同じ服を着た。もちろんフードは深くかぶってる。あの時も今回も川平さんが幻術でいろいろ誤魔化してくれてるけど、もし見破られたら困るからさ。実際、骸には効かなかったし。……いや、それはあいつが凄すぎるだけな気もするけど。

 

ベッドに寝転ぶ前にオレは頬をパンパンと叩く。こうやって気合いを入れないと、怖気付きそうになるんだよ。自分の全盛期を知ってるからこそ、今の自分を見ると不安しかないから。

 

「じゃ行ってくる」

「……気をつけて」

「早く終わらせた方がいいですよ。明後日の夕方までしか僕のベッドは貸しませんから」

「はは、ありがとう」

 

クロームの頭をポンと撫でてからオレは目をとじた。

 

川平さんが何かしたのか、オレはもう夢の中にいた。さっきの骸の言葉を思い出し、クスクス笑いながらオレは進んでいく。あの言い方、オレが絶対成功させるって言ってるようなものじゃん。

 

ここは骸の夢に入ってしまった感覚に似てるかも。オレの意思はあるんだけど、動けるかはわからない感じだ。オレが動けるかは川平さんが決定権を持ってるからそう感じるのかもしれない。

 

リボーンもこんな感じだったのかなって思えるぐらい、心に余裕がある。……骸のおかげかな。

 

オレが川平さんの後ろをついていくと、ユニに似た人が待っていた。

 

「私のためにありがとうございます」

 

何も説明していないのに、彼女はそう言った。……ああ、予知で全部知っていたんだ。

 

「ふむ。どうやら君の仮説は間違いなかったようだ」

「みたいですね」

 

大空のおしゃぶりを見ても、オレの超直感も警告を出さなかった。

 

アリアさんはオレがおしゃぶりに手を伸ばそうとしても、何も言わなかった。ただオレがおしゃぶりを掴むと、その上から手を重ねた。

 

「オレが今出来る全てを込めます。だから……諦めないで」

 

リボーンみたいにロクな死に方を期待していないなんて思わないで。この呪いは解けるんだから。

 

ボッっとオレの額に炎が灯る。オレの想いに反応するかのように、おしゃぶりからオレの炎が吹き出す。しばらくそのまま炎を放出していると、おしゃぶりにどんどん吸い込まれていく。大空は頂点に立つからなのか、呪いの負担も大きい。リボーン達が炎を消費しているのに比べて、大空は多分量が多いんだ。だから寿命が短くなる。

 

オレが炎を込め続けていると、アリアさんは重ねていた手に力を込めて、おしゃぶりからオレの手を離させた。

 

「もう十分過ぎるぐらいよ。これ以上はあなたがアルコバレーノになってしまうわ」

 

大空のおしゃぶりがオレを選ぶってことなのかもしれない。もう一度オレが手を伸ばそうとすれば、アリアさんに首を振られ止められた。

 

「ありがとう」

 

ふわっと笑った姿が、ユニが消えた時にそっくりでオレは唇を噛んで耐えた。

 

「とても優しい子。だからどうか自分を傷つけないで」

 

口に手を添えられた。これ以上オレが噛まないように……。

 

悔しい。

 

オレ1人が純度の高い炎を出せても全然足りない。前世ではリングに炎を灯せる人は限られていた。オレ達は簡単に灯したけど、そもそもそれが難しいことなんだ。中学の時に10年後へ行った時は使える人が多かったけど、あれは白蘭の力があったからだった。まして呪いを解くほどの純度の高い炎を出せる人はもっと限られてるし、それに耐えうるリングも少ない。

 

グッと歯を食いしばり、我慢する。オレが今泣くのはダメだ。この人の前で泣くのは絶対に間違ってる。

 

「……必ず。必ず、呪いは解きます」

 

プツンと唐突に夢の世界が終わった。

 

「おや?随分早かったですね」

「む、くろ……?」

「ええ、そうですよ」

 

そっか、もう我慢しなくていいんだ……。

 

オレが目を両腕で隠していると、パサっと何かが乗った。……骸がタオルをかけてくれたみたいだ。

 

「……オレ、お前の言った通り甘くてバカだった」

「そうですね」

「呪いは解きたい。でも、オレの世界に巻き込みたくないんだっ」

「あなたならそうでしょうね」

 

オレの言葉に骸は呆れることもなく、ただ肯定した。それがオレだと言ってるかのように……。

 

「そもそもあなたがいろいろと考えていても、あの赤ん坊はやってきて引っ掻き回しますよ」

「ゔ。そうかも……」

「少し前にも言いましたが、明後日の昼までしかこのベッドは貸しませんから。うだうだ考えるよりも先に休んだ方が賢明ですよ」

「……ん、そうする。骸、サンキュ」

 

オレはこの時、タオルの向こう側で、骸はやれやれと肩をすくめてるのかなって思ったんだ。

 

 

次の日、案の定熱を出したオレは散々骸に文句を言われながらも看病してもらった。今度高級チョコ持っていこうと、オレは熱にうなされながらもお小遣いの計算をしていた。

 

 

 

 

 

数日後、大空のアルコバレーノは晴のアルコバレーノに会いに来ていた。

 

「ちゃおっス」

「ひさしぶりね、リボーン」

「随分機嫌がいいみたいじゃねーか、アリア」

 

あら、わかるかしら?とアリアはリボーンにウインクする。明るい予知を見れたのかもしれねーなとリボーンは考える。彼女が予知のせいで苦しんでいることに気付いていたから。

 

「今日はね、あなたに伝えたいことがあって来たの」

「言ってみろ」

「私達の呪い、解けるかもしれないわ」

 

全く想像していなかった内容に、また軽はずみで言えるはずのない内容だからこそ、リボーンは殺しの時のような雰囲気を無意識に出していた。

 

「みんなには秘密よ」

「……なんでだ?」

「その未来が見えたわけじゃないの。ただ、あの子の言葉を信じてみようと思えたの」

 

あの子って誰だ?とリボーンが聞いてもアリアは笑うだけだ。

 

「信じていいと思うわよ。あれほどあたたかい炎、私は知らないわ」

 

その炎を感じて、アリアの機嫌がいいのかとリボーンは気付いた。

 

「どうしてオレを選んだんだ?」

 

アリアはその質問を待っていたかのように微笑んだ。

 

「あなたとその子が笑い合っていたから」

 

リボーンは自分のその姿を想像出来なかったのか、珍しく驚き固まっていた。

 

「あなたの未来は明るいわ。私に諦めないでってあの子は言ったけど、あなたに伝えたかった言葉のように思えたの」

「……そうか。サンキューな」

「気にしなくていいわよ。私、とっても機嫌がいいもの!」

 

アリアの笑顔を見て、ほんの少しリボーンも笑ったのだった。




沢田ツナ
前回のように幸せを掴みたい。
2回目だからこそ叶えたい願いもある。

六道骸
2回目だからこそ犬と千種を巻き込まない道を選んだので気持ちはよくわかる。
そしてツナは悩み苦しんでいるが、マフィアのボスを経験した2度目の人生なのに根本が変わらなかったから、ついてきた。
そのことを一番自分が理解しているからツナの弱音に付き合った。

アリア
ツナとチェッカーフェイスが会った日に、寿命がのびる未来が見えた。
確定ではないため、誰にも話さなかった。
ツナの炎に触れたことで新たな未来が見えたが、話すとたどり着かない可能性もあるため、ツナの容姿はリボーンに教えなかった。

リボーン
アリアのおかげで、少し未来が楽しみになった。
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