今日は朝から変だ。お兄さんには連休中は走り込みに行けないと説明していたのに、会って早々肩をベシベシ叩かれるし、クロームはいつにも増してオレにべったりだし。京子ちゃんと黒川は弁当のおかずをわけてくれた。それも確か2人の大好物。他にも休憩時間には山本にキャッチボールを誘われた。なんだなんだ?と疑問に思ってる間に放課後になっていた。
「ツーちゃん、今から遊ばない?もちろんクロームちゃんも一緒に」
「あ、うん。いい……ん?」
「なに、なんか予定あるの?」
予定はないんだけど、オレの超直感が何か訴えてる。
「ごめん!ちょっと急用!クロームはみんなと帰って」
クロームは絶対離さないというようにオレの腕を掴み、フルフルと首を振った。ひ、引き離すことなんて出来ない……。
「あーうー。わかった。走るけどいい?」
「……うんっ」
急いだ方がいい気がするから、京子ちゃんと黒川にまた明日とだけ伝えてオレは超直感に従って走る。クロームは大丈夫かなと何度か振り返るけど、何とかついて来ている。でもこれ以上遠ければ一度止まった方がいいかもと思ったところで、骸の姿が見えた。
「骸!!」
「おや?どうかしたのですか?慌てて」
骸が三叉槍を持っているから敵!?と警戒すれば、相手はヒバリさんだった。
「お前、やりすぎだろ!?」
ヒバリさん汗だくじゃん!?
「彼がいつにも増してしつこいせいです」
あくまでヒバリさんが悪いという骸にオレは頭を抱えた。
「……咬み……殺す」
「わー!もう動かないでください!ええっと……」
「彼は雲雀恭弥です」
「ヒバリさん!もうやめましょうよ!」
骸から良く名前を言わなかったですねっていう視線を向けられた。オレだってそれぐらいわかってるっての!
「僕に……命令しないで……」
ヒバリさんは小さくてもヒバリさんだった!話すのも辛いはずなのに……。でもオレの予想は正しかったみたいで、ヒバリさんはオレにトンファーを振るおうとしたところで充電が切れたように倒れ込んだ。
「っとと。なんでぶっ倒れるまでやるかなぁ……」
ヒバリさんを支えながら溜息を吐いていると、骸がクロームを連れて帰ろうとするからオレは慌てた。
「お前、ここで帰んの!?」
「ええ。行きますよ、クローム」
ありえねーと骸の行動に引いていると、クロームがオレと骸を交互にみて困っていたからオレは大丈夫だからと言って骸と帰ってもらった。
「オレん家がいいよな?」
ヒバリさんの家は知ってるけど、そこに連れて行くのはおかしいだろうし。オレは落ちているトンファーをランドセルにしまって前に背負いなおして、ヒバリさんをおんぶする。今日ほど鍛えてて良かったと思った日はないよ……。それでもオレの家につくころには疲れた。死ぬ気になるわけには行かなかったから。
「ただいまー」
声をかけたけど母さんの反応はない。出かけてるみたいだ。家綱は居るかもしれないけど、オレの部屋に運ぶから文句言わないだろう。なんとかヒバリさんをベッドに寝かせたら、オレも休憩。パタパタ服をあおぎながら、ヒバリさんの様子をみる。ちゃんと骸は手加減しているようでちょっと汚れがついてるけど、怪我はないみたいだ。
「えーっとタオル、タオル……」
オレが濡れタオルを取りに行ってる間にヒバリさんは起きていた。
「……ここ、どこ?」
「オレん家ですよ。骸んとこじゃないです」
絶対ヒバリさんは骸の世話になるのは嫌だと思ったから教えると「そう……」と呟いた。ヒバリさん、ちょっと元気ない?やっぱまだ疲れてるのかな?
「汗で気持ち悪いですよね?オレの服どうぞ使ってください。オレ男物も持ってるんで」
濡れタオル渡した後、服を見せれば問題なかったみたいで頷いた。うわー、まだ小さいからかヒバリさんが素直だ……。
ジロジロ見られるのは嫌だと思ったから、ヒバリさんが着替えてる間は後ろを向きながらストレッチをする。ちょっと無理したからケアしとかないと。
しばらくすると着替え終わったみたいで、オレに声をかけてきた。
「……ねぇ、君。あれとどんな関係?」
「え?骸のことですよね。幼馴染ですよ」
「ふーん」
骸のことを知りたいんだろうな。あいつのことだから調べてもわからなくしてそう。
「ヒバリさん、大変でしょ。あいつに目をつけられて」
「……逆、じゃないの」
「あいつわかりにくいから。ヒバリさんのこと相当気に入ってますよ」
じゃなきゃ、幻術使って誤魔化してる。ヒバリさんが見つけれるようにしてるよ。それもヒバリさんが探さなきゃ見つけれないレベルで。それなのに絡んで来る方が悪いってあいつは言うんだよ。
「オレが相手をすればいいんですけど、オレ今武器ないんで。あいつ変なところで律儀だからオレに相手しろって言わないんです」
一度だけ骸がオレのグローブを有幻覚で出したけど、オレの超直感のせいで維持するのは大変だったらしい。一応その状態で柔の炎だけでだけどX BURNERとかは使えた。けど、維持している骸と戦うのは無理だし、骸が倒した方が現実的で使うことはないと思う。
「……君も強いんだ」
うわっ、オレやっちゃった!?……誤魔化してももう意味ないよな。
「あははは……」
ヒバリさんにジッと見られて笑うしかない。オレ、骸と違って家までバレたから絶対逃げれねー。
「君達、何者なの」
流石ヒバリさん……オレ達が普通じゃないって気付いているよ……。
「うーん、ヒバリさんは関係ありませんよね?……や、そういう意味じゃなくて。オレ達が何者でもヒバリさんが咬み殺したいのは変わらないんじゃないかなって」
「……そうだよ」
「ですよね」
なんか今日のヒバリさん変だよなーと思っていると、立ち上がった。帰るのかな?
「あ、待ってください。ヒバリさん!」
「なに」
「トンファー忘れてます!」
慌ててランドセルから出して見せたけど、ヒバリさんが手を伸ばすことはなかった。
「いい。君にあげる」
「え!?」
「これ以外にも持ってるから」
まだ持ってるんだ……。じゃなくて、なんでオレにトンファーを?
「何も持っていないよりはいいでしょ」
あ。オレが今武器を持ってないって言ったからかな。
「でもオレ、トンファー使えませんよ」
銃の使い方ぐらいは覚えろってリボーンに言われて習ったことはあるけど、他の武器は使ったことがないよ。
「……毎週日曜日、開けときなよ」
「へ?」
「さっき君が言ったのに?僕がこのまま逃すはずがない」
相手しろってことですね……、ハハハ。
「……それ持ってきたなら、少しは使い方教えてあげる」
「えーー!?」
「なに」
「いえ、ちょっと驚いただけです」
10年後の世界に行った時に家庭教師してもらったことがあるけど、まさかこのタイミングで教えてもらうことになるとは思わなかった……。
「えっと、よろしくお願いします」
いつもなら恐れ多いとか、嫌だなって思うのに、どうしてかわからないけど日曜日が待ち遠しく感じる。
「……また連絡する。じゃぁね」
「は、はい。わかりました」
あ、玄関から帰るんだ。いつから窓が出入り口になるんだろう……。
次の日曜日、ほとんど実戦形式だったけどヒバリさんにトンファーの使い方を教えてもらった。
「……君」
「はい?」
「才能ないね」
「よく言われます……」
なんとか形にしただけと、早々に気付かれてしまって、ヒバリさんにリボーンと同じような反応をされた。相変わらずダメツナだったー!
沢田ツナ
隠しているつもりだったが、ちゃんとツナを見ている人には元気がないのはバレバレだった。
迷ってる時に相手をしてくれると言ったヒバリさんは、今でも心の中でヒーロー扱い。ただし無自覚。
雲雀恭弥
実は骸に負け続けてプライドをバキバキに折られ、大事なところが変わりそうだった。
トンファーをあげたのは思い出させてくれたお礼。
無茶苦茶な使い方をするくせに咬み殺せないツナの強さに興味津々。
六道骸
戦いながらも雲雀がどこか変だと感じていたところにツナが現れ、これ幸いと押し付けた。
ただしツナがなんとかするだろうという信頼からの丸投げ。