外の世界の方がフラグ多くね?   作:シュリエン

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15.「運命が絡まり過ぎて事故ってる話 ③」

 

 

 

 偽装死薬。

 不知火さんの研究教室で新たに発見された隠し部屋にあった薬のラベルには、そんな名前が書いてあった。

 それを服用した直後の数時間、心肺機能と体温を極限にまで低下させ、ある程度時間経過すれば、死斑や死後硬直に似た現象まで起こす作用がある。つまり、その名の通り、この上なくリアルな死体を演じられる薬である。

 

 ……彼女はトコトン黒幕に嫌われていると思ったけど、まさかここまでとは。

 

 黒幕の思惑通り、最初の事件で不知火さんが死にかけたのは演技だったのでは、という疑惑が持ち上がる。王馬くんの作戦に突発的に巻き込まれたらしい不知火さん本人が未だに見つからないことも大きい。

 これまでずっと自分達を騙していたんじゃないか、王馬くんの作戦とやらも嘘なのかもしれない。

 

 そんなギスギスした嫌な空気の中でも、赤松さんは強かった。

 

「逆に考えたら、それだけ黒幕は追い詰められているってことだよ!」

「そう、だね」

 

 僕だってもう今更迷わない。

 偽装死薬のことだって、その矛盾を指摘できる判断材料は揃っているのだから。

 

 ただ一つだけ、気がかりなのは……

 

「それより僕が気になるのは、何だってこんな物が、それも四種あるうちの一種だけが大量に無くなっているかなんだよね……」

「う、うーん……?」

 

 とりあえず、不知火さんが見つかったら、その時に詳しく聞こうと思う。

 

 

 

***

**

 

 

 

 それは、ただの酷い事故としか形容しようのない出来事だった。

 

 ボウヤが例の危険人物から、赤松楓がこのイベントに参加した裏事情を聞き出してくれた後、探索を開始した俺は程なくして、徐々に人数が増え始める人混みの中、思わぬ人物を発見してしまった。

 

 水無怜奈。

 本名は本堂瑛海、またの名をキールと呼ばれる、CIAの諜報員。

 

 深く被った帽子から黒色で統一した装いでマスクをし、人目を気にしている様子から、キールとしての立場で行動していることが窺えた。

 

 一気に体に緊張が走る。

 何故彼女がここに?

 先程不知火霊から聞いたばかりの話が蘇った。会員に高い会費を払わせ、自らが主催するイベントなどで割引するという話だ。

 

 まさか、このグループは、あの組織の資金源の一つなのか?

 もしそうであれば、彼女がここにいることを含め、このタイミングでイベントが開催されたことにも合点がいく。

 

 犯罪者をターゲットに暴れるDICEの活動により、全世界で行われる裏の取引が悉く台無しにされている今の状況。裏社会における金と物の流れはほぼ凍結し、奴らは甚大な経済的・物資的ダメージを受けていた。

 現金ではダメだといち早く気付き、仮想通貨や電子マネーでの取引を試みた連中もいたが、DICEの方が一枚上手だったようで、振り込まれた全額がオンラインゲーム内の課金アイテムに替えられ、構成員全員に分配されていたというふざけた話も聞いている。奴らには節度ある慎ましい無課金プレイすら許されていなかった。

 こうして資金繰りに困窮して自然解散した犯罪組織も決して少なくないと聞いている。警察よりよっぽど仕事しているのでは……とか、言いたくても言ってはいけない。

 かの組織も例外なくその煽りを受け、取引そのものに踏み切れず、使用できる弾薬や活動資金など、否応なく削減せざるを得なくなっているようだ。

 

 外部との取引が信用できないのなら、自分の傘下の者がそれを行えば良い。気の毒にもすっかり人間不信になったあいつらはそう考えたのだろう。

 そして今日、イベントの売り上げを受け取りに来たのが彼女……キールだとしたら?

 彼女へのNOCの疑いが晴れきっていないのだとしたら、誰かに見つかるリスクが高いこのような人目が多いイベント会場での取引に向かわされるのにも納得がいく。

 

 俺は表向きは死んだとされている人間。その代わりとして使っている“沖矢昴”の存在を、俺の事情を知る水無怜奈が相手とは言え、チラとでもあの組織の前に自ら晒すのは気が引ける。

 

 苦悩する俺の横を抜き去った人影があった。安室君である。

 

 俺が確認するからすっこんでろ。

 

 彼は俺の横を通る一瞬、そんな視線をこちらに寄越してきた。確かに今はそれに大人しく甘んじるしかない。悔しくもあったが頼もしくもあった。

 

 食えない笑みを浮かべてバーボンを演じる安室君が、背後からキールに何をしているのかと話しかけると、彼女は一瞬だけ目を見開いた。キールはバーボンの正体を知らない。思いもよらぬ場所で組織の人間に見つかったと緊張したのだろう。

 彼らは人気の少ない場所へ、一階の展示ルームの裏手へと移動した。雑然とした物置のような場所だ。

 

「……それで、あなた直々にここへ」

「ええ。あの忌々しいサイコロの話は知っているでしょ? もうどこの組織に化けているのかも分からない状況だから……」

 

 身を隠しながら話を聞くに、ほぼ推測した通りの事情があるらしい。やはりこの会社には奴らの息がかかっていた。それも相当昔から。現在も潜入中の安室君ですら初耳のようだ。

 それほど上手く世間体を繕っていたのに今になって急にボロを出したのは、やはりDICEの活動の影響だろう。資金難に陥った組織の言いなりである上層部の指示で、金蔓となり得る腕の良い音楽家をなりふり構わず勧誘したり、こういうイベントに招くようになったのだ。

 その結果、そうと知らずに硬い絆で結ばれているDICE関係者に直接手を出すような真似をしてしまった。だからイベントに呼ばれた赤松楓のみならず、彼らのブレーンたる最原終一、対人戦闘力トップクラスの春川魔姫、そして彼らに仇なす者への悪意の権現不知火霊という、絶対に潰してやるという意志しか感じられないメンツが出動することになったのだろう。果たして俺達の出る幕はあるのだろうか。

 

 知りたいことは大方分かった。少なくともあの組織が関わっていることが分かれば十分だ。

 ただ、劇場で聞こえたあの銃声の意味だけが分からない。資金の受け取りだけが目的であれば、警察沙汰になるようなことは避けるはずだ。それでも騒ぎにならないのは、もしや彼らが暗躍しているのでは? 殺人を許さぬ彼らのことだ。あり得ぬ話ではない。

 いずれにせよ、あの組織とは別の思惑が働いていることには間違いないだろう。

 

 後は“超高校級”の彼らに一任するか、それとも今こそ彼らとの協定を結ぶ絶好の機会だとするか。前者は無難だが、後者も捨てがたい。変装していることも知られたのだし、いっそこの機会に身分を明かしてしまおうか? リスクも高過ぎるが。

 バーボンこと安室君もそろそろキールとの会話を切り上げようとした、その時。

 

 その惨劇は、起きてしまった。

 

 

 

「あれ? もしかして、水無アナウンサー……?」

 

 

 

 バーボンを演じる安室君の体が、物置のようなこの部屋に響いたその声にピクリと反応した。俺はその声が聞こえた途端、途方も無い絶望感に襲われて反射的に両手で顔を覆っていた。

 

 この場に決していてはならない人物堂々の第一位、不知火霊。その人の声であった。

 

「だ、誰かしら……?」

「わあ、やっぱり水無アナウンサーだ。お体はもう大丈夫なんですか?」

「ええ、自由に出歩けるくらいには回復したわ。今日はプライベートで来たの。でも、もう辞めたとはいえ……だから、その……ね?」

「分かっています! 言いふらしたりなんかしませんよ!」

 

 事情を知らぬキールは、顔の半分を覆うマスク越しでも瞬時に正体を見破った彼女に警戒しながらも、柔軟に対応した。容姿ではなく、己の返事の声で確信されたとは思いもせずに。

 が、キールはすぐに心配げに体調を案じる幼げな不知火霊への警戒を解いた。表向きの顔であったアナウンサーとしての自分しか知らぬ、純粋なファンの子供にしか見えなかったのだろう。確かにそうなのかもしれない。

 

 しかし俺と安室君は違う。現に彼は、反射的に物陰へ身を隠したほど危機感を持った。

 

 当然だ。そいつを一体誰だと心得ている。

 

 バーボン(NOC)

 キール(NOC)

 ライ(NOC:死人)

 

 この黒の組織の錚々たる(意味深)新旧幹部三人が揃っている現場に伝説のMs.Merry (身元特定の鬼)が加わっている光景を、事故と呼ばずして一体何と呼ぶのだろうか。これは酷い。

 しかも不知火霊自身は黒の組織が血眼で探しているDICEの関係者である。同時に我々が全力で保護するべき立場でもあった。

 

 それがよりにもよって何故このタイミングで……。

 

「それよりあなた、どうしてこんなところにいるのかしら。ここはスタッフの許可が無いと入っちゃいけない場所よ?」

「ちゃんと貰いました。キタナガさんって人に。知り合いの子供達がいなくなっちゃって、手分けして探しているんですよ。ここにイタズラで入り込んじゃったかもしれないので、見せてもらえませんかって。水無さん、見ませんでした?小学生の三人組なんですが」

「うーん……ごめんなさい、見ていないわ」

 

 ボウヤ、ボウヤ。

 君のお友達が未曾有の大事故を招いたのだが。

 

「水無さんこそ、何でこんなところに?」

「わ、私?私は…………、

 

実は、そこの男に、無理やり連れ込まれて……」

 

「………………、ファッ!?」

 

 逆に聞き返されて説明に困ったキールは、あろうことか、全てを安室君に丸投げした。所謂二次災害というやつである。

 キールからすれば、切れ者のバーボンであればこんな一般人の小娘など、適当な悪漢を演じて脅しつけるなり、いくらでも上手くあしらってくれるとでも思ったのだろう。

 しかし悲しいかな、俺達は一方的に彼女達へ複雑な事情を抱えている。相手がまさにその当人である今回の場合、そんじょそこらの一般人をあしらうのとはまるでワケが違う。

 

 数拍おいてから物陰から発された安室君の声は、案の定、可哀想なほど震えていた。

 

「ままま待ってください!? 違います!! あなたも急に何言ってるんですか!?!?」

「怪我治ったばかりの水無さんに何してんの……?」

「ち、ちが……」

「言い訳は署で言ってね」

「違うんですってばぁ!!!」

「ひぃ」

 

 おい、待ってくれ。勘弁してくれ。アレは大晦日のテンションだから許されるものであって、日常で発生するべきではない(謎ギレ)。

 

 突然の冤罪に巻き込まれて目を白黒させながら物陰から姿を現した安室君は、目の前で携帯電話をいじる不知火霊に縋り付き、警察に通報されそうになるのを阻止しにかかった。彼の本職や立場を知っていれば当然の必死さだが、それを知らぬ彼女からすればただの見苦しい変質者である。

 

「ま、まとわりつくなこの犯罪者! 助けてお巡りさぁぁぁぁぁん!!!」

「イヤァァ! 叫ばないでください後生ですから!」

「腰の低い不審者こあいよぉ!!」

 

 それは、本職お巡りさんだらけの場で本職不審者(仮)が口にした魂の叫びであった。色んなものが倒錯し過ぎている。

 

 一方でキールと言えば、自らが引き起こしたこの惨状から必死に目をそらし、ともすればうっかり緩みそうになる口元を、気合いと根性で引き締めていた。

 バーボンの方が情けなく狼狽えるという予想と全く違う展開に戦慄しつつも、飽くまで被害者然とした弱々しい態度を貫くその様は、さながら稀代の悪女である。

 果たしてその体の震えは演技か、それとも。

 

「だ、大体何なんですか! 僕はその女よりよっぽどあなたに対して(保護対象的な意味で)一途ですよ!!」

 

 やがてテンパった安室君は盛大に自爆した。

 

 声にできなかった副音声は辛うじて俺には理解できたが、彼女達には当然聞こえなかった。

 特に、不知火霊が見た目通りの未成年にしか見えないキールにとっては、尚更。

 

「あなた……それは流石に……無いわ……」

「アッ、チガ……」

 

 キールのバーボンを見る目が、未成年に手を出そうとする汚らわしい犯罪者(偽)を見るそれになった。

 

「ギャァァァァァ助けて私はここにいるよおおお!!」

 

「呼んだ!?」

 

 耐え切れなくなった友人の絶叫を聞きつけた春川魔姫が降臨する。

 彼女が薄暗い室内で携帯電話を奪取せんとする安室君にしがみつかれる涙目の不知火霊を目視した途端、心なしかその髪がブワリと逆立ったように見えた。

 

「そいつに何してんだクソヤロー!!!」

「あぁーっ!!!」

 

 バーボン、OUT。

 

 彼は超高校級のタイキックを執行された。

 

 

 

***

 

 

 

 あと少し、キールが捻じ曲げられた事実に訂正を入れるのが遅かったら、俺は危うく風見に俺の身元を証明させる電話をかけるところであった。どうせキールも同じ立場なんだから別に良いだろうとか不覚にも一瞬考えてしまった。もう散々だ。

 決めた、この会社は潰す。絶対にだ。奴らの犯罪の温床となり得るのなら尚更だ。どんなに些細なことでも良い、この慈音グループの名が出る事案という事案を徹底的に洗い出せと、風見に指示を出した。

 

「本っ当にごめんね? もう落ち着いたかい?」

「…………」

 

 俺の横を歩く彼女の顔を覗き込めば、スイと滑らかに目を逸らされた。いつかの罵倒よりも威力が高かった。

 

 さっきのことは……そう、本当に、誰も悪くないのだ。ただ、あらゆるタイミングが神懸かり的に悪かっただけなのだ。

 キールがあの部屋を選んだのは人目を気にしたら当然のことだったし、いなくなった子供達を探しに許可まで得て入ってきた不知火さんだって悪くない。

 そして、退職したばかりのアナウンサーが何故あんなところにいたのか疑問に思うのだって当然のことだし、一般人()(不知火さん)にその理由を訊かれて慌てたキールが俺に助け舟を求めたのだって分かる。

 

 だが、相手が悪過ぎた。

 不知火さん相手に、今後出会うことのない悪人役を演じることはできなかった。だから俺が慌てたのだって仕方なかったはずだ。

 そのせいであんな無様な真似をして、彼女の悲鳴に駆けつけた春川さんを誤解させて思い切り蹴られたのは、全て、仕方のないことだった。

 

 しかし納得できるかと言われたら決してそうでもない。強いて言うなら赤井が悪い。何が悪いって全部あいつが悪い。黙って見ていただけのあいつが! 悪い!!

 ……そう無理やり考えでもしなければ腹の虫が収まらなかった。八つ当たりだなんてそんな今更。

 しかし直接それを奴に訴えるのは流石に理不尽であることは理解できるので、とりあえずその怒りはこの会社へ向けることにした。八つ当たりだなんてそんな今更。

 

「カエデちゃあん……!」

「あー、よしよし、怖かったね」

 

 彼女達が待ち合わせしているという赤松さんの控え室に着くと、真っ先に不知火さんは赤松さんにしがみ付く。春川さんからのメールで何があったかを知らされていた赤松さんは、憔悴している俺に何とも言えない生暖かい笑顔を向けてくれた。いや、俺の方も悪かったんです。

 その数分後、春川さんと最原くんも続けてこの部屋に入ってくる。

 

 この二階にあるゲスト用の控え室には、迷子になっているらしいあの子達を除いた知り合い全員が揃っている。

 これから本格的に混雑してくる中、これ以上はバラバラに行動するべきではないと毛利探偵が言ったところ、赤松さんが集合場所にここを使えば良いと、許可をとってくれたらしい。

 確かに、他の客も大勢いる共同の休憩エリアではなく、関係者以外は基本的に入ってこない二階の控え室エリアを集合場所にすれば、

 まず迷子にはならないだろう。時間を決めて交代で出入りし、迷子の彼らを探しているそうだ。悪い判断ではない。

 

「……不知火さんに何があったの?」

「……不幸な事故が起きたのよ」

 

 コナン君が赤松さんにヒシッと抱き着いたまま離れぬ不知火さんを見て当然の疑問の声をあげると、春川さんが疲れたように答えた。誤解が解ければ彼女もすぐに謝ってくれた。友達思いの良い子であることは分かっている。

 

 問題は不知火さんに俺に対するトラウマができているかどうか。今後ずっと性犯罪者扱いされるなど真っ平ゴメンだ……!

 

「大変でしたね……」

「分かってくれますか……!」

 

 最原くんの気遣いが胸にしみる。

 同級生である故か、不知火さんが無意識かつ無作為で起こす惨事の存在も把握済みなようで、哀れな俺がそれに巻き込まれただけだということもすぐに分かってくれた。

 良い子ばかりだよ本当に。不知火さんの悪意という名のトンデモセキュリティが無ければ尚良かったのに。

 

「で、結局まだガキンチョ達は見つかっていないのね」

「何処に行っちゃったんだろう……」

 

 不確定要素の塊たる不知火さんをそのへんに彷徨かせたという、ある意味では全ての元凶とも言えなくもない歩美ちゃん達の行方は、未だに判明していない。コナン君によれば、携帯電話や探偵バッヂにも応答しないのだとか。彼らも彼らで何かに巻き込まれている可能性が高い。

 ここの職員だと名乗ったキタナガさんに連れられた一行は、ホール内の各施設の見学をしている最中にあの三人が居なくなったことに気がついたらしい。

 そこを偶々通りかかった協会の粗探し中である不知火さんにその事態を伝え……その後のことは、推して知るべし。

 

「それより赤松さん、時間は大丈夫なの?」

「もうそろそろだと思う。その時はキタナガさんが呼びに来るって、本人が言ってたんだけど……」

 

 園子さんの問いに、赤松さんが壁にかかっている時計を見ながら答えた。

 現在12時40分を過ぎたあたり。当初の彼女の演奏予定時刻まで、長くてもおよそ20分弱か。

 

「えー? 普通はもっと早くからスタンばってるものじゃない? ピアノの調整とかもあるんでしょ?」

「確かに……予定が変わったのかな」

「それならそれで、事前に連絡の一つはあるよね?」

 

 すると、赤松さんがよしと膝を打って言う。

 

「ここで悩んでても仕方ないよね! ちょっと様子を見に行ってくる! 他のゲストを呼びに行っているだけかもしれないし」

「カエデちゃんはここにいた方が良いじゃないの? もしキタナガさんが来た時に入れ違いになったら元も子もないよ」

「あっ、それもそうだ……」

 

 ようやく冷静さを取り戻して体を離した不知火さんに言われ、再び困ったように眉尻を下げる赤松さん。

 

「キタナガさんを探せば良いんだよね? じゃあ私が行ってくるよ」

 

 おーっとここでまた君を一人で彷徨かせたら、何が起きるか分かったもんじゃないぞ(遠い目)。

 俺と同じく彼女のパターンを思い知っているコナン君と赤井がピクリと反応したのが見えた。が、彼らより先に声を上げた人が。女子高生達だ。

 

「じゃあボクも行こう!」

「私もいくわ」

「不知火さんだけじゃ何だか不安だしね」

 

 不知火さんとの相性が、この中で最も未知数である彼女達が申し出てしまった。迷子の子供達も探さなくてはならない今の状況として、これ以上キタナガさんを探しに行く人員を割くのは不自然だ。

 つまり俺達まで動くのは流石におかしいというワケで……おいコレ、一体どうなるんだ??

 

 戦々恐々としながら彼女達を部屋から出ていくのを見送って、僅かその数分後。

 

 事態は予想だにしない展開を迎えた。

 

 

 




・元“超高校級のサイキッカー兼悪意”
 もうこれ悪意がサイキックしてるってことで良いんじゃない?(適当)とは彼らの探偵の談。彼女の才能による災難はその原因へのオシオキでキャンセルされる模様。災難orオシオキなのでどっちにしろ酷い目に遭うことには変わりは無い。
 サンドのにいさんがついに本気出してきたと思ってガチで怯えた。誤解は一応解けている。ちなみに奇跡的に知り合いの誰とも名前を呼び合っていない。


・元“超高校級の保育士”
 友人に不貞を働く不届き者(冤罪)にオシオキを執行した。友人のアレに巻き込んだ挙句のタイキックは心から申し訳なかったと思っている。


・超小学生級の探偵団の時間
 いつもの。


・バーなんとかさん
 色んな意味でアウトになり、色んな意味で死にかけた人。


・元ラなんとかさん
 また巻き込まれた人。今回はセーフ。


・キーなんとかさん
 組織の使い。仕掛け人。タイキックで本気で悶える様子には流石に申し訳なく思った。
 本当にごめんなさいバーボン(´・ω・)
 ……でも未成年はよくないと思うの|ω・)))

 実は本人も知らないうちに行動監視の盗聴器を付けられていた。





・絶対に笑ってはいけない黒のポルシェ356A
※すでに笑いましたが最後までお楽しみください。

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