魔法先生ネギま project in TOHO 作:水崎雨月
数日後。
お昼休みに霊夢は大量の段ボールを運んでいた。
クラスの出し物がどうしても間に合わないためお昼休みも返上で準備をしているのである。霊夢は荷物を教室内に運んでいて、あまりに大量の段ボールが霊夢の身長を超えている。あまりの荷物に回りにいる人が霊夢を視線で追ってしまう。そんな状態になっていた。
重そうな荷物だが、霊夢は涼し気な顔をして持ち運んでいるためそれが余計に拍車をかけて、みんなが驚き足を止めてしまう。
そんな周りの状況も知らず、3-Aの教室へと向かう霊夢。
そこに突如として顔から上の荷物が浮き上がる。
いつの間にか隣にいて荷物を持ち上げた人物に霊夢は声をかける。
「何ですか、高畑先生」
そこにいたのは、白スーツで無精ひげを生やしたメガネの男、タカミチ・T・高畑。
「いやー。さすがに教師としてこんなに荷物を持った生徒を放置するわけにはいかないからね」
「ご心配なく。もう学校内の地図は頭に入ってます」
「でも、歩いている人にはぶつかるかもしれないだろ。前はちゃんと見て歩かないと」
「……そうですね」
一緒に歩く霊夢とタカミチ。しかし、会話はない。
「クラスにはなじんだかい?」
その沈黙を破ったのは、タカミチだった。
「ええ。とても愉快な子たちのおかげで」
「それはよかった」
本当にうれしそうな笑顔で言うタカミチ。
「私のことご存知なんですね」
「僕はネギ君の友達だからね。そういうことだ」
自分は魔法先生だとうまく濁して伝えるタカミチ。
「友達、ね。親と子ぐらい歳が離れてるように見えるけど。いえ、祖父と孫かしら」
「ははは。確かに僕は老け顔だけどね。そこまでではないよ」
それに、と付け加えて、
「友達であることに年齢差なんて関係ないよ。そのへんは君らのほうがよくわかるんじゃないかい?」
「そうね」
人妖では生きる年数が違う。そのため人妖の友人というのは100歳差でも差が少ないほうになる。
そんな話をしていると3-Aの教室に到着する。
「おーう、霊夢。と、高畑先生?」
そこにちょうど魔理沙が教室から出てくる。
「ちょうどよかった、霧雨くん。これお願いしてもいいかな」
「ん、おお」
魔理沙がタカミチからダンボールを受け取る。
「ネギ君をよろしく」
そう言ってタカミチと別れる。
「何話してたんだ?」
「他愛もない雑談よ」
教室に入ると、クラス総出で準備している。すでにネコ耳等をつけている
「ねーねー、霊夢ちゃん、これ見た?」
ダンボールを置いた霊夢にまき絵が近づいてきてくる。その手には麻帆良スポーツという新聞紙で、
「なになに、世界樹伝説ホントに効果あり、ねぇ」
見せられた紙面を読み上げる。
「くだらないわね」
新聞紙をまき絵に返す霊夢。
「えー、でもー。成功例とかたくさんあるよー」
「ほうほう。世界樹の魔力。あらゆる障害、困難を突破。周囲からありえないと言われるほどの年齢差、外見アンバランス、セレブ度を乗り越えたカップル成立多数報告」
魔理沙が受け取って記事を読み上げる。
「あらゆる障害、困難ねぇ。魔理沙、霖之助さんでも誘ったら?」
「どうしてそこでこーりんが出てくるのかわからないぜ」
面白いおもちゃを見つけたように言う霊夢に魔理沙が、なんだその顔、と思いながらも言葉を返すと、
「なになに、魔理沙ちゃん、告白する相手いるの!?」
まき絵が多大に反応してくる。
魔理沙がしまった、と思うがもう遅い。霊夢はその場を離れ、自身の作業をしに行ってしまい、その場に残るのは恋バナに飢えた女子中学生たち。
「いやいや、霊夢の勘違いだ。親の弟子なんだよ。その関係で昔から知り合いってだけで。しかも独立したのはあたしが生まれる前のことだし」
「つまりは年の差カップルか」
ハルナが目を光らせる。
「話聞けお前ら! 別にあたしとこーりんはそういう関係じゃないっての」
「あだ名で呼んでる。怪しいねぇー」
「朝倉も何言ってるんだぜ。変に話を持っていこうとするな」
キャーキャーと、黄色い声が教室内に響く。
「自分に話が来るのを恐れて親友を売るか」
「別にそういうわけじゃないわよ」
元凶は龍宮とそんな会話をしながら出し物の小道具制作を開始する。
そんなこんなで数日後。学園祭まであと、2日。
「眠い……」
音が最小限になるように気をつけてトンカチを振るう霊夢。時間はすでに深夜、本来は教室にいてはいけない時間なのだが、クラス全員がそこにいた。
「トンカチ気をつけて。音たてないでよ」
「無茶言うな」
皆小声で会話をしながら文化祭の作業を進める。
「忍び込んで泊まり込みってなんかワクワクするねー」
笑顔でそんなこと言っているまき絵に霊夢が呆れた目線を向ける。
「うう。泊まり込みは前日以外禁止ですのに」
「仕方ないじゃん、間に合わないんだもの」
「わかってますわ」
そう。本来禁止されている泊まり込みでの準備をしているのだ。そのためあたり音はたてられない。
ついでにいうと、別の教室でも同じように泊まり込んでの作業をしているため、毎年の恒例行事なのかもしれない。
「僕教師なんですけど」
取り締まる側のはずのネギも準備をスケジュール遅れを取り戻そうと躍起になっている。
「ああ、すみません。ネギ先生」
「来たよ、新田」
隣の教室の生徒が一人、見回りを行っている教師の接近を知らせてくれる。そこから全員迅速に音を出さずに物陰に隠れる。
新田教諭は手に持つライトで教室内を照らすが、中には入らない。
すぐに部屋を出て廊下を歩く新田教諭。
「作業開始ー」
小さな声で作業を始めるように言うが、なぜかいいんちょだけはちょっと大きな声でずるい、と言って、ばれかけた。
数時間後。朝日が昇って、麻帆良祭前日。。
入口だけは完成。しかし、教室内は全くできていないところまで完成した。
そして文化部で出し物がある部活に入っているメンバーが徹夜明けにも関わらず元気に走って教室を出て行くと、部室へと向かっていった。
「元気良すぎ」
あくびしながらつぶやく霊夢の横には目を閉じて舟をこぐ魔理沙。
「なーなー、コレ見た?」
「また真帆スポ?」
亜子が出す新聞紙は麻帆良スポーツで、そこには、
「世界樹伝説は真実? 22年に一度、その真の力が発言する。また怪しいネタだね」
「でもな、22年に一度、最終日にのみ光る世界樹が、最終日以外にも光るんだって」
「じゃ、私少し仮眠とらせてもらうわよ」
そんな話をしている亜子と祐奈に一言入れて霊夢が教室を出て行こうとするが、
「いや、少し待ってくれ、霊夢。ちょっといい話があるんだが」
それを龍宮が止める。霊夢はちょっと不機嫌そうな顔をして、
「それは私の眠気が飛ぶ話かしら」
「ああ。ちょっとした儲け話だ」
「詳しく教えなさい」
眠そうな表情が一転、目を輝かせて龍宮に問い詰める霊夢。
「ここじゃなんだ、少し出るぞ」
龍宮が教室を出るので、それについていく。
中学校舎の図書室に行く2人。そこは運よく誰もいない。
「学園長から学祭中の依頼が来ている」
「学園長から? どんなの?」
「うむ。まず、さっき和泉たちが話していたが、世界樹伝説については知っているか?」
「告白すれば確実に恋人になれるっていうあのくだらないうわさ話?」
「ああ。その噂なんだが、実は真実でな。あの世界樹は強力な魔力がある魔法の樹で、その魔力が人の心に作用する。結果、告白については、成就率120%となるらしい」
「魔法の樹か。なるほど、あの巨大さはそこが原因か」
「ああ。魔法がばれないように気を付けてほしい、とのことだが。告白さえ止めれば手段は任されている」
「なるほどね。真名もやるの?」
「ああ。くだらない仕事の割に報酬がいいのでな。誘われたときにお前も誘っていいか聞いて許可をもらった。一緒にやらんか?」
「いいわね」
そこからいつその任務につくのかなど、時間等を細かい話をして、2人は教室に戻った。