魔法先生ネギま project in TOHO 作:水崎雨月
そして1日後。麻帆良祭当日。
3日間で延べ40万人の来場者が来るという特大イベント。
すでにたくさんの来場者で道は混雑しており、様々な催し物が開催され、来場者を楽しませている。
そして、3-Aの教室では、『ドキッ♡女だらけのお化け屋敷』が完成していて、すでにものすごい行列ができていた。
「……。なにこれ」
「今更だぜ」
霊夢の仕事の番。霊夢は麻帆良とは違う制服を着て、学校の怖い話の扉の前に立つ。他の2つの扉にはまき絵と委員長が立っていた。
男性のお客さんが1人、入ってくる。
そして、そのお客さんは霊夢の扉を選んだため、霊夢が付き添いで扉の先に入る。
「おお。これは怖い」
男性はそう言って、霊夢の肩を抱き寄せようとするので、隠し持っていたお祓い棒でその腕を止める。
「1回目は見逃す」
「は、はい」
霊夢にすごまれて男性は引き気味になり、そういうことをしなくなるが、お化け屋敷自体はレベルが高く、男性もかなり怖がっていた。
霊夢は普段やらない芝居をやる羽目になってすごく疲れていた。
「大変です。どうやら私たちは学園に潜む悪霊を怒らせてしまったらしい。急いで逃げないと呪い殺されるかもしれないわ」
そんな感じで午前中はそんなクラスの仕事をこなし、そして、午後。
クラスの仕事を終え、屋台で焼きそばを買って行儀悪く食べながら歩く霊夢。
「待たせたわね」
食べ終わると同時に、ライフルを構える龍宮に声をかける。
「気にするな。むしろ急がせてすまない」
ライフルのスコープを覗きながら言う龍宮に、霊夢は気にせず持っていた焼きそばの入っていた入れ物を近くのゴミ箱に放り投げる。
直後、龍宮がライフルを撃つ。すぐに空薬莢を射出すると、ようやく顔を上げる。
「終わったの?」
「あぁ。……霊夢」
「なに?」
「急がせてしまったのはすまないが、仮にも女としてソースが口元についたままなのはどうかと思うぞ」
そう言ってポケットティッシュを差し出す龍宮。
「……」
受け取って口元を拭くと、そのティッシュを見る。確かにティッシュにはソースの染みがついた。
「悪いわね」
「よし、仕事をしよう」
そう言って龍宮はポケットから何かを取り出す。それは携帯のようなものだが、上に丸いものがついている。
「なにこれ」
「これは簡単に言うとこれから告白しそうなやつを感知する機械だ。数値が高ければ高いほど告白する可能性が高くなる」
これは霊夢の分だ。と渡してくる龍宮。
ありがと、と礼を言い受け取ると、それをジッと見つめる。
「どのくらいいた?」
「さっきので5人目だ」
「やれやれ、初日だってのに」
霊夢が文句を言ってると、ピピピ、となる。
「次が現れたようだ」
「どこ」
「こっちか」
先程龍宮がライフルを覗いていたのと逆の方角らしく、龍宮がそちらを見る。
霊夢も見ると、明らかに告白寸前の男がいる男女のカップルがいる。距離はかなりあり、普通の人間ならば言われてようやく気づくことができる距離だろう。
「ちっ」
すぐにライフルを構えようとする龍宮。だが、
「私のほうが早い。私がやる」
霊夢が右手で龍宮を制する。
「
神様をその身に降ろすと、左手を伸ばす。すると、カップルの足元に暗い穴が突如として現れ、2人が(おそらく悲鳴を上げながら)落ちる。
次に穴の中に影の
「これでよし」
「神降ろしか。始めて見たよ」
「よくわかったわね、神降ろしって」
「明らかに気配が変わったのでな。それに私とは違い、霊夢は本物の巫女だ。そのくらいできるだろう」
「あら、そこまで評価をしてくれるのね」
龍宮はライフルをケースに片付け始める。
「世界樹広場のほうに行くか」
「ええ」
高々とジャンプして屋根の上を飛びながら世界樹広場へと向かう。
「ねぇ、真名。さすがに殺してはいないわよね」
「心配するな。これは麻酔弾だ。10分程度で目が覚める」
「10分後目覚めてまた告白するんじゃない?」
「それも問題ない。学祭中二度と告白できないように期間中、全身を麻痺させる神経毒入りだ」
「あら、それなら大丈夫そうね」
せっかくの学祭が寝たきりなのは青春が無駄になるのではないのかという発想は2人にはない。ただ、仕事をこなせばいい、という考えしかない。
広場が良く見える場所に到着するが、今のところ告白探知機は動かない。
「少し待機だな」
「そうね」
霊夢はペットボトルのお茶を取り出し、床に座って飲み始める。
「神様は降ろしたままなのか?」
「あまりたくさん降ろすとうるさいのがいて」
「どういうことだ?」
「んー、同じように神様降ろせるやつがいるんだけど。私が修行で降ろしてたら、神様降ろして何か悪だくみしてるんじゃないか、と自分が疑われた。紛らわしいことをするな、って怒られたのよ」
「なるほどな」
「ただ、頭の中で神様がうるさいけど」
「ははは。それはご愁傷様だな」
数分のんびりと会話をしながら過ごしていると、再びピピピと少し小さめの音がなる。
「むっ」
すぐにライフルを取り出す龍宮。
「あれ、だな」
高校生ぐらいの男女が階段を歩いているのが見える。
「私がやる?」
「いや、まだ時間がある。私がやろう」
スコープを覗いて告白のタイミングを待つ。そして、告白しようとした瞬間で、撃つ。見事、頭を狙撃し、告白しようとした男は衝撃で吹き飛ばされる。
「これで7人」
「てかさ、これ噂になり初めてない?」
こんなことをし続ければ、告白しようとすれば災いが降り注ぐ、と噂になるのでは、と危惧する霊夢。
「むしろ噂になったほうがやる人間がいなくなって……むっ」
「あ」
少し離れた
「あれは」
「ネギ先生ね。行く?」
「あぁ」
龍宮がライフルが銃を片付けると、ネギの元に行く。
到着までの間に、アスナと刹那、このかはネギと別れてしまった。
「フフ。女のことで悩んでるって顔だな」
「え!?」
後ろから声をかける龍宮。驚いたネギが急いで後ろを向く。
「た、龍宮さん、霊夢さん」
「やあ、先生も世界樹のパトロールかな?」
「あ、はい」
「先生も大変ねぇ」
「今、突然現れたけど何かの術かな? スゴイじゃないか」
「あ、いえ。そんな高度な魔法はまだ」
じゃあどうやって出たのかしら? 魔道具、的なのかしらね。
「そういや姉御や巫女の姉さんにゃ、キチンと礼を言ってなかったな。修学旅行といい、幽霊の件といいどうも」
ネギの帽子の上に乗っていたカモの言葉に龍宮がいつもの様子で返す。
「なに、礼には及ばないよ、オコジョ君。私は仕事をしただけだ。報酬さえもらえれば私はなんでもするし、誰にでもつくさ」
「私はそこまでじゃないから勘違いしないでね、先生」
自分までそんな人に見られないように、と予防線をはる霊夢。
「てことは、姉御も雇われでパトロールかい?」
「ああ。学園長が奮発してくれたよ。くだらない仕事の割に報酬がいい」
先生も大変だな、頑張れよ。と労いの言葉を言う龍宮に、ネギは龍宮のことを今まであまり交流がなかったためどういう人物なのかと悩む。
「むっ」
ピピピ、と装置の音が鳴る。直後、霊夢がいち早く動き、その姿を消す。
「次の告白生徒が出たようだ」
「ほ、本当ですか」
龍宮が高く飛び、すでに霊夢が移動した先、協会のような建物の上、鐘がある場所に行く。
「4人ね」
先に行っていた霊夢が告白者の数を報告する。
「めんどうだな」
「龍宮さん! 霊夢さん!」
ネギも追いついてくる。
「そこと、そこと、そこ。あとは、そこ。だけど、見ての通り、最後の1人は建物の陰に半分隠れてる」
「マズイぞ。どれも告白寸前だ」
「ええ! じゃあすぐに僕が行って」
「私は最後の一つを。真名、他は頼むわ」
霊夢が再び消える。
「ああ」
龍宮は素早くライフルを構え、打つ。それを3連。打つとすぐにから薬莢を射出。それを繰り返し、見事に告白をしようとした男3人を撃ち抜く。
「ふう、間に合ったな」
「何やってるんですか! 龍宮さん!」
「何って告白の阻止だよ」
「ただいまー」
狙撃したことに驚いたネギが大慌てで龍宮に問いかける。
そこに転移して霊夢が帰ってくる。
「だ、だって撃ち殺して――」
「ああ。これはただの麻酔弾さ。10分で目を覚ます」
「なーんだ。そうなんですか」
一転して安心しきった表情をするネギだが、
「ただし、学際中二度と告白ができないように期間中、全身を麻痺させる神経毒入りだが」
「ダメですよー!」
付け加えられた一言で再びネギは大慌て。
「私の仕事は学際中、あのエリアで告白が起きることの阻止することだ。他のことは知らないね」
龍宮の堂々とした言い分にネギがたじろぐ。
「それにほら、相手が脈ありなら逆に運ばれた保健室でいい感じになるんじゃないか?」
「な、なるほど。ってそれでもダメですよ」
一瞬納得しかけたネギだが、それでもダメだと慌てる。
「とにかく、こんなやり方はダメですよ。ついてきてください、龍宮さん、霊夢さん」
「え? お、おい」
「私も?」
龍宮が霊夢に腕を引っ張られて外へと出る。
3人は世界樹広場で、新たな告白候補者を見つける。それは小学生の男女。
「ませてるわねぇ」
「あの2人だ。大丈夫か?」
「はい。ラス・テル・マ・スキル・マギステル」
呪文を小さく唱えると、武装解除魔法、
「ああ、帽子が」
小学生の男女は帽子を追いかけていく。
「何をしているんだ?」
「2人をエリア外に誘導するんです」
ネギが右手を動かすと浮いてる帽子も同じように動いてどんどん遠くへと飛んでいく。
そして、エリア外の芝生の公園で高度を落として男の子にキャッチさせる。
そして2人の雰囲気からすぐに女の子が顔を真っ赤にしながら告白したようで男の子のほうも顔を真っ赤にする。
「よし、うまくいきました」
「ほほう」
「うまいものねぇ」
「むっ。兄貴、向こうにも表れたぜ」
その後もネギは様々な魔法を使って告白の範囲外を出させる。
「ふーむ。10歳とは思えない手際の良さだな」
「い、いえ」
「しかし、エリア外の告白までケアする義理はないんじゃないか?」
「ほおっておけば勝手にするでしょ」
「は、はい。でも告白しようとしている人もすごく勇気を出して頑張ってると思うので、その勇気を無駄にしたくないので」
龍宮に撃たれた人たちの治療もしたいというネギに、龍宮は微笑み、
「さすがは『
3人は世界樹広場を見渡せる建物の屋根の上に座る。
「龍宮さんは、どうして魔法使いでもないのに、裏の世界、じゃなくて魔法使いの仕事をしているんですか?」
「ん? なんだ? 私の話か?」
「狙撃だけじゃなく、拳銃の腕もスゴイし、
「そういえばそうね。気にしたことなかったわ」
「部活も大学のバイアスロン部だし、どうして大学の部に?」
「あら、そうなの?」
あまり交流がないにも関わらず所属している部活まで把握しているネギに若干驚く霊夢。
「むっ。まいったな。自分の話は苦手なんだが」
後頭部を掻きながら本当に困ったように言う龍宮。
「実は私は、マギステル・マギのパートナーだったことがあるんだよ」
「えええええ!」
ネギが絶叫で驚きをあらわにし、霊夢も声は出さなかったが明らかに驚いた顔をする。
「驚いたかい?」
龍宮の問いに、ものすごく頷くネギに、小さく頷く霊夢。
その後語られた話はとんでもない話だった。
まず龍宮とマギステル・マギだったという
「そ、それでそのパートナーの魔法使いの人は今どうしているんですか?」
ネギの問いかけに龍宮は首から下げていたペンダントを取り、それをネギに渡す。
ネギがペンダントを開ける。霊夢も後ろから覗いてみると、中には若い青年の写真。
「死んだよ、2年前に」
「う、うひぃいい」
予想外の返答にネギが慌てる。
「あ、それはすみませんでした。僕、その知らなくて」
大慌てのネギを見て笑う龍宮。
「アハハハハ。冗談だよ。この写真はバイアスロン部の部長さ」
「えー、なーんだ」
安心しきったネギ。しかし、
「冗談、ねぇ」
霊夢だけはそれに違和感を覚えた。
しかし、指摘するのは野暮と考え、特に何も言わずにいた。
ネギはバイアスロン部の部長のことが龍宮は好きなんだ、と予想して、龍宮は鋭いじゃないか、と答える。
そしてネギの頭を掴む。
「ネギ先生がどんな女のことで悩んでいるかは知らないが、マギステル・マギを目指すのならそんな色恋沙汰で悩んでいる暇はないぞ」
ガシガシ、と頭をゆする。
「フフ。戦いの場に女は不要だぞ?」
「そんなこと言って龍宮さんも片思いじゃないですかー」
「ははは。そうだったな」
直後、装置が作動して告白者の出現を知らせる。
「新たな告白者だ。今度は多いぞ」
「何!? ちっ。次から次へ」
カモの言葉に龍宮はすぐに屋根から飛び降りると、世界樹前の広場、中心に行く。
3人ともそこで周囲を見る。
「どこだ!」
「おかしい。どんどん人数が増えて、囲まれてる!」
7人、8人とドンドン反応が増えていき、それが周囲にいることを霊夢が答える。
『ねるとんパーティー、告白タイムに入りまーす』
マイクで拡張された声が辺りに響く。
「うおおおーい!」
まさかのパーティの余興でこのような事態になったことに、カモが大声で叫ぶ。
「くっ、僕が!」
「めんどくさいわね」
すぐに動こうとするネギと霊夢。霊夢はお札を取り出すが、
「待て、君たちのやり方では間に合わない」
龍宮がそう言って両足に着けてある拳銃のホルダーからハンドガンを取り出し、2丁拳銃で周囲を連続で撃ちまくる。
その結果、大量の男どもが撃ち飛ばされて、男どもの屍が転がる。
「映画の撮影よ。気にしないで」
いつの間にかカメラを取り出して龍宮に向けていた霊夢が周囲に向かって言う。
それを信じたであろう周囲の人たちが、おぉー、と感心の声を上げる。
「仕事の上では特に冷酷になることも必要だ、ネギ先生」
容赦のない一撃にネギが怖いと感じていると、カモがもう一人いる、と告げる。
「あれ、龍宮君?」
龍宮の後ろから男性の声がかかり、そこにいたのは、さわやかなイケメンの男性。
「せ、芹沢部長?」
「姉御! その男だ、間違いねえ」
「あれ? カモ君、あの人ってペンダントの人だよ」
確かに似ているけど、顔の傷がない……。似た人ね。
霊夢は冷静に観察するが、いつでも龍宮ごと落とし穴に落として強制転移させる用意をする。
「ちょうどよかった、龍宮君。今日この場所で君に話したいことがあったんだ」
ネギが大慌てでどうするのかー、と言うが、
「実は俺、君のこと」
目を閉じてそれをいう芹沢部長。だが、
「ありがとう先輩、気持ちだけ受け取っておきます」
龍宮の容赦のない一撃が、まさかの意中の人物すらも撃ち抜いた。
いらない心配だった、と霊夢は手を降ろす。
「ネギ先生。私の戦場に男は無用だ」
一度その場を離れる3人。
「ネギ先生?」
「ハイ! 龍宮さん」
敬礼をするネギに困惑する龍宮。
「嘘つき」
霊夢がネギにだけ聞こえないように問いかける。
「あの部長は他人の空似だな。名前も違うし、写真にあった傷がなかった。もしや別人と知りつつ亡き思い人の面影を重ねてだったら――」
龍宮の肩に乗るカモが言葉を止める。首筋にナイフを突きつけられたからだ
「人の心にはあまり踏み込まないほうがいいぞ、オコジョ君」
「は、はひ」
龍宮は何かカードを取り出す。そこには、龍宮の幼い姿が映っており、2丁の拳銃を構えている絵だ。アスナ達が持つパクティオーカードに絵柄が似ているが、細部が若干異なる。
「ネギ先生には内緒にしてくれ。あの子に大人の話はまだ早い」
「はいはい」
霊夢の返事を聞いて、カードをしまう龍宮。
「ネギ先生!」
「サー、イエッサー、龍宮隊長」
再び敬礼をするネギ。
「コタロー君とやらに合流して仕事を続けるぞ! 準備はいいかな?」
「ハイ! 準備万端であります!」
「……真名。さすがに隊長はないわよ」
「ネギ先生が勝手に言っているだけなのだが……」