魔法先生ネギま project in TOHO 作:水崎雨月
いつもはそのキャラの登場しているシーン見ながら書いているんですが、今回は全く見ずに書いたので、ちょっとキャラの口調とか変だったら申し訳ありません。
「すごっ。これ10代の子たちが作ったの」
「麻帆良祭だもの。ほら、行くわよ」
「ちょっ。待ちなさいよ、パチュリー」
麻帆良学園の入り口、学園門の前で、2人の少女が立っていた。
一人は長い紫髪の先をリボンでまとめ、紫と薄紫の縦じまが入った、ゆったりとした服装の上から薄紫の服を着て、ドアキャップに似た帽子をかぶっている。また服の各所には青と赤と黄のリボンがあり、帽子には三日月の飾りがついた一見変わった服装をした少女だ。少女はもう一人の少女からパチュリーと呼ばれていた。
そして、もう一人は金髪の青い瞳の人形のような少女。ヘルマン伯爵との闘いのとき、ネギと共闘をしたアリスという少女だ。前と同じようにリボンで十字に結ばれ、封印されている厚い本を持っている。
少女2人は並んで門を通り抜け、しばらく歩くと世界樹の広場にたどり着く。
「魔力が若干濃いわね」
「あれのせいよ」
パチュリーは世界樹を指さす。アリスは注意深く見ると、確かに魔力が放出されていて、明るくなっていっている。
「でかい木ね」
「通称、世界樹。正式名称は、神木・蟠桃。見ての通り、魔法の木よ」
「確かに魔力を帯びているわ」
「あれがただ魔力を帯びているだけならまだよかったのだけどね」
「どういうことよ」
「あら、ちょうどいいわね。見てみなさい」
そう言って指をさすパチュリー。アリスが指の先に視線を向けると、何やらバラを背中に隠し持った男性と向き合う女性の姿。
「あら。告白かしら。いいわね」
そして、男性が告白しようとしたのか、バラを前に出そうとした瞬間、何か狙撃されたかのように吹き飛ばされた。
「え?」
そして、男性のほうは倒れたまま動かない。
「な、なによこれ」
周りからまたか、と言った声が聞こえてきて、アリスはこういうことがたびたび起きていることを理解する。
「いい腕ね」
「パチュリー、これは一体」
「……。これが世界樹の問題点よ。22年周期で魔力が最大に高まるの。そしてその多すぎる魔力は心に影響を及ぼす。わかりやすく言うと、告白すると、120%成功する」
「高すぎる魔力が周囲に惚れ薬のような影響を及ぼしているのね。ちょっとこれは危険すぎない?」
「ええ。だから、ああやって告白を阻止している子たちがいるのよ」
「無理やりでもとにかく告白は阻止、が方針なのね」
「そりゃそうよ。解除できない、もう呪いクラスの力なんだから」
2人がそんな話をしていると、
「あら、アリスにパチュリー? パチュリーがいるのは珍しいわね」
霊夢が近くに来て声をかけてくる。すぐ横には龍宮とネギ、そして小太郎までいる。
「なによ、人を引きこもりみたいに」
「引きこもりじゃないのよ」
心外だ。とばかりにパチュリーは霊夢に返すが、アリスが何を言っているのやら、とばかりに言う。
「あれ、姉ちゃん、確かあの時の」
小太郎がアリスを見てつぶやく。
「あら、あの時の狗族の子ね。怪我は大丈夫?」
「あ、あぁ。あんなんかすり傷や」
アリスと小太郎がそんな話をしていると、パチュリーがネギに近づく。
「予想以上に早く出会えたわ。ここは、初めまして、と言おうかしら、ネギ君」
「あ、あの、確かあなたは」
ネギも思い出す。京都でもらった父親の写真にこの少女が映っていたことを。
「私の名前はパチュリー・ノーレッジ。あなたの父。ナギ・スプリングフィールドの古き友が一人」
よろしく。と表情を変えずに言うパチュリー。
龍宮と小太郎に仕事を任せ、霊夢とネギ、パチュリーとアリスの4人は近くでテーブルを囲う。
「驚いたわよ、パチュリー。あなたがまさかネギ先生の父親と知り合いなんて」
「そりゃ話していないもの」
霊夢の言葉に何を当然なことを、と言いたげに言うパチュリー。
「この前はちゃんと挨拶してないから、ちゃんと挨拶するわね。私はアリス・マーガトロイド。そうね、魔理沙のご近所さんよ」
「ネギ・スプリングフィールドです。この前はありがとうございました」
「気にしないで。むしろ身内もかかわってたから謝るのはこっちよ」
なぜか対面で座っている霊夢とパチュリー、ネギとアリスが話をしている。そして、
「あの、父さんの友人って言ってましたけど」
そしてついにネギがパチュリーに声をかける。
「そのままよ。あなたの会ったことのあるのというと、詠春もそうね。フフフ、懐かしいわね」
紅茶を一口飲むパチュリー。
「話がつかめないのだけど。パチュリーがネギ君のお父様の友人?」
「ええ、そうよ。アリスも聞いたことはない? 20年前にあった魔法世界での大戦」
そういってパチュリーは懐から写真を一枚取り出す。それは京都でネギがもらったナギたちが写った写真。
「聞いたことはあるわね」
「その大戦を結果的に止めたのが私たちってわけ」
「へぇ」
アリスは意外だと言いたげな顔をする。いつも図書室に閉じこもっているのに、戦争に参加していたとは。
「あの、父さんの話を聞かせてもらえませんか」
ネギが控えめにそう聞いてくる。
その言葉にパチュリーは悩む。この子は何も知らない。知らないからこそ、父親の話を聞きたいのだろう、と。
「そうねー」
話しても影響のない話。となると、一つしか思い浮かばなかった。
「じゃあ、
時は20数年前へと遡る。
「これは私がとある街の図書館にいたときの話よ」
メガロメセンブリア。
その日、パチュリーはこの図書館のすべての本を読み終えようと次々読んでいた。
図書館の中には自分しか存在しない。とても静かでとても読書がはかどっていた。
「ったく、なんで俺がこんなこと」
「そう言うな。必要なことだ」
そんな静寂を破る4人の男が入ってきた。一人は東洋人の少年に、赤髪の少年、ローブを頭からかぶった怪しげな青年に、白髪の少年。
「アルがやってくれよ」
「流石に私一人ではこの蔵書量を探すのは辛いですよ」
赤髪の少年、ナギは言動からめんどくさそうな雰囲気を滲み出している。
「あなたたち、図書室では静かにするのがマナーよ」
そこでパチュリーがついに声を上げる。注意されたことで東洋人の少年、詠春とローブの青年、アルビレオはすぐに謝罪をする。
「失礼しました」
「申し訳ありません、お嬢さん」
「へっ」
しかし、赤髪の少年、ナギだけはふてくされたような反発する反応をする。パチュリーはそれを一瞬気にするが、ガキのことだから、とすぐに気にしないことにした。
「あなたはこちらの司書でしょうか」
「残念ながら違うわね。でも、あとそこの本棚を読み終えるだけでここの本はすべて読み終わるから、ここの蔵書に一番詳しいのは私になるでしょうね」
本棚を一つ指さして答えると、アルビレオは、
「ほう。では、こちらについての記述がある本を探しているのですが、心当たりはございませんか」
紙を一枚パチュリーに渡す。そこに書かれている記述について、パチュリーはすぐにどこの本棚にあるか答える。
「ありがとうございます。永春、ナギ。お願いします」
「ああ」
「しゃーねーな」
2人が言った番号の本棚に向かおうとしたところ、突如、爆発音とともに図書館の壁の一角が崩れる。
そして、そこから数人の真っ黒の装束の怪しげな人間が入ってくる。
「なに? あなたたち」
突如、巨大な竜巻が発生。怪しげな人間どもを数人巻き上げる。
「私の読書を邪魔するなんていい度胸じゃない」
「申し訳ありません。どうやら我々を狙った帝国の刺客のようですね」
「迷惑このうえないわね」
アルの謝罪をパチュリーはそう言い放つ。
竜巻が収まると、そこを狙ったかのように無事だった刺客が図書館に入ってくる。
「セブンス・マイ・マジック・スキル・マギステル」
冷めた目で呪文を唱えだし、
「『シルバー・ドラゴン』」
男どもの上空に、白銀の身体を持った巨大なドラゴンが唐突に現れ、無事だった図書館の壁を壊しながら落ちてくる。そして、男どもを何体も踏みつぶす。
竜巻、ドラゴンも避けた刺客は残り2人。逃げようとしているようだが、そこにナギが襲い掛かる。
「おっせえ! 判断が遅いぜ!」
2人を相手に平然と戦うナギ。
「お前ら! 図書館では静かにしろって教わらなかったか? ちなみに俺は、教わってねぇ!」
その言葉とともに、最後の一殴りで2人の男をノックダウンする。
「はっ。よえーな。こんな本ずっと読んでそうな陰気そうなやつに負けるぐらいだものな。帝国の送ってくる刺客ってのはどうしてこう張り合いのねーやつばかりなんだ」
ナギの言葉に、パチュリーはイラついたのか、右手を伸ばしてナギを指さす。
「プリンセス・ウンディネ」
指の先から水のレーザーが撃たれ、ナギに向かって真っすぐ飛ぶ。
ナギはそれを見ずによけると、振り向きながら怒鳴る。
「何すんだてめぇ」
「誰が陰気ですって?」
「陰気だろうがよ」
ナギがパチュリーに向かって飛ぶ。
「ここの本全部読んだとか、陰気でしかないだろうが!」
ナギが
「あなたは本を全く読まなそうね。しかも近接戦とか。魔法使いなら魔法で勝負しなさい」
風に乗って上へと向かう。そこに、
「ならお望み通りにしてやるぜ。
魔法でできた雷の斧。それをパチュリーは自身の周りに張られた魔法障壁で受け止める。
「かてぇ障壁だな」
「すごい魔力。でも、まっすぐでわかりやすいわね。ゆえに防ぎやすい」
もちろん、常に張っている魔法障壁では完全にダメージを0にすることはできない。だが、パチュリーは動きを先読みして魔法障壁を一部に集中することで完全に防いだのだ。
「なら、これでどうだ」
メモ帳を取り出し、中身を見ながら呪文を唱えるナギ。
「
「魔法使いならそんなもの見ないで唱えなさい」
パチュリーの手のひらに炎の玉ができる。
「『ロイヤルフレア』」
ナギはあれはまずいと判断。詠唱をやめて回避に専念することで、放たれた炎の玉を避ける。
「セブンス・マイ・ま、ゴホッ、ゴホッ」
パチュリーは呪文の途中で咳をしてしまい詠唱がキャンセルしてしまうが、収まるとすぐに次の魔法を唱える。
「『ロイヤルフレア』」
再び炎の玉を放つ。それをナギは舌打ちをしながら避け続ける。
「『サイレントセレナ』」
よけられているのを見ると、パチュリーは早い攻撃であるレーザーの魔法を使用する。
「てめ。ふざけんな」
それすらも難なく回避するナギ。
「ちっ。素直に、ゴホッ、当たりなさい」
パチュリーは一度攻撃を止めて、深呼吸をする。
ナギはその隙に近づこうとするが、
「ゴホッ、ゴホッ。私の最強の魔法で終わらせてあげる」
その宣言とともに、風で体を浮かせてナギから一気に離れる。
「セブンス・マイ・マジックスキル・マギステル
ゴホッ、ゲホッ」
呪文の途中、パチュリーは咳をすると、血を吐き出した。
パチュリーは熱くなりすぎた、と自身の失態に気づく。
咳と喀血によって詠唱はキャンセルされてしまった。
この体調では、もう長文詠唱はできない。そう考えたパチュリーはナギに有効な短文呪文がないか記憶を掘り起こす。
「たくっ」
気が付けば、パチュリーの目と鼻の先にナギがいた。
「くっ」
「『
だが、ナギは攻撃をせずに首元に手を当てると、回復魔法を使う。
まさかの行動に、パチュリーも動きが止まる。
「あのなぁ、さすがにそこまでされたら引くわ。自分の限界を把握しろよ、お嬢ちゃん」
自分の限界の把握。基本的なことを頭に血が上り忘れてしまったパチュリーはまさにその通りだと考える、が。
お嬢ちゃんと年下扱いされたことにイラッとして、無詠唱の
「いてっ」
「私はお前より年上だ、
「そんなちっせぇ体でよく言うぜ」
「私、100は超えてるわよ。具体的な年齢は忘れたけど」
「ババアじゃねーか」
無詠唱でもう一度
が、別のタイミングで飛んできた本2冊がナギの頭に直撃する。
「いてっ」
「探していた本はたぶんそれよ」
そう言って風で体を浮かせる。
壊れた図書館の壁に降り立つパチュリー。
「そういえば、まだ名乗ってなかったわね。私はパチュリー・ノーレッジ。もう会わないことを祈ってるわ」
パチュリーは再び体を浮かしてどこかへと去っていった。
「と、まあ、ちょっと脱色したけど。こんな感じの出会いだったわ。なつかしいわね」
お茶を一口飲むパチュリー。
「ネギ先生。あなたのお父さん、なんなの。先生と全く似てないけど」
「ハハハ。まぁ、エヴァンジェリンさんの夢を見た時もそんな感じだったような」
ナギの話を初めて聞いた霊夢はネギに一応確認をするが、ネギも苦笑いをしながら同意する。
話には聞いていたけど。外見はナギそっくりだけど、中身は母親似ね。
内心笑いながらパチュリーはそう思うと、名案を思い付いたとばかりに提案をする。
「そうね、このままお別れっていうのもつまらないし。ねぇ、ネギ君。夏休みになったら幻想郷に来なさいな」
「え?」
「父親の話、もう少しできるわよ。あと、そうね。ちょっと稽古もつけてあげるわ」
「パチュリーがそんなこと言うなんて珍しいわね」
「あら、親友の息子にできることをしてあげてるだけよ」
ネギがお礼を言って、ネギと霊夢は告白阻止の仕事に戻った。
「さて、次に行くわよ」
そう言ってパチュリーは歩き出す。
「次ってどこよ」
「古い友人の1人に会いに行くの。多分学園のどこかにいるわよ」
「広すぎるわよ」
アリスのツッコミをパチュリーはスルーする。
「ま、適当にめぐりましょ」