魔法先生ネギま project in TOHO 作:水崎雨月
新幹線が出発する。
「おぉーー!! 本当に動いたぜ!」
窓に張り付いた魔理沙が大興奮で声を上げる。
「ふっふっふっ。魔理沙さん、その程度で驚いてはいけませんよ」
「まだすごいのがあるのか!?」
目をキラキラとさせて葉加瀬のほうを向く魔理沙。
「まだ実用ではないですが、磁気浮上式リニアモーターカーというものが現在開発中です。完成まであと30年はかかると思いますが、完成すれば東京と大阪を67分。ほぼ1時間で移動できるというものが完成するのです」
「マジか。東京大阪っていうと、100里ぐらいか!? それを半刻で行けるなんて。すげーぜ!」
魔理沙はとてつもなくハイテンションで、霊夢はそれを見ながらペットボトルのお茶をコップに入れている。
「それでは、みなさん。15年度の修学旅行が始まりました。この四泊五日の旅行で楽しい思い出を一杯作ってくださいね」
ネギとしずな先生が中央の通路で生徒たちに話す。
「麻帆良学園の修学旅行は班ごとの自由時間も多く取ってあり、楽しい旅になると思いますが、その分ケガや迷子、他の人に迷惑をかけたりしないよう、一人一人が気を付けなければなりません」
ネギの後ろの扉が開き、
「特にケガには気をつけ――」
扉から入ってきた車内販売にネギが後ろから突き飛ばされる。
「えー、お弁当……。あっ、すいません」
それを見てみんなが笑い、アスナが心配そうに見る。
霊夢はコップに入れたお茶を一口飲む。
「ふぅ。ペットボトルというのはいいわね。いつでも買えてどこでもお茶が飲めるわ」
「霊夢ちゃん、おばちゃんみたいなこと言うねー」
「おばちゃんとは失礼な。確かに、よく縁側でお茶を飲んでいるけど」
まき絵の一言に心外とばかりに霊夢は答える。
「それ、完全に田舎のおばあちゃんじゃないかーい」
「いたっ」
裕奈は律儀に裏手でバシッとツッコミをいれ、裕奈の隣に座っていて、関係ないアキラが被害を被る。
「境内の掃除をしたあと、一息つくのによくそこでお茶をしているわ。大抵、飲んでる最中に魔理沙やらいろんなのが来ちゃうけど」
「けいだい?」
「境内とは、神社やお寺などの敷地を表す言葉だな。博麗、君の家も神社か何かか?」
授業の成績があまりよろしくないまき絵の疑問に龍宮がすぐに答える。
「君もって、あなたも?」
「あぁ。麻帆良の敷地内に龍宮神社というのがある。休みの日で用事がないときはそこで境内の掃除やらやっているよ」
「あら、すごい奇遇。あんな町中だとお賽銭たくさん入りそうね」
「それほどでもない。最近の子は信仰心が足りなくてね」
「うちは人里から離れたところにあるせいか人が来なくてね。来るのはお賽銭を入れてくれないやつばかり」
神社という共通点を知ったおかげか、龍宮と霊夢の神社談義が止まらない。
「おーい。ゆーな、まきちゃん。やらない?」
そこにハルナがカードの束を持ってやってくる。
「いいよー」
「普通にやるのはつまらないし、おかしでも賭けない?」
「うん。やろう」
まき絵と祐奈が同じようなカードの束を持って席を立つ。
「なにあれ」
霊夢は龍宮との会話をいったん止めて聞くと、アキラが答えてくれる。
「えっと、最近流行っているカードゲーム」
「ふぅん……」
それだけ聞くと興味を失ったのか、再び龍宮との神社雑談に戻る霊夢。
座席を一部180度回転させて、向き合うようにして3対3でカードゲームをしている少女たち。
「はい。『炎の呪文』カード。パルに5点の攻撃」
「あーん。やられた。死んだー」
「私のカード『恐怖のカエル地獄』がじわじわと効いてましたからね」
「くっそー。にっくきカエルめ」
負けたので、賭け金であるお菓子をカバンから取り出そうとするハルナ。しかし、
お菓子の箱を開封すると、そこにいたのは一匹のカエル。
「きゃ、キャーー!?」
それを皮切りに他の子たちのお菓子や水筒からカエルがどんどん出てきて、新幹線の床に大量のカエルがあふれ出す。
「な、なんですか。このカエルの団体さんはー」
ネギが何が起きたのかわからないまま、とにもかくにもカエルを捕まえて袋につめていく。
「式神……か」
カエルを見て霊夢がつぶやく。
霊夢は一瞬でこのカエルは本物ではなく、紙に術をかけたものだと理解する。
そして考える。なぜここで式神が放たれるのか。
考えられるのは、囮。しかし、問題はだれが狙われているか。
カエル108匹すべてが回収され、しずな先生と亜子が気絶している。そして、いいんちょがネギの指令で点呼を取り始める。
霊夢と魔理沙は周囲を見る。
魔理沙もこれは何かしらの囮だと考えたようで、2人とも偶然にも同じように本命が何かを探っていた。
すると、ネギが慌てて何かを探すような仕草をしたあと、スーツの内ポケットから封筒を取り出して、安心した表情をする。
「「あれか……」」
霊夢と魔理沙は狙いがあれだとすぐに理解して誰にも聞こえないようにつぶやく。
直後。ネギの手から封筒が消えた。
消えたと認識してしまうほどの素早さで燕が封筒を奪ったのだ。
「ま、待てー!」
ネギが大慌てで追いかける。
「油断しすぎよ」
霊夢はため息をつく。
ネギは燕を追いかける。
ネギの肩に乗っているオコジョ妖精のカモミールが燕の正体が式神だとネギに教える。
「シキガミ?」
「おうよ! 日本の
ネギにわかるように西洋のものに例えて説明をするカモ。
「まずい。逃げられる! 兄貴、杖は?」
「予備があるよ。エヴァンジェリンさんとの闘いでいろいろ勉強したからね」
ネギは土星のような丸と輪っかがついた小さな杖を取り出して走りながら燕に杖を向ける。
「近くに術者がいるはずだ。とらえろっ」
「よしっ。ラス・テル・マ・スキル―-」
呪文を唱え始めるネギ。しかし、移動販売にぶつかってしまい、遅れをとってしまう。
「きゃあ」
「わあっ。すす、すみません」
その隙に燕はどんどん先に進んでしまう。しかし、
先に待ち構えていた人影が刃を見せぬ速さで抜刀、納刀をした居合斬りで燕は紙に戻り真っ二つに斬られる。
人影は刀を竹刀袋に入れて封筒を取る。
「待てー」
そこにようやく追いつくネギ。
「ネギ先生」
「さ、桜咲さん?」
人影は桜咲刹那で、
「あの、これ、落とし物です」
「え、あー。コレは僕の大切な親書」
拾ったばかりの封筒、親書を渡す。
「あ、ありがとうございます。助かりました」
「それは先生のモノですか? 気を付けたほうがいいですね、先生。特に……
刹那はネギから離れ、3-Aのいる車両へと向かって歩き出す。
「それでは」
「あ、どうも御親切に」
ネギは頭を下げてお礼を言うが、カモだけは、
(オイオイ、兄貴。何が『どうも』だよ)
小声でネギ先生に注意をする。
(あの女、メッチャ怪しいじゃねーか。気をつけろよ)
(え!? どーゆーこと?)
カモは床を見るように言うと、真っ二つに斬られた鳥の紙型がある。
(さっきの取りの紙型。つまり、奴が術者だよ!)
(えぇ!? そんな。それじゃあ)
(そうだ。やつが西からのスパイかもしれないぜ)
カモの忠告が、再び生徒が敵なのでは。という不安にネギは襲われてしまう。