魔法先生ネギま project in TOHO 作:水崎雨月
その後は特に問題もなく、京都に無事に到着する。
「皆さん、降りる準備をしてくださーい」
ネギが教師らしく生徒に声をかけ、全員が下りる準備を始める。
「よし。いよいよ京都だ。この地に
「ん? どうしたん、ネギ君」
「い、いえ。楽しみですねー、京都」
木乃香に話しかけられ、笑顔で返事をするネギ。そこに、刹那からの視線を感じる。
ネギは関西のスパイではないかと疑ってしまうが、他の生徒たちのテンションに押されて、ネギもハイテンションで、
「では、皆さん。いざ京都へ!」
「「「おーーー」」」
京都に到着してまずクラス全員で行くのは清水寺。
「これがウワサの飛び降りるアレ」
「誰か、飛び降りれ」
「では拙者が」
「おやめなさい!」
超ハイテンションの3-Aの生徒たち。
「ここが清水寺の本堂。いわゆる『清水の舞台』ですね」
「いい景色だぜ」
「本来は本尊の観音様に能や踊りを楽しんでもらうための装置であり、国宝に指定されています。有名な『清水の舞台から飛び降りたつもりで』の言葉通り、江戸時代に実際に234件の飛び降り事件が記録されていますが、生存率は85%と以外に高く……」
夕映の言葉にネギと
本尊からの景色をみんなが感動していると、
「そうそう。ここから先に進むと恋占いで女性に大人気の自主神社があるです」
夕映の言葉にちょうど恋している乙女は早速そこにネギを連れて行こうとする。
「ちなみに。そこの石段を下ると、有名な『音羽の滝』に出ます。そこの三筋の水は飲むとそれぞれ健康・学業・
「縁結び!?」
「それだ!」
「あまり期待しないほうがいいわよ。当たるも八卦当たらぬも八卦ってね」
霊夢の言葉は全く聞こえておらず、ネギを連れてクラスのほとんどが我先にと急いで進む。
「みんなお年頃ね」
自分のことを棚に上げて後ろからゆっくりとついていく霊夢。
クラスみんなが地主神社に到着する。
目をつむって、石から石へとたどり着けば恋が成就する、といわれている石がある神社。
これに、いいんちょ、まき絵、のどかが挑戦する。
他のみんなは全員応援をしており、のどかは全く違う方向にフラフラと歩きだしてしまい、クラスの一部では少額ではあるが賭けを始めてしまう。
いいんちょは、謎の心眼とやらで石の位置を把握。一気に走り出すと、まき絵も薄目を開けて走り出す。
「ずるーい、いいんちょ。目開けてるでしょ」
自分のことを棚に上げて文句を言うまき絵に対し、目を閉じたまま目標へと向かういいんちょ。
「ホホホ。まさか。これで私と某N先生との恋は見事成就ですわ」
まっすぐ石へと走る2人。しかし、2人の体が一気に沈む。
2人は誰かがしかけた落とし穴に落ちたらしく、そこには新幹線と同じ大量のカエルもいた。
アスナがいいんちょを、ネギがまき絵を引っ張り上げる。
「大丈夫ですか。まき絵さん。いいんちょさん」
ネギはこれも関西呪術協会の妨害ではないかと疑い、刹那がまた自分を見ていることに気づく。
しかし、証拠もないので、明日菜の一言で、気を取り直して音羽の滝に向かう一同。
すると、さすがお年頃の少女。10人ほどが縁結びの滝に向かい、我先にと水を酌んで飲む。
「むっ」
「う、うまい!? もう一杯!」
「ぷっはああー。何コレー!」
「確かに効きそうな。霊験あらたかなこの味」
「いっぱい飲めばいっぱい効くかもー」
どんどん飲む10人の顔は赤く染まっていき、なぜか全員酔っぱらって眠ってしまった。
「ええーーー!?」
ネギと飲んでいなかったクラスの一同が驚いていると、霊夢は縁結びの滝の水に指を付けてなめる。
「ん。この味は……」
「博麗さん、どうしました?」
霊夢は音羽の滝の屋根の上へと向かう。
屋根の上にあるものを見て、霊夢が下にいる先生に言う。
「先生。お酒。清酒よ」
屋根の上に置いてあった酒と書かれた樽から伸びているホースは縁結びの滝に繋がっているので、それを持ち上げて中身が出ないようにすると、それを抱えて霊夢が飛び降りてくる。
「これが縁結びの水と混ざるようになっていたわ」
「お、お酒!? 一体だれが……」
ネギが驚いていると、霊夢はいつもと同じテンションで、
「じゃ。これ捨ててくるわねー」
それだけ言うとみんなから離れてしまう。
その後、偶然通りかかった先生にお酒臭くないかと疑われるが、ネギは甘酒だとごまかし、夕映はいいんちょの頬を何度もビンタして起こそうとするが全く起きず、バスに全員押し込んで、旅館まで連れて行く羽目となった。
嵐山の旅館。
「ほいっと」
酔っぱらって寝てしまった亜子と祐奈、まき絵の3人をアキラ、龍宮とともに運び、布団をすぐに引いてそこに寝かせる霊夢。
「この程度で酔っぱらうなんて弱いわね」
「し、仕方がないんじゃ? みんな飲んだことないんだし」
霊夢は情けない、と言いたげな顔をしている。
「この後の予定はどうなってたっけ?」
「夕飯と、お風呂。あとは自由時間だな」
龍宮の回答にありがと、と答える霊夢。
すると霊夢は、今のうちにあれを取ってくるか、と呟いて部屋から出ていこうとする。
「あ、そうそう。大河内、水を用意しておくことをお勧めするわ。あの子たちが起きたら飲ませてやれるように」
「う、うん」
霊夢は軽い足取りで廊下を歩いていき、一度旅館の外に。そして、周りに人がいないことを確認すると、自分の能力『空を飛ぶ程度の能力』で飛んでどこかへと行く。
目当てのものを取ってきて、ご満悦の霊夢は一度旅館の屋根の上に着地をして、そこに物を隠すと、何もなかったかのように入り口から旅館に入る。
そして、
「まーりさ」
夕食を終え、お風呂にも入り、あとはゆっくりするだけ。そんな時間に2班の部屋にやってくる霊夢。
「どう?」
霊夢は手をなにか持つような形にして、それを傾けてなにかを飲むような動作をする。
「お、いいね」
魔理沙はそう言って笑顔で部屋の入り口にいる霊夢の元へ行く。
「どこで?」
「上」
霊夢と魔理沙は一度4班の部屋にいく。裕奈とまき絵、そして和泉の3人は変わらずに酔いつぶれて寝ている。アキラと龍宮は外出中らしく部屋にいない。
部屋にある小さな机には水の入ったペットボトルが3つ置かれていて、手をつけた様
霊夢と魔理沙は窓から外に行き、そこからもう一段上の屋根に上ると、そこには酒と書かれた樽。お昼に音羽の滝に仕掛けられていた日本酒が置かれていた。
「なるほどな。どうやって入手したのか疑問だったんだが、納得だぜ」
「もったいないでしょ? おちょこは旅館の台所から拝借したわ」
そう言っておちょこを取り出して魔理沙に渡す。
お互いお酒を入れて、
「「乾杯」」
軽くおちょこ同士を当ててから一口飲む。
「お。さすが外の世界のお酒。うまいな」
「きれいな清酒よね」
2人とも月を眺めながら静かに飲む。そして、
「ねぇ。今日のこと、どう思う?」
まず、霊夢が話を振る。
「今日のこと?」
「新幹線とか、清水寺とか」
「ああ」
霊夢の言葉に魔理沙は納得して、
「変だよな。狙いはネギの持っている手紙っぽいが……」
「それだけのために式紙まで普通持ち込む?」
「むしろ魔法がばれちまうぜ」
魔法が、ばれる。
霊夢はそう呟くと少し考える。そして、
「そうか、ばれていいのよ。ネギ先生の持っている手紙が魔法関連の何らかの親書だとすれば」
「魔法関連だから魔法で奪おうとするって訳だな。だが、やっていることは幼稚だぜ……」
「まぁ、陽動ってことなら新幹線で一度成功してるし……、ん?」
霊夢は突然旅館の入り口の方角をみる。
「どした?」
「結界が張られたわ。これは……式紙返しね」
魔理沙は霊夢の向いている方向をみるが、
「よくわかるな。私にはさっぱりだ」
全くわからないため、肩をすくめて言う。
「式紙返しってことは、ネギの味方か?」
「そのはずね。問題は術者は誰なのか」
そんなことを言いながらお酒をおちょこに入れる霊夢。
「待てよ。ってことは、このクラスの中に式神返しが使える術者がいるってことか!?」
「何を今更。世界樹なんていうとてつもなく大きな樹があるのよ? それに学園の敷地を覆う巨大な結界。麻帆良学園は魔法使いが作った学校だと想像するのは難しくないわ。生徒の大半は普通の学生みたいだけど、魔法先生、もしくは魔法生徒が一定数いるわよ」
ため息をつきながらヤレヤレ、と言いたげな口調で言う霊夢。
「マジか……」
そして、全く気づいていなかった魔理沙は驚きのあまり開いた口がふさがらない。
「ということは、ネギも魔法先生なんじゃね?」
「かもしれないわね。どうでもいいけど」
本心からどうでもいいと考えているらしく、おちょこにお酒を入れようとして中身が出てこないので、樽を軽く振って中身を確認している。
そこに、旅館の一室から勢いよく飛び出してくる人影を2人は気づく。
そっちを見ると、あまりのジャンプにまだ中空にいる大きな影。頭でっかちな姿、月明かりに照らされ見えるそれは、サルの着ぐるみ。肩の部分には小さいサルがたくさんいて、それは式神だと2人はすぐに気づく、そして着ぐるみが抱えているのは、
「……近衛?」
まるで意識を失っているかのように、体に力が入っておらず、目を閉じている浴衣姿の近衛木乃香。
「あれは、近衛……か? 狙いはネギの手紙じゃなかったのか!?」
誘拐という予想外の展開に魔理沙が立ち上がり驚きの声を上げる。
「……」
霊夢は持っていたお酒の入っていた樽を屋根におろし、魔理沙の手に持っているまだお酒の入ってるおちょこを取ると、一口で全て飲んでしまう。
「あ、霊夢。てめっ」
酒を取られて苛つく魔理沙。
そんな魔理沙に目もくれず、2つのおちょこを樽の上に置く霊夢。
「ねぇ、魔理沙。酔っちゃったわね」
「ん? まぁ、そう、だな」
普段から宴会で飲んでいた2人はこの程度では酔わないはずだが、魔理沙は、霊夢の発言の意図が読みきれず、歯切れの悪い同意をする。
「夜風に当たりにいかない? ここよりもーっと強い夜風に」
霊夢は小さい影となってしまっているサルの着ぐるみを指さして言う。
それを見た魔理沙は笑顔になり、
「ああ! いいぜ!」
「ホウキは?」
「あるぜ」
「先行ってるわよ」
魔理沙は旅館に急いで戻り、霊夢は体を伸ばして軽くほぐすと、その場に浮き上がり、着ぐるみのあとを追うように空を飛ぶ。
すぐに魔理沙も追いつき、2人で飛ぶ。
「お酒入ってるから、極力戦いはしないわ。拠点があるならそこを突き止める感じで」
「了解だぜ。もしも近衛が危険な目に合いそうなら、ってことでいいか?」
魔理沙の言葉に霊夢は頷くだけして、進行方向に顔を向けている。
はるか上空からバレないように着ぐるみを追いかける2人。途中、ネギとアスナと刹那が着ぐるみを走って追いかけているのが見えた。
「ちょうどいいわね」
「あ?」
「………」
霊夢がボソッと呟き、聞き取れなかった魔理沙は聞き返すが、霊夢は何も言わない。
紫の言っていた神楽坂明日菜の脅威。それがここでわかるかもしれない。霊夢はそう考えると、自然と口角が上がる。
サルの着ぐるみと刹那、アスナ、ネギは無人の駅の構内へと入っていく。
いくら夜とはいえ、あまりに不自然なほど人の気配がない。
「これは、人払いの術かしら?」
あまりの静けさを怪しんだ霊夢が呟く。
「予め発動させておく必要がある術だよな。ってことは、計画的な犯行だな」
サルの着ぐるみが電車に乗ると扉が閉じ始めて、3人はギリギリ飛び込むように乗り込む。
「魔理沙。急いで」
出発し始めた電車の屋根に霊夢と魔理沙は着地して、落ちないように身をかがめて風の影響を最小限にする。
「霊夢! 線には触れるなよ。電気で死ぬぞ」
「そんなの分かっているわよ。バカにするな」
電車はどんどん速度を増していく。
「なぁ、これ中に入ったほうがいいんじゃねーか?」
「窓も扉も閉まった状態で入れる方法があるなら聞かせてもらおうじゃない」
風に耐えながらどうにかしがみついている2人。そこに、霊夢たちが足場にしている車両の隙間から大量の水が出てきて、車両の中が水に満たされるというわけのわからない状態になったことに2人は気づく。
「なっ、み、水!? 酔い覚ましにはうれしいが、こんなにいらないぜ」
「何かの魔法でしょ。おそらく、ネギ先生たちを溺死させるための魔法ね」
っていうか、あんたそこまで酔ってないでしょ。
と付け加えて電車の進行先を見る霊夢。
「駅までまだあるわね」
このままでは3人とも駅まで持たない、と考えた霊夢は、手持ちの道具で水を抜けないか考えるが、手持ちにあるのは、札と針のみ。
「こんな針じゃ役に立たないし。魔理沙、剣とかないの?」
「さすがに持ってきてねーよ! 儀式用のも寮だ」
「役立たず……」
「あぁ!? そこまで言うことあるか!」
霊夢は怒る魔理沙を無視して対策を考えるが、そうしていると、すべての車両の窓や扉など車両のあらゆる隙間から水があふれ出す。
「? 変ね。これだと術者が水から逃げる場所がないわよ」
「ほう。こりゃあ、中で電車の連結部の扉を壊して開けたな。それで水が全車両に行き渡ったんだ」
「これなら駅まで持ちそうね」
そのまま京都駅に到着し、扉が開くと、大量の水と水の流れに乗ってネギ、アスナ、刹那と、別車両から着ぐるみと意識を失ったままの木乃香が出てきた。
「み、見たか。そこのデカザル女。いやがらせはあきらめておとなしくお嬢様を返すがいい」
「ハァハァ。なかなかやりますな。しかし、このかお嬢様は返しまへんえ」
「え、このか、お嬢様?」
再び着ぐるみは木乃香を抱えて走ってしまう。
「せ、刹那さん。一体どういうことですか」
追いかけながらネギが刹那に説明を求め、霊夢と魔理沙も再び空を飛び、3人の後ろをばれないように追いかける。
「ただの嫌がらせじゃなかったの!? 何であのおサル、このか一人を誘拐しようとするのよ」
「じ、実は、以前より、関西呪術協会の中に、このかお嬢様を東の麻帆良学園へやってしまったことを心良く思わない
ふぅん。そういうことね。
後ろから盗み聞ぎしている霊夢たちはこの一連の騒動の裏側を理解する。
「私も学園長も甘かったと言わざるを得ません。まさか修学旅行中に誘拐などという暴挙に及ぶとは……。しかし、もともと関西呪術協会は裏の仕事も請け負う組織。このような強硬手段に出る者がいてもおかしくはなかったのです」
「ここも人払いの術がされているわね」
「みたいだな」
改札を飛び越えて巨大な階段のところに行き、その中腹で着ぐるみが脱げて中から丸メガネの女性が出てくる。一枚の長方形の紙を人差し指と中指で挟んで持っている。
「フフ……。よーここまで追ってこれましたな」
天井が高いので2人は上に飛んで天井付近に行く。
「霊夢。もしもの時は手を出すぞ」
「……。この感じだと必要なさそうだけどね」
「1対3だからか? それは根拠にならんだろ」
「ま、様子見しましょ」
霊夢は空中で足を胡坐の形にしてしまう。
魔理沙もそれを見て、ホウキにまたがる形から横に座る形にする。
「三枚目のお札ちゃん。いかせてもらいますえ」
指挟んでいるお札を放り投げる。
「お札さん、お札さん。ウチを逃がしておくれやす」
刹那が走り出すが間に合わず、
大の字の巨大な炎が発生。炎の壁となり、近づけなくなる。
「うあっ」
あまりの火力に刹那の足が止まり、すぐ後ろからアスナが走ってくると、刹那の体を引っ張って炎から守るように自分の体を前にする。
「ホホホ。波の術者ではその炎は超えられまへんえ。ほな、さいなら」
魔理沙は自分の武器であるミニ八卦炉を取り出すが、霊夢が手を伸ばして魔理沙を制止する。
魔理沙はイラついて霊夢に文句を言おうとした瞬間。
「『
ネギから暴風が吹き荒れ、大の字の炎を一瞬で消し飛ばした。
「なっ。なんだと!?」
「へぇ」
魔理沙が驚きの声を上げ、自然とよく見るために体が前かがみになる。
「逃がしませんよ! このかさんは、僕の生徒で、大事な友達です!」
ネギが剣を持ったアスナの絵が描いてあるカードを取り出して高々という。
「『
カードを掲げ呪文を唱えるネギ。
「『
呪文を唱え終えると、アスナの体が何かに覆われ、輝きだす。
「……。魔理沙。どういう意味?」
「知るわけないぜ……。だが、どうやらネギは魔法先生みたいだな」
そうね。と霊夢は残念だ、と言いたげな表情で言う。
魔理沙を止めたのは、ネギの魔法ではなく、紫が恐れているアスナの力が見れるかと思ったためである。
ネギが魔法先生という情報は得たが、本命の情報は得られずちょっと機嫌が悪くなっている霊夢。
「そこのバカ猿女ーー! このかを返しなさーい!」
アスナが先頭を走り、後ろからネギ。刹那はジャンプしてアスナとは違う方向から近づこうとする。
「魔理沙。あの光は?」
「んー。ネギの魔力、だと思うぜ。ネギの呪文みたいなものが終わった途端に魔力がネギから注がれたのが見えた」
「魔力の層……といったところかしら」
「アスナさん! パートナーだけが使える
「武器!? そんなのあるの? よーし、頂戴」
ネギは持っているカードをアスナに向け、
「『
呪文を唱えると、アスナの手に光が走り、何か形を作る。
光が収まると、アスナの手には、巨大なハリセンが握られていた。
「な、ナニコレ―!」
武器だと思いきや、ただのハリセンが出てくるという。まさかの展開にアスナが文句を言うが、仕方がないのでこのまま思いっきり振りかぶって振り下ろすが、
先ほどのサルの着ぐるみが動き出し、白刃取りをしようとして全く手が届かず、頭をアスナのハリセンがはたき、刹那の剣は熊の着ぐるみが表れて片手でキャッチして防いだ。
「な、動いた!?」
「さっき言った呪符使いの善鬼護鬼です!」
「なぁ、霊夢。着ぐるみじゃないのか?」
アスナと刹那の言葉を聞いて魔理沙が霊夢に聞いてくる。
「あれも式神よ。善鬼護鬼は聞いたことがあるわね。確か、呪符使いってやつらが使う式神よ。まぁ、わかりやすく言うと、術を使う際の隙を守る護衛みたいなもの」
「なるほどな」
「ホホホホ。ウチの猿鬼と熊鬼はなかなか協力ですえ。一生そいつらの相手でもしていなはれ」
木乃香を連れて行こうとする呪符使いの女。
「この! たぁー!」
アスナがそうはさせないために思いっきり猿鬼をハリセンで叩くと、叩かれたところから煙になり、姿がどんどん消えていった。
「なっ!?」
さすがの霊夢もこれにはものすごく驚く。
「おい。なんだ今のは。一撃でやられるほど弱くは見えなかったぞ」
魔理沙が霊夢のほうを向いて聞く。
「一撃で倒せるとは思えないわ。そう考えると考えられる可能性は1つ。退魔能力」
「退魔能力だと!? アスナの能力か」
魔理沙は自分たちも持つ、~程度の能力がアスナも持っているのでは、と思うが、
「いや、違うわね。おそらく、あのハリセンの能力ね」
霊夢は即座に否定する。
「おそらく魔道具でしょうね。それなら退魔能力が付いていてもおかしくはない。けど、こんな強力なのは初めて見たわ」
コレが紫の恐れている力?
霊夢は一瞬そう考えるが、違う。とすぐに内心否定をする。
この程度の能力なら、紫なら一瞬で対応できるはず。ただ、スキマを叩かれればおそらくスキマは閉じる。
そう考えると再びアスナの観察に戻る霊夢。
刹那と対峙していた熊鬼はアスナが担当することになり、刹那が呪符使いの女に突撃するが、
それを妨害する一つの人影。
人影の太刀筋を防ぐと、お互い弾かれ、刹那はなんとか着地するが、人影はゴロゴロと地面を転がっていく。
刹那は今の人影が自分と同じ流派、京都神鳴流だと理解する。そして、
「あいたたー。すみません。遅刻してもて……」
埃を払いながら立ち上がるのはまさに現代風の少女。ロリータ服を着た長髪のメガネの少女。右手には普通の白木の柄の日本刀を持ち、左手には1/3程度の長さの小刀を持っている。
「え、お、お前が神鳴流剣士?」
ちょっと思考が昔の人寄りの刹那はあまりの出で立ちに驚く。
「はい~~~。月詠いいますー。見たとこ、あなたは神鳴流の先輩さんみたいですけど。護衛に雇われたからには本気でいかせてもらいますわー」
「こんなのが神鳴流とは、時代も変わったな」
「では、いきます。ひとつ、お手柔らかにーー」
律儀に軽く頭を下げると、一気に刹那に詰め寄り、まずは右手の刀を振り下ろしながら左手の小刀を逆手に持ち替える。刹那は振り落とされる剣を自らの刀、野太刀の夕凪で防ぐ。
次は小刀を振りながらつばぜり合い状態の刀を離すので、刹那は後ろによけるが、一度下げた刀を今度は下からの切り上げで振り上げてくるのを刹那は空いている左手で相手の手首をつかむことで防ぐ。そして再び小刀を振ってくるのを、左手でつかんだ腕を無理やり引っ張って体制を崩す。しかし、それでも振ってくるのを野太刀で防ぐ。
「速い。そして、強い!」
魔理沙は今の一連の動作にめちゃくちゃ興奮して息が少し荒くなった状態で言う。
「剣は妖夢に聞かないとちょっとわからないけど、あの月詠ってやつ、やばいわね。見たところまだ本気を出してないし、剣の勝負で勝てるのは妖夢ぐらいじゃない?」
「ざーんがーんけーん」
神鳴流の必殺の一撃も繰り出され、刹那がかなり不利な状況。
そして、アスナも小さい猿の式神たちが体にまとわりつき、かなり苦戦している状況。
その隙に呪符使いの女は逃げようとするが、
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル
ネギの存在を忘れていたらしく、誰もマークしていないネギが呪文を完成させ、魔法の射手を放つ。11本の魔法の矢が呪符使いの女に向かって飛ぶ。
「ひぃいい」
「あ、曲がれ!」
女は咄嗟に木乃香を盾にするので、ネギは魔法の矢を曲げて当たらないようにする。
「あら?」
「こ、このかさんを離してください! 卑怯ですよ!」
「は、はは~~ん。なるほど、読めましたえ。甘ちゃんやな。人質が多少怪我するくらい、気にせず打ち抜けばえーのに」
木乃香を肩にかかえて、お尻とパンツが丸見え状態にしてしまう。
「ホーホホホ。まったく、この娘は役に立ちますなぁ。この調子でこの後も利用させてもらいますわ」
アスナが熊鬼に掴まれて持ち上げられてしまう。
「せやなー。まずは呪薬と呪符でも
その言葉を聞いたネギ、アスナ、刹那がキレ、魔理沙も怒ってミニ八卦炉を向けるが、霊夢が魔理沙の前に手を伸ばしてまた制止する。
「霊夢!」
「うるさい。ちょうどいいところなんだから。邪魔しないで」
霊夢の表情はいつも通りに見える。
霊夢からすれば、この勝負はアスナの力見るためのだけのもの。もしもの時は自分が動けばいい。だから、
怒りという感情が浮かんだ、このタイミングは霊夢からすれば都合がいい。
怒りという感情は力をあげる。つまり、
紫の恐れている隠された力がわかるかもしれない。
霊夢にとって、今はそれしか興味がない。
だから、魔理沙の魔法で邪魔をされては困る。
「ウチの勝ちやな」
呪符使いの女は木乃香の丸出しになったお尻を撫でて、
「フフフ。このかお嬢様か。なまっちろいおケツしよってからに、かわえーもんやなぁ。ほななー。ケツの青いクソガキども。おしーりペンペーン」
そう言って、呪符使いの女は木乃香のお尻を2回たたくと、
「このかお嬢様に何をするか―ッ!!」「このかになんてことすんのよ」
刹那は月詠を一振りで切り飛ばし、アスナも熊鬼を一撃で煙にして、一直線に呪符使いのもとへ行く。
魔理沙もミニ八卦炉に魔力を込めだしたので、霊夢が指をパチンとならすと魔理沙を囲うように結界が張られる。
「霊夢!」
「邪魔をするな。私は見たいの」
魔理沙のほうを見ずにタンタンという霊夢。その光景に魔理沙は恐怖心を覚えるが、いつでも魔法が放てるように魔力は込める。
「『
まず、ネギの呪文が炸裂。呪符使いの女と木乃香の服が花びらとなり、消し飛ばされる。
「なっ。服が!?」
「なるほど。相手の武器、防具をはぎ取る魔法ってところね」
いきなりネギが敵を素っ裸にしたことに魔理沙は驚くが、霊夢は冷静に分析をしている。
次にアスナのハリセンが呪符使いの頭を叩き、そして別の札を取りだして反撃をしようとしているが、それよりも早く、
刹那の剣が近くにいる式神の猿共も巻き込み斬り飛ばす。
「秘剣 百花繚乱!」
地面を転がり、壁にさかさまで激突する。そして木乃香は、ネギの魔法で優しく受け止められて地面に寝かされる。
「なな、なんでガキがこんな強いんや」
額に2が書かれた猿鬼が現れ、メガネを探している月詠と一緒に飛んで逃げて行ってしまった。
「追うぞ、霊夢」
「必要ないわ」
「なぜ!」
「今回の私たちの目的は近衛木乃香の救出のための拠点探し。ネギ先生がいたから救出を任せたけど、元々の狙いはそれでしょ。無駄に追いかける必要はないわ」
それに、追いかけてもアスナの力は見れない。
霊夢は口には出さないが、内心そんなことも考えていた。
「おい、霊夢。お前、何を企んでいるんだ?」
「企みなんてないわ。ただ、見たいだけ」
霊夢はそういうと組んでいた足をもとに戻し、帰るわよ。とだけ言うと先に駅から出てしまう。
「おい!」
魔理沙もすぐにあとを追いかける。
「なぁ。霊夢。お前は何が見たかったんだ?」
「アスナの力。紫が恐れているみたいだから、どういう力なのかなってね」
「あの紫がか……? まぁ、確かに退魔の力は紫からすれば脅威だな」
「いや? あの程度なら紫は問題ないでしょ。だから何か別の脅威があると思っているわ」
「なるほどだぜ」
夜の空を飛ぶ2人。
ネギたちより早く旅館につき、じゃあね、と2人はお互いの班の部屋に行く。
中に入ると、すでに班のメンバーは全員寝ていたので起こさないように自分の布団の場所に行って寝る。