魔法先生ネギま project in TOHO 作:水崎雨月
アスナ、刹那と離れて木乃香救出に杖で飛んで向かうネギ。そこに、昼間に戦った犬上小太郎という少年が襲撃してくる。
影から出てくる式神のような黒い犬、気による身体強化でネギを襲う。
戦いたいだけならあとで、というネギに対して、小太郎は今の決着を望み、今すぐ自分を倒せば木乃香の救出に間に合うかもしれない、という言葉から、ネギは頑固さと子供っぽさが悪い方向に出てしまい、それに応じてしまう。
しかし、そこに楓が助けに入る。楓の助言でネギは先に向かい、小太郎の相手は楓がすることとなる。そして、
杖で飛んで召喚魔法の儀式場に近づくネギ。そこに、白髪の少年が式神を召喚。ネギを足止めしようとするが、
自分に魔力を供給、杖の速度を最大にすることで1撃で倒しながら突破する。
さらに、風を使って下にある湖の水を霧状にして目隠しをして、さらに杖を囮にして、白髪の少年に拳を振るう。しかし、当たる直前に透明の壁にさえぎられる。
右拳をつかまれてしまい、逃げることもできなくなる。
慣れない近接を選んだことを蔑み、期待外れだという白髪の少年。しかし、
不敵に笑うネギ。左手を胸元にあて、そして、
『魔法の射手 戒めの風矢』が無詠唱で発動。
数十秒の時間稼ぎができる。その隙に救出しようとするが、木乃香の姿がない。周りを探そうとすると、
四本腕の巨人が光の柱の中に現れていて、木乃香と呪符使いの女は巨人の顔の付近で浮いている。
ネギはまだ完全に封印が解けていないことに気づき、今自分が使える一番強い魔法を使おうと呪文を唱える。
『
雷を纏った暴風が一直線に巨人、リョウメンスクナノカミへと向かう。が、
直撃を受けても無傷。ダメージが一切ない。
「そ、そんな」
そこに白髪の少年の縛っていた魔法の射手が解ける。
「善戦だったけど。残念だったね」
白髪の少年が一歩ずつ近づいてくる。そこに、
「なるほどなるほど。確かに強力な魔法だぜ。だが」
声が聞こえネギもカモも、白髪の少年も上を見る。すると、そこにはホウキに乗った魔理沙の姿が。
「マスタースパーク!!!」
ミニ八卦炉を構えて、得意の極太レーザーをリョウメンスクナノカミに放つ。
数秒間のレーザー。だが、リョウメンスクナノカミは無傷のまま立っていた。
「なにっ」
得意の必殺技が通じていないことに魔理沙は驚くが、降りてネギの近くに行く。
「悪いな、ネギ」
「き、霧雨さん。今のはいったい?」
「なるほど。君は脅威になりそうだ」
白髪の少年がすぐそこまでくる。
「殺しはしない。けれど、自ら向かってきたということは、相応の
魔理沙は八卦炉を向ける。
「ネギ君はもう限界だね。よく頑張ったよ」
右手をネギに向ける。魔理沙はミニ八卦炉に魔力を込める。
「やれ、兄貴」
カモの言葉と同時にカードを取り出すネギ。
「
魔法陣が表れて、2人の姿が現れる。
「おぉ!? 召喚魔法か」
「アスナさん、刹那さん、僕、すいません。このかさんを」
「わかってるネギ! ってぎゃああ。何よあれ」
後ろを見たアスナがリョウメンスクナノカミの姿に驚く。
「それで、どうするの? ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト
「なに、これは、始動キー!? こいつ、西洋魔術師、しかもこれは。姐さん、やつの詠唱を止め」
「ダメです。間に合わない」
カモが止めるように言うが、間に合わない。
「
「マスタースパーク!」
「『
石化の煙が爆発するように一気に広がるが、その煙をレーザーが白髪の少年ごと吹き飛ばす。
「き、霧雨さん!?」
「どうだ!」
煙で何も見えない。魔理沙が一歩進むと、煙の隙間から無傷の白髪の少年が見え、
「『
再び煙がばらまかれる。
4人はなんとか逃げ、数十メートル遠くへと逃げた。
だが、ネギは煙が掠ったらしく、右手が石化し始めていた。
「大丈夫。かすっただけです」
刹那はそれを見て、何か覚悟を決めたようで、
「3人は今すぐ逃げてください。お嬢様は私がすく出します。お嬢様は千草と共にあの巨人の肩のところにいます。私ならあそこまで行けますから」
「私だって行けるぜ」
「申し訳ありません。私は、このかお嬢様にも秘密にしていたことがあります。この姿を見られたら、もうお別れをしなくては、なりません」
ん? 妖力?
魔理沙は刹那からわずかだが、妖力が出ていることに気づく。
「でも、今なら、あなた達になら」
刹那は力を入れると、背中から大きな白い翼が現れる。
「これが、私の正体。奴らと同じ、化け物です。でも、誤解しないでください。私のお嬢様を守りたいという気持ちは本物です。今まで秘密にしていたのは、この、見にくい姿をお嬢様に知られて嫌わるのが怖かっただけなんです」
「ふぅん」
「ひゃっ」
アスナは全く気にせずに翼に触れ、翼にふれ、匂いを嗅いだり抱き着いたりしている。
「あの、明日菜さん?」
そして、背中をたたく。
「なーに言ってんのよ、刹那さん。こんなの背中から生えてくんなんてカッコイイじゃん」
「え」
「あんたさぁ、このかの幼馴染でそのあと2年間も陰からずっと見守ってたんでしょ? その間、あいつの何を見てたのよ。このかがこのくらいで誰かのことを嫌いになったりすると思う? ホントにもう、バカなんだから」
「あ、明日菜さん」
笑顔で言うアスナに刹那が涙目になって名前をつぶやく。
「ほら、早く」
「ハイ!」
翼を広げる刹那。そして、煙の中からゆっくりと白髪の少年が現れる。
「ネギ先生。このちゃんのためにがんばってくれてありがとうございます」
翼をはばたかせ、白髪の少年のはるか上を通り過ぎて、リョウメンスクナノカミへと向かう。
それを白髪の少年は止めようとするが、魔法の射手を一本放って止める。
「さて、ここからどうしようか、カモ君」
「ああ。こっちはもう手を出し尽くしちまったしな。そっちの姉さんは?」
「私はまだ手はあることがあるが。こいつ相手に通じるかわからないぜ……」
魔理沙も手持ちの魔道具を手で触れるだけで探る。
『坊や。聞こえるか? 坊や』
頭に響く声が突如として鳴り響く。
「こ、この声は!?」
『フフフ。わずかだが、貴様の闘いのぞかせてもらったぞ。まだ限界ではないハズだ、坊や。意地を見せてみろ。あと1分半持ちこたえられたなら私がすべてを終わらせてやろう』
「な、なんだこの声。どこかで聞いたような?」
『ぼーや、さっきの闘い、作戦といい見事だった。だがな。貴様、少し小利口にまとまり過ぎだ。今からそれじゃ、とても
「アスナさん、霧雨さん、いきます!」
「OK」
「ネギ、魔力もまだ残っている私がまず出る。後ろからサポートを頼むぜ」
「はい」
魔理沙が前に出て、後ろで2人が構える。
「来るのかい? では、相手をしよう」
「GO!」
カモの言葉と同時に魔理沙は自分の周りに入れ物のようなものを投げる。すると、それが爆発して、緑色の魔力の弾が白髪の少年に向かって飛ぶ。
「マジックミサイル!」
そして、と付け加えて、ホウキの後ろにミニ八卦炉を付けて、
「ブレイジングスター」
ミニ八卦炉の力で超高速で白髪の少年に突進するが、
白髪の少年の直前で壁のようなものに止められる。
「くっ。かてぇ」
次の瞬間、魔理沙は横から蹴飛ばされ、湖の水面を何度も跳ねて、湖を超えて森の中へと転がって行ってしまった。
「き、霧雨さん!」
ネギが心配して声を出し、アスナはハリセンをもって突撃する。
しかし、白髪の少年の姿が消え、後ろに現れると上からの蹴りで足場の橋にたたきつけられる。
次にネギの後ろに現れて左手で殴り飛ばされる。
そのままアスナとぶつかり2人がさらに遠くへと転がっていく。
さらに白髪の少年の追撃。高速で殴り、動きを止めると、肘で殴り飛ばして転がす。そして、
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト
上に飛んで上空から輝きだした人差し指と中指をくっつけてネギとアスナに向ける。
「
アスナがネギをかばうように抱きかかえる。そして、
「『
光線がネギたちを横切り、切断するかのように走ると、足場の橋も光線が触れた近くは石になる。ネギの後ろの橋は砕け落ち、アスナは服だけが石化していた。
「やはり。魔力完全無効化能力者か?」
白髪の少年がその光景をみてつぶやき、魔力のこもった拳を振るおうとするが、その腕はネギが手首をつかんで抑える。
「あ、アスナさん。大丈夫、ですか?」
「大丈夫よ。いたずらの過ぎるガキには、おしおきよ」
服が砕け上半身だけ裸体があらわになるが、気にせずハリセンで白髪の少年を叩く。
すると、あたりに砕けるような音が聞こえ、
ネギが石化している右手でその顔を殴る。
アスナのハリセンの退魔能力で魔法障壁がなくなり拳が入った。ネギの懇親の一撃で顔は後ろを向いている。そして、
「身体に直接、拳を入れられたのは、初めてだよ。ネギ・スプリングフィールド」
顔をネギのほうに向ける白髪の少年。しかし、
その眼前には、八角形の物体が広がった。
「!?」
黄色い魔法陣が浮かんでいる何者かの手でつかまれている八角形の物体、ミニ八卦炉。
魔理沙が横からものすごい勢いで戻ってきて、上からさかさまでネギと白髪の少年の間に手を伸ばし、白髪の少年の眼前にミニ八卦炉を突き出している。そして、
「ファイナルスパーク」
魔法障壁がない状態でレーザーが直撃してしまう。
「き、霧雨さん」
横から流れるように魔法を放った魔理沙はネギのところで止まることができず、その勢いのまま進んでいくが、反転して足を下に戻すと、水をまき散らしながら急ブレーキして止まる。
「すまないぜ、ネギ。ってか、霧雨って言いづらいだろ、魔理沙でいいぜ」
煙によって白髪の少年はどうなったのかわからない。だが、その方角に魔理沙はミニ八卦炉を向ける。
「行くぜ。ファイナルマス―――」
とどめに最も威力のある、最強の魔法を使おうとするが、眼前に広げられた手が現れて魔理沙の視界を封じる。
隙間から見えた光景、それは白髪の少年の姿。
まずい。
魔理沙はそう考えるが、回避は不可能。反撃も無理。ファイナルマスタースパークの準備中でミニ八卦炉も使えない。
「
言葉はわからない。だが、この一撃は死の一撃。
直感的に理解するが、魔理沙はどうすることもできない。
そして頭に浮かぶのは、まずミニ八卦炉を作ってくれた半妖、森近霖之助の顔。
これが、走馬燈か。
死を回避するために、今までの記憶から解決策を探るという説がある走馬燈を見て、なんでこーりんの顔が浮かぶんだよ、と魔理沙は内心笑う。
次に思い浮かぶのは、霊夢、そして同じ魔法使いのアリス・マーガトロイドとパチュリー・ノーレッジ。
そして、最後に浮かぶのは、思い出したくもない両親の顔。
最後にそんなやつの顔見せるんじゃねー。
解決策は見つからない。
死を覚悟した魔理沙。だが、
魔理沙の眼前に広げられた手の手首が突如掴まれて、魔理沙の眼前から動く。
白髪の少年と魔理沙はその手の持ち主を見るために視線を下げる。すると、水面に浮かぶ影から一人の女が出てきていた。
「うちの坊やが世話になったようなだな、若造」
そして、影から出てきた人影は一撃で白髪の少年を吹き飛ばし、水面の水を分けながら進んでいき、そのまま湖の中へと消えていった。
出てきたのは、金髪の長い髪に黒いワンピースのような服の少女。
「え、エヴァンジェリンさん!」
橋の上からネギが少女の名前を言う。
「これで貸し借りはなしだな、ぼーや」
「え、エヴァンジェリン……? ってこの妖力!?」
「霧雨か。奴が最後に使おうとしたのは永久石化だ。危なかったな」
「あ、あぁ、助かったぜ。このお礼は今度精神的に」
「ちゃんと実物で返せ」
そんな話をしていると、リョウメンスクナノカミが結界に包まれる。
「ちゃ、茶々丸さん!?」
アスナが高い視力で空を飛ぶ茶々丸が銃を放ったのが見えてつぶやく。
そして、エヴァンジェリンの周りに蝙蝠が大量に近づいてきてマントになる。
「ぼーやはよくやったよ。だが、まだまだだな。いいか? このような大規模な戦いで魔法使いの役目とは、究極的にはただの砲台! つまり火力がすべてだ」
お。エヴァンジェリンいいこと言うぜ。
弾幕はパワーの格言をよく言う魔理沙はそんなことを思う。
「私が今から最強の魔法使いの最高の力を見せてやる」
高笑いをしながら空を飛ぶエヴァンジェリン。だが、途中で止まって振り向くと、
「いいな! よーく見ておけよ!」
なぜかネギとアスナを指さして念押しをする。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック
リョウメンスクナノカミを中心に周辺が一瞬にして凍り付く。
「あ、あんた何者や」
せっかく誘拐した木乃香を刹那に奪われ、しかも突如として現れたやつに結界でリョウメンスクナノカミを一時的とはいえ封印されてしまった呪符使いの女が叫ぶ。
「くくく。相手が悪かったな、女。ほぼ絶対零度、150フィート四方の広範囲完全凍結殲滅呪文だ。そのデカブツでも防ぐことはかなわずぞ」
すげぇ威力だ。
自分の魔法とは全く違う、圧倒的な力に魔理沙は驚く。
外の世界の魔法に感動をしていると、エヴァンジェリンが続きの呪文を言う。
「
最後振り返りながら指を鳴らす。
「『
その言葉通り、リョウメンスクナノカミは凍り付いたまま砕け散った。