食戟のソーマの世界に転生した女性の悲哀とは……。
ちょっと思いついたネタをそのまま書いた一発ネタです。


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一発ネタ、リベンジ。(笑)
男性じゃなく、女性は大変だろうなと思った。(小並感)
リアクション(脱衣)が一般的なことについては、独自解釈というかネタということでお願いします。(土下座)


食戟のソーマの世界で、『お、美味しくないわよっ!』と叫ぶ私。

 ここは、『食戟のソーマ』の世界。

 そこに、私は転生した。

 

 どうせなら、乙女ゲームの方が良かったわあ……。(遠い目)

 

 あ、でも……モブだから、どっちもどっちなのかしら。

 少なくとも、いきなり命を奪われるような状況にはならないし、美味しいものも食べられる。

 だったら、同じ転生でも、わりと『当たり』なんじゃないかしら。

 

 

 ……そんなふうに思っていた時代もありました。

 

 

 ここは、『食戟のソーマ』の世界。

 もしくは、それに準ずる世界。

 

 この世界の人間は、わりと、食に対するリアクションが大きい。

 

 一口食べて、目を開くなんてざら。

 口笛を吹く人がいる。

 フォークや箸を取り落とす人がいる。

 

 なんていうか、そう……テレビドラマっていうか、私の目には演技っぽく見えるのよ。

 日本人の集団で、欧米人がやるような肩をすくめる仕草をすると……ネタ扱いよね?

 

 あれに近いの。

 

 この世界では、『私以外の全員』が、食事の際にネタ行動に走ってるみたいに思えちゃうの。

 しかも、誰もそれを不思議に思わないの。

 

 それが当たり前だし、当たり前のように受け入れる。

 恥ずかしいとも思わないし、それを責める人もいないし、眉をひそめる人もいない。

 おそらく、それらの奇行に違和感を覚えるのは、世界で私一人だけ。

 

 不思議なことに、食事のとき以外に同じことをやると、周囲からツッコミが入るわ。

 

 

 ……そういうものだと、納得するしかないの。

 

 

 

 

 ねえ、そのぐらい別にいいじゃないかって思わなかった?

 いえ、多分思ったはずよ。

 

 美味しいもの食べられてラッキー。

 そのぐらいは我慢しなきゃ、って思ったわよね?

 

 

 私が子供の頃、親戚の結婚式があったの。

 新郎の友人が、例の遠月の卒業生だったらしくてね。

 ご祝儀だ、腕を振るうぜって……披露宴の料理を手がけたらしいわ。

 

 私、脱いじゃってた。(スカートは死守)

 

 われに返って、慌ててしゃがみ込んだわよ。

 でも、不思議なことに騒ぎになってなくてね。

 

 こわごわと周囲に目をやったら……結婚式というか、ヌーディストビーチの有様だったわ。

 親戚の花嫁さんだけが、ウエディングドレスでね。

 

 ああ、花嫁さんって、結婚式でろくに食事を取れないもんね……なんて、現実逃避しちゃった。

 

 

 ねえ、この恐ろしさが分かる?

 私の身体は、この世界の法則に従っちゃうのよ。

 

 そして、周囲は気にしないとわかっていても、それがこの世界じゃ当たり前なんだとわかってはいても。

 

 あんな表情を晒したり。

 肩をはだけたり。

 おっぱい丸見えにしたり。

 最悪、裸になったり……。

 

 私自身の、転生者としての価値観というか、羞恥心だけはごまかせないのよ。 

 

 

 

 私は、食事が怖い。

 いえ、美味しい食事が怖い。

 

 美味しいものは食べたいけど、自分の部屋で、独りじゃないと食べたくないわ。

 

 友達と一緒に外食に行く時なんか最悪よ。

 

「この店評判なのよ」

 

 なんて、笑顔でいう友人に腹パンかましそうになるもの。

 

 

 美味しくない、美味しくない。

 美味しいなんて認めない。

 

 食事の前に、必ず唱えるこの呪文。

 もはや呪いよ。

 

 

 そんなことを続けてたら、友人たちの間で『私はグルメ』ってことになってたわ。

 

 どうも私、出された料理をものすごい真剣に観察してるように見えるらしいわね。

 食べる時も、いちいち何かを確かめるように……。

 

 覚悟を決めるための、呪文を唱えてるだけ。

 あと、味で意表をつかれないように、観察はするわね、確かに。

 そして食事中は、気を張り詰めてるだけ。

 

 

 そんなことしてるから、はっきり言って、知り合いと食事に行くのって疲れるのよ。

 

 お昼は、自分で作ったお弁当でいいの。

 できれば、一人でリラックスして食事させて欲しいの。

 本当に。

 それだけでいいのよぉ……。

 

 

「ねえねえ、美味しいって評判の店を見つけたのよ。一口で身も心もとろけそうって……」

 

 死にたいの?(迫真)

 

 

 ……あっ。(われに返った)

 

 慌てて、言い訳をひねり出す。

 

 ご、ごめんね……実はちょっと、太ったの。

 最近ちょっと油断してて、昨夜測ったら、3キロも……。

 ダイエットしなきゃって思ってたから、つい。

 

「へ、へえ……そうだったんだ」

 

 もうひと押し。

 

 ごめんね、おわびに今度『テイクアウト』専門だけど、美味しい和菓子、おごってあげる。

 

 ここは、本気でお勧め。

 一線を退いた、ご隠居さんが趣味でやってるようなお店で……月に二度ほど、顔見知りだけに友達価格で販売してくれる、本当の隠れた名店。

 

 

 自分の部屋で、パンツ一枚で食べると最高に幸せになれるわ。(震え声)

 

 だって、美味しいものも食べたいじゃない。

 それに、逃げてばっかりじゃいられないもの。

 美味しいものに対する『耐性』だって必要なんだもの。

 

 私、あの和菓子を平然と食べられるようになったら、原作キャラのお店で食事しようと思ってるの。(フラグ)

 

 でも、主役級は怖いから、近づかない。

 

 

 

 

 後日、私の渡した和菓子を味わった友人のせいで、変な噂が立った。

 

『グルメではなく、実は凄腕の和菓子職人。口が肥えてるのはそのせい』

 

 訂正して。

 今すぐ、全員に訂正して。

 

「あっ……うん、内緒だったのね、ごめん」

 

 わかってない。

 それ、確実に誤解してる反応だからっ!

 

「でも、包装とか、お店のものじゃ……」

 

 そういうお店なの!

 私が作ったとか、ないからっ!

 

 

 和菓子職人というデマは消えたけど、グルメで口が肥えてるという周囲の評価はそのまま。

 

 普通でいいの、普通で。

 美味しいものとか、無理に勧めてこなくていいから。

 

 私がそう言葉を重ねるほど、『善意』が私に集まってくる。

 

 地獄への道は、善意によって舗装されてるって……こういうことなのねぇ……。

 

 ただ、その評判のお店の情報は、私にとって死活問題だから、きちんと覚えておく。

 そうして与えられた情報は、ちゃんと整理して、タイミングよく周囲に回して、ポイント稼ぎ。

 人間関係って、大事だもの。

 孤立しないように注意しなきゃ。

 

 男の人って、羨ましいわあ……。

 孤独の一人飯とか、なんか様になっちゃうから。

 

 女性は、一人で食事ってなると、周囲から異物っぽく見られちゃうのよねえ。

 

 

 

 そして今日も、親切な友人が、私に美味しいものを勧めてくる。

 

「ねえねえ、このお店知ってる?ここならあなたにも、絶対美味しいって言わせられると思うの!」

 

 絶対言わない。(覚悟完了)

 

 私は。

 美味しいなんて、絶対認めない。(人前では)

 絶対。

 

 美味しいって認めたら、その瞬間、私は羞恥地獄に落ちる。

 

 だから、絶対に、認めない。

 

 

 




友 達:『ねえ、今度イタリア料理のリストランテ・エフに……』(ローキック)
後 輩:『先輩、遠月リゾートの招待券が……』(アイアンクロー)

友 達:『ごめんごめん。有名どころのお店なんて食べ飽きてるってことよね』
主人公:『そ、そんなことは……ないけど』
友 達:『ふふふ、知る人ぞ知る、ゆきひらっていうお店が……』(腹パン)

友 達:『じゃあ、この店は?大当たりはなくてもハズレなしって聞いたの』
主人公:『(知らない店。グルメガイドでも見覚えはない)……そうね、付き合うわ』


某人物:『今日はオーナーシェフが不在で、代理の水瀬心といいます』(初めてメインを任されてやる気まんまん)

 逃げてぇぇぇぇっ!!
 主人公、超逃げてぇぇっ!


 ……という外伝(おまけ)を書こうと思ったら、別の主人公が生えました。(笑)

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