ウチの娘は仮面ライダー   作:ぽかんむ

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第3話 10年間コブラとクワガタ

 二日後。アカリはバイクに乗って、市街地を走っていた。そこはまだ敵の襲撃を受けていない。彼女は住民の平和を願いながらも、どこか敵の襲来を期待しないでいられなかった。父親との連絡が途絶えた今、ツールの回収以外にやることがなかったからだ。

 前方から赤いバイクがやって来る。ライダーは走りながら、銃を発砲した。仮面ライダーギャレンだ。

 彼女はベルトにガタックゼクターを入れる。顎を180度回すことで、仮面ライダーガタックライダーフォームへの変身が完了した。二人がバイクから降りる。そのあと、しばし沈黙が訪れた。

 ガタックは双刀を肩から取り外すと、ギャレンの動きを凝視する。ギャレンは銃を扱うライダーなため、迂闊に攻めることができないのである。

 するとギャレンが、醒銃・ギャレンラウザーをホルスターにしまい、向かってきた。ギャレンのストレートパンチを、刀で受けるガタック。

 ガタックの斬撃を避けつつ、ギャレンが顔や腹を殴ってくる。彼女は距離を取ると、フォンブラスターバーストモードからエネルギー波を放った。しかし、ギャレンラウザーから放たれた銃弾に、撃ち落とされる。

 彼女はガタックダブルカリバーを組み合わせ、巨大なハサミとした。そして挟み込むため、勢いよく前進する。

 ギャレンはラウザーに、二枚のカードを読み込ませた。すると彼の右拳が赤く燃え上がる。そして、ガタックの接近を待った。首に迫るガタックの必殺技─ライダーカッティング─を、上半身を左に傾けて避ける。それから、腹部に炎のパンチ─ファイアアッパー─を命中させた。

 

 

「こうなったらギルスだ!」

 

 

 ガタックがべルトを入れ替え、ギルスに変身した。するとすぐに彼女は、縦横無尽に辺りを駆け巡る。敵に狙いを定めさせないためだ。

 敵の頭上では、ギルスヒールクローの構えがとられる。だがギャレンはそれに気づいた。ギャレンはラウザーを上に掲げると、彼女を撃墜する。ギルスは防御に難があるため、大ダメージを受けた。

 墜落した彼女に、なおも銃弾が襲いかかる。

 

 

「ベルトをすべて渡せ。そうすれば命だけは助けてあげる」

 

「やだね。それにまだ、逆転の策は残されているよ」

 

 

 咄嗟にオートバジンがロボ形態になり、横からギャレンを殴ろうとする。ギャレンはそれを予想していた。そのため、瞬時に間合いを開けて、攻撃をかわす。

 オートバジンとギャレンの銃撃戦が始まった。小回りの効くギャレンの方が、若干優勢だろうか。彼はオートバジンの弾を見切りながら、的確に撃っている。

 

 

「オートバジン持ってることくらい知ってるって」

 

「違うよ、本命はこれから」

 

 

 ギルスはベルトを、戦極ドライバーに換えた。そしてメロンロックシードを解錠する。それをベルトに装填し、カッティングブレードで輪切りにする。ギルスは仮面ライダー鎧武メロンアームズに変身した。

 

 

「ころころ姿を変えようと戦況は覆らん!」

 

「それはどうかな?」

 

 

 ギャレンの放った弾丸は、すべてメロンディフェンダーによって防がれた。次にギャレンは、足下を狙う作戦に切り替える。それが実行される前に、鎧武は斜め上へ跳んだ。一瞬でギャレンとの間合いが詰められる。そして無双セイバーで、縦に大きく切り裂いた。

 ギャレンが銃身を、鎧武の腹部に突きつける。そしてそこから接射を行った。盾での防御が間に合わず、派手に吹き飛ばされてしまう。

 鎧武が起き上がったとき、ギャレンはカードをラウズしていた。ドロップ、ファイア、ジェミニ。それが、ギャレンの必殺技─バーニングディバイド─を、発動するための組み合わせだ。

 ギャレンが跳び上がる。すると二人に分裂した。そして脚部を発火させつつ、空中で大きく回る。

 メロンディフェンダーを投げつける鎧武だが、それは幻影を壊したに過ぎない。何物にも邪魔されず、本体のドロップキックが決まった。

 

 

「まだだ!」

 

 

 しかし鎧武は倒れていない。無双セイバーとガシャコンソードを交差させて、バーニングディバイドをなんとか受け止めていた。

 彼女が力一杯腕を外側に開く。ギャレンは吹き飛ばされた。

 

 

「これで終わりだ」

 

 

 彼女はガシャコンソードにドラゴナイトハンターZガシャットを挿し込み、さらにカッティングブレードを倒す。

 右手に持った無双セイバーをその場で縦に振って斬撃を飛ばしたあと、体を回しながらガシャコンソードを横に切り裂き、ドラゴン型のエネルギーを放出した。

 彼女の背後で、ギャレンが断末魔をあげながら爆発する。変身が解け、人間の姿があらわになった。その顔は、やはりアカリの知っている者だった。

 

 

「ファイズでも駄目、ギャレンでも駄目か……」

 

「ファイズに変身していたのもあなただったんですか。タクミさん……どうして日本を乗っ取ろうとするんですか?」

 

「どこで知ったのよそんなこと……まあいいわ。腐りきったこの国を建て直すためには、もう一度ぶっ潰すしかないのよ……必ず、仲間が成し遂げてくれる……」

 

 

 それだけ残して、タクミが絶命する。アカリは後味の悪さを感じながらも、ギャレンバックルを手にいれた。

 

 

────────────

 

 

 アジトでは、ユウスケを中心として、対策会議が開かれていた。度重なる敗北を、彼らは気にしていないわけではないのだ。特にユウスケの憤りは人一倍強かった。なので、次の出動では彼が先頭へ立つことに決まる。他の者たちは反対したが、彼の気迫に圧されて最後には承諾した。

 しかし万が一ということもある。なので、メンバーの一人であるアラタ─ガタックに変身していた男─が同行することになった。

 

 

「……」

 

 

 すべてが決まったあと、ケイスケだけ真剣な眼差しを残したままだった。他の者たちが去っても、彼はいっこうに席を立とうとしない。不審に思ったリョウが、何かあったのか聞く。しかしケイスケは、適当にはぐらかして帰っていった。

 

 

────────────

 

 

 会議の翌日、作戦が実行される。大量のインベスが解き放たれ、街は大混乱に陥っていたのだ。その危機にマナが、バイクに乗って現れる。

 

 

「変身」

 

 

 彼女は仮面ライダービルドラビットタンクフォームに変身した。そしてドリルクラッシャーで、インベスたちを次々に凪ぎ払う。

 奥から二人の仮面ライダーが歩いてきた。アラタの変身した仮面ライダー王蛇と、ユウスケの変身した仮面ライダークウガマイティフォームだ。

 クウガがビルドに、走って近づく。ビルドはドリルクラッシャーを斜めに振り下ろし、クウガは回し蹴りを繰り出した。二つの攻撃が衝突する。ビルドの武器を弾き飛ばされた。クウガの連続パンチが、ビルドを武器と同じところに吹っ飛ばす。さらに、インベスたちが追い討ちを仕掛けてきた。

 

 一方で王蛇は、ベノバイザーに三枚のカードを取り込む。するとどこからともなく、三体のモンスター─ベノスネーカー、メタルゲラス、エビルダイバー─が召喚された。それらが一斉に、ビルドに襲いかかる。

 

 

「これがお前たちの本気か……」

 

 

 ビルドはドリルクラッシャー銃モードに、ハリネズミフルボトルを差し込む。そして辺り一面にビームを放った。多くのインベスを焼き払っていく。しかしインベスの数はまだ衰えず、ライダーやモンスターにはかすりもしない。

 彼女はファイアーヘッジホッグにビルドアップした。それから、右腕からは針を、左手からは炎を撃ち放す。

 エビルダイバーとメタルゲラスが突進してくる。彼女は右に側転してかわした。ところがそれを読まれていたのか、ベノスネーカーが毒液を吐き出す。ビルドはそれをまともに喰らってしまった。

 王蛇がベノバイザーにカードを入れる。すると空から、メタルホーンが降ってきた。彼は右手にそれを装備する。それでビルドを上から連打した。クウガはタイタンフォームに超変身する。瓦礫をタイタンソードに変えると、ビルドに歩みを進めた。

 

 

「喰らえ!」

 

 

 ビルドがイクサライザーに全エネルギーを集中させ、ファイナルライジングブラストを放つ。それがクウガに命中した。その反動は凄まじく、彼女は銃を落としてしまう。だが反動で吹き飛ばされる間に、二本の新たなフルボトルをドライバーに挿す。ビルドはオクトパスライトフォームにビルドアップした。

 彼女は右肩からタコ墨を吐き出す。それは攻撃目的というよりむしろ、煙幕としての利用だ。勝ち目の薄いことを悟った彼女は、こうして逃亡を図った。

 しかしベノスネーカーが長い身体を活かし、ビルドを絡めた。さらに彼女に、視認不能の矢が射られる。

 

 

「ベノスネーカーは暗闇だろうと敵の位置が手に取るようにわかる」

 

「ペガサスフォームの超感覚を持ってすれば、この程度の芸当は可能だ」  

 

 

 王蛇とクウガが、余裕そうに解説を加える。クウガがペガサスボウガンをその場に捨てた。すると銃が、イクサライザーに戻る。どうやらビルドの落とした銃を回収し、モーフィングパワーでペガサスボウガンに精製していたようだ。

 

 

「まずい……!」

 

 

────────────

 

 

 同時刻に、アカリはバイクで疾走していた。組織の軍勢が破壊活動を行っていることを、ラジオで知ったからだ。前方に、専用バイク─マシンディケイダー─で通せんぼしている男がいた。彼は名をケイスケという。やはり、研究所の元従業員だ。アカリとの距離が縮まると、ケイスケが口を開く。

 

 

「アカリか。噂は聞いてるぜ」

 

「ケイスケさん……あなたも敵なんですか?」

 

「その通りだ。しかし、その前に伝えたいことがある。お前、仮面ライダービルドって知ってるか?」

 

「仮面ライダービルド?」

 

「なんだ、同業者なのに知らないのか。そいつはお前と同じように、俺たちの邪魔をする厄介者だ。だから今、仲間がそいつと戦っている」

 

 

 アカリはこれまで、自分と同じ立場の仮面ライダーを他に見たことがなかった。しかしカツラギとの話から、そういった存在は仄めかされている。アカリはここに、一つの仮定を作り出した。すなわち、カツラギの娘=仮面ライダービルドだと。

 

 

「どうして教えてくれるの? ビルドはこの先にいるの?」

 

「理由は教えられないな。ビルドに関してはその通りだ。だがここを俺が通すとでも?」

 

「やってやるよ! 変身!」

 

 

 アカリは鎧武オレンジアームズに変身した。無双セイバーから弾丸を放ち、ケイスケを怯ませる。その隙にオートバジンに乗り込み、発進させた。

 

 

「逃がすか。変身!」

 

 

 ケイスケはディケイドライバーを腰に巻き、カードを中央に挿入する。アーマーが全身を包み込み、彼を仮面ライダーディケイドへと変えた。

 ディケイドは専用バイク─マシンディケイダー─に跨がると、鎧武を追いかける。ライドブッカーを銃モードにして、バイクを狙い撃った。

 鎧武はそれをかわしながらフォンブラスターで応戦する。避けられるが、構わず走り続けた。

 

 

「お前を行かせるわけにはいかないんだがな」

 

 

 ディケイドがドライバーに、カードを差し込む。するとディケイドは、ファイズに変身した。彼は左腕の腕時計型機器─ファイズアクセル─を操作する。するとたちまち、ファイズアクセルフォームへと強化変身を遂げた。

 円錐上の赤い光が五つ、鎧武の頭上に現れる。ファイズアクセルが超高速で接近し、ライダーキック─アクセルクリムゾンスマッシュ─を繰り出したのだ。円錐が同時に鎧武へ突撃し、彼女は地面に投げ飛ばされる。

 アクセルフォームの制限時間が来たため、ファイズの姿に戻った。胸アーマーが格納され、フォトンブラッドも赤くなる。

 

 

「お前を倒して、ビルドを救う! 変身!」

 

 

 投げ飛ばされた鎧武が、なんとか立ち上がる。ベルトを取り換え、ギルスへ変身した。反動を気にしていられる状況になかったからだ。

 ディケイドのライドブッカーと、ギルスのギルスクロウが、火花を散らして激突する。彼女の横蹴りが、ディケイドの左腕に防がれた。彼が右手に力を込める。彼女はギルスフィーラーでそれを絡め、自由を奪った。

 ディケイドがライドブッカーで、ギルスフィーラーを切断する。さらに顎を蹴りあげて、彼女を打ち上げた。そして彼はカードを装填する。

 ディケイドがライドブッカーで、ギルスを乱射した。カードの力で強化された弾丸が、彼女に襲いかかる。彼女は落下すると、変身が解けてしまう。

 

 

「ここまでのようだな」

 

「強い……! でも……まだまだ! 次はこれだ!」

 

 

 アカリはギャレンバックルを取り出す。そしてカードを装填して腰につけ、ターンアップテーブルを引いた。

 出現したオリハルコンエレメントが、アカリをディケイドの弾丸から守り抜く。それを突き破ったとき、彼女は仮面ライダーギャレンに変身した。

 ギャレンがラウズアブゾーバーに、ダイヤのクイーンを差し込む。そして次に、ダイヤのジャックを読み込ませた。孔雀の力を身に纏ったギャレンジャックフォームが、ここに誕生する。ギャレンは翼の六枚の羽を展開させ、空へと羽ばたく。

 彼女はギャレンラウザーに、三枚のカードをラウズする。すると必殺技─バーニングショット─の発動用意が整った。

 ギャレンは武器から、燃える弾丸を連続で発射した。そうしてディケイドを退けると、彼女はビルドのもと飛んでへ向かう。万が一のことがあれば永遠にお届け物を渡せなくなる。その心配は彼女の加速に貢献した。

 

 

「やるな……しかし、何もかももう遅い。ビルドの死に絶望しながら、貴様も死ぬがいい」

 

 

────────────

 

 

 ビルドゴリラモンドフォームが、ドライバーのハンドルを回す。もはや立っているのもやっとの満身創痍の様子だが、ビルドは気力だけでなんとか踏ん張っていた。

 瓦礫をダイヤモンドに変え、右手でそれを殴る。粉々に砕かれて破片と化したダイヤが大量に、クウガと王蛇に襲い掛かった。

 だがそれでも、二人にはさしたるダメージを与えられない。彼女は王蛇のエビルウィップにす巻きにされた。さらに、クウガドラゴンフォームに、ドラゴンロッドで乱打されてしまう。 

 駆けつけたギャレンジャックフォームは、ガタックライダーフォームに変身する。高さを活かしたライダーキックを、二人に放った。

 

 

「誰……?」

 

「あなたを助けに来ました。これを受け取ってください」

 

「まさかこれ、ビルドの強化アイテム? どうして君が?」

 

「話はあとです! 今はこいつらを倒しましょう!」

 

「そうだね!」

 

 

 ガタックは肩から、ガタックダブルカリバーを取り外す。そしてクウガに挑んでいった。彼の素早い槍裁きを、小回りの効く双刀でいなしていく。

 

 ビルドがラビットタンクスパークリングの蓋を開けた。次にそれをドライバーに挿し込み、ハンドルをぐるぐる回す。するとビルドは新たに、ラビットタンクスパークリングフォームに強化された。

 ビルドは、王蛇へのリベンジを目指す。彼女は連続で王蛇の腹を殴っていく。さらに右足で蹴り飛ばした。

 二人の間合いが空く。王蛇がベノバイザーに、カードをいれた。するとベノスネーカー、メタルゲラス、エビルダイバーが融合を始める。そして、ジェノサイダーが誕生した。

 ジェノサイダーは口から光線を放ち、ビルドに攻撃を仕掛ける。右にステップを踏んで避けたビルド。

 彼女はドリルクラッシャーにドラゴンフルボトルをいれつつ、ジェノサイダーの懐に潜り込んだ。そしてボルテックブレイクを繰り出して、敵の腹に突き刺す。衝撃からモンスターはバラバラになった。

 王蛇がベノサーベルを振り降ろす。ビルドはそれをドリルクラッシャーで受け、四コマ忍法刀で切り裂いた。ダメージによって後ずさりする彼に対してさらに、ビルドはホークガトリンガーの銃撃で追い討ちをかける。

 王蛇がカードをベノバイザーにいれる。ベノスネーカーが彼の背後にやって来ると、彼は身体を後ろに反らしながらジャンプした。そして一回転したのち、ベノスネーカーの咆哮とともに必殺キック─ベノクラッシュ─を繰り出す。

 それに対して、ビルドは高く跳び上がる。そしてハンドルを回す。するとビルドの回りに無数の泡が生み出された。彼女はそれらとともにライダーキックを放つ。

 二人のキックが空中で激突した。その力はほぼ互角で、しばらく硬直状態が続く。だが次第に均衡が崩れていく。最後にはビルドが打ち勝ち、王蛇を貫いていった。 

 ビルドが地上に降り立つ。その背後では、断末魔とともに爆炎があがった。アラタは死亡し、あとにはデッキとVバックルだけが残される。

 物陰から覗いていたケイスケは、その光景をすぐには信じられなかった。不安や恐れを感じることすらできず、ただ茫然自失と佇んでいる。

 

 

「なに!?」

 

「もらった! ライダーカッティング!」

 

 

 王蛇の死は、クウガに衝撃を与えた。その隙をついて、ガタックは得物でクウガを挟み込み、力強く持ち上げた。武器を通じてエネルギーが流れていき、クウガに反撃を加えた。

 

 

「こんなところで……!」

 

 

 彼は力を振り絞って、マイティキックを放つ。吹き飛ばされたガタックは、変身が解除されてその場に倒れた。

 

 

「この借りはいつか必ず返す!」

 

 

 彼はそう捨て台詞を残すと、トライチェイサーに跨がって去る。追いかけようとするビルドだが、一歩踏み出したとき、バタッと倒れた。体力の限界を迎えたのだろう。

 

 

「狙い通りだ……」

 

 

 なぜかケイスケが不敵な笑みを浮かべた。

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