ウチの娘は仮面ライダー   作:ぽかんむ

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第4話 煙のバイク

 遅れて駆けつけたオートバジンが、二人を起こすため身体をゆする。先に気がついたマナは、それに少しぎょっとした。ところがすぐに適応する。彼女はなにか違和感を感じた。違和感の招待に気づくと、マナは悲鳴をあげる。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 

 なんと、フルボトルがなくなっていたのだ。ビルドドライバーは残されていたが、これだけでは何もできない。マナはビルドに変身することが、できなくなってしまったのだ。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

 マナの叫び声を聞き、アカリもまぶたを開く。二人が顔を合わせた。

 

 

「どうも……私はアカリと言います。一応仮面ライダーとして戦っています。あなたカツラギさんの娘さんですか?」

 

「そうだよ。私はマナ! よろしくね」

 

「ところでさっきの叫び声はなんですか?」

 

「私は変身にフルボトルというアイテムを使うんだけど、どこにも見当たらないの。落としちゃったのかな?」

 

 

 マナが立ち上がろうとする。しかし、足に力が入らない。

 

 

「これじゃあ探しに行けないよ」

 

「もしかしたら、誰かに奪われたのかもしれませんね。私たちが気絶している間、いくらでも機会はあったでしょうし」

 

「だとしたらとっくに逃げられてるよね。」

 

「でしたらまずは、体を休めつつお互いに情報を共有しませんか?」

 

「そうだね」

 

 

 アカリはマナに、これまでの戦いや自分の過去について話す。さらに、獲得したベルトや武器を見せた。アカリの話が一通り終わると、今度はマナの番が来る。

 マナは今年で十五歳だ。カツラギがカイトに出会う前にはすでに産まれていたが、生活圏が遠いこともありアカリと知り合うことはなかった。

 カツラギは組織の蜂起を予測していた。そのため、抜け出したあとも開発を続けていた。彼の妻やマナの協力もあり、つい先日ビルドドライバーやフルボトルが完成する。マナはそのあと、カツラギによってアジトの場所を知らされ、乗り込むことにした。

 ところがコテンパンにやられてしまう。彼女は命からがら逃げ延びると、日を改めて再び攻め入ろうとする。しかし、今度は刺客に命を狙われるようになり、作戦は難航していた。

 

 

「一人で大変だったんですね……でもこれからは大丈夫です。協力して奴等を倒しましょう」

 

「ありがとう」

 

 

────────────

 

 

 誰もいないアジトに、ユウスケが帰ってきた。彼は椅子に座ると、手で顔を覆ってうなだれる。悩みの種は作戦の失敗と、度重なる仲間の死だ。アラタの死を以て、残るは半分になってしまっていた。

 絶望の中にいた彼の前に、ケイスケが現れる。彼は大きい袋を、左肩にかけていた。どこに行っていたのか、ユウスケが問う。

 

 

「どこに行ってたんだ?」

 

 

「ビルドの力の源であるフルボトルと、それらを開発したカツラギを奪ってきた」

 

 

 袋の中には多くのフルボトルと、眠らされたカツラギ、それから謎のドライバーが入っていた。

 

 

「カツラギだと? ようやく裏切り者を捕まえたのか」

 

「本気を出せばあっという間さ」

 

 

 袋の中から、カツラギが解放される。手足が紐で縛られており、口には猿ぐつわがはめられていた。ユウスケが笑い出す。報告を済ますと、ケイスケはカツラギを別の部屋に連れていった。

 

 ケイスケはアカリたちの戦いを、物陰から眺めていた。勝敗が決したあと、二人がその場で気を失う。それを見計らって、ケイスケはフルボトルを奪ったのだ。

 続いて彼は、ビルドドライバーやアカリのツールも盗もうとした。しかしそこに、オートバジンがやって来る。ケイスケはディケイドに変身すると、ディメンションキックを繰り出した。オートバジンを吹っ飛ばし、すぐさまバイクに飛び乗り、その場を離れた。そのため、すべてを奪い去ることができなかったのだ。

 

 ケイスケによって、カツラギは研究室に運び込まれた。そこでカツラギは、とある人物と再会する。

 

 

 

────────────

 

 

 一方、アカリとマナの居場所に、バロンがやって来た。アカリは一瞬驚いたが、すぐに戦極ドライバーを取り出し、応戦の構えを見せる。

 

 

「お前……もしかして父さんだったりするのか? でもそんなことは関係ない。今度こそ倒す! 変身!」

 

 

 アカリは鎧武オレンアームズに変身した。フォンブラスターとギャレンラウザーを遠距離から発砲する。バロンはそれを、バナスピアーで防いだ。

 銃撃を防ぎつつ、バロンは距離を詰める。鎧武は大橙丸と無双セイバーに持ち替えると、それを大きく振り上げた。しかしバナスピアーでの刺突攻撃が、彼女の胸を襲う。鎧武は吹き飛ばされた。

 

 

「接近戦に持ち込めばリーチの違いが顕著となる。だけど銃で挑んだところで有効打を与えられない。それなら一か八か……」

 

 

 鎧武は武器を捨て、腕をだらんと降ろし、うつむいた。

 

 

「随分と諦めが早いな。まぁいい。これで終わりだ」

 

 

 バロンがカッティングブレードを倒すと、バナスピアーが光り輝いた。武器を突きだして、バロンが突進を仕掛ける。鎧武は相変わらず微動打にしない。そしてバロンとの距離が極めて近づいた。

 そのとき突然、鎧武がロックシードを交換した。カッティングブレードを倒し、メロンアームズを纏う。

 バナスピアーは深々と、メロンディフェンダーに突き刺さった。バロンが引き抜こうとしても、それは叶わない。鎧武が膝蹴りを放つ。その攻撃は、バロンの腹部に命中した。

 

 

「そういうことか」

 

 

 バロンはなにかを閃くと、カッティングブレードを三回倒す。鎧武の足下からバナナ状のエネルギーが伸びた。内部からの攻撃には耐えきれず、メロンディフェンダーが粉々に砕け散る。彼女は再び吹き飛ばされ、変身が解かれた。

 

 

「武器封じとは考えたな。だがそんなものは容易に想像できる」

 

 

 アカリの作戦もバロンには通用しない。横になっているアカリに、刃先が向けられた。そのとき、マナが叫ぶ。

 

 

「待った!」

 

「アカリとあんたの関係はわからない。だけど、アカリの敵は私の敵。だから次は私が戦う!」

 

「だけどあなたはフルボトルを……」

 

「変身!」

 

 

 マナは右腕にザビーブレスを巻き付け、そこにザビーゼクターを取り付けた。彼女の姿が仮面ライダーザビーマスクドフォームとなる。かつて戦利品として入手したものだ。

 バロンが突く。ザビーは固い装甲でそれを受けきり、拳をつきだした。バロンは一歩退いて避ける。バナスピアーを捨てて素早く右に翻した。それから、ザビーの横腹を蹴る。ザビーは再び殴ろうとした。しかしかわされ、今度は背中にパンチを喰らう。

 ザビーはゼクターを回転させた。アーマーが四方に弾け跳ぶ。バロンは身を屈めて避け、転がってバナスピアーを回収した。ザビーはライダーフォームになる。

 

 

「これを使ってください!」

 

 

 アカリはガシャコンソードを投げ渡した。ザビーがそれをキャッチする。燃える刀身を振り回し、バロンに向かっていった。

 バナスピアーによる突き刺しを紙一重で避け、頭部に斬撃を浴びせる。バロンは武器を横に薙ぎ払った。強打を浴びながらも、ザビーは全身で武器にしがみつく。さらに、左足でバロンの顔面を蹴った。

 

 

「まさか……私とバロンとの戦いを見て動きを覚えた?」

 

「密着さえできれば槍など恐れるに足りない!」

 

 

 バロンはバナスピアーを高く掲げ、ぐるぐると回した。ザビーが振り払われ、地面に落下する。バロンはさらに、倒れるザビーを武器で叩きつけた。ザビーが四肢の力で、瞬時に起き上がる。それを見越していたのか、バロンはカッティングブレードを倒した。

 バナスピアーから連続で、エネルギーが撃ち出される。ザビーは八の字に走り、狙いをつけさせないようにした。しかし、攻撃はどこまでもついてくる。ザビーは背中にそれを受け、変身解除されてしまう。

 

 

「まだだ! 私にはこれがある! 変身!」

 

 

 マナは次に、イクサへと変身した。彼女はイクサジャッジメントと、タドルクリティカルフィニッシュの同時上段攻撃を放つ。しかしかわされ、背中にバナスピアーの一撃を喰らった。

 彼女はライジングイクサへ強化する。アカリからギャレンラウザーを借り、ファイナルライジングブラストとバーニングショットを繰り出した。ところがこれも、バロンに弾き返される。マナは再び、変身が解かれてしまった。

 彼女はボロボロになりながらも、立ち上がろうとする。しかしもはや力が入らない。それでも、殺気のこもった目付きだけは一向に曇らなかった。

 二人の危機に、オートバジンが自らの意思でバトルモードとなる。オートバジンは二人が気絶したあとに現場へ駆けつけ、その後ディケイドを追っ払っていたのだ。

 オートバジンがタイヤをバロンに向けると、そこからマシンガンのように弾丸が発射される。この攻撃をすべて防ぎきることはできない。バロンは高く跳び上がる。そしてロックシードを交換し始めた。

 マンゴーのロックシードを使って、バロンはマンゴーアームズになった。

 上空からの超重量武器─マンゴーパニッシャー─が、オートバジンの頭部を粉々に砕く。彼は弾丸を恐れず、何度も叩きつけた。オートバジンが倒れると、彼はカッティングブレードを倒してとどめの準備をする。

 

 

「やめろ……!」

 

「よせ!」

 

 

 二人の懇願虚しく、バロンは振り上げた武器を、オートバジンに叩き込む。オートバジンは木っ端微塵となって爆発した。

 

 タクミを倒してファイズギアを奪ってから、アカリは何度もオートバジンに救われた。普段の足としても、どれほど役立ったかは計り知れない。アカリはオートバジンに対して、愛着を持っていた。たとえ機械だったとしても、破壊された怒りは収まることを知らない。

 

 

「許さない! 絶対にお前を倒す! 変身!」

 

 

 アカリはギルスに変身した。一瞬で懐に入り、連続パンチを放つ。そのあと膝蹴りでバロンを吹っ飛ばすと、ギルスは斜めにジャンプして空から接近した。

 上に狙いを定め、バロンがマンゴーパニッシャーを突きだす。彼女はそれの先端に着地した。そして再び跳び、後ろに回り込む。バロンの背面を何度もギルスクロウで切りつけ、頭突きで吹き飛ばした。

 

 

「小回りの利かないマンゴーとの相性は最悪だ。再びバナナに……」

 

 

 バロンはバナナロックシードを手に取る。しかしそれは、ギルスが伸ばした鞭─ギルスフィーラー─によって奪われた。

 

 

「ちくしょう!」

 

 

 バロンは激昂すると、地面にマンゴーパニッシャーを叩きつけた。砂塵が舞い上がる。その中で、バロンはドライバーを交換し、新たに仮面ライダーアクセルに変身した。

 砂埃が晴れる。アクセルのエンジンブレードと、ギルスのギルスクロウが、火花を散らして何度も激突した。アクセルが剣を振り下ろす。左の方向に避けたギルスは、足を引っ掻けて転ばした。馬乗りになり、噛みつき始める。

 アクセルはギルスの腰を持ち、投げ飛ばした。ところがギルスは、すぐにまた襲いかかる。今度はパンチの応酬が始まった。お互いの拳と拳がぶつかり合う。その中で、ギルスが回し蹴りを放つ。アクセルは吹っ飛ばされ、変身が解除された。その素顔に、アカリは驚く。

 

 

「お前は……リョウさん!」

 

「ばれちまったか。強くなったな、おまけにいいことを教えてやる」

 

「なに?」

 

「俺たちはカイトの発明品を奪うため、五年前やつに近づいた。だからあいつは俺たちの仲間ではない。最初は誘ったんだがな、遂に奴が首を縦に振ることはなかった」

 

「お父さんは今どこで何をしているの?」

 

「そこまで教える義理はない」

 

 

 そう伝えると、リョウは再びアクセルに変身する。彼はドライバーを外して、バイク形態になった。そしてどこかへ去っていく。

 ギルスが元の姿に戻る。戦いの疲れはあるが、気づけば副作用は無くなっていた。マナが駆け寄ってくる。

 

 

「さすがだね」

 

「でも逃げられちゃった……」

 

「そこまで追いやっただけでもよくやったよ」

 

「……」

 

 

 アカリは出発してから、カイトと連絡が取れないでいた。最初は気に留めず、途中からは組織の一員を疑っていたアカリ。しかしここに来て、亡くなっている可能性が浮上した。いや、これまでは無意識のうちに、考えから除外していたのだ。

 見かねたマナは、アカリと提案する、

 

 

「一度休もう。お父さんのとこまで案内するよ」

 

「そうですね。ありがとうございます」

 

 

 こうして二人は、マナの家に行くこととなった。二人ともバイクを失ったため、徒歩や交通機関の使用を強いられる。電車やバスを乗り継ぐこと一時間、ようやく辿り着くことが出来た。

 マナの先導で、アカリは玄関に入る。奥からどたばたと足音が響いた。その人物がやって来る。アカリは思わずガン見した。なんとその人は、以前アカリを助けた女性だったのだ。どうやら、アカリの母らしい。

 

 世間の人からすれば、仮面ライダーはテロリストである。なのにどうして自分を助けたのか、アカリは少し気になっていた。変身を解いていたとはいえ、ベルトを持っていたことは明らかだからだ。だが、女性がすでに、マナのような正義の仮面ライダーの存在を知っていたのなら話は早い。アカリは偶然に感謝した。

 女性が食事を作ってくれることになる。彼女はキッチンに入り、急いで準備を進めた。アカリとマナは、四人掛けのテーブルに腰かける。

 

 

「あれ? お父さんいない」 

 

「どこかに出掛けているんでしょうか?」

 

「そうかな……」

 

 

 マナはビルドフォンを取り出し、画面を眺めた。操作していると、いきなり彼女が、驚きの形相を浮かべる。不審に思ったアカリは覗きこむ。マナは咄嗟に画面を隠すと、適当に愛想笑いを浮かべた。

 まもなく、料理が運ばれてくる。二人はそれをペロリと平らげた。そのあとお風呂に入り、あがると二回のマナの部屋に向かう。

 押し入れから布団を取り出し、床に敷いた。マナがスイッチを押すと、蛍光灯の電気が切れる。二人は布団に入ると、すぐにすやすやと寝息をたてた。

 それから時間が経ち、時計が午前一時を示す。敷かれた布団の中に、うずくまる影が二つある。アカリは掛け布団を剥ぐと、もう一つの布団を見てこう言った。

 

 

「眠ったようだね……」

 

 

 ビルドフォンにはとある機能が備わっている。父親であるカツラギの居場所、正確にはカツラギの携帯電話がどこにあるのか、GPSで知ることができるのだ。

 カツラギの携帯は、敵組織のアジトを示していた。自ら赴いたとは考えにくいため、散歩中に誘拐されたのだろう。マナはこれ以上、アカリに戦わせたくなかった。そのため、一人で助け出そうと決心する。

 アカリの寝顔を一目見ようと、マナは、布団をこっそりめくった。しかしそこに彼女の姿はない。あるのはぐるぐるにされた座布団だった。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

 アカリは電気をつけながら、そう言った。さらに、ドアの前に陣取る。

 

 

「いや……トイレに行こうかと……」

 

「とぼけないでください! マナさんの行動には不審な点が多すぎます。それを説明してくれるまで、私はここを通しません」

 

「お見通しだったのね……私のお父さんは今、組織のアジトよ」

 

「それなら夜襲を仕掛けましょう」

 

「乗り込む気!?」

 

「あなたもそのつもりなんでしょ?」

 

「まぁね……一緒に行こう!」

 

「まずはフルボトルの奪還からですね」

 

 

 こうして二人は、まだ暗い中家を飛び出す。

 その頃アジトでも、動きがあった。ケイスケは最終決戦が近いことを肌で感じ、そのための準備を進めていた。そして遂に、それが完了する。

 アカリとマナが近づいてきていることを、ユウスケから知らされた。ケイスケが総員に、戦闘体勢を整えるよう指示する。

 

 

「「蒸血」」

 

「潤導」

 

「「「変身」」」

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