ウチの娘は仮面ライダー   作:ぽかんむ

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第5話 建築の旗

 アジト前にて深夜、両陣営がまみえる。アカリとマナに相対するのは、ヘルブロス、ナイトローグ、ブラッドスターク、仮面ライダークローズチャージ、仮面ライダーグリス、そして彼らを束ねるディケイドだ。ディケイド以外は、ケイスケが独自に雇った人員が変身している。

 アカリは仮面ライダーブレイブハンタークエストゲーマーレベル5に、マナは仮面ライダーライジングイクサに変身した。

 

 

「先に行って! アカリ!」

 

「そんなことしたくないしできませんよ……」

 

「よかろう……通してやる。クウガ敗北の要因があの二人の共闘にあるのだとしたら、二人を引き離した方が得策だ。アカリだけなら他のやつらで倒せるだろう」

 

「でも……」

 

「お願い!」

 

 

 ブレイブはイクサの意を汲み取ると、そのエリアを突破してアジト内部へ侵入した。

 

 

「まずは俺からだ! おらっ!」

 

 

 グリスが左腕のツインブレイカーアタックモードで、イクサに突きを繰り出す。イクサは右腕でそれを弾きつつ、腕にザビーゼクターを取り付けた。ゼクターを展開すると、巨大な毒針が現れる。

 イクサの背後から、ローグとスタークがトランスチームガンを発砲した。イクサがジャンプして避け、弾丸はグリスに当たる。イクサは空中で縦に後ろ側に回りながら、イクサカリバーとイクサライザーを撃った。攻撃は正確に、二人の頭部をとらえる。

 

 

「連携しろ!」

 

 

 滞空しているイクサを、ツインブレイカービームモードでグリスが狙い撃った。イクサは一瞬動揺したが、一回転して速度を殺し、綺麗に着地する。

 ヘルブロスがたくさんの歯車型エネルギー波を、イクサに飛ばした。イクサはそれに飛び移って、ヘルブロスに近づく。そして顔面に、右足で飛び蹴りを喰らわそうとした。ヘルブロスが腕を交差させて直撃を防ぐ。イクサは左足でもう一度蹴って、反動で距離をとった。

 そのときグリスは、イクサから見て左にいた。グリスがツインブレイカーアタックモードに、二本のフルボトルを差し込む。そしてイクサ目掛けて走り出した。グリスはエネルギーの纏った武器で、イクサに殴りかかる。イクサはそれの刃先を、ザビーゼクターのスイッチで受け止めた。

 

 

「ライダースティング!」

 

 

 イクサはグリスの胸に、針を突き刺した。スーツを貫通して内部へ攻撃が伝わり、グリスは爆発した。

 

 

「なんなのだあの力は……!」

 

「もっと数の利を活かせ!」

 

 

 イクサは二本のフルボトルを、グリスの死体から拾った。彼女はビルドドライバーに乗り換え、それを差し入れる。

 

 

「イクサやザビーも悪くはないけど、やっぱビルドだね!」

 

 

 仮面ライダービルドフェニックスロボットが誕生した。マナはようやく、本来の力を取り戻す。

 

 

「こうなれば奥の手だ。ビルド部隊出撃!」

 

 

 ディケイドが叫ぶ。すると外野から、何人ものビルドがぞろぞろとやって来た。フェニックスロボから見て右にはアジト側からラビットタンク、ニンニンコミック、ライオンクリーナー、キードラゴン、ファイアーヘッジホッグ。左にはゴリラモンド、ホークガトリング、カイゾクレッシャー、ロケットパンダ、オクトパスライト。そして正面、ディケイドの横にはラビットタンクスパークリングの姿がある。

 

 

「これが俺たちの力だ!」

 

 

 勝ち誇るように、ディケイドが叫んだ。だが、ビルドは冷静に返事をする。

 

 

「……素人にビルドを扱うことはできないさ」

 

 

 ビルドは体を高速回転させ、イクサライザーからファイナルライジングブラストを繰り出した。その場にいた者たちはことごとくのけぞる。

 

 

「これしきの攻撃、ライオンクリーナーならすべて吸いきれたはず」

 

 

 ビルドが赤い翼を広げて空へ舞い上がる。翼から火炎弾を数多く撃ち出して、地上を徹底的に焼き払った。

 そこへホークガトリングとナイトローグが駆けつける。ホークガトリングが、専用武器であるホークガトリンガーを乱射した。ビルドは全弾を左腕で防いで近づく。そして首を掴み、腕を大きく回したのち、ローグに投げつけた。二人が真っ逆さまに落ちていく。ビルドはハンドルを回した。

 

 ビルドのライダーキックが決まる。二人は地上に帰ることなく散った。

 ビルドの着地地点には、キードラゴンとクローズチャージが待ち構えている。ビルドは、空から落ちてきたトランスチームガンをキャッチした。それから、キードラゴンに的確な銃撃を浴びせる。

 キードラゴンが鎖を伸ばした。それが巻き付き、ビルドは身動きがとれなくなる。クローズチャージはツインブレイカーアタックモードに、クローズドラゴンをセットした。

 

 クローズチャージはビルドに飛びかかろうと、地から足を離す。身の危険を感じたビルドが、勢いよく後方に走り出した。キードラゴンは引きずられ、さっきまでビルドのいた地点に連れられる。味方に必殺技を当てまいと、もがくクローズチャージだが、彼は宙で自由に動けない。結局キードラゴンは、クローズチャージの手によって殺された。

 爆発の衝撃によって、フルボトルが二つ飛んでくる。ロックはビルドがキャッチし、ドラゴンは直接トランスチームガンに差し込んだ。トランスチームガンからスチームアタックを繰り出す。竜型のエネルギー波が、クローズチャージを吹っ飛ばした。

 追い付いたゴリラモンド、ラビットタンク、ニンニンコミックが、ビルドに襲いかかる。ビルドはホークガトリングにビルドアップし、再び空中へ躍り出た。空から必殺の銃撃を浴びせてゴリラモンドを仕留める。さらにゴリラモンドへビルドアップして、位置エネルギーによって強化されたパンチを、ニンニンコミックにぶつけた。

 

 ビルドはニンニンコミックを巨大なダイヤモンドに変える。そしてそれを殴りつけた。大量の細かい破片がラビットタンクに飛び散り、その身を粉々に打ち砕く。

 

 

「分身とかされる前に倒せてよかった……」

 

 

 ディケイドがアタックライドスラッシュを使う。ライドブッカーでビルドを切り下ろした。ビルドはパンチで、ディケイドを吹き飛ばす。そして一瞬の隙をついて、ニンニンコミックにビルドアップした。

 ビルドは火炎斬りを放つ。しかしそれは、左に身を翻されて避けられた。反対にライドブッカーでの銃撃を受け、投げ飛ばされる。

 スタークがビルドの背中を、スチームブレードで切り裂こうとした。ビルドはそれに気づくと、剣を横に掲げて受け止める。

 ビルドは咄嗟に、六人に分身した。そのうちの二人は、スタークの背中に剣を突き刺す。さらに火炎斬りを繰り出し、スタークを芯から燃やした。

 一人はディケイドと交戦中だ。劣勢だが、なんとかディケイドの斬撃を凌ぎ続ける。もう一人が、クローズチャージのレッツブレイクの前に倒された。しかし潜んでいた最後の一人が、ツインブレイカーからクローズドラゴンを奪い取る。直後、分身が消えた。

 

 

「変身!」

 

 

 ビルドはクローズドラゴンに、ドラゴンフルボトルを差し込む。そしてそれを畳んで、ドライバーに取り付け、ハンドルを回した。

 

 

「新しいビルドアップか……?」

 

「違う。仮面ライダークローズだ」

 

 

 クローズがハンドルを回す。するとクローズの背後に、竜型のオーラが現れた。それが吐き出す青い炎とともに、ライダーキックを放つ。その攻撃によってヘルブロスが倒された。

 ドリルクラッシャーと4コマ忍法刀を手にしたスパークリングが、クローズに斬撃を浴びせる。横に挟み込むよう斬られ、クローズはダメージを負ってしまう。ドリルクラッシャーガンモードで撃たれ、蹴り飛ばされた。

 クローズに対して、カイゾクレッシャーが立て続けに矢を射る。それを避けるため、クローズは蛇行して走った。

 クローズの行った先にはファイアーヘッジホッグの姿がある。ファイアーヘッジホッグが左腕から炎を出した。クローズは咄嗟に、地面へ這いつくばる。炎が止むと今度は針が放たれた。クローズは地面を転がってなんとかかわしきると、ファイアーヘッジホッグの横に飛び出す。専用武器のビートクローザーを召喚し、斜めに切り上げた。左拳で吹っ飛ばした隙に、クローズは武器のグリップエンドを三回引く。

 

 その斬撃は、立ち上がったファイアーヘッジホッグを、まっぷたつに切り裂いた。

 オクトパスライトの触手が伸びる。クローズの左腕がそれに絡まった。やって来たクローズチャージが、クローズに連続パンチを喰らわす。クローズは武器を足に落とし、クローズチャージの顎に蹴り上げた。クローズチャージがわずかに後ずさる。クローズは再びビートクローザーをキャッチすると、触手を切り落とした。ビートクローザーにロックフルボトルを差し込み、グリップエンドを三回引く。

 

 鍵状のエネルギーを纏ったビートクローザーを、クローズチャージに叩き込んだ。クローズチャージの死を確認すると、クローズはベルトを剥ぎ取る。

 

 

「まずはこれだ!」

 

 

 クローズがスクラッシュドライバーを巻き付けた。そこに、先程グリスから奪ったロボットゼリーをはめる。クローズはグリスに変身した。グリスはドライバーのレンチを下ろし、スクラップフィニッシュを発動させる。肩や背中からゼリーを噴出させて加速し、ライダーキックをライオンクリーナーに繰り出した。

 グリスは着地後、ライオンフルボトルをドライバーにセットする。

 

 グリスがライオンのエフェクトとともに、全力のパンチを放った。それを受けたオクトパスライトは、粉々に砕け散る。

 そのときカイゾクレッシャーは、専用武器のカイゾクハッシャーに、限界近くまでエネルギーを充填していた。それが解放される。放たれた特大の矢を、グリスは上半身を反らして避けた。彼女は流れるようにツインブレイカービームモードに二本のフルボトルを差し込む。それを喰らったカイゾクレッシャーは爆死した。

 

       

「あれだけいたのに!?」

 

「いくらお父さんの発明が凄かったとしても、素人に扱いこなせる代物じゃないよ」

 

 

 グリスはドラゴンゼリーをドライバーに差し込み、クローズチャージに変身した。スパークリングのパンチを手で受け止める。そしてすぐさま腹に蹴りをいれた。

 スパークリングのスパークリングフィニッシュと、クローズチャージのスクラップフィニッシュが衝突する。ライダーキック対決を征したのはクローズチャージ。スパークリングは倒れた。

 

 

「全滅か……」

 

「そんなことはありませんよ」

 

 

 上空から、ロケットパンダの声が聞こえた。右手には人影が見える。

 

 

「お父さん!?」

 

 

 ロケットパンダが着陸した。確かに彼は、カツラギを右腕に抱えている。

 

 

「これ以上抵抗すればこいつの命はない」

 

「見事だ!」

 

「お前の命と引き換えに、カツラギを助けてやる。どうする?」

 

「私が死ねば、お父さんを助けてくれるの?」

 

「そうだ。反対に、もしお前が逃げたりこれ以上抵抗するのであれば、カツラギの命はない」

 

「……始めっから答えはひとつ。どっちの命も失わずに、お前たちを倒す」

 

「そんな選択肢は与えていない」

 

「選択肢は……自分で勝ち取るもんだろ!」

 

 

 瞬時にイクサカリバーを取りだし、ロケットパンダの脳天に弾丸を当てる。油断していたこともあり、ロケットパンダの集中が一瞬途切れた。その隙に、カツラギが逃げ出す。

 ディケイドがカツラギを射殺しようとした。クローズチャージがツインブレイカービームモードで、ライドブッカーから撃たれる弾丸を相殺させる。

 

 

「貴様! 殺す!」

 

「……ぶっ潰してやるよ」

 

 

 ロケットパンダが急上昇した。ボルテックフィニッシュを発動させると、まっ逆さまに降下する。ロケットパンダはどんどん勢いを増しながら落ちていく。あと少しで命中しそうと思われたとき、クローズチャージが、パンダの爪を掴んだ。そして投げ飛ばした。ツインブレイカービームモードに、クローズドラゴンを差し込む。

 青いドラゴンが撃ち出された。それを受け、ロケットパンダは爆発する。

 

 

「やはり最後に信じられるのは己だけか」

 

 

 部下をすべて失ったというのに、ディケイドはあまり動揺を見せない。それどころか、すっかり余裕を取り戻していた。

 

 

「お前を倒す!」

 

 

 クローズチャージも、引き続き闘志を燃やす。

 

 

───────────

 

 

 ブレイブに変身したアカリは、アジトへの侵入を果たした。ブレイブはインベスやバグスター、ミラーモンスターなどを倒しながら、上へ続く階段を探す。

 しばらくして、ブレイブが二階に登る。そこにはリョウが待ち受けていた。リョウの正面には、専用武器のエンジンブレードが突き刺さっている。

 リョウはアクセルドライバーを腰につける。そして取り出したアクセルのガイアメモリを鳴らした。

 

 

「変……身!」

 

 

 リョウが仮面ライダーアクセルに変身した。彼はエンジンブレードを両手で引き抜く。そして前へ走り出す。ブレイブは走りながら、左腕のドラゴンガンからビームを発射した。アクセルがそれを、エンジンブレードで受け止める。

 両者の間合いが狭まった。ブレイブは右腕のドラゴンブレードを、アクセルはエンジンブレードで、火花を散らしながら打ち合う。

 アクセルが剣を右から横に振り払った。ブレイブは吹き飛ばされる。ところがその間に、ドラゴナイトハンターZガシャットをキメワザスロットホルダーに差し込んだ。

 ブレイブは着地するとすぐに、全身から大火力のビーム─ドラゴナイトクリティカルストライク─を繰り出す。ブレイブの正面では、攻撃によって爆発が起こった。

 

 

「やったか……?」

 

「後ろだ!」

 

 

 アクセルがエンジンブレードで、ブレイブの背中を横に切り裂く。さらに左足で蹴り飛ばした。ブレイブが倒れながら振り向く。アクセルはそれまでの赤いボディから一転、身軽そうな青いボディを持つアクセルトライアルになっていた。

 

 

「スピードならこれだ!」

 

 

 ブレイブがベルトを乗り換え、ガタックライダーフォームに変身する。ガタックは腰のスイッチを押し、クロックアップした。

 二人の青いライダーによる、超高速バトルが始まる。アクセルが剣を降り下ろした。ガタックはそれを左に回り込んでかわす。そして背中に、双剣による斬撃を喰らわせた。

 アクセルが後ろにハイキックする。ガタックは吹き飛ばされた。アクセルは振り返ると、トライアルメモリを斜め上に投げて、ガタック目掛けて走り出す。

 追い付いたアクセルは、目にも止まらない早さでひたすらガタックを蹴った。まだガタックは宙に浮いたままだ。9.7秒後、ガタックは落下とともに爆発した。

 しかしガタックもただでは終わらない。ガタックの投げたダブルカリバーが、アクセルに当たった。彼が油断していたこと、アクセルトライアルが紙装甲であることもあり、その攻撃は効く。

 流れが変わった。今度はガタックが攻め立てる。ガタックの繰り出したパンチを、アクセルは地面を転がってかわした。彼はそのまま直進し、ガタックとの間合いを空ける。次に、戦極ドライバーと未知のロックシードを取り出した。

 

 

「こいつで一気に片をつけてやろう」

 

 

 アクセルがベルトを取り替える。そこにカチドキロックシードをはめ、カッティングブレードを倒した。アクセルは仮面ライダー鎧武カチドキアームズへ、強化を遂げる。

 

 

「お前も鎧武に!?」

 

 

 ガタックは前に走り、先程投げた双刀を掴んだ。振り返ると、カチドキに向かっていく。素早く近づき、連続で斬る。しかしカチドキには効かない。カチドキの重いパンチを受け、ガタックは吹き飛ばされてしまった。

 ガタックはフォンブラスターで射撃を行う。ビームは正確に敵を捉えるも、カチドキは動じない。

 

 

「装甲はマスクドフォーム以上か?」

 

 

 カチドキが火縄橙DJ銃を取り出す。そして特大のビームを放った。ガタックは鎧武メロンアームズに変身し、メロンディフェンダーで受け止める。

 火縄大橙DJ銃と無双セイバーを、カチドキは合体させる。大剣を構えるカチドキに対し、鎧武も腰の鞘から無双セイバーを引き抜いた。ほぼ同じ速さで、二人が刀を打ち合う。

 しかし重さと腕力の差は覆せない。鎧武は一方的に打ち負け、よろめいてしまった。カチドキが追撃してくる。鎧武は盾で斬撃を受けつつ、後方に下がった。それから、無双セイバーで敵に銃撃を浴びせる。だが固い装甲の前には意味をなさない。

 

 

「強い……次はこれだ!」

 

 

 鎧武はベルトを乗り換え、ギャレンに変身した。ギャレンラウザーにカードを三枚スライドさせ、必殺技─バーニングディバイド─を発動させる。

 二人に分身したギャレンの、燃えるドロップキックが、カチドキにクリーンヒットした。着地したギャレンの背後から、大音量な爆音が聞こえる。

 カチドキがその中から平然と歩いてくる。そしてギャレンの後頭部をパンチした。ギャレンは吹っ飛ばされるも、空中でジャックフォームとなって、そのまま空へ舞い上がる。カードをラウズして、火の弾を連続で撃ち出す必殺技─バーニングショット─を繰り出した。

 それに対してカチドキは、カチドキロックシードを得物に取り付ける。カチドキチャージの音声とともに、大出力の光線がギャレン目掛けて撃ち上げられた。バーニングショットは、カチドキの必殺技の前に破れる。ギャレンは攻撃を受けて墜落し、変身も解除された。

 

 

「俺の渡したメタファクターは使わないのか?」

 

「これからだよ。変身」

 

 

 絶望の中アカリは、最後の力を振り絞ってギルスに変身する。

 ギルスが右足で回し蹴りを繰り出した。続いて腹を連続でパンチし、右回りで回転しながら両足で蹴る。かかとの裏が、カチドキの頭部に命中した。

 ギルスは両腕に、ギルスクロウを生やす。そしてカチドキに刃を連続で突き立てた。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

「それで終わりか? ただのギルスでは勝ち目はない。エクシードギルスになれ」

 

「なれたら苦労はしないよ……」

 

 

 カチドキの左パンチ一発で、ギルスが吹っ飛ばされる。ギルスが倒れる。カチドキはそれを確認すると、DJ銃を大剣モードへ変形させた。そしてゆっくりと近づいていく。

 カチドキが大剣を横に繰り返し凪ぎ払った。ギルスはそれを、後ずさりしながら避けていく。だがギルスは、行き止まりまで追い詰められてしまった。ギルスはこれ以上後ろにいくことができない。

 カチドキの斬撃が近づく。それを避けるため、ギルスはジャンプした。そしてギルスクロウを天井に突き立て、見下ろす形をとる。ギルスは天井をおもいっきり蹴飛ばす。その反動で飛び蹴りを放った。カチドキの顔に一撃を与える。

 ところがこれも、まともにダメージを与えるには至らない。カチドキが大剣を振り上げた。ギルスはそれをもろに喰らう。

 ギルスは地面に座る。カチドキは上段に構えると、一気に振り下ろした。ギルスは右腕を横にして顔の前に上げる。ギルスクロウが大剣を受け止めた。

 

 

「部位破壊」

 

 

 カチドキが腕に力を入れる。するとギルスクロウが破壊された。勢いは止まらず、さらにギルスの右腕が切断される。断面から大量に血が噴き出した。

 

 

「ああああああああああ!!!」

 

「勝負あったな」

 

 

 ギルスは激痛に喘いでいた。また、地面に這いつくばってのたうち回る。カチドキはしばらくその光景を眺めていた。飽きが訪れたのか、まもなくカチドキは、殺す決意を固める。

 カチドキは大剣を上段に構えた。そして高速で振り下ろす。当たったら打ち所に関わらず、出血多量で死は免れない。

 しかしギルスはそれを、失ったはずの右腕で受け止めた。傷口から生えた新しい腕には、深紅のギルスクロウが輝く。それを皮切りに、全身への変化も起こった。全身にトゲが出現し、頭の角が三本となり、胸の中央には宝石が備え付けられる。

 

 

「ついにその領域へ辿り着いたか」

 

 

 ギルスは新たに、エクシードギルスに進化を遂げた。

 エクシードギルスが背中から赤い触手をほどいた。それを器用に操り、カチドキに連続で突き刺す。先程までとはうって代わり、今度は装甲に傷をつけていった。次に触手で地面を叩く。その反動で飛び出し、低空の飛び蹴りが、炸裂した。鈍重なカチドキに避ける術はなく、派手に吹き飛ばされる。

 

 

「これならいける!」

 

 

 カチドキは相性の悪さを痛感した。そのため、より身軽なアクセルトライアルへ変身する。アクセルはギルスを上回るスピードで接近した。

 ギルスが伸ばした触手をかわしつつ、アクセルが駆ける。ギルスの右手から、パンチが繰り出された。アクセルは身を屈み、それをかわす。そして突き上げるように、ギルスの顎を殴った。アクセルがギルスを飛び越える。そして振り向き様に回し蹴りを放ち、ラッシュに続けた。その猛攻は凄まじく、ギルスに反撃の隙を与えない。

 するとギルスが突然、アクセルに抱きついた。それから、二本の赤い触手を、アクセルの背中に突き刺す。

 

 

「捕まえた!」

 

 

 ギルスが両方の腕を外側に開いた。アクセルは解放された代わりに、胸部を深々と切り裂かれる。ギルスは触手を自在に動かして、アクセルを何度も地面に叩きつけた。

 アクセルトライアルは圧倒的な素早さと引き換えに、耐久が大幅に犠牲となっている。一連のギルスの攻撃は、アクセルに大ダメージを与えた。

 エクシードギルスが必殺のかかと落とし─エクシードヒールクロウ─を発動させる。以前より増した破壊力は、アクセルを仕留めるには充分すぎた。

 ギルスは元の姿に戻ると、リョウに歩み寄る。

 

 

「見事だアカリ。褒美として襲撃の日の真相を教えてやる」

 

 

 襲撃の数時間前まで、カイトたちは研究に明け暮れていた。作業が一段落すると、少し休憩に入る。そのため、ミラは全員分のコーヒーを煎れに行った。そのとき、カイトのコーヒーにだけ睡眠薬を仕込んでいた。

 それを飲んだカイトは、あっという間に眠りに落ちる。六人はカイトが熟睡するまで、しばらく待った。そして一時間が経った頃に、ようやく行動に移す。

 六人は一斉に、研究所を荒らし始めたのだ。窓ガラスや試験管を片っ端からすべて割り、床には危険な液体をこぼし落とした。保管されているはずのライダーツールを、軒並み奪った。

 仕上げにカイトを床に寝かせ、六人は研究所から出ていった。それからわずかして、アカリが研究所に足を踏み入れたのである。

   

 

「最初からお父さんや私を利用してたのね……絶対に許さない」

 

 

 アカリはリュックサックから、オートバジンのハンドルを出した。それにミッションメモリーを差し込むと、赤い光の刃が伸びてファイズエッジに早変わりする。

 アカリはそれで、リョウを縦に切り裂いた。亡骸からアクセルドライバーやカチドキロックシードを漁ると、彼女は最上階へ向かう。残る敵はあと一人だ。

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