ウチの娘は仮面ライダー   作:ぽかんむ

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最終話 原初コンプリート

 クローズチャージとディケイドが激闘を繰り広げる。クローズはツインブレイカーから、ビームを撃った。ディケイドが軽快なフットワークで避ける。右手にビートクローザーを持って、クローズは走った。そして飛び上がり、勢いをつけて振り下ろす。ディケイドは一歩退いて避けた。それから、クローズにアッパーを喰らわして打ち上げる。

 ディケイドはアタックライドブラストのカードを装填した。銃を真上に構え、光線を発射する。クローズはベルトにタカフルボトルを差し込み、レバーを降ろす。

 翼を得たクローズは、ディケイドの銃撃を難なくかわした。さらにツインブレイカーをアタックモードに変形させ、ドラゴンゼリーをそれに差し込む。そしてディケイドとの距離をぐんぐん縮めていく。

 ディケイドがドライバーに、アギトのカードを読み込ませた。さらにもう一枚入れる。

 するとディケイドの姿が、アギトフレイムフォームに変わった。体色は赤く、主に右半身を強化された形態で、フレイムカリバーを扱って戦う戦士だ。

 すれ違い様に突き刺そうと目論むクローズ。加速をつけたクローズは、アギトの背後を狙う。アギトにはクローズの居場所がわかっていない。

 クローズがどんどん迫る。そのとき、おもむろにアギトが振り向いた。そしてなんの迷いもなく、剣を地面と垂直に振り下ろす。クローズはその身を焼かれながら、地面に叩きつけられた。

 

 

「気づいていないとでも思ったのか?」

 

「そんな……!」

 

「絶望に包まれたまま死ね」

 

 

 アギトはケータッチを取りだした。それのパネルを押していく。

 その力によって、ディケイドは歩くライダー図鑑こと、コンプリートフォームに強化変身を遂げた。

 ディケイドがクローズの首を持ち上げる。それから、膝蹴りを三回繰り出した。一発の威力が凄まじく、クローズは抵抗することができない。ディケイドがクローズを投げ捨てる。ディケイドはそのあと、銃を発砲して追い討ちをかけた。クローズは変身を解除される。

 ディケイドがパネルを操ると、彼のとなりにカブトハイパーフォームが現れる。カブトはパーフェクトゼクターを召喚した。さらに、ザビーゼクター、ドレイクゼクター、サソードゼクターを呼び寄せて取り付ける。二人はボロボロのマナに銃を向けた。

 

 

「体が……動かない……」

 

「死ね」

 

 

 ディケイドとカブトが、超強力なビームを撃ち放つ。その威力は凄まじく、マナのみならず10km先まで破壊した。役目を終えたカブトが消える。

 

 

「オーバーキル……だったかな」

 

 

 ブラッドスタークが後ろから、スチームブレードでディケイドを斬る。しかしほとんどダメージを与えられない。スタークは顔面にパンチを受ける。続けてディケイドが、腹部に連続パンチを叩き込んだ。

 

 

「液状化で攻撃を避けていたのか。マナ」

 

 

 ディケイドは、スタークの取った行動を看破した。ライドブッカーを振り回し、スタークに何度も斬撃を浴びせる。

 ディケイドの左腕から、エルボーが繰り出された。スタークは再び吹っ飛ばされる。変身状態が保てなくなり、マナの姿に戻った。

 

 

「負けてたまるか……!」

 

「威勢のよさと粘り強さだけは褒めてやる」

 

「調子に乗りやがって……」

 

 

 マナがビルドドライバーを腰に巻く。ラビットタンクスパークリングをはめ込み、ハンドルをぐるぐる回した。

 

 

「変身!」

 

 

 マナは仮面ライダービルドラビットタンクスパークリングフォームに変身した。

 

 

「グリスやクローズチャージ以下の性能で何ができる?」

 

 

 ビルドが右足で地面を蹴り、一瞬で近づいた。その勢いを殺さず、タンク側の腕でパンチを繰り出す。ディケイドもパンチで反撃した。顔を左に傾けて、ビルドがそれをかわす。それからビルドは、ディケイドの左腰を蹴った。

 ディケイドがわずかにのけぞる。ビルドはその隙を見逃さない。彼女は前に走りながら、連続でディケイドを殴る。ディケイドがビルドの胸部に、真っ直ぐパンチした。ビルドはなんとか耐えきると、その腕を両手で掴む。そして後ろに投げ飛ばした。

 ディケイドはすぐに立ち上がり迫る。ビルドはディケイドの顔にホークガトリンガーの銃口を突きつけた。引き金を引き、零距離から弾丸を放つ。ディケイドは吹き飛ばされ、地面を転がった。

 

 

「どういうことだ?」

 

 

 ディケイドは理解できなかった。なぜスペックで劣るビルドに、これほど追い込まれるのかを。カツラギの耳にも、その言葉が届く。彼は数秒考え込んだ後、とある結論を捻り出した。

 

 

「そうか! マナはスクラッシュドライバーの使用と極度の怒りによって、短時間でハザードレベルを一気に押し上げたんだ!」

 

「なるほど面白い、こんな戦いは久しぶりだ」

 

 

 ビルドとディケイドがお互いに、右手でパンチを繰り出した。それぞれの顔に当たる。ビルドが左手で、もう一度パンチした。ディケイドはそれを、身を屈めて避ける。さらに、ビルドへタックルを仕掛けてた。ビルドは転ばされる。

 馬乗りになったディケイドが、ビルドの顔を連続で殴っていった。ビルドは後転し、両足でディケイドの後頭部を蹴る。ディケイドは吹っ飛ばされながらも、正確に銃撃を浴びせた。 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

「次の一撃が最後だ……! どう転ぼうともな……」

 

 

 ディケイドがケータッチを操ると、横にブレイドキングフォームが現れた。手には重醒剣・キングラウザーが握られている。ディケイドも剣を持ち、二人が構えた。

 ビルドはドリルクラッシャーと、イクサカリバーを手に持つ。ドリルクラッシャーにフェニックスフルボトルを差し込み、ハンドルを回した。

 三人が一斉に駆け出す。ディケイドのディメンションスラッシュとイクサジャッジメントが、ブレイドのロイヤルストレートフラッシュとボルテックブレイクが、激しくぶつかった。

 力勝負では、劣勢に陥るビルド。だが、マナの思いが、さらなる力をビルドに与えた。ビルドは渾身の力で、二人の得物を弾き飛ばす。そしてがら空きになった胴体を、真横に切り裂いた。ブレイドの実体が消え、ディケイドは爆発する。

 

 

「やったよ! お父さん!」

 

「成長したな、マナ」

 

「でもまだ戦いは終わってない。アカリが心配だ……」

 

「そうだな。だけどその前に、アジト内の研究所に寄るぞ」

 

「研究所……?」

 

 

────────────

 

 

 頂上には首領が待ち受ける。アカリの姿が見えると、彼は椅子から立ち上がった。

 

 

「やって来たか。はじめまして」

 

「前に一度戦ったでしょ」

 

「だけどこうして話すのは始めてではないか。まぁいい、念のため聞くが用件はなんだい?」

 

「お前を倒す」

 

「戦力差を見極められないとは、バカなやつだ」

 

「どうして日本は腐っていると思うの?」

 

「迷走しているからさ。さて、談話は終わりだ。せいぜい楽しませてくれよな。変身」

 

「私はそう思わないけどね。変身」

 

 

 首領はクウガマイティフォームに、アカリは仮面ライダーアクセルに変身した。

 アクセルがエンジンブレードを縦に振るう。素早い身のこなしでクウガは、斬撃を斜め左に避けた。そこからクウガが、アクセルを殴る。アクセルは攻撃を耐え、剣を横に振った。

 クウガが瞬時に、タイタンフォームになる。アクセルの斬撃は、強固な装甲に阻まれた。彼女が今度は、縦に切り裂く。剣筋は胴体を越え、ベルトまでかすめた。クウガの動きが一瞬止まる。そのあと、強めにアクセルの顔面を殴った。

 クウガがエンジンブレードを掴む。手からエネルギーを流し込まれ、タイタンソードに姿を変えた。

 アクセルがベルトのグリップを回す。すると、全身が赤い熱気に包まれた。ジャンプし、ライダーキック─アクセルグランツァー─を繰り出す。クウガの体に、稲妻が走った。ライジングタイタンフォームに変化して、身一つで攻撃を耐えきる。跳ね返され、アクセルは吹っ飛ばされた。

 クウガが剣を片手に、悠然と歩き始める。アクセルはギャレンラウザーに、ファイアとバレットのカードを読み込ませた。そして、銃から火炎弾を撃ち出す。ところが、クウガに効果はない。

 間合いに入ったクウガが、剣を突き刺した。アクセルはアクセルトライアルに変化する。そして素早く、クウガの背後に移動した。刺突を避けながら、マキシマムドライブを発動する。

 彼女がトライアルメモリを真上に投げた。クウガがまだ振り向かない内から、連続キック─マシンガンスパイク─を叩き込む。一発の威力は低いが、着実に傷を負わせていった。

 蹴り終わるとすぐ、アクセルはクウガから離れる。間合いを取り、クウガの反撃を未然に防いだのだ。クウガがライジングマイティフォームに変わる。アクセルは、ファイズに変身した。

 クウガが構える。必殺キック前の精神集中だ。ファイズも負けじと、メモリーの付いたファイズポインターを、右足に取り付ける。そして二人が飛び上がる。

 空中で、二人のライダーキック─ライジングマイティキックと、クリムゾンスマッシュ─が炸裂した。力は互角であり、彼らは地面に落ちる。

 ファイズが膝立で、フォンブラスターを撃った。クウガはライジングペガサスになると、ライジングペガサスボウガンを射る。両者の攻撃が、お互いの身体を傷つけた。

 

 

「とっておきを見せてやる!」

 

 

 するとファイズが、ベルトを戦極ドライバーに替えた。そこにカチドキロックシードを装填し、ブレードを倒す。アームズが天から降ってきて、彼女は鎧武カチドキアームズへと進化した。

 召喚した火縄大橙DJ銃を、鎧武が撃ち放つ。クウガは超感覚でかわしたため、直撃は免れた。だが、彼の後方は辺り一面、粉々に砕かれる。鎧武は次に、斜め上に銃を構えた。発砲し、天井を壊す。瓦礫が次々と、クウガに降り注いでいった。

 クウガはライジングドラゴンになる。それを活用して、瓦礫の雨をすべて避けた。さらに、落ちてきた細長い破片を掴み、ライジングドラゴンロッドに変える。鎧武は銃を投げ捨て、背中の二本の旗を取り出した。クウガの刺突や凪ぎ払いを、強固なボディで受けきる。鎧武が旗を振り回すと、部屋全体を飲み込む竜巻を生み出した。回避不能の攻撃が、クウガを襲う。

 

 

「ここからが本当の勝負だ」

 

 

 クウガの周りが、漆黒の闇に覆われた。瓦礫の山を吹き飛ばし、中からクウガアルティメットフォームが姿を見せる。鎧武が火縄大橙DJ銃を放った。クウガはジャンプしてかわす。それから、落下の勢いを利用して右手で殴った。銃を横にして、鎧武は防ぐ。しかし威力は計り知れない。鎧武は後退りを余儀なくされた。

 クウガが両手から、光弾を乱射する。鎧武は攻撃に晒された。彼女は旗を両手に持つ。はためかせ、光弾を跳ね返していった。

 両者が走り出す。そして二人が、パンチを繰り出した。お互いの拳がぶつかり、反動で強風が吹き荒れる。クウガが低く跳んだ。両足で挟み込むように、鎧武を蹴る。痛みに耐えながら、彼女は無双セイバーを召喚した。両脇でクウガの足を掴み、左足に突き刺す。

 クウガは地に足をつけた。連続で、鎧武が斬撃を浴びせる。五発喰らったあと、クウガが至近距離から光弾を放った。威力は絶大であり、鎧武は吹き飛ばされる。

 クウガは助走をつけ、高く跳び上がり、宙で一回転した。鎧武に両足ドロップキック─アルティメットキック─を発動する。鎧武は爆発し、変身も解除された。

 

 

「そんな……カチドキアームズでも敵わないなんて……」

 

「これで終わりだ」

 

 

 横から黄色いオーラが飛び出し、クウガを吹き飛ばした。アカリが振り向く。そこにいたのは、バロンレモンエナジーアームズだった。

 

 

「誰……?」

 

「私だよ」

 

「お父さん!? どうして?」

 

「カツラギ君の娘さんに、彼もろとも助けてもらったんだ。本当に強くなったな。父としてこれほど嬉しいことはない」

 

 

 バロンの奥から、カツラギとマナの姿が見える。

 アカリが出発してすぐ、カイトは組織に誘拐されていた。そしてアジト内の研究所に連れていかれ、無理矢理発明をさせられていたのだ。ところが、ディケイドを倒したマナによって、無事救出される。

 バロンがソニックアローを射る。矢がクウガに突き刺さっていった。

 

 

「今まで私を騙していたのか。許してはおけないな」

 

 

 バロンが矢を射ながら、クウガに接近した。右手のソニックアローで、上から斬りつける。バロンの両手を、クウガが掴んだ。手を強引に上げ、空いたみぞおちに膝蹴りを与える。

 バロンの力が抜けた。クウガは一歩引き、肩からタックルを喰らわす。バロンは吹き飛ばされ、マナたちの足下に落ちてきた。変身も解除される。

 マナがカイトに駆け寄った。彼女はカイトから、戦極ドライバーとマンゴーロックシードを受け取る。

 

 

「やはり敵わないか……」

 

「あとは私に任せてください。変身!」

 

 

 それを使い、彼女はバロンマンゴーアームズに姿を変えた。

 

 

「死ね!」

 

 

 クウガが右掌から、漆黒の光線を撃つ。アカリは左に側転して、それをかわした。そして、バナナロックシードを、戦極ドライバーにはめる。

 

 

「変身!」

 

 

 アカリが鎧武バナナアームズへ変身する。バナスピアーを召喚して、敵目掛けて突き刺した。しかし呆気なく受け止められる。

 バロンがクウガの左横から、マンゴーパニッシャーを振り下ろす。クウガは後ろにバク転して避けた。一歩踏み込んだ鎧武が、バナスピアーを凪ぎ払う。まだ着地前だったため、クウガは投げ飛ばされた。

 クウガは地に足をつけると、黒のタイタンソードを二振り生み出す。一瞬で二人に近づき、腕を外側に開くように斬りつけた。

 二人は激痛に耐えると、クウガの腹部を蹴った。さらに、上段に構えた得物を、勢いよく振り下ろす。

 鎧武とバロンがカッティングブレードを倒した。得物にエネルギーが溜まり、黄色く輝く。二人はそれを、渾身の力で突きつけた。クウガは二振りの剣の鍔で、必殺技を受け止める。一度腕を縮め、素早く伸ばした。その衝撃で、二人は吹っ飛ばされる。

 クウガは次に、黒いライジングペガサスボウガンを生み出した。二人に向かって、空気弾を放つ。鎧武は武器を捨て、バロンの前に躍り出た。そして、メロンアームズに変身し、メロンディフェンダーで防ぎきる。そのわずかな間に、バロンはディケイドに変身した。先程の戦闘で獲得した、ディケイドライバーを使ってだ。

 鎧武はカッティングブレードを倒したあと、メロンディフェンダーを投げつけた。それが目眩ましとなる一瞬の隙に、鎧武がエクシードギルスとなる。

 エクシードギルスが膝蹴りを繰り出した。クウガは左足を軸に、時計回りに回転してかわす。そのまま、右足で蹴った。クウガの右踵が、エクシードギルスの右腰に当たる。

 続いてディケイドが飛びかかる。ライドブッカーで銃撃しながらだ。間合いが狭まると、クウガを連続で斬りつけた。

 しかしすべて、クウガの左手でいなされる。ローキックされ、ディケイドは転ばされた。クウガはディケイドを二度踏み潰し、そのあと蹴り飛ばす。

 

 

「もらった!」

 

 

 エクシードギルスが、クウガの上から降ってきた。両足の踵の爪を、背中に突き刺す大技─ダブルエクシードヒールクロウ─を放ったのだ。

 エクシードギルスがクウガの胸を蹴る。その反動で一回転し、綺麗に着地した。

 ビルドは新しい武器を持っていた。その名はフルボトルバスター。カツラギがアジトに拉致されてから、無理矢理作らされたものだ。最終調整が間に合っていなかったため、完成したのはついさっきである。彼女はディケイドを撃破したあと、アジト内の研究所までこれを取りに行っていたのだ。

 ビルドがその武器に、タカとニンジャのフルボトルを装填する。引き金を引き、強力なビームを発射した。その攻撃は、クウガを包み込む。

 エクシードギルスはベルトを取り替え、鎧武カチドキアームズにチェンジした。鎧武は火縄大橙DJ銃に、オレンジロックシードを取り付けた。そしてトリガーを引く。凄まじい破壊光線がクウガを襲った。

 

 

「小癪な! こうなれば奥の手を見せてやる」

 

 

 クウガが黄金色の光に包まれた。それによって、二人の攻撃が掻き消される。中では全身が太ましくなり、肩が巨大化していった。やがて、光が集束していく。そこから現れたのは、金色のクウガ─ライジングアルティメット─

 クウガが恐るべき素早さで走る。そして、鎧武に右腕でエルボーをかました。鎧武は吹っ飛ばされる。

 ビルドがフルボトルバスターを乱射した。それらは一発残らず当たったが、クウガには傷一つつけられない。

 

 

「アカリ! 出発の時に渡したロックシードを使え!」

 

 

 カイトが大声で叫んだ。アカリはそれを耳にすると、謎のロックシード─極ロックシード─を取り出した。フェイスプレートが、合体用ジョイントに変貌する。

 鎧武はその錠前を解錠し、カチドキロックシードの穴に差し込んだ。ロックシードが捻られると、すべてのアームズが現れる。それらが鎧武に合体すると、カチドキの装甲が吹き飛ぶ。中から現れたのは白銀の鎧武─仮面ライダー鎧武 極アームズ─

 鎧武はベルトを操り、影松真を召喚する。それを手にし、クウガに詰め寄った。得物を横に薙ぎ払う。わずかに後退し、クウガはかわした。鎧武は持ち換え、刃の位置を引っくり返す。そして束で突いた。

 クウガがパンチを放つ。それをメロンディフェンダーで防いだ。鎧武が盾を前に突き出す。クウガの視界が覆われた。その隙に、大橙丸で×字に斬りかかる。

 クウガが右手をかざした。盾が瞬時に燃えて消滅する。彼は体を横に向け、左足で蹴った。衝撃で鎧武は後退る。彼女はブドウ竜砲を手に持った。撃鉄を引き、クウガ目掛けて発砲する。ところが弾はすべて、左手で弾かれた。

 二枚のキウイ撃輪を召喚すると、まるでフリスビーのように投げる。

 クウガは真っ黒なライジングドラゴンロッドを生み出した。そしてそれを使い、撃輪を打ち返す。鎧武はすれ違いざま、斬られてしまった。

 

 

「逆転の一手を掴みかけたんだけどな……」

 

「いや……まだ終わりじゃない!」

 

 

 ディケイドが、ケータッチを操作した。すると姿が、ディケイドコンプリートフォームへ変化する。そのあとバックルを右腰につけ直し、ケータッチをドライバー中央部にはめた。

 クウガは今この瞬間、ツカサの死亡を知る。動揺している隙に、ディケイドがアギトシャイニングフォームを呼び出す。そして、Wライダーキックを繰り出した。クウガは二人の足を掴み、地面に繰り返し叩きつける。

 鎧武が正面からブドウ竜砲を放ち、注意を向けた。クウガは二人を投げ捨てる。それから、鎧武に走り寄った。一発アッパーパンチを喰らい、鎧武は打ち上げられる。

 ディケイドは次に、ファイズブラスターフォームを呼び出した。フルボトルバスターにライト、ロケット、ダイヤモンド、掃除機のフルボトルを入れる。そして引き金を引き、強力なビームを炸裂させた。ファイズも同時にファイズブラスターから、フォトンブラッドの光弾を発射する。クウガは右足を高くあげ、一回転半した。蹴りの衝撃で砲撃がかき消される。

 クウガが右腕を伸ばし、掌を向ける。自然発火能力が発動されファイズは消滅、ディケイドも大ダメージを負った。

 鎧武はギャレンジャックフォームに変身する。空中で自由自在に動けるようになった。ドロップとファイアのカードをラウズし、バーニングスマッシュを発動させる。ギャレンはクウガ目掛けて上空から、両足を発熱させて急降下した。

 クウガが右拳に力を込め、斜め上にパンチする。打ち負けたギャレンは、ディケイドの倒れていた場所に、突っ込まされた。

 

 

「私は今まで、クウガの恐るべき点は身体能力の高さにあると思っていました。しかし、本当に脅威なのはその回復力」

 

「確かに……。これまで私たちは何度も必殺技を放ったのに、やつはピンピンしたままだ」

 

「しかし奴も人間です。痛みをまったく感じないわけではないし、精神面の疲労は避けられない。だからその隙を見極め、特大の一発で仕留めましょう」

 

「わかった」

 

 

 言い終わると、ギャレンはガタックに変身した。クロックアップを起動し、クウガに詰め寄る。自分が囮になるという強い決意が見られた。

 ガタックは四方八方から、ダブルカリバーによる斬撃を浴びせる。ところが、クウガの半径十メートルが爆発した。ガタックは巻き込まれ、吹っ飛ばされる。

 その頃ディケイドは、電王ライナーフォームを既に呼び出していた。二人が剣を構えて走る。そして電車斬りとともに、四本のフルボトルを装填したフルボトルバスター剣モードを、斬り払った。瞬間、三人を爆風が包み込む。

 

 

「やったか?」

 

 

 爆風が晴れる。ディケイドとクウガは、背を向けて立っていた。しばし静寂に覆われる。一秒後、ディケイドは膝から崩れ落ちた。さらに変身が解除される。

 ガタックが彼女へ近寄った。

 

 

「まだだ……!」

 

 

 息が多少荒くはなっている。しかしクウガはまだ立っていた。

 

 

「すまない……駄目だった……」

 

「いや、そうでもなさそうです」

 

 

 その発言の意味を、マナは理解できなかった。しかし次の瞬間、実証によって明らかとなる。クウガが突然アマダムを抑え、苦しみ始めたのだ。二人は注意深く観察する。すぐさま、ヒビが入っていることが確認される。それはすなわち、回復能力の打ち止めを意味していた。

 機を見逃す二人ではない。ガタックはエクシードギルスに変身した。背中のギルススティンガーで、クウガを串刺しにする。

 マナはビルドラビットタンクスパークリングフォームに変身した。フルボトルバスターにラビット、タンク、ドラゴン、ロボットを入れたあと、大剣に変形させる。

 ギルスはさらに、鎧武極アームズになった。それから、火縄大橙DJ銃、無双セイバー、大橙丸を合体する。カッティングブレードを三回倒したあと、完成した薙刀にカチドキと極ロックシードを取り付けた。

  二人はそれぞれ、薙刀や大剣を持って走る。クウガの放つ光弾をものともせず、その足を止めない。そして斬り込む……いや、特攻という表現の方が近いか。

 二人の背後で、クウガはV字に火花を散らしている。まもなく、壮絶な断末魔と共に爆発した。

 

 

「許さんぞ……貴様ら! このアジトごと道連れにしてやる……」

 

「ならばその前に脱出するまで」

 

 

 そう言うとビルドは、フルボトルバスターを銃にした。光弾を放って、壁に穴を開ける。ビルドはホークガトリングフォームに、鎧武はギャレンジャックフォームに変身した。カツラギとカイトを連れて飛び立つ。

 数分後、ビルは粉々に破壊された。火柱が天高くそびえ立つ。二人はそれを確かめ、地面に着地した。

 アカリとマナが変身を解除する。アカリはそのあと、カイトに問いかけた。

 

 

「お父さん。どうしてライダーツールの研究を始めたの?」

 

「シオリを……アカリのお母さんを生き返らせるためだ」

 

 

 彼女の遺体は、研究所地下の冷凍室に安置されている。その事はアカリも知っていたが、遺体の劣化を防ぐため、立ち入りを禁止されていた。おかげで、彼女は生前と変わらない姿で眠っている。

 

 

「そんなことできるの?」

 

「仮面ライダーの超人的な力は元々、死者に生命力を与えようとした結果なんだ。生者に対する実験は、これまで何度も成功してきた。だけど死者に対しては、動物実験でさえ一度も成功していないんだ……いや、違う。私はずっと、現実から目を背けてきただけなのかもな。無意味な研究に付き合わせてごめんな」

 

「そんなことないよ! 実験は私の好きでやって来たんだから」

 

 

 親子の会話に、カツラギが割って入る。マナは空気を読んで、彼を止めようと試みた。ところがその前に、彼の口が開く。

 

 

「死者のために用いることは難しいと思います。だけど生者のために使うことはできるではありませんか」

 

「そうですけど……」

 

「今を生きる人々のためにその技術を活かしませんか? 私も協力します」

 

「……わかりました。あなたは技術も人格も信頼できます。よろしくお願いします」

 

 

 アカリが言葉を発する。

 

 

「二度とあんな頭のおかしいやつらに使われないようにね!」

 

 

 だんだんと空が明るくなる。その度、カイトの心のもやも晴れていった。

 再び同じ過ちを繰り返さない。昇る朝日に、四人は強く誓った。




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