ビルドダイバーMMO【完結】   作:ノイラーテム

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フォースの再出発

●御披露目と全力と

 フォース同士の戦いで最も多いのは、どうしても3対3マッチになる。

 2名でも十分な精鋭チームや逆に5名のチームが人数を絞ってと、集め易い人数だからだ。

 何が言いたいかと言えば、完成したマシンのテスト相手には事欠かないと言うことである。

 

「次の試合は地上戦みたいね。さっそく試してみましょ」

「待ってました!」

 ちょっとしたミッションに出場した3人は御目当てのMAPが空くのを待っていた。

 ミノフスキークラフトとカウンターウェイトは地上戦前提なので、宇宙用とランダムなMAPを避けて居たのである。

 

 そして地上戦を待って居たのは一チームだけではなく、ゆえにこの出逢いは偶然ではないかもしれない。互いに何戦かして経験を積もうとするからだ。

 

『あれ……。もしかしてキマリスじゃないの?』

『ヘルムヴィーゲを四足にしたのか。違和感ねーぞ、やるなあ!』

 森の中を突っ切って来る敵の前衛はランスと盾こそ所持して居るが、マッシブで肉厚なボディに二本の角を生やして居た。

 望遠レンズで撮った画像を拡大するとヘルムヴィーゲ・リンカーの特徴的な外見が映し出される。思いつく者は多い改造だが、それだけに四足の脚部は可能な限り違和感がない様にされていた。

 

『あのヘルムヴィーゲは俺がもらっていいんだろう?』

『お願いするわ。私とミツオでフルアーマー・ユニコーンとGアーマーを落とすから』

 V2ガンダムの改造機、V2プリマ『オデット』が空を翔ける。

 光の翼からダメージ設定を解除し副翼とし、Wガンダム・ゼロカスタムの主翼をメインスラスターとして地上用の専用パーツとしていた。

 肩に小さな羽型スラスターを持ち後腰に長いスカートアーマーを持つことから、機械の鳥かあるいはバレリーナの様に見える。

 

『上下から挟み込むわよ。NT-Dを使わせたくないから、ビットが使えないのは痛いけど』

『了解。なんで変形してないのか気に成るけど、爆装してるみたいだから撃ちあって見るよ』

 ヘビーアームズver.33(トラントロワ)は無限軌道で疾走しつつ、両手のツインビームガトリング改を構えた。

 設置された長方形の盾はギャプランを思わせる物だが、用途はブースターではない。

 本体を横撃から守りつつ、後腰に設置されたサブアームで支えて命中精度を高める為だ。

 

『じゃあ分断するから御馬さんよろしく』

 ビームスマートガンがGアーマーを狙撃し、回避軌道の周囲へビームガトリングが放出される。

 突出してもユニコ-ンのI・フィールドでは防ぎ切れないとみたのか、Gアーマーは大きく回避軌道を取った。

 

『どちらかといえば牛だと思うがな。任されたと言っておこう』

 バエル・ザ・ブラックナイトを地面を這う様に飛ばせ、土煙りを上げながら接近する。

 右に左にジグザグの軌道を取り、空中からの砲撃とランスから放たれるナニカを警戒しておいた。

 

「あれはドリルランスだろうな。……ダインスレイヴは撃たせん!」

 ヘルムヴィーゲはサブアームではなく手持ちでキマリス・ヴィダールのシールドを構えている。

 だがダインスレイブの予備弾が無いとは思えず、通常時ならばギリギリの距離でウイングスラスターを全開にして急加速を掛けた。

 

『バエルにダインスレイヴ効かぬは承知! ヘルムヴィーゲ・タウルスの力を見よ!』

『なんとお!』

 四足のヘルムヴィーゲも急加速を掛け、ドリルランスを回転させて飛び込んで来た。

 クリスが足のスラスターを吹かせて急上昇すると、奴も四足のスラスターを吹かせて馬首ならぬ牛首を巡らせたのである。

 

『グレイト・ギャロップ!』

 そしてドリルニーでこそないが、磨き上げられた膝装甲と頭の角で貫こうとカウンターの構えを見せていた。

 だがしかし!

 

『お互いに考えることは同じだな! ならば俺が先を行く!』

『何!? 宙返りだとお!』

 クリスは飛び越した段階で肩のEⅢスラスターを上に吹かすように設定して居た。

 当然ながら推力バランスの急変により、下へ向けて大回転。

 グルリと回転して、今度は逆向きに地面を飛行していたのだ。

 

 これにより飛びあがったヘルムヴィーゲ・タウルスのグレイト・ギャロップを回避したのだ。

 

『馬鹿め! そんな状態ではロクな攻撃も……っ』

『悪いな! お前の歩行と一緒で、想定済みなんだよ!』

 ヘルムヴィーゲ・タウルスが四足を上手く操れるのには理由がある。

 走行モ-ドとスラスターモードの両方で、いちいちマニューバーを登録して居るのだ。

 まともに動かすとバランスを壊しそうなものだが、丹念に設定し、何度も移動演習する事で機敏な行動を可能にしている。

 

 そして予め設定して居れば対処可能なのはバエルも同じこと。

 黒騎士は複数のセンサー、そして仲間との情報リンクを使って状況把握。

 そして阿頼耶識によるスラスターの微調整をマニューバーに組み入れて、変異抜刀としての斬撃を可能にして居たのだ。

 

『もらった!』

『おのれ! 目覚めよ、エスカトスデュナミス!!』

 逆袈裟ならぬ、下から上への袈裟斬りが繰り出される。

 最も無防備な腹を晒したヘルムヴィーゲ・タウルスは、突如、爆発的な加速でその場をバックステップで回避する。

 

『おのれ。俺に……俺に切り札を使わせたな。大会まで使わずにおくつもりだったものを……』

『言ってろよ。……まさかスーパーモードを隠していたとはな。四足とダインスレイヴは飾りか』

 バエルが元の姿勢を取り戻した時、ヘルムヴィーゲ・タウルスは四足から二本足に戻っていた。

 それだけではない、黄金の煌めきを見せて先ほどよりも強烈な力を見せて居たのである。

 

 四足の複雑な機動を捨て、更に限定的な能力向上を行っている。

 そして足を切り離した接合部や、各部位に隠されたビーム砲を闘気のように放って来るのだ。

 思考制御では阿頼耶識に及ばぬものの、動作でのコントロールと何よりビーム操作技術こそが、Gガンダム系のOSであるモビルトレース・システムの真骨頂だった。

 

●真の力

 一方で、他の四機も一進一退の攻防を見せて居た。

 互いに真の力を隠した上で、牽制代わりに通常状態の限界で戦い抜いていたのだ。

 

『次行くわよ! タイミングを合わせて』

『了解。残りの武装をいただいちまおうぜ先輩!』

 V2プリマ『オデット』は強力な推力に物を言わせて引き離すと、狙撃こそしないが一発ずつチャージしながら撃ち続ける。

 そしてヘビーアームズver.33(トラントロワ)が攻撃可能な位置に着いた段階で、Eパック式で連射を始めていたのだ。

 

『盾まで持って行かれちまったぜ。フルアームズも残りの武装も寂しくなったなぁ』

 フルアームズ・ユニコーンは幾つもの装備を破壊されながら、本体そのものは無事だった。

 フルアームズの鈍重さと射角の狭さを突かれたわけだが、今のところ問題無く対処して居る。

 加えて目立ったダメージはなく、デストロイ・モードを温存していることから余裕の範囲あることは間違いないだろう。

 

『それはあっちもよ。盾の御代りは必要かしら?』

『せっかく軽くなったんだし大将も絶好調みたいだから、ボク達も本気を出そうぜアネゴ』

 そしてこのRGアーマーは、輸送機であると同時にユニコーンの追加装備システムでもあったのだ。サイドに設置しているガトリング・シールドも、ユニコーンの盾、人によってはシールド・ファンネルと呼ぶ装備である。

 プリマはともかくver.33(トラントロワ)が弾薬切れを起こし始めていることを考えれば、状況はむしろ優位な筈だった。

 

『ターンXと誤解しそうだからその表現はやめなさいな。……それと口調を戻しなさい、はしたなくってよ』

『へいへい、その通りですとも(ラーサ)

 見れば地上ではヘルムヴィーゲ・タウルスが黄金の輝きを見せ始めた所だった。

 これ以上は秘匿する意味が無い、いずれ判ってしまうと理解して二人も本気を出す事にする。

 

『お姉さま、アレを使いますけどよろしいですか?』

よくってよ(ラーサ)。全力戦闘で行きましょう』

 古い英語で了解と告げあった後、ユニコーンの装甲が展開し始める。

 白い装甲から赤い輝きが漏れ、各部のパーツが熱を帯び始めた。

 

 ただし……この輝きはサイコミュの光ではない。

 

『うおぉぉ!! ヴォォォルテッッッテクス・デストロイヤー!』

 そう、最初からこの機体にNT-Dなど設定されていなかったのである。

 

『うそ、ユニコーンなのにNT-D積んでないの!?』

『全身ビーム砲って、お前……ゲーマルクかよ!』

 フルアームズ・ユニコーンから放出された赤い光が周囲を薙ぎ払っていく。

 ver.33(トラントロワ)の放ったミサイルなど、ビーム弾幕の前に無いも同然だ。

 

 武装が山盛りの状態では射角も狭く鈍重であったが、今では軽装、そしてこちらにもスーパーモードが搭載されていたのであった。

 

石破……(スーパー)

……天驚(真ユニコーン)

『『(ビーム)!!』

 通常時の射撃管制担当であるRGアーマーは、スーパーモードでは大規模ジェネレーターである。ビーム砲を溢れる闘気のように連射できるだけではなく、直結して強烈なビームマグナム以上の火力を見せつけて居た。

 

 その猛威の前に、為すすべ無いかと思われたが……。

 

『行って! リフレクター・ウイング!』

『たっ、助かったァ』

 プリマのスカートアーマーが二枚に分かれ巨大なファンネル……いやビットとして割り込んだ。

 トランザムこそできないもののGNドライブをエンジンとして設定し、補給せずとも自立稼働できるようにしておいたのだ。

 一枚が間一髪のところで間にあい、ver.33(トラントロワ)の退避をかろうじて成功させた。

 

『ちっ! だが今のでぶっ壊れちまったぞ! 無理をし過ぎたな!』

『そうでもないわよ。ビットはもう一機あるんだから』

 リフレクタービットはサイズもあって並みのビームくらいで破壊されたりはしない。

 だがビームマグナム以上の火力とあっては壊れてしまうのが通り。

 

『ハン!? もう一枚あったところで……』

『避けなさい、上よ! っ……!』

 パラレル・ビームスマートガンが放った一撃が、直上から降って来る。

 RGアーマーが回避させるのも限界があり、ユニコーンは初めての直撃が手痛い一撃になってしまった。

 

 そして動きを止めればこの機とばかり並行射撃で連射し、気を取られれば再び上から一発ずつだけだが、避け難いビームが飛ぶ。

 

『まさか反射衛星砲……?』

『どちらかといえば曲射砲撃なんだけどね。……残りの全弾もってけー!』

 回避運動を繰り返すRGアーマーの移動先に、動きを止めたver.33(トラントロワ)が射撃態勢で待ち構える。

 

 足のアイゼンを降ろし、再びサブアームでガトリングを固定した射撃モード。

 これまで危険だから使って居なかった胸部マシンカノンも全開にして、残弾を撃ち尽くす猛烈な攻撃を加えたのである。

 

『ここまでね。後は任せたわ』

『御姉さま!? ちっくしょおお!!』

 RGアーマーは暴れ馬の様な起動で振り落として、強引にユニコーンを守った。

 逝き掛けの駄賃とばかりにver.33(トラントロワ)に突っ込んで、射撃モードに入って居る為に動けないところを相討ちに持ち込んだのである。

 

『ごめん先輩。こっちも殆ど墜ちてます。やっぱ近過ぎたかぁ』

『その辺は後で検討しましょ。二対二で喋ってる余裕ないから』

 ユニコーンを振り落とした分だけ、体当たりで狙える軌道では無かったのかもしれない。

 しかしながら本体の大部分が壊され、破壊判定が下ればver.33(トラントロワ)もやがて動きを止めるだろう。

 もちろん生き残ったユニコーンが見逃すはずも無く、それまでにビームを喰らって倒されてしまう可能性の方が高い。

 

 そんな時に意外な声がヘルムヴィーゲ・タウルスから聞こえたのである。

 

『俺達の負けだ。次は必ず勝つ』

『ちょ! そんな大将、ボクならまだやれるよ!』

 むかし懐かし番長風の装束をまとったアバターが、降参(サレンダー)を申し出て来た。

 文句を付けるユニコーンのダイバーは、女性用体操服をまとっているのがやはり懐かしい。

 

『いいのか? あんたはまだ有利に戦えたろ?』

『かわりに向こうが真逆だからな。それに、オレ達の切り札は使った瞬間に片付けるべき種類のものだ。その点ではお前らの方が使い方が上手かったよ』

 ヘルムヴィーゲ・タウルスは格闘戦だけではなく、ダインスレイヴも使いこなして優位に立って居た。

 スーパーモードの能力上昇や操作性と相まって、バエルを押しこんで居た形だ。ウイングスラスターの片方が落とされ、ほぼ陸上での戦いに成っている。

 

 だがV2の方はビットが一つ潰されただけで、ダメージを受けたユニコーンよりも優位に立って居る。どっちもどっちと言った風情だが、……もし合流して二対二にせず、戦場を分けたままV2がバエルの援護に徹すれば話は変わってくる。

 ヘルムヴィーゲはそのうち狙撃され落ちるだろうが、ユニコーンがバエルを潰すよりも先とは思えないのだ(当然そうなればバエルも下がる)。

 

『勝ったの?』

『まあ一応はな、釈然とせんが今回は引き上げるか』

 勝負にもしは禁物だが、ユニコーンに気が付く前にビットを最初に飛ばして居たら……。

 あるいはユニコーンがNT-Dも同時に積んで居たら、どちらの有利にも話は変わっていたかもしれない。要するに運不運の差でしかなかった。

 

 あえて言うならばヘルムヴィーゲの四足を潰した段階で、バエルが勝負にこだわらずに二人を援護すれば良かったというところだろう。

 こうしてフォースの再出発は、なんとか白星を上げたのである。




 と言う訳で前回が改造回なので、今回は戦闘回です。
味方は前から小出しにして居る機体の完成版で、対戦相手はネタとオマージュの塊になっています。

●機体解説
/V2プリマ『オデット』
 バックパック装備で望遠カメラとレドームのEWS装備、通信共有できるカメラ、各部にスラスターを追加した空域管制仕様。
ビームスマートガン一丁で戦い抜くが、リフレクタービット二基を搭載して居るので、ビーム攻撃への高いカバーリングや曲射攻撃力を持つ。
なおゼロカスタムの翼はプリマ専用なので、光の翼でダメージを与える【オディール】パーツやアサルトバスター的な増加装備中には使用しない。

/ヘビーアームズver.33(トラントロワ)
 地上ではカウンターウエイトとアイゼン、宇宙では各部のノズル・スラスターで安定した射撃を行う火力機体。後腰にサブアームを追加したので、ゼグ・ツヴァイやバスターガンダムの様に大口径砲を持っても軸線がブレなくなった。
 全ての反動を抑える機能を使った半変形時には、大火力を発揮しても命中精度が上がる反面、動けなくなるので敵の近くで使うと大変なことに成る。

/バエル・ザ・ブラックナイト
 肩に小さな翼状のスラスターを追加したほか、足をウヴァルの物にしている。
これらのスラスターは常に全開で吹かす物ではなく、常態を捨てて特殊な体勢に移行し正対を捨て、急速に元に戻すMSタイ捨流の為に使用する。
このため大太刀で袈裟斬りにする技しか持たないが、防御し難いという特性を持つ白兵戦機。

/ヘルムヴィーゲ・タウルス
 四足のヘルムヴィーゲ・リンカーに、スーパーモード(様々な小形ビーム砲とモビル・トレース・システム)を追加したもの。
歩行・装甲・スラスターと多くのマニューバーを登録して居るので、四足でも普通に戦い抜くことができるし、余分な足を外す物も登録してある。
モビル・トレース・システムの思考制御は早い方ではないが、動作制御のオマケであり闘気のように付属させるので問題は無い。
 武装はキマリス・ヴィダールのドリルランスとシールドを使っているが、各部に研ぎ澄ませたナックルやニー状の装甲があるので格闘戦の方が得意。
イメージはガリアンの人馬兵と、黄金聖闘士のアルデバランを足したモノ。

/フルアームズ・ユニコーン
 NT-Dは搭載せず、ヘルムヴィーゲと同じ様にスーパーモード(様々な小形ビーム砲とモビル・トレース・システム)を追加したもの
こちらは四足を外す事が起動条件ではなく、装甲展開に寄る変形が起動条件。
なお火器管制をモビル・トレース・システム動作制御し、同時にRGアーマー側でも可能にすることによって、安定した射撃を行うことが出来る。
イメージはゲーマルクとGガンダムの合わせ技に見えるが、宇宙の騎士テッカマン・ブレードと、トップを狙えのガンバスター一号機(上半身)。

/RGアーマー
 ユニコーン用の追加装備であり追加ジェネレーターであり輸送機。ガトリングシールドはシ-ルド・ファンネルにも成っているし、下部にバズーカやライフルなども確保して居る。
 火器管制も行えるので本来の姿はユニコーンと合体する方が望ましいのだが、ファーストの様に合体するか、Xガンダム系の様にGファルコンの様にするか迷っているとか(どっちにもメリットあるので)。
と言う訳でイメージはGアーマーとGファルコンであり、トップを狙えのガンバスター二号機(下半身)。
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