ビルドダイバーMMO【完結】   作:ノイラーテム

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世界のリ・ビルド

●それもまた、世界の選択である

 ドロップ品の変更ルールは驚くほどの速さで知れ渡った。

 規制や隠蔽などもなかったのは、あくまで変更点の一部でしかなかったからだろう。

 

 ……そう、ガンプラバトル・ネクサス・オンラインは大転換を迎えたのだ。

 

「まさかドロップ品どころか世界感まで変わるとは思わなかったな」

「そりゃ、一部の情報が出回っただけじゃ規制しないわけだよ。ワールドが増えた御蔭でどこのフォースも大忙しだ」

 これまでも装備品やOSなど以外にもドロップ品やミッション報酬は存在した。

 だがしかし様々なワールドが追加されたことで、大幅に比重が変わったのだ。フォース拠点としてもらえるエリアが拡大し、自分達でも調達ミッション等を出せるように成ったのも大きい。

 

「そこで相談なんだけど。これに参加して見ない?」

「ブラジル直行便探索ミッション? これって地球空洞説じゃない、なんでこんな物が競合なんて……」

 ミツオが持ってきたミッションは、とある競合ミッションの一つだ。

 軌道エレベーター建設ミッションと競い合う様に、ブラジルから日本へ繋がるのではないかと言われている大穴を捜索する。

 どちらも南米サーバーを出発点として、上下に競争を始めていた。

 

「読めて来たぞ。隠しエリアの入り口探しだな?」

「そういうこと。海洋系のミッションでバミューダー・トライアングルが見つかったって聞いてね。軌道エレベーターなら空飛ぶ島か空中要塞、これなら地下世界だと思ったんだ」

 魔の三角海域と呼ばれるシークレット・エリアが見つかったらしい。

 水泳部と呼ばれる水中系フォースが見付けたそうで、早速、彼らと仲の良い連中が中心に成って探索が始まって居た。

 

「未知のエリア探索がしたいってのは判るけど、どうして軌道エレベーターにしなかったの?」

「こっちの方がファンタジー系やターンAぽい気がしたのと、今のところ失敗続きだからエリアがもらい易いってことさ」

 軌道エレベーター建設は華やかで、空中を飛べる機体が行動し易い。

 対して地下空洞捜索は地味な上に、待ち伏せもし易いので嫌われているのも大きいのだろう。

 またダブルオー・ガンダムでの知名度もあり、絶対人数に置いて大きく上回って居た。

 

 だが逆に言えば判り易過ぎ、実入りも少ない。

 既にエレベーター周辺のエリアは予約一杯で、オフィスと整備施設程度のフォース用エリアが埋まっているらしいのだ。多少の功績を上げた所で、良い場所をもらえるとは思えない。

 

「俺は受けても構わんぞ。うちのEⅢなら探索向きだし、難しいシナリオの方が挑むには愉しいからな」

「そういうこと。装備的にも趣味的にも合ってるからさ」

「なら私もいいわよ。地下に妖精の国があるといいなぁ」

 彼らのフォースEⅢシステムはカメラを始めとした探知システムと、ゼロ・システムを使った戦術リンクだ。

 三機に加えてビットと情報共有が可能で、今まで連携訓練をしていることから適している。

 他にも同じ様なチームが居る可能性はあるが、それでも空中エリアよりはマシだろう。

 

 こうして三人は新ルールでの装備も含めて調整し、地下へと潜ることになったのである。

 

●地下の国へようこそ!

 ブラジルから出発して暫く、既にNPCの部隊は全滅して居た。

 PC側からも犠牲が出始め、中には撃破された後からログインし直して再合流を行った者まで要るくらいだ。

 

 要するに暗い地下では隠れる場所が多過ぎ、またストレスから慎重な行動が長続きし難いのである。集中力を欠いた場所からミスで壊滅し、あるいは重要なキーパーソンを潰されていたのだ。

 

『またアイザックがやられた! さっきのザク・フリッパーに続いて、だぞ。集中的にこっちの眼を狙ってんのかよ!』

『容赦ねえなあ。しっかし敵は人間サイズか、それともトラップなのかねえ』

 今回は最初から合同チームが結成されていたが、やはり状況は芳しく無い。

 

『どっちもだとは思うが、他にないとも言えないよ』

『いっそのこと飛行して一気に行くか?』

『俺が前にソレをやったら、飛び出てる岩にぶつかったよ。よほど操作と探知に自信が無けりゃ止めとけ』

 こんな感じで遅々として進まず、それゆえに撃破されたメンバーが再ログインしても間に合うレベルだったと言えるだろう。

 

 

 ただし、今日この時までは。

 それが良くある意気ごみなのか、それとも確固たる自信なのかは実力と運の両方で示す時だ。

 

『……どう思う?』

『少し抵抗が激し過ぎよね。謎の勢力なんて、悪の秘密結社じゃないんだから』

『それって正解かもよ? 案外、どこかでシークレット・ミッションでも受けれるのかもね』

 このフォースが損害を受けて居ないのは、ビットを先行させて偵察を任せられることとリフレクター機能があることだ。

 メンバーが奇襲を受けて居ないのでリカバリーが効くし、ビーム兵器での攻撃ならば落とされることは無い。

 

 そして三人はミツオがピックアップした画像を確認する。

 先行させたビットの一基が、とうとう撃ち落とされてしまった時の前後である。

 

『ここの画像を見てくれる? 明らかに何も無い所から攻撃されてる。しかも、途中で実弾に切り換えてね』

『ミラージュ・コロイドかハイパー・ジャマー? 明らかにプレイヤ-じゃない』

『こっちのビットにリフレクターがあるのは判ってそうなもんだが……。向こうも幾つかのフォースなのか?』

 咄嗟には見分け難いが、ジックリ見れば推測できなくもない。

 何も無い所というだけなら迷彩で隠して居るだけの可能性もあるが、弾を切り替えるなど他には考えられない。

 ここには脅威として配置されたNPCの他に、明確な敵対者が居るのだ。

 

『考えられる可能性は二つだね。ジャブローでもどこでも良いから地下経由で待ち伏せた。もう一つは……』

『そうか! そいつらもミッションの一環として、隠しエリアに配置されたってことだな?』

 この際、危険性だけなら誰がシークレット・ミッションを配布したかはどうでも良い。

 軌道エレベーター側にエントリーしたプレイヤーが勝利の為に邪魔して居ようが、公式が脅威として配置しようが同じことだ。

 

 だが相手の戦力がどの程度なのかの推測、そして自分達のモチベーションも変わってくる。

 前者であれば強引にでも距離を離せば、無限に追ってくることは無いだろう。後者は暫く続くのでストレスも大きいが、未確認エリアを取得できるという魅力が補ってくれる筈だ。

 

『そうと決まれば気楽な旅路ってもんよね。ジャブロー経由ならビットを先行させて一気に飛べばいいと思うけど……』

『まあ僕らならそれも可能だし、ソレで焦ってくれるとボロが出て来れればとは思う。その上で、作戦を決めてから一気に実行した方が良いと思うね』

 隠れて居る敵に限界があるのならば、ソレを見越して作戦を立てる事が出来る。

 こちらが大きく移動すれば発見される危険を覚悟して高速移動するか、諦めて後続だけを相手するかするしかないのだ。

 

『なあ。ステルスって、電子系の探知をさせないからEⅢでも直接は見抜けないってことで良いんだよな? あくまでソレ自体は』

『そうだけど。クリスがこの手のギミック話に首を突っ込むのは珍しいね』

 この手の話にクリスが加わることは珍しく、ミツオは興味が隠せないで居た。

 これが話を聞いて居なくて問い返しただけならまだしも、ステルス装備の確信を尋ねて居るのだ。

 

『何、俺も最近になって似たようなことをして、隠れることは向いて無いと悟っただけさ』

『クリスがステルス? らしくないね』

 直球勝負しかしない訳ではないが、あくまで戦闘での駆け引きとしてフェイントや奇襲攻撃も許容するだけだった。

 それがこの困った局面で、どんな提案をしてくれるのだろう。

 普段は気にしないタイプなので、面白い反応だと言える。

 

『らしくないさ。だがそれだけに、判ったこともある。……探すなら痕跡の方だ』

 ミラージュ・コロイドやハイパー・ジャマーによるステルスは、走った後の地響きやスラスターの噴射炎までは消してくれない。

 何らかのリアクションを誘発させ、ビットを潰した砲撃の様な痕跡を見付けるべきだろう。

 

『それはそうなんだけど、放水器でも持って来てもらった方が早いくらいだと思うわよ? 直ぐに用意できるかは別にして』

『そんなに手間は掛けないさ。今ここに使い損ねている機能があるからな』

 そういってバエルの腕部と腰アーマーの一部を動かし、新しく用意した籠手と腰に付けたパーツを眺める。

 そのレベルのカメラでは見えないが、黒い塗装の表面は鱗の様に刻まれているはずだった。

 

 そこにはバエルの特徴を兼ねて装備をしてみたものの、逆にスラスターの電磁砲が使えなくなってしまった程の装備があるのだ。

 ドロップ品の変更ルールが実装されるまで、試しても見なかった装備が陽の目(地下だが)を見ることに成る。

 

●猿叫

 そして提案に元付き、合同チームで簡単な作戦が立てられた。

 

『ここなら良いだろう。配置に付け』

『こっちはいつでも行けるぞ』

 まずは地形を誘い出し易い特徴のある場所まで我慢して移動。

 そこでクリスのバエル・ザ・ブラックナイト以外にも、似たようなことができる機体が実行する。何機かが一組になって敵機が返したリアクションを拾いながら、地道に叩き潰して行くというものだ。

 

『バエル・ヴオォォイス・ザ・バァービーローオオオン!』

 チキチキと唸りを立てて、バエルの籠手と腰にマウントした追加装甲が振動し始めた。

 装甲表面に塗られたという設定のナノマシンが、高周波で周囲を揺らしているのだ。

 

 そう、これはバエルが持つカエルの貌。

 それをイメージする為と武装の試験に、フラットのパーツを籠手と後腰に配置したのである。

 

『あったわよ、無反応の場所が幾つかあるの!』

『撃って、撃って! 少しくらい外れても良いからさ、とにかく撃って!』

『ヒャッホー! オレ達によくもこんな目に合わせやがって!』

 V2プリマ他、強力なカメラ機能を持った機体が効果範囲の中で揺れない場所を確認。

 ステルス機能が反応を返さないのに、後方の地形を投影している場所を見付けだしたのだ。

 

 中には感違いもあるだろうが、隠れて居る方にはそんなことは判らない。

 直撃して吹っ飛ぶ機体だけではなく、明確に攻撃された気がして飛び出してしまう奴も現れたのだ。

 

『チクショウ! 聞いてねえぞ、ソニックブラストにこんな使い方があるなんてよ!』

『元より暴徒鎮圧用だとさ。小説じゃあマイクにも成ったそうだぞ。悪く思うな!』

 デスサイズをベースにした機体が、ビームサイズを大きく延ばした。

 同時に黒塗りのテイルソードを使い、明暗を兼ね備えた戦術でバエルを攻め立てる!

 

 いかにも暗殺向きの機体だが、相手が悪い。

 バエルは急加速を掛けて斜めに上昇、大きく移動しながら慣れた手つきで袈裟斬りに大太刀を振るう。

 そして斜め掛けるの斜めで、横薙ぎにデスサイズを真っ二つにしたのだ。

 

『まだまだ! オレの戦争はまだ終わっちゃいねーぞ!』

『部隊を率いて居るのがサーシェス辺りなら退いたんだろうが……。成敗(say-bay)!』

 それでもデスサイズは動き続け、破壊判定が出る前にビームサイズを槍状に変形。

 投擲する残骸相手にバエルは最速の右向け右。回転しながら今度こそ斜めに切り裂いて撃破判定をもぎ取ったのである。

 

『サーシェスじゃなくてレナート兄弟の手合いだったか。これで終われば良いんだがな』

『まあまあ。次が出てきたら、地下世界があるってことだからね。愉しみに再戦を期待しようよ』

『そうね。そう思っておかないと、やって居られないわ』

 最後の戦いでも果敢に反撃した機体もあり、調査隊はかなりの被害を被って居た。

 ステルス部隊を撃破したものの、いまだ道半ば。

 次なる戦いと調査に備えて、一同はキャンプという名前の交代性ログアウトを行うことに成った。




 時間が微妙なので予約設定してみます。

 と言う訳で路線を変更してみました。
これまでは地道な検証しながら、どちらかといえば史実ミッションを舞台に……。と言う感じで。
今回からは、ネタに走ったミッションなどで、改良とかも伏線さえだしておけば成功することもあります。
(バエルのカエル面、パーツを作れるように成った、自分だけの技を模索中。など)
半端に装備解説と化入れたので、次回も戦闘の予定。

●バエル・ザ・ブラックナイト(完成系)
 随所にウヴァル(アスタロト)パーツを使って、広い稼働域と追加装備が可能にしている。
フラットのパーツを利用し、腕部に籠手を追加・後腰の剣留めを外してマント状の追加装甲として設置。
今回は間にあわなかったが、後は肩の小翼を同じ様なマント状パーツに形状変更し、EⅢのスラスター・カメラとして設定すれば完成である。
反面、本体設置武器が設置出来ないので、ウイングスラスターにある電磁砲は逆進用小型スラスターに変わって居る。
 発想としてはGガンダム系のスーパーモードの代用(あの金色はビームらしい)なのだが、ソニックブラストが使えたものの流石に設定できず全身のステルス機能も無理だった。
電磁砲が使えなくなった様にフラットの制限である本体武器が使えなくなるという問題も受け継ぐので、本当は良い改造ではないが、バエルの持つ『カエルの貌』やソニックブラストの持つ攻防補助能力から正式設置に至る。
 トータル・イメージ的にはターンAの時代にバエルが発掘し直され、アスタロトのパーツと二個一で修復、装備はフラットの装甲で代用と言う感じ。

全身像:黒塗りで随所に臙脂色を施した、マント付きの黒騎士姿
武器:大太刀『真バエルソード』:
肩・腕・横腰・足:ウヴァル(アスタロト・オリジン)由来
籠手・肩周辺・腰周辺の追加装甲:フラット由来


新装備 or 自分だけの技:
『バエル・ヴォイス・ザ・バビロン』
 高周波を使って周囲を揺らす行動。本来は暴徒鎮圧用。
フラットの持つソニックブラストの応用というか、元の能力。
カエルの啼き声というイメージと、猿叫から着想したものの……。何に使うのかいまいち不明だったので、御倉入りになるはずだった。

『王の長き手』
 フラットが持つステルス能力を試してみたものの、上手くいかなかった名残。
追加した装甲パーツ部分だけが消えるので、牽制で放つパンチやショルダータックルが何故か当たり易いくらい。でもソニックブラストがそれ以上に届くので、御倉入りになる可能性は高い。
(フラットのパーツを組み入れて見たものの、付けたくらいでは全身にナノマシンが広がらなかったらしい)

『猫の見えざる爪』
 ソニックブラストのこと。ただしターンA時代の非常に強力なエンジンと、オルフェンズ時代のエイハブ・リアクターの差で射程は短い。
どちらかといえば、斬撃の補助であり防御用の盾である。
次回活躍予定。

『震脚(偽)』
 ソニックブラストを腰に追加した装甲から足元に放ち、絡みついた拘束装備や泥などを排除する。
 フラットがやったように海を割るのは無理だが、踏みしめ易い様にはできる。
でも空を飛んで戦うのがデフォルトなので、御倉入りになる可能性は高い。
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