●公式大会に出よう
一時的に他のフォースやフレンドを吸収し、メンバーは八人になった。
何度かの交流を行った後、みんなでやる為の新しい目標が発表される。
「ビッチ先輩。それで何やんの?」
「せっかくメンバー増えたし、今の内に公式系の大規模フォース戦に出て見たいと思うの」
「構わんが、効率重視の前提は勘弁な。どうせ分かれるから称号によるブーストは無意味だし」
ビッチ先輩と呼ばれた少女……アレクサンドラの言葉に一つだけ否定が挟まれた。
一同は特色のあるこだわりを持つ者もおり、個性に合わない事はしたくないタイプのメンバーが多い。
それと大前提としてこのメンバーでずっと行くわけではないので、タイトルの掛った公式試合でポイントの入る称号(上位入賞)を得ても無駄になるのだ。
「まーその辺は了解。私だって地道なスポーツとか嫌いだしね」
「ボクはバスケとかバレー好きだけどね。その辺のエンタイーテイメント系ミッションは好き嫌い出ちゃうし」
公式のフォース戦の中には、ガンプラ・スポーツと呼ばれる戦いもある。
読んで字のごとく、ガンプラでマラソンや野球などのスポーツを行うのだ。
この手の大会は好きな者と嫌いな者がハッキリするので、参加者数的に狙い目ではあるがメンバー内ではあまり人気は無い様だ。
「では普通に戦闘系のフォース戦を選びますの? 人数的と練度の両方で難しいと思われますけど」
「やり易いがそれだけにライバルは多いし、強いところは十人前提だもんね~」
当たり前の話しながら、普通のフォース戦は戦闘力とチームワークがモノを言う。
参加枠は十名だが一同は八人であり、臨時に増えたばかりなので連携訓練もそれほど行っている訳ではない。
まだまだ個人の力量を見たうえで、パーツやプログラムを相互交換して能力を磨いている段階だと言えた。
「経験を積む為にとりあえず出て見るのも悪くはないと思うが……。何か名案はないのかミツオ?」
「こういう時だけ頼りにされても困るけど……。まあ無くはないよ」
話を向けられたミツオが嫌味を言いながら肩をすくめた。
少し前の戦いで、勝手に戦って勝手に勝利条件を決めたことに文句を言っているのだろう。
だが注目を集めたことと、難題に解決策を閃いたことに満足するとミツオはおもむろに話し始める。
「要するに数人ずつの班が複数必要になる戦場で戦えば良いんだよ。もちろん通常戦闘でもいいし、エンターテイメント系もスポーツ過ぎなきゃ完全な純戦闘で無くても良いんだしね」
「そりゃそうだけど……。そんな都合の良いステージなんてあるわけ? 無いから困ってるんだと思うけど」
ミツオの言葉に何人かが首を傾げる。
通常の大規模戦闘では必ずしもステージが選べるわけではない。
メンバーのガンプラが局地用に偏って居る時に考慮されることもあるが、その場合も上位ランカーの集まる有名大会だから考慮の余地が大きくなって居るだけだ。
運が良ければ能力が行かせるステージになることもあるが、運が悪ければ全く使えない事もある。
「あの……。もしかして護衛ミッションとかですか?」
「それなら確かに全員が一か所に集まる訳ではないし、場合によっては小出しに連戦することもあるか」
おずおずと二人の少年たち……巻き毛のカザマ・ジンと、ロンゲのイナオ・アキラが口を出す。
彼らはバーザムやティターンズ仕様のマークⅡに、Gディフェンサーを付けて居た二人組でクリスの招待でやって来たフレンド組だ。
似た能力を防御特化と攻撃特化に分かれて製作しており、その延長で思い付いたのかもしれない。
「だいたいそんな感じかな。ファーストガンダムみたいな戦艦を守るステージとか、エンターテイメント系だとフォーミュラーなんか似たような感じだね」
ファーストガンダムを元にした戦艦に乗って移動するキャンペーンは、聖地巡礼と呼ばれてメジャーなミッションだ。
公式大会だと流石に護衛対象は戦艦ではないが、NPCの操る小型船やモビルスーツを守って移動するモノは一応存在する。
もっとも良く見掛けられるモノは、フラッグ機に重要人物が乗って居るという設定で、通常戦闘とそれほど変わりない物だ。
いつも以上にフラッグ機の守りが重要になるだけで、それほど護衛ミッションという印象は無い(制限がある場合を除いて)。
「フォーミュラーってレースだっけ?」
「そうだな。確かにアレは戦闘アリのレースだった筈だ」
「護衛ミッションと似てるんだけど、基本的には指定エリアへの移動を要求されるやつだよ。コースにラインは無くて、ビーコンに従ったり任意にマーカーを回ったりする差はあるけど」
フォーミュラーは旧時代の耐久レースに近いエンターテイメント系ミッションである。
流星のようなビーコンを追い掛けたり、一か所巡るごとに次のポイントを指定されるモノなどがある。
当然ながら途中で戦闘が起き、敗北する可能性もあった。
「限られた機体が巡るモノと、フラッグ機を守りながら回るのがあったよな?」
「うん。この場合は当然、フラッグ機を守る方だね」
限定された数で挑むミッションは開発性の高いレースであり、移動力のある機体の数機へ絞る必要があった。
だが今回は八人に増えたことで最大十人の大規模フォース戦に挑もうというものであり、趣旨から外れることに成る。
「指定されたコースを離れてはいけないモノならば全員で守り、ポイント指定の場合は足止めやら先回りで班を分ける必要がある。面倒といえば面倒だけど、僕らの都合には合致してると思うよ」
「なるほどー」
ミツオの解説が終わり、一同は判ったような判らない様な声を挙げる。
結局のところ護衛ミッションの条件アリ版ということが判れば良いので、ミツオの方も特に注釈は付け加えない。
「とにかく私達向きのミッションやってる公式大会を見付けて、大規模フォース戦をやってみましょ!」
「「おー!」」
こうして一同の目標は定まり、それに向けて強化の精度を上げて行くことに成った。
●試合に向けて邁進せよ
公式大会に向けて技術の交流が始まった。
とはいえ最初からスムーズに行った訳でもなく、意識の問題やコミュニケーションの問題が立ち塞がる。
「タケルさん、明鏡止水ってどうやるんですか? 問題無ければ……」
「そんなモノは無い」
スーパーモードを試してみたジンが、おそるおそる尋ねて見た。
だが提供元である番長姿の男……カワカミ・タケルはそっけない。
「問題があるなら最初から無理だと言えばいいじゃないですか。でも見せてもらった試合では、明鏡止水を……」
「無いと言ったら無い」
「大将っ! そんな言い方じゃ伝わらないでしょ! ちゃんとただのコツなんだって説明しなきゃ」
相方のアキラがカチンと来て抗議するのだが、タケルは頑として意見を変えない。
流石に見かねたのか元チームメイトの少女……リンダ・ヤマトが割って入る。
「コツ……ですか?」
「システムじゃなくて?」
「そうなんだよー。あれって単に、まだ冷静うちにスーパーモードを発動してるだけなのよね。詳しいことは御姉さまに聞いてちょ」
二人の少年達にリンダは気楽に教えてくれた。
そして詳細に関してはお姉様こと、ヘイズ・ヘイゼルに丸投げしておく。
「戦いのクライマックスになると、つい頭に血が登りますわよね。その前に使用するんですの」
「言われてみればGガンダムの劇中でも、スーパーモードそのものは明鏡止水よりも先ですよね」
スーパーモードは本体エネルギーでひたすらビームを撃ちながら、そのビームを出力強化やスラスターや回す事である。
本来は攻撃手段であるビーム砲撃をバフ……能力強化に使えるのだが、欠点としてエネルギー消費が増大する。
当然ながら最初から使用すればエネルギー不足に成って戦闘でき無くなるし、追い込まれてから使えばダメージの方が大きくなってしまう。
要するに程良いタイミングを見据えて、まだ冷静な間に起動するということらしい。
「参考に成りました、ありがとうございます」
「いいのよ、今は同じフォースだし技術共有すると決めた範囲の事ですしね」
アキラはまだ不本意らしく、ヘイゼルにだけ礼を言ってタケルの方を無視して居る。
まだまだ子供だなと思う反面、彼らの年齢で今の強さに辿りつく辺り、ガンプラに年齢は関係ないのだと認識させられる。
「それで……あの、閣下の方は阿頼耶識で何かありました?」
「マクギリスじゃないんだ、閣下は止せ。……そうだな疑似阿頼耶識に目途が立ったのと、阿頼耶識ユーザーに運営から制限変更のパッチをあてる可能性が届いたくらいか」
話題を変えるべくジンがクリスに声を掛ける。
本来は目を見張るべき状況の筈だが、当のクリスはそれほど嬉しそうでも無い。
「お顔が優れませんが、何か不都合でも?」
「まあな。疑似阿頼耶識は複座型からのバリエーションだし、パッチの方は純粋な解除じゃなくて、コスト削減になりそうだという話だ」
「なるほど……自由に使おうと思ったら、機能が制限されてしまう訳ですね」
流石に阿頼耶識は強力なだけにバリエーションが増えたり、パッチが当たるとしても良いモノとは限らない。
まず疑似阿頼耶識の方だが、現段階のプログラム容量は限られているので、複座式と併用すると他に何もできなくなる。
感覚的には『阿頼耶識』 + 『Alice』で疑似阿頼耶識になると解釈されている様なのだ。
「せめて半分ずつにしてくれればビームを併用してスーパーモードで遊べそうなんだが、せいぜい3:7だろうな」
「モビルアーマーを使ってるフォースは少ないですからね。先にそっちの修正が無いといけませんか」
次にコスト削減案に関しては、現状と同じ能力を使うとやはり他に何もできなくなる。
何か併用したいならば今と同じ様にビーム制限やモビルアーマーを友軍に入れられないといった不利益を甘受するしかない。
とはいえクリスが言うようなスーパーモードとの併用など認めてしまえば、圧倒的な性能に成り過ぎるので仕方の無い事なのだろう。
「あれ? でもスーパーモードとトランザムは併用できますよね? あっちは良いんですか?」
「トランザムは装備由来なのもあるが……。どっちもエネルギー消費系だからな」
正確にはトランザムは行動増加系で、元もと行動一回ごとにエネルギー消費するから、移動を含めて全ての行動が増えた分だけエネルギー消費が増えるだけだ。
通常時ならばそれほど困ることではないが、スーパーモードと組み合わせることで膨大な消耗になってしまう。
感覚的には『トランザム』 + 『スーパーモード』でリミッターの無いトランザムになると解釈されていると言っても良いだろう。ツインドライブでも同じことができるので、スーパーモードにこだわる必要も無い。
「併用してから一分で片付けられるならば別なんだけど……。トランザムは見た目で判り易いしね」
「流石に一分じゃ倒すのは無理ですね」
「必殺技は警戒されて当たり前だからな。太陽炉を設置していれば当然トランザムを疑うさ」
試してみたらしいミツオが付け加えると、質問したジンも苦笑する。
クリスが言う様に強力な攻撃は相手も警戒するし、防御させずにクリーンヒットするのは相当難しい作業である。
「まあゲームだし割り切って併用しても良いけど……システムを並べるとこんな感じだよ」
「スーパーモードは
これらにスキル増加系である教育型コンピューター(AliceやEXAMなど含む)と、脳波制御(実際には視点ポインタ)であるサイコミュを加えた物が機体制御OSである。
それぞれに長所と短所を持ち載せられても精々二つ。
長所よりも短所が重なり易い事を考えれば迂闊に併用するのは問題があるし、プログラム系は有用なモノが多いのでできればそちらを載せたいのもある。
「硬直すると判ってる戦場をこじ開ける時くらいかな? 同じ実力のチームだと偶には博打に出ないといけない時もあるだろうし」
「それは余ほどの時だな。さっきも言ったが防御に徹すれば何とかなることは多いんだ」
延々と勝負の付かない千日手を崩せる可能性はあるだろう。
誰かが犠牲に成って一機だけ倒せば良いという状況なら意味はある。
だがフラッグ機ならば小隊を隠せば良いし、NPCのようにボスを倒して終わりとはいかないのだ。
「まあその辺も含めて作戦次第だよ。ユニコーン・フルアームズが完成したらフォーメーションを考えてみようか」
「へっへー。もうちょっとなんだけど、すっごく使い易くなったんだよー」
「その分だけ私の苦労が増えているのですけれどね」
こうして一同はそれぞれの強化を行い、試合に備えるのであった。
と言う訳で今回はチームの結成と、ガンプラの強化回になります。
前回の三人組と、バーザム・マークⅡの二人が加わって八人に臨時で増加。
最大十人の大規模フォース戦に挑む為に調整中な感じ。
●追加登場人物とプラモデル
カザマ・ジンと、バーザム・ディフェンダー『風神』
巻き毛で前髪をクルっとやって、片目を隠して居る。仕草は幼くまだまだ少年と言う感じ。
厨二病のケがあり、マクギリスとかトレーズ様みたいな行動に憧れて居る。
連邦カラーバーザムを使っていたがGディフェンサーと、スーパーモードを取り入れてバーザム・ディフェンダー『風神』を作りあげる。
この機体はプラネイト・ディフェンダーを数多く設置し、防御特化で構築されている。またリフレクター・ビットが追加され、アレクサンドラのV2プリマと共用可能になっている。
イナオ・アキラと、スーパー・ブラック『雷神』
ロンゲ少年で仕草が妙に芝居掛って居る。やはりまだまだ子供であり厨二病のケがある。
勇敢な行動や恰好良い技に興味があり、行動の成否よりも重視する傾向にある。
ティターンズ仕様のマークⅡを使用して居たが黒いGディフェンサーと、スーパーモードを取り入れて、スーパーブラック『雷神』を作りあげる。
この機体は火器の出力強化に特化しており砲撃戦を得意とする。またV2バスターのメガ・ビームライフルが追加され、アレクサンドラのV2プリマと共用可能になっている。
ユニコーン・フルアームズとRGアーマー(合体可能版)
フルアーマー・ユニコーンのNT-Dをビーム砲とモビルトレースシステムに変更し、スーパーモードを可能にした機体。
前回に副座式コックピットを手に入れたので合体可能な様に改造を施し、同時に火器管制も変更して居る。
これによってフルアーマー・ユニコーンが抱えて居た武装を扱い難いという欠点を克服し、同時に移動力も大幅に強化されている。
もちろん二人で一機を扱うことによる欠点は抱えたままだが、性能面では相当な強化が図られた摸用。