●ギミックの見直し
一同はフォーミュラーを得て、装備や連携などの再検討に入った。
二位とはいえスコア勝負によるもの。それも下位集団が介入しての結果とあっては誇れるようなものではない。
もしフォース同士の一騎打ちであれば惨敗したかもしれない。自分達を磨く必要を感じたのだ。
「判ってる? こっちの指示」
『なんとかね~。最初が警戒、次が移動でしょ? 方向の変更なかったし、ようするに警戒しながらそのまま移動って事で』
『合っているなら一応は成功みたいですわね』
フォースネストで練習しているのだが、新しい訓練が増えた。
通信もハンドサインも使わずに、連携を取る為のものだ。
「合ってる。後はそれぞれの判断ペースを早くする段階かな。合図を一通り終わったら戻ってきていいよ」
『おっけ。これでようやく先延ばしにしてたお祝いだね~。前みたいな失敗はしないんだからっ!』
ミツオの指示でリンダが嬉しそうな声を上げ、ヘイゼルは言葉では無く承諾を示すアイコンを返してきた。
一同は数パターンの信号に対応する指示コマンドを用意する事で、簡単な指示を出せるようにしたのだ。慣れて行けば、急にミノフスキー粒子が重散布されても戸惑うことは無いだろう。
「簡略指示と対応訓練は普通の状態でも使えそうだな」
「まあね。次にやるとしたらマーカーを追い掛けるやつか母船を守るやつだと思うけど……。純粋なフォース戦もないではないし」
いや、むしろ普通にフォース戦で戦うと言う方が十分にありえるだろう。
そちらの方が一般的なのだし、人数か実力が似たようなフォースと戦えば腕を磨く事も出来る。
別にフューミュラーに固執して居る訳でもトラウマがある訳でも無いのだから、可能性としては通常のフォース戦の方があえりえるのだ。
「なら当面はギミック造りながら連携訓練でしょうか」
「それなんだけどさ、いつもの延長だと、いつもの事しかしないじゃない? ちょっと変えて見ない?」
「いつもと違う?」
アレクサンドラの提案に一同は首を傾げた。
同じことを繰り返して自分達を磨くのが訓練と言うものだからだ。
「そりゃ訓練なんだからそうなんだろうけど、それだと思いきった事とかできないのよね」
「先輩の言いたいことは判りますが、ウチのポリシーは覚えてますよね? その上でなら」
念の為にクリスが確認を居るとアレクサンドラは元気良く頷いた。
効率重視でやるべきだ、やらないとおかしい。そんな押し付けは無しにしようと決めたのだ。
クリスやタケルの様に接近戦主体の者に射撃をやれとか、そういうことはしないと皆の前で確認を取ったのである。
「まっさらなの弄って無い機体でやってみたいこと、試したいことを思いっきりやっちゃうの」
「やりたい事と言ってもオレだと阿頼耶識積を外して強力なビームソードを試すくらいなんですが……。一から替えるのも良いかもしれませんね」
「良いんじゃない? 言われてみるとOSを入れ替えたり装備の一部を変えるくらいで、大きく変えれないしね」
当たり前の話だが、使っているガンプラに大胆な改造を施す事は中々出来ない。
手持ち火器を除けば、穴に挿し込みするタイプなら変更できるくらいだ。どうしても微調整になってしまうし、言うほどの成果が上がった気がしない。
「まずは試してみないとねっ。それで大きな成果が出たりしたら、元の機体に導入したり武装バリエーションにすんのよ」
「それならさ種類を絞って判り易くしない? ゲルググとかジンクスみたいな万能機をベースに、自分の欲しい装備を付ける感じで」
「その辺なら何処の店にも置いてありますし、ポイントに余裕あるなら設計図から造っても良いですね」
こうして大まかな目標が決まった。
ベース機に何を改造しても良く、どんな装備を持たせても良い。その結果は敵味方に分かれてレポートして、元の機体にフィードバックするというものだ。
「それじゃあ対戦形式なんだし、チームAとBに別れてベース機を決めましょ」
「さんせー」
タケルが興味ないというか、やりたいことを試す機体が決まっているので除外。
人数的にも付き合う形でクリスがその機体をベースに試し、AチームとBチームがそれぞれ違う機体ということになった。戦場もミノフスキー対応の訓練も同時に行うということに成った。
●鋼と妖精のダンス
ギニア高地の上で二機のアレックスが格闘戦を繰り広げる中、大地では高速で移動する三機のドム・タイプが移動して居る。
既に待ち受けている三機を探しながらホバー移動して居るのだ。
「見付け次第、散開して撃ち込むわよ」
「了解ですわ」
「接敵、分散、攻撃……。確認したら分散して攻撃って事かな」
そのドムはいずれも頭をガンダム・グレモリーの様にフード型装甲と仮面で覆っており、光通信でコマンドを送る。
ミノフスキー粒子が濃く通信できない中、徐々に慣れる為の訓練を行っていた。待ち付ける三機も同様の訓練を行っているだろう。
「左前方の岩陰に反射光を発見。罠かもしれませんし、散弾を撃ち込みます」
「十時の方向に発見? ヘイゼルだけってことは牽制するつもりかしらね」
「了解っと。確かこの後は、足止めと攻撃に別れるんだっけ」
ヘイゼルの機体がバズーカーを担ぐと、先端に取り付けられたV2ガンダムのスプレービームポッドが唸りを上げる。
光の散弾がシャワーとなって撃ち込まれるのに合わせ、残り二機が対応と突撃の構えを取った。
しかし待ち構えている筈の機体は動か無い。
ダミーかと思うよりも先に、光の壁がシャワーに対し立ち塞がる。
「ハモニカ砲の中にプラネイト・ディフェンダー!?」
『新しく作ったアイアスの盾は良い調子ですね。普通にプラネイト・ディフェンダーを使うよりも早く反応できます』
岩を削り取った後から出て来たのは、ハモニカ砲を改造した盾を持つギラ・ドーガだ。
一方向に固定する代わりに、展開するだけでプラネイト・ディフェンダーが起動する様にしたのだろう。
『ではお返しいきますよっと』
『飽和攻撃A? 了解です!』
「撃ち上げ型のミサイル? 散開!」
三機のギラ・ドーガの盾裏に張りつけたミサイルが、盾の領域を山成りに越えて放たれた。
三機のドム・タイプは分散して回避し、アレクサンドラのビームライフルや、リンダのビームマシンガンで牽制攻撃を掛けながら回り込んで行く。
『全部ビーム攻撃って、見た目のままドムじゃないよなやっぱ。と成るとスーパーモードを警戒した方が良いかな』
「『突撃不用? ならこのまま反撃します!』
ミツオの指示でアキラのギラ・ドーガが、こちらもビームマシンガンで応射していく。
リンダの持つショートバレルよりも基礎威力が強いのもあるが、何らかの強化をしてあるのかユニコーンのビームガトリングもかくやという威力だ。
「とんでもない威力ですわね……。おそらくスーパーモードは付けずに、純粋な威力強化型……」
ガンプラに付けられる装備や、データ内に保存できるプログラムの容量は決まっている。
スーパーモードはビームの放射量が増えれば増えるほど強力・便利になって行くが、残念ながら強化するジェネレーターと食い合うことが多い。アキラのギラ・ドーガはジェネレーター強化に特化した機体だろう。
「このまま撃ち合ってもあの盾の分だけ不利かな? 相手にスーパーモードが無いなら、接近戦で方を付けるべきね」
「もう仕掛けますの? まだ相手の全容も把握できてませんけど……。でも恐れてばかりでは状況は動きませんものね」
「まあ即決で判断する訓練だしね。行っちゃお、行っちゃお」
アレクサンドラの指示で、三機のドム・タイプが横一列に並ぶ。
まずは胸元のフラッシュビームで視界を覆い、クロスしながら不用なパーツを排除した。
「「「明鏡止水!」」」
『キター!? 予定通り迎撃ヨロシク!』
三機のドムはフード型の装甲を跳ね上げて、その『素顔』をさらけ出した。
前列で突撃するリンダはフードもスカートも排除して視界と足まわりの動きを良くし、ショートバレルのビームマシンガンはトンファーの様だ。
後列から援護するヘイゼルの機体は、フード型装甲に追加したEWSを防止の様に被って居る。そして先ほどスプレーモードを使ったビームバズーカを長刀……いや箒の様に構えて居た。
『あれはドムじゃない、ギャン子の改造機です!』
『それもブルマ姿にウイッチ・スタイルかよ! 最後の一機は……アイドル!?』
「ここよ!」
三機目のリックドム・ぎゃん子は、背中のフリルとミニスカで光の翼を生やして飛んだ。
魔法少女かアイドルか区別つかないほどフリフリで、わざわざビームの一部を演出の為に使って居る。ビームライフルも光の剣というより魔法のロッドとして煌めいている。
『悪いけどアキラはそのまま抑えて。ジンは後ろのウイッチを遮断してて!』
『全力の許可? 了解。トランザム!!』
「えっ嘘!?」
想ったよりも迎撃側の反応が早い。
ジンのギラ・ドーガは自身に接続されたコードをブチブチと引き千切りながら移動し、ヘイゼルのぎゃん子を抑えにかかる。その間にアキラの機体が赤い光を発して、接近戦を行う二機から少しずつ下がりつつ迎撃していく。
限度いっぱいの火力は消えたが、トランザムまで起動された。あり得ない動きに一瞬戸惑う。
更には徐々に下がる的確な動きで無理せず攻撃をいなし、その間にミツオの機体がミサイルやらマシンガンでの全力攻撃を行い始める。光の翼で防御できるアレクサンドラはともかく、軽量級のリンダ機が動きを止めるまでそれほど時間は掛らなかった。
「動きの予測はZERO-SYSTEMでの指示として、トランザムはなんで?」
『スローネの連結を参考にしたんですよ。空中制御を前提とした合体型じゃなくて、拠点防御用にしてますけど』
「それで隠れたまま動か無なかったのですね」
練習戦闘が終わって出て来たギラ・ドーガにはケーブルによる連結システムが造られていた。
ジンの機体は殆どアキラ機用のバッテリーで、プラネイト・ディフェンサーの位置制御も削ってシールド固定型にしてしまっている。一機の能力としてはやや劣る形になってしまったが、全体としては火力の底上げというべきだろうか。
「まあジン君が納得してるならいいわ。もともとアキラ君と一緒だったし、やらされてるって事も無いだろうしね」
『ありがとうござます。一応は今回の実験は成功でしょうかね』
「そうなんじゃない? 三機同じ機体にした意味もあったみたいだしね」
同じ機体だと相手が何処に何を付けて居るのか判るし、相談したり必要な物を融通し合う事も出来る。
もちろんそれが本来の機体へストレートに活かせる訳ではないが、装備や戦術を洗練してから完成製品をフィードバックすれば良いだろう。実際Gディフェンサー同士の連結は今でもできるし、スーパーモードの能力値振り分けなどもそうだ。
「となると後は大将たちかな。あの人たち何やってんの?」
「上でガンダムファイトやってたけど……なんかヌルヌル動いてた気がするわ」
タケルとクリスは高台で接近戦をやっているのは知っているが、実際に目にしたのは光の翼で飛行したアレクサンドラだけだ。
ただそれほど注目した訳でも無いので、何をやって居るかまでは判らない。
「アレックスのマグネットコーティングとモビルトレースシステムを合わせて、最高反応速度で特訓して居る筈ですわ」
『ということは1フレームごとの動作でも見直して居るんでしょうかね? 機体設定のアジャスターを外すことができれば早いんでしょうけれど』
『外せたとしても流石にアジャスターを外したらまともに動かないと思うよ。0080でクリスチーナが凄い苦労していたしさ』
アジャスターというのは原作の能力設定に掛けるリミッターである。
リミッターを掛けて無いとニュータイプやコーディネイターでなければ動かせないとか、『ガンプラの差では無く設定上の差で相手になりません』ということではガンプラ・バトルが成り立たないからだ。
とはいえ訓練だけであるならば……と、超反応の機体に対して興味が出ても不思議ではあるまい。
「何はともあれ装備と連携の訓練を兼ねて問題なさそうね」
『いんじゃないの? その上で役割交換までするかは相談必要だと思うけど』
「そうですわね。お互いのしたいことと、今後を踏まえて話し合いが必要だと思いますわ」
今回は中途半端な立ち位置に成り易いアレクサンドラ・ミツオ・ヘイゼルの三人が、互いの役目を分割し合っていた。
EWSによる偵察、ZERO-SYSTEMによる戦術予測、それらを繋げる部隊管制。三人から八人に増えたことで、他者に役目を譲れると同時に、今までのままでは機体のバランスが悪かったのだ。また別々のフォースになるならば今のままで十分であるし、今後も同盟を組むのであれば見直しは必須であろう。
「まあ今はこんなもんでしょ。帰って先延ばしにして居たフォーミュラーの祝勝会と残念会をやっちゃいましょうか」
こうして一同は将来を見据えながら、ギミック演習を終えたのである。
と言う訳でレース後に反省を踏まえながら、自分達を強化していく話になります。
一応は前回までの締め。かつ次回以降も続けるのであれば、機体設定を見直す為の回になります。
●練習用機体
基本的に一つの部隊で同じ機体を使い、ギミックだけ入れ換えることで練習用にして居る。
共通するのは光通信で簡単なアイコンと方向を表示し、ミノフスキー粒子の重散布下でも簡単な通信ができるように成っている。
/リックドムぎゃん子
スーパーモードのパターン試験用と、EWS・部隊管制の試験を兼ねて居る。
原型のリックドムではなく、ぎゃん子をあえて選んだのは可愛く改造できるから。また後発の為ビーム対応なのでその辺の処理が不要だからである。
パージするまで外部パーツは似たような構成に成っており、フード型装甲・仮面型の簡易EWS・スカートアーマーが共通。
・ウイッチサルブ
頭部に最も大きいEWS、ビームスプレー付きのビームバズーカを所持して居る。
名前の通り箒に乗った魔女をモデルとしており、三機の中ではゴテゴテしている分だけ一番動きが鈍い。
スーパーモード時も動きを補正するのではなく、火力と命中補正に全てを割り切って居る。
・フェアリーウイッシュ
頭部に簡易EWS、光の翼とビームシールドを持ち攻防一体型になっている。
派手な外見ではあるが一番のバランス型で、展開型のビームライフルを持って中衛に位置し、足りない場所のフォローを行う。
スーパーモードも攻防のバランスを保って向上させており、中途半端になりがちな火力を補強して居る。
・ソードダンサー
頭部に簡易EWS、ショートバレルの扱い易いビームマシンガンを二丁構え接近戦を前提としている。
ドムにしては装甲が薄いこともあって、ドム系というよりはガンダム・ピクシーやイフリートに近いコンセプトである。
スーパーモードも移動力・火力のみに絞って上昇させており、ビームコートで防がれても手数で押し込めるような短期決戦型になっている。
/ギラ・ドーガ
後期ネオジオンのコンセプトをそのまま引き継ぎ、オプション装備の試験用としている。
基本的にはギミック試験として忠実に造られており、個別装備以外は全て共通の武装で固めている。
なおテスト用としてはA型がOSテスト、B型がOSに頼らない武装のテスト用。
・ギミック試験型A:ZERO-SYSYTEM対応
派手さはないが堅牢で多彩な武装を持つ本機を、様々なOS追加で強化すると言うコンセプト。
戦術予測用にZERO-SYSYTEMを搭載し、指示パターンが多い以外は基本設定。
とはいえ多彩な武装を活かすのに適しており、相性そのものは悪くない。
・ギミック試験型A:トランザム対応
派手さはないが堅牢で多彩な武装を持つ本機を、様々なOS追加で強化すると言うコンセプト。
今回はトランザムで追加行動することと、余った部分にジェネレーターを追加して居るので、それなりにビーム火力があがっている。
・ギミック試験型B
本体に複数の追加ジェネレーターと供給用ケーブルを装備して居る。
試験型Aよりもテスト用としてのイメージが強く、他の機体にエネルギーを供給する為の機体で、空を飛ばないもののガンダム・スローネに近いコンセプトになっている。
このジェネレーターは外部供給用で自分には使えない為、今回は追加武装として、味方を守る為の盾役としてプラネイトディフェンダーを埋め込んだシールドを所持して居る。
(空中固定しないのでエネルギーや散布時間が不要なので、一方向だが簡単に展開できる)
・ガンダムアレックスAB
マグネットコーティングを利用した反射速度の高い機体を利用して、格闘戦の訓練を行っている。
A型:
モビルトレースシステムを追加して対応力を上げたもの。
それだけでプログラムは一杯いっぱいなので、格闘の動作練習用。
装備に関して頭部のバルカンや腕部のガトリングをビームに変更して居る。
B型:
ジェネレーターを追加し、それをビームサーベルに特化させたもの。
特化させると比率が上がるのだが、他の装備に変更できないので、純粋にビームサーベル試験用である。