ビルドダイバーMMO【完結】   作:ノイラーテム

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本編
自分の戦い方


●勝利を目指して

 結局のところ、相討ちでバルバトスを破壊したもののバエルとヘビーアームズも破壊された。

 システム上はレイド側勝利だが、こちらは二体だけのつもりなので実質的敗北だ。

 それにバルバトスが他の機体も警戒して居たとしたら、試合でも勝負でも負けて居ると言っても良い。高難度ミッションだからというのは言い訳にはならなかった。

 

「色々試してみたけど、どうだ?」

「重い。……良くもまあ、こんな装備で振り回せたもんだ」

 黒地に臙脂色のバエルが幾つか目のシールドを取り変える。

 ギャンを中心に武装付きの盾の中から、ビーム非対応のモノを選んで試したのだ。

 

「複座式と一緒にするなよ。あのときはビッチ先輩が居たし、先輩はバイアラン・カスタムやエアリーズで射撃戦をしてた人だからな」

「判ってるよ。ただあのバルバトスの事を考えるとな」

 バルバトス・ゲートキーパーは滑空砲こそ付いているものの、基本は斧一本で戦い抜く機体だ。

 斧そのものにブースターが付いておりスイングが早く、本体のスラスターが高速で反応する為にどこから攻めてもカウンターできる。

 射撃戦が苦手とか言う以前に、有利不利と言う判断も躊躇も無視して居るバケモノだ。

 

「それこそ気にしても仕方無いだろ。ありゃチャンピオンシップで戦える出来なんだからさ」

 必殺技だとか強さには限界線と言うモノがある。

 互いに必殺技を持って居ても、持っているからこそ警戒して一撃で決着が着いたりはしない。

 相手がNPCだとしても一撃で相手の頭や胴を潰して勝つなど、ただの夢想である。

 

「逆に言えばチャンピオン級なら簡単に倒せるってことだろ?」

 だがしかし、チャンピオンシップに出場できるメンバーならば……それこそ各サーバーの代表クラスならば可能なのだ。

 それは警戒されても並みの相手ならば、ガードを掻い潜って必殺の一撃をクリーンヒットさせることができるからだ。ガードごと粉砕できる強さと言っても良い。

 

「俺の強さって、しょせんは野球で言うと甲子園出場レベルなんだよな。全国大会に出れても超高校級やプロには勝てない」

「道場や剣道で忙しかったお前が一年で今のレベルだぞ? 贅沢な悩みだと思うけどなぁ」

 コンシューマー接続版の登場で、今までアミューズメント施設に行けなかった者が参加出来るように成った。クリスもその一人で、実家が道場をしておりその縁で剣道の部活をしていたことから余裕が無かったのだ。

 

 それがガンプラバトルを始めて数カ月で、全国大会出場レベルまでメキメキと腕を上げたとも言える。しかしながらそれは、剣に適性があって体捌きや勝負勘もあったからだ。ガンプラ製作だってスキャン・データを元に地道な修正をしなければ、完成度も上がっていたとは思えない。

 それは同時に、習熟では今以上の強さが手に入らない段階であるとも言えた。

 

「……その辺のこだわりは置いておくとして、強くなるには何が必要だと思う?」

「基本的には三つしかないよ。完成度を上げる、改造して色々増やす、自分なりの闘い方を見付けて洗練する」

 話題が修練とか才能ではなく、ガンプラそのものの話題になったことでミツオは気分を変えた。

 そしてメモ帳を取り出して、画像とコメントを張りつけて行く。

 

「ガンプラの基本能力値は完成度。基礎だけなら原作に忠実で追加できる要素が多い方が、『一応は』強いことに成っている」

「そのままだとスーパーロボットになるんだっけか。今以上にするなんて俺には無理だが」

 プラモ販売を中心として原作を広める都合上、完成度が高く再現されたパーツが増える方が『基本的には』強くなる。旧キットよりも新キット、パーフェクトよりもマスターグレード。最終的にはガレージキットという風にだ。

 それでも完成度は中々100%にならず、色を付けてちょっとした加工をして、それでようやく100%間近というのが人間の限界だろう。

 

 そこに問題は無いのだが、それでは能力値が同じ場所を目指すことになってしまう。

 

「最終的には自分だけの闘い方を探すとして追加系の改造を施していくんだけど……。物語に登場してもおかしくないレベルの加工か、まったく無視の二択になるのが定番だな」

「その辺は門外漢だから、適当に頼む」

 ノリノリで話題を広げて行くミツオに対し、勝負の方が楽しいクリスとしては苦笑いを浮かべるしかない。

 ミツオは残念そうに顔をしかめると肩をすくめて、彼にしては、話題を短くまとめた。もっともクリスの腕では手足の延長だとかバックパックを拡張するとか、武器やスラスターを付ける場所を増やすような改造は無理なので最初からシンプルだと言える。

 

 

「クリスの黒騎士バエルはウヴァルの盾とカラーリングだけだよな? もしギャンの盾やマシンガンとかまでなら前者。設定無視でビーム兵器付けたら後者になる」

「それって大丈夫なのか? 思いっきり矛盾してそうだが」

 今までクリスが使っていたのは、改造が得意ではないというか造り込みを練習している段階なので、ガンダムウヴァルの盾を付けただけだ。

 この間の複座式はそもそも製作者が別だが、それでもギャンの盾や良く見かけるマシンガンなどは問題ないと思えた(自分だと当たるとも思えないが)

 

 だがオルフェンズではモビルアーマーしか使わないビーム兵器と言うのは、いかにも問題があるように思えたのだ。

 

「今のルールだと阿頼耶識は抵触するけど、取っ払えば大丈夫だよ。もっとも、ここからが重要な問題なんだけど……設定から反れると思わぬ矛盾が出て来るんだ」

「それなら最初から別の機体の方が良さそうだが……。まだ何かあるのか?」

 現行ルールでは、強力過ぎる阿頼耶識を制限する為にビーム兵器を持てないとか、味方にモビルアーマーを用意できない設定がある。

 それを何とかする為に、阿頼耶識そのものを除くと言うのは……なんとも意味が無い様な気がする。

 

「そりゃあるさ。ビーム兵器を使ったら出力が下がるってシチュエーションは沢山出て来るだろ。ザクだってそもそも使えない設定だしな」

「そういえばそうか。逆シャアのサザビーとか有名だよな」

 コンデンサーを付けたり、別ユニット化して本体出力とは別系統にしたり……細かい作業で設定矛盾を回避する必要が出てくるそうだ。

 そんな苦労をするぐらいならば、最初からビームを技の様に加工して居るGガン系にした方が早いだろう。と言うか阿頼耶識を外すくらいならばモビルトレースシステムの方が反応が早くなってしまう。つもりこれが設定を無意味に無視する場合の欠点と言うことだ。

 

「ドロップ品で設定する場合はその辺は不要だけど、あれは壊れたら終わりなんだったけか?」

「そ。だから能力値だけを視るならば、慣れないうちは極端な事はせずに、原作で登場するレベルの改造がオススメってことになる。武器とか増えた方ができる事は劇的に増えるけどな」

 ダイブMMOとして遊べる以上は、ミッションをこなしてもらったり敵を倒せばドロップ品を奪うことが偶に在る。

 そもそも初心者の子供では気軽にプラモを買うことが出来ないので、間口を広げる為にはその辺の妥協は必要なことだった。

 

 そして妥協の結果として、ドロップ品は登場世界のツールとして壊れっぱなし。

 自作・購入したパーツは、壊れても再スキャン時に注意すれば問題が無いのだ。

 (修理に関してはスキャンした位置情報が対象とされている。分解して再装着すれば修理された扱いに成り、エア・スプレーを吹いたくらいでは意味が薄い)

 

「要するに設定準拠で改造すれば良いって事だろ? バエルってどんな設定だっけ?」

「この辺のこだわりが重要なんだけど……まあいいや。バエルは最初のガンダム・フレームで、始祖アグニカが使った伝説のマシン。そしてマクギリスは特殊な戦い方を選ばなかったらしい」

 ミツオは肩をすくめて三つのポイントを書き出した。

 最初のフレームと特殊な戦い方、アグニカの伝説とマクギリスの最適解。第三の道。

 

「最初のフレームだけに基礎データ重視でパワー・機動性・堅牢さのいずれも高く、本当は幾つかのチャレンジ方向があったんだろうな。ただマクギリスはアグニカの伝説を元に、その中の一つを選び出した」

「それが真の阿頼耶識と、武蔵でも出来ない大刀二刀流か」

 折れない剣を持って、超反応で戦闘し続ける。

 それがアグニカの伝説であり、マクギリスも剣さえ折られなければ勝てたかもしれない。

 

「最適解のまま行くなら、スラスター増やして武装持たせて底上げ。あとは真バエルソードをどうにか持たせる」

「そんな所か。俺には造り難いから、厚い板から削り出す以外に思いつかんが」

 最終戦闘で折られた剣は、本当のバエルソードでは無かったらしい。

 だから真バエルソードに当たる剣をクリスが造る……のは難しいので、もっと良い材料から削り出すという作業に成る。

 ブースターや武装を増やすだけならば他のキットの余剰パーツを付けるとか、腕部ごとウヴァルに組み変えて肩に何か付けるとか出来なくはないのだが……。

 ただ、先ほどのパワーダウンの話にもつながるが、肩に妙なパーツを付けるとウイング型スラスターの邪魔になるだけなので付けられるモノは限られてしまう。

 

「第三の道は思い付いたらとして……特殊な戦い方って設定あるのか?」

「スタッフレベルの話題だから、監督の脳内だけだろうな。想像するとして……最初は名前だけ流用して、後半から流用された魔神の名前じゃないかと思う」

 そういってペインターで描き出されたのは、カエルと猫の頭を持つ老人の姿だ。光り輝いているエフェクトが何か白々しい。

 そして三方向に矢印を付け、老人の下には最適解という文字だけを付ける。

 

「元のバール神に関してはほっとこう、ビーム兵器は無視の方向で。次に老人の姿は今の最適解で、残る考慮はカエルと猫」

 輝くエフェクトを消した後、最適解の下に真バエルソードとブースター。

 そしてカエルと猫から延びる矢印の下に、目と足の絵を付けくわえていく。

 

「カエルの広視野から射撃戦、猫の静音性……は無理だから小回りからの格闘戦ってとこか」

「ならカエルは要らないか」

 目を描いた絵の下に、銃を書いてバッテンを付け加える。

 彼らのチームには飛行ユニットで射撃を続ける仲間が居るので、無理に強化する必要はないだろう。というよりも、肩にキャノンを載せても当たるイメージがしない。

 となると残るは、猫を思わせる小回りと格闘戦になる。

 

「ビッチ先輩はV2をアサルトバスターにせずに、いつものEWSを一つ目にして、他に何か付けるって言ってたしな。ならスラスター増やして格闘戦でクロー……いやパイルバンカーってとこかな」

「スラスター増やすのって面倒なんだよな……パーツの組み変えじゃ済まないし。でもチャレンジするならパイルバンカーは面白そうだな」

 相手の攻撃をかいくぐって致命的な一撃を浴びせるか、軽快な打撃と見せかけて実は重い一撃。

 悪くは無いし、貫通力のあるパイルバンカーを予備武器にするのはアリだろうと思えて来る。もし良いパ-ツが無かったとしてもナックル付きの籠手くらいは造り易いだろう。

 

「何か流用できるパーツがあればその辺を目指すとして、無理だったらシールドバッシュのままか、最初から二刀流……。駄目だ、どう考えてもマクギリスのアイデアに戻ってくる」

「だから最適解ってことさ。こうなったらもう効率よりは自分の闘い易さを優先した方が良いぜ」

 登場人物たちは無意味に設定を持っているのではない。

 ある程度の流れがあり、それに沿った形で強化や特訓を繰り返して居るのだ。

 もちろん実際にマクギリスの立場であれば、パイルバンカーなりヒートクローを作らせるのは簡単だろうが、二刀流の方が安定するので無理して特注してないとも言える。

 

「俺なりの闘い方か……」

「確かお前んちの流派って、技は一つしかないんだろ? ならそれを活かす戦法を編み出して、その為のパーツを探した方が早いんじゃね?」

 クリスの家がやっている道場は、とある流派の流れを汲む。

 正式な技は『袈裟斬り』だけで、それを最大限に発揮する為のコントール、あるいは相手の体勢を崩す為の余技しかない。

 

「俺の闘い方をまんま真似て、それをプラモならではの方法に昇華するって寸法か。なら真バエルソード一本で、蹴りと籠手と組み合わせるだけで良い。あとは動きの補正かな」

 今の剣と盾からそれほど変わらず、大太刀一刀流のスタイルへ移行。

 肩をウヴァルのものに変更して、邪魔にならないという前提で、小さく稼働出来る他のキットのパーツがあればスラスターか武装を追加。

 今のバエルソードとその鞘は、百式のようなスラスターバインダーを追加して四本足ならぬ四枚羽に変更する予定だ。

 肩とバインダーに適切なパーツが無ければ今は現状を維持しておいて、将来的な話として作成技術が上昇すれば装甲板とスラスターの埋め込みを目指すこととなった。

 

●妥協の産物と殺人的な加速

 お互いリアルでの予定があり、改造を施す時間の問題で直ぐには製作会議が再開でき無かった。

 前回の会議に続いてビッチ先輩と呼ばれた少女は不在。もっともコンシューマー版でなければ時間が取れないメンバーなので諦めはついている。

 しかし予定と大幅に変わった姿にはミツオとしても、呆れてモノが言えない。

 

「なあ、カエルの要素は入れないんじゃなかったのか? 猫要素とか元の堕天使の姿は何処に行ったんだ?」

「……壊れた(ジャンク)の中にスペリオルのブースター装着型が有ったのを思い出してな。無事なパーツを付けて見た」

 上半身こそ新品のバエルだが、下半身が凄くスペリオルだった。

 具体的に言うと殆どブースターで構成されていると言っても良い。非常に推力が増えて居て、お前は何と戦う気なのかと小一時間ほど問い詰めたくなってくる。

 キマリス・トルーパーとキャッキャウフフしながらレースでもする気なのだろうか?

 

「そこまでやって何で武装は予定通りなんだ? 軌道変更が大変だから白兵戦じゃなくて大口径火器にすべきだろ」

「最初に削り出したらソードメイスやヴァルキュリアバスターソードを持たせた方がマシという具合になって、悔しいから練習を兼ねて何本か削り出したら使わないのが惜しいんだ」

 メイン武装は見た目は割りと恰好良い大太刀だが良く見るとペライ。

 これからもと大きい板を削って今の形状にするつもりなのか、それともその部分に一枚張って厚みでも出す気なのだろうか。

 将来的にはなんとかなりそうなので及第点を出しても良いが、下半身が大型ブースターなので非常にアンバランスだ。

 というよりもジャンクパーツを無理やり繋いだだけなので、耐久性が今から不安である。

 

「ひとまずこいつで突っ込み駆けて、出せるところまでスピード出してみようと思うんだ。流石に俺だってこいつで戦い抜こうとは想わんさ」

「……空中分解しないと良いな」

 どうやら現状で可能な加速を掛けて見て、軌道変更のマニューバーを組めるかどうかのテストらしい。

 察するにまともな動きが出来なかったら、足を元に戻してスラスターの追加で済ませるようだ。

 

 最初からそれで済ませておけ、剣もソードメイスなりヴァルキュリアバスターソードで満足しろ……と言おうとして、先ほどの壊れた(ジャンク)という言葉を思い出した。

 誰しもが改造に丁度良いパーツを持っているとは限らず、残しておきたいプラモが無事な訳でもないのだ。クリスはキットを持っておらず、Sガンダムを持って居たが壊れて居たのだろう。

 

「それと、後で流用できそうなパーツの心当たりをメールしとくよ。なんだったらプロペラントから直接稼働するシュツルム・ブースターでも良いしな」

「助かるけどプロペラントから? アルパ・アジールの下部を構成してたやつか。あれの小さいやつってあったっけ?」

 そういいながら二人は実行出来るミッションを調べてみた。

 この際だからドロップ品もスキルポイントも無視して、とにかく広い空間で戦闘するものだ。

 そして可能ならば、雑魚相手よりも強敵NPCと斬り合えれば言うことは無い。

 

 そんな都合の良いチョイスはなかなか無いので、必然的にシチュエーションは限られてくる。

 超巨大な落下物を巡る攻防の、攻めるか守るかの差でしかない。

 

『ソーラーシステムの照射時間を忘れるなよ』

『……判ってる!』

 ヘビーアームズver.32(トランドゥ)がカウンターウェイト代わりのノズル・スラスターを吹かせて、強化したガトリング砲を斉射。

 彼方から飛来する大型対艦ミサイルが火花を散らしながら爆散し、その中をバエル・フロッガー『古鉄』が勢い良く飛び出して行く

 

 僅か数秒の加速で対象の居る空域へ到達し、相手の僚機からは放たれる牽制のビームカノンを大振りな起動で避ける機動に入った。

 そして過去に居た場所を掠める二条の光線が消えた後、予測位置に当たるラインへ大きな光が交差したのである。

 

『テールバインダーを一枚持って行かれた! くそっ。遠距離戦を投げてるから仕方無いが……』

(それは最初から壊れてるも同じじゃないか……。ていうか、それだけで済ませたのか)

 大型メガ・ビーム砲が掠めたのは、バエル・フロッガーの後腰に強引な取り付けをしたバインダー型のスラスターだ。

 無理やりくっつけて居た為にロクな動きができず、避けたつもりで巻き込まれたのだろう。

 

『体感以上に螺旋を描いてるから、時々調整しながら飛ぶんだ。ソレで十分に回避軌道に成る』

『了解! まずは一撃当てて見る!!』

 真バエルソードを振り被って、一足飛びに敵巨大MSに突っ込んで行く。

 ミツオの助言通りに時折スラスターを調整する事で、ビームライフルやフォールディングバズーカーを回避。

 大型メガビーム砲ごと敵本体に斬撃を浴びせた。

 

 普通なら射撃後に迎撃が間にあうタイミングだが、強烈なスラスターに任せてINレンジに突入。砲身を真二つにした後、ギリギリでクローが直撃を防ぎ留める。

 

『ちっ。デンドロビウムを侮っていた。メガビーム砲を無視していれば倒せたはずだったのに』

『相手は対要塞MSだぞ? 侮るも何も、メガビーム砲を潰せただけ恩の字だよ』

 ガンダム試作三号機デンドロビウムは対要塞MSであり、ドッキングを前提としたコアのステイメンと武装・推進機のオーキスに分かれている。

 オーキスに付属して居る装備を潰しても与えられる衝撃は少なく、ダメージは本体に入らない。ステイメンを切り裂く前に格闘にも使えるクローで防がれてしまったのだ。

 

 この辺りの攻防も経験差が出て居ると言える。

 チャンピオン級ならば最初からステイメンを潰して終わりにして居たかもしれないし、ボスを倒して終わりではなくコロニー防衛ゆえに砲身を潰して十分としていたかもしれない。

 どちらの選択肢でも良いのだが、躊躇なく決めて居れば即座に『次の行動』に移れたはずだ。

 

『切り込みながら火器を潰せるか? 分離したオーキスを放置してたらジムキャノンⅡがランチャーにしてましたとか笑えないぜ』

『そんな事が可能なのか? って、こいつはガンプラバトルだったな』

 現実であれば電子技術やプログラムが重要なのかもしれないが、ゲームゆえに可能かもしれない。漫画の中では良く見られる光景だし、技術スタッフが時間さえあれば可能にしていてもおかしくはないだろう(実際に、腕や足をニコイチ補修している例なら大会でも見られる)。

 

『やれるだけでも……やってみるさ!』

 デンドロビウムに切り込むと、今度は急場しのぎのクローではなく大型ビームサーベルで突き離される。

 ギリギリと押し込みながら電磁砲を撃ち込むが、互いに高速移動中であることに加えてレベルの問題もあって中々命中しない。

 とはいえ全体の推進力は互角の状態で、機動力(小回り)はバエル・フロッガーの方が上。何度もチャレンジする間に一つずつ装備を削って行く。

 

『ノイエ・ジールがビーム主体で苦しんだのとちょうど逆だな。相性が良いからその内に潰せると思うが、そっちはどうだ?』

『こっちもなんとかだ。不死身の第四小隊が居ない分、助かってるよ』

 攻める側はデンドロビウムとジムキャノンⅡ、そしてモブのジムカスタムが数機。

 こちらはバエル・フロッガーとヘビーアームズver.32(トランドゥ)は名前有りNPCに相性差で勝っているので、数の差を加えてもかなり有利な状況だった。

 

『それなら適当な所で最後の攻撃を仕掛けさせてもらう』

『外しても良いけど、カウンター喰らうような攻撃はすんなよ? ここから二体一は面倒だ』

 その返事は無く、真バエルソードが大型ビームサーベルごとステイメン本体を切り裂く方が先だった。ガード越しなので浅い反応が返ってくるが、今度は予想して居たこともあって即座に次の攻撃に繋ぐ。

 ステイメンが潰されかかって無理やり脱出を図ったデンドロビウムに回り込む形で、今度は本体を直撃。斜めに切り割いて勝負に決着を付けたのである。

 

 

『ここまでの推力は要らんな。普通に小回りを利かせた方が良い』

『だから最適解だって言ったろ。脚部をブースターにするなら四基にして、ネタ絵であったアグニカ砲を本当に実装するっきゃねーよ』

 アグニカ砲というのはウイング状のスラスターを大口径電磁カノン砲に見立てた物で、あのサイズのレールガンならば凄い強力だろうと窺わせるネタである。

 そのままだとバエルである意味は全くないが、Sガンダムの大型ブースター四基(足二と後腰二)があれば案外悪い設計では無いかもしれない。

 

『もう二器は壊れて残してない。それと俺の本文は白兵戦だ』

『仕方ねえなぁ。じゃあ持ってる予備パーツの交換会と、暇な時間を見繕って平積みセール品を漁りに行くか』

 お互いに都合の良いパーツを残してる訳でもないが、無い訳でもない。

 また時間こそないが予算が無い訳でもないので、時間を見付けて安売りしているプラモを探しに行くことに成った。

 腕が無いので大変だが、それはこれからの愉しみである。




 と言う訳で、今回は改造回とキャラ紹介を多少です。
第一話から地道にするのもどうかと思ったので、前回の短編からそのまま繋ぐ形になるはずでしたが。
まともな改造すると小回り効かせて戦う方が強いので、ネタとして足ブースターというのをやってみました。子供のころは残しておいた壊れたプラモのパーツを無理やりくっつけて、『俺のガンダムすげー』とかやってたのを思い出したからです。
まあ現実的に考えて見ると、バランスおかしくなるよね……とか、逆に思わぬ強化のし過ぎって起きるよね。とか思ったので。


 ここから後書きと言うより設定とかに入るので、長くなります。
本編で書いてることを繰り返してる面もあるので、無理に読まれる必要はありません。

●バエル改造案の変遷
 特殊な戦い方があるらしいけど、マッキーは使わなかったてさ。
という設定から適当に理屈を付け、二刀流はマッキーが想像した最適解で人間のスタイル。カエル・モード、猫モードが存在するけど有効では無い。としています。

デフォルト:黒地に臙脂色、ウヴァルの盾を持った騎士スタイル(開始)

前回のテスト時:複座式で二人分のスキルを使用、上手い人が造ったプラモなのでスラスターとか増加してる

物足りない

バエルの設定ってなんだ? 特殊な戦い肩? 悪魔をイメージかな?

人間・カエル・猫の造形

マッキーの二刀流、カエルモード(広い視野)、猫(小回り)

広視野と射撃戦は要らないよね。なら真バエルソ^ドだけにして、改造するとしても猫モードでモフモフだ。

スペリオルガンダムのブースター・ユニット装備型のジャンクパーツが転がっている。バエルは安い時にもう一つ買ってたな

足をブースターにしてみた。羽みたいなバインダーはブレードホルダー部分に付けるか

不格好だな、しかも上手く動かねえ……でも大太刀に時間取られて余裕が無い。カエルって設定もあったな

バエル・フロッガー『古鉄』完成!
(失敗なのは既に判っている)

 次回以降に出て来る黒騎士バエルはちゃんとまともに成る予定です。
最終的にバエルの足はノーマルのままで、ブレードホルダーをシュツルム・ブースターか適当なスラスターに変更。
メインは真バエルソード、左手に盾かパイルバンカー風の籠手が付く。
自作できるようになったら、肩がウヴァルの肩になって前スラスターか武装を追加可能なハードポイントにする。という感じです。

●ヘビーアームズver.32(トランドゥ)
 こちらはバージョン上げなので大きな修正は無し。30から32へ二つ上がる段階で
足にアイゼン(射撃用の固定爪)、カウンターウエイトかスラスターノズル(浮き上がるのを防ぐ重し)を追加して、セミ射撃形態を使用出来るように。
足を止めて戦う時は、微妙に命中率が良くなる。(追加装甲でもあるし、小さい武器も付けれなくはない)
悩んで居るのはサブアームまたは尻尾を付けてまで安定するかで、ver.33(トラントロワ)は足を止めて戦えばかなり強力な機体に仕上がる予定。

●V2?
 登場して居ないビッチ先輩が仕上げて居る機体。
アサルトパーツ・バスターパーツを付けるのではなく、独自のパーツを付ける予定。
空戦好きで大規模レイドでは空域管制も務めているので、EWSパーツで偵察・レーダー強化。もう一つを悩んで居るらしい。
登場時はお披露目するだけか、もう一つのパーツのテストをすると思われる。
(圧縮する為に、という悩みがあったんだ』と言う訳で実践テストというオチもありえますが)

●キャラ説明
 プラモの話なので簡単に。

 クリスは道場の息子で剣道部所属。運動神経は良いが時間が無かったのでこれまでガンプラバトルには参加できなかった。
プラモの腕はスキャンしてじっくり確認してようやく他人に見せられるレベルで、足を切って延ばして延長するとか言うレベルの改造は無理。
流派の中に技は『袈裟斬り』しかなく、それをいつでも使えるように、あるいは動き回り相手を蹴ってでも有利な体勢になるよう狙えと教わる。
現在使用して居るのはバエルが安売りされた時のもので、福袋に入っていたウヴァルの盾を使用。肩パーツの流用を考え中。

 ミツオは一般家庭だが遊ぶ金を調達する為にバイトするので時間が無い……ようするにどこにでもいるタイプ。
三人目という地味な名前が好かないのでトロワをイメージしヘビーアームズを使用して居る。
地味だが準備して対応可能な事を増やす意味で、色々な改造やらキットに手を出したが、最終的に武装の使い方を習熟している最中。
これはビッチ先輩と合わせて小隊規模のフォ-ス、縁のあるメンバーを含めての大隊規模のフォースでギミック面の発想が一番うまかった為である。

 ビッチ先輩はロシアの雪深い地域の人で本名の末尾がそもそもビッチ。
小学生みたいな思い付きで改造・行動してそのパートナーを探して歩くことから、はしたない女性に対するスラングのビッチと勘違いされているが……。
本人は本当に小学生なのでまったく気にして居ないし、大人の女性と見られるくらいに可愛いのだと、楽観的に考えているらしい。
空戦に憧れガンプラを始めたことから、バイアランカスタムやエアリーズなどを渡り歩き、今はV2を改造しようとしているとか。


●MMOとしての設定
・データ面
 プラモの性能は完成度で決まり、キットの差は得意分野の差である。
原作に近いほど性能が上がるので、旧キットよりも情報量の多いパーフェクトグレ-ド・マスターグレードが強いということに成る。
(性能を全く無視しても、旧キットの可動範囲よりも新キットの可動範囲の方が動きは良いし、再現された稼働パーツが多いのも確かだが)
色塗りは重要な補正なので、素組みでも色の点いている新キットは旧キットよりも最終的な補正は高い。
とはいえ限界や効率もあることから90%前後あれば十分で、それ以上は『凄い完成度だ! きっと強力なんだろうな』ということになる。

 ただし、モノが同じならば誰もが同じなので改造が必要になって来る。
ここで問題なのは無意味に取りつけたパーツは最終的に、強過ぎる能力で右往左往させられたり、バランスを取るモードにすると完全には機能しなくなってしまう(自分の下半身を焼き焦がすブースターは、下方向に曲がらないとか)。
またザクにビーム砲を持たせても射撃でき無いか本体が止まるなど、設定を無視しても大して強くならない。
これに対し必要なパーツを改造で取りつけたり、ドロップ品などで調整する事も可能だが、最終的にビーム可能な機体で始めた方が楽ということも良くある。

 もちろん有りない攻撃は奇襲になるし、愛用して居る旧設定MSをずっと使い続けたい人も多い。
また自由に改造したい人にとっては設定とかは足かせにしかならないので、多少の能力ダウンを覚悟して自由な改造を施せば、三歩進んで二歩下がる的な状況で最終的には強くなるので問題無いと言える。
加えて言うならば本体性能が数%落ちたとしても、今までになかった武装やブースターが増えて、できなかった行動を取れる方が重要だと考える人は非常に多くなる。

 最終的には設定矛盾やアンバランスを補正するシステムがあるので、矛盾は許容範囲しかないと考える人も多いし、設定準拠で行く人も多いと言うだけの話。
設定に準拠した改造で、見た目どこも原作と変わらない場合でも『あの人の解釈・造り込み・完成度……本当にすごい! きっと強いんだろうなぁ』の誤差になります。

・ドロップ品
 MMOである以上はドロップ品で、普通に装備を手に入れることが可能。また特殊な機体をもらって試す事が可能である。
それぞれに傾向のあるミッションがあり、インドシナ戦線などは武装が手に入り易いとか、史実キャンペーンだと無改造のテスト機体に乗ることが可能。

ただしドロップ品には一定の耐久値・使用回数があり、プラモデルを造った場合よりも持続面に関しては劣る設定になっている。
ドロップ品は壊れると再入手が必要だが、自作した物はパーツを外して組み直せばそれでリフレッシュ可能。
MMOとしての商売、プラモ販売としての商売上、これらは必要な妥協と言われている。子供にあれもこれも買わせるのは難しいし、外国在住の人はお金があっても手に入れるのに時間が掛るので妥協jはどうしても必要になって来る。

 よってミッションの中には
1:ドロップ品の落ち易いモノ
2:機体を試す為のモノ
3:スキルポイントをもらい易いモノ
4:スキルを組み変える為のモノ

が存在するということになる。

●修理に関して
 スキャンデータを元に位置情報カラーリングを保存して居る。
よってバラバラにできるパーツを全てばらし、改めて組み直せばオーバーホールということになる。
腕しか攻撃を受けて居ない場合は腕だけ念いりに見直せば良いし、その他パーツも一緒に調整すると、必然的にオーバーホールを受けて来た扱いに成り易い。

なお、軽度の損傷ならば修理命令だけで直る様に、オーバーホールを受けると言うミッションも一応は存在する。
当然ながらリアルに戻って組み直した方が早いので、暇潰しに会話しながら受けたり、組み直すのが面倒と言う人の為に存在して居る。
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