ビルドダイバーMMO【完結】   作:ノイラーテム

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野生の魔王

●野生の魔王がやって来る

 EⅢ・ファンネルの能力が中途半端だった為、機能を分割してテストをして居た。

 その調整も終盤に差し掛かった頃……。

 

『もしかして、あの時の閣下ですか?』

『閣下は止めてくれ。マクギリスじゃないんだから』

 最後にテストするのは、リフレクター・ビットを使っての曲射攻撃。

 クリスが着弾点を確認して居た時に、以前に共同戦線を張った機体から通信が入った。

 

 Gディフェンサーの改造機を装備したバーザムとティターンズ仕様のMK-Ⅱが現れた。

 よほどバエルが好きなのか、あるいはマクギリスが好きなのか閣下呼ばわりである。

 

『今日はマントの色が違うんですね』

『リフレクターがビームコート程度にしか機能しなかったからな。スラスターとしては問題無かったし、色合わせを変えて見たんだ』

 嘘でもないが本当でもない。

 リフレクターはビットサイズでなければ意味が無いのか、あるいは出力の問題なのか意味が薄かった。カメラと通信リンクは問題無かったのでサイコミュ込みで取っ払って見たのだ。

 

 予備OSにすれば阿頼耶識の稼働時間が伸びるが、クリスは相性が良い方なので載せるシステムが圧迫して居る方が辛い。

 先方を行くバエルが更に偵察機を飛ばす意味も薄いので、スラスターだけの方が良いと判断した。

 とはいえそれを説明する必要も無いので、単にシンプルにしたと伝えておく。

 

『ビームコートだけでも十分だと思いますけど、その色もお似合いですね』

『臙脂と二色のみにするか三色にするか迷ったんだけどな……。っと、何か用があるんじゃないか?』

 通信ウインドウを増やして着弾点との差を通信しつつ、ミツオ達にもこちらの通信を中継。

 そして本題を尋ねたところで、面白い答えが返って来た。

 

『おっとそうでした。上位ランカーとの戦いに興味ありませんか?』

『上位ランカー? PKというか……対戦希望に行くのか?』

『ええっと、どういったら良いのかな。ボクらもこの間の人たちに誘われたんですけれど……』

 話を総合すると前回に来た大規模フォースの連中が、上位ランカーのチームと対戦するらしい。

 

『随分と強力で大人げない機体だから、みんなでやらないかと言う話なんですよ』

『うちのフォースの連中にも聞いてみるけど、その時はよろしくな』

 沢山の人数でボコボコにしようと言う話らしく、この話には迷っているそうだ。

 バーザムとMKーⅡに乗ってる二人は前回の反応といい今回といい、美意識優先の気がみられるので気が乗らないのかもしれない。

 正直なところ上位ランカーに興味はあるが、俺も多人数で少数をいたぶるのは気が引けた。

 

 

『……で、聞いててどう想った?』

『レギュレーションの無いマッチだったら遠慮したいかなってところ?』

『同感だけど……。僕は話を持って来たのが近藤一家ってのが気に成るな』

 概ね同じ反応が返って来たが、ミツオが首を傾げたことで話の流れが切り変わった。

 何やらデータを採掘して色々とピックアップし始める。

 

『近藤一家は体育会系の戦闘好きだけど、正面から挑む事はあっても味方を募って襲い掛る連中じゃない筈なんだよね』

『昔のデータを見ると独特の構成ばかりだな。味方を募集してるようには見えん』

『罠ってこと?』

 表示されたデータには、前回見たゴブリンと巨大なTHE・Oだったり代わりにサザビーが中央に居たりする。

 フラッグ機なのだろうが、それを除けば全てが統一された機体だった。

 ゴブリンの他にも名前を隠して戦う時も、ご丁寧にシーマ機とゲルググマリーネの集団だった。

 正直な話、この連中が味方を募集しているようには見えない。

 

『どちらかと言うと競争を挑んでるんじゃないか?』

『相手は上位ランカーが居るチームなのに? かえって足を引っ張り合いそうだけど』

 競争と言うのも外れて居そうな気がしないでもない。

 超強力なNPCが現れて、それを倒すレイド戦ならば話は別だが……。よってたかって倒す競争と言うには気分が悪いし、少しばかり相手が悪すぎる。

 

『そういえばビッチ先輩。前回の戦いにサザビーは居た? THE・Oの陸戦機でも良いんだけど』

『居なかった気がするわねえ……』

 ビッチ先輩と呼ばれた少女は自分のストレージから、前回に撮影した無数の絵を取り出した。

 V2の望遠カメラの他、サブカメラであるレドームやEⅢで取った画像にもその姿は無い。

 

『嫌な予感がして来たな。……もしかしてこのフラッグ機。上位ランカーじゃないのか?』

『そうなんじゃない? 上位ランカー率いる規律の取れた集団っぽいけど』

『それか! リアルの用事で長期INできなかった奴が帰って来たんだ』

 ようするにこういうことだ。

 狙うべき上位ランカーとは、誘っている近藤一家のフラッグ機、そして戦うのは近藤一家そのものである。

 

『参加できなくて鬱憤が溜まって居て、アイデアだってたまってる。それを解消するのとお披露目というか、招待を兼ねて誘ってるんだ』

『なにそれ!? 挑発してるの? それとも馬鹿なの? 凄いアイデアがあるなら大会まで取っておけばいいんじゃない』

『先輩。……きっとこいつら、戦いたいだけなんだ』

 その考えを元に画像を見返してみると、実に愉快な軍服姿のポートレートが幾つもあった。

 わざわざプラモで野営のジオラマを造ってまで戦場の中で笑っていた。

 その姿はどう見ても、戦いを求める漢たちの姿にしか見えなかったのだ。

 

『はあ……しょうもな。で、戦うかい?』

『俺は上位ランカーと戦ってみたいな。ガチで来るにしろ、ネタで来るにしろ良い機会だ』

『反対しないけど新装備を間に合わせたいわね。E装備はハードな戦いに向いてないもの』

 視線はV2ガンダムの改造機に集まる。

 EⅢからファンネル機能を取り除くか、そのまま付けっ放しにするかは別にして殆ど完成はして居る。しかしこのEWS装備はあくまでNPCと効率良く戦うか、あるいは長期戦を戦い抜く為の構成であり、重戦闘には向いて無いのだ。

 

『リフレクターで頭を狙ったら……』

『所詮メインカメラだからな。ビームスマートガンに持ち替えるにしても、囲まれたら厳しい』

『前回で飛べるところを見せてるし……。それにあっちはあっちで地上装備だったものね。次は違う構成だと思うわ』

 V2の装備を試すには丁度良いが、それは時間とアイデアがあればの話だ。

 今のままでは苦戦が予想されるし、変更するにしても時間がないので既存パーツの付け替えくらいになるだろう。

 だがしかし、適当に変えるのであればワザワザテストをする意味が無い。

 

『先輩はEWSじゃない方の装備ってどんなイメージを持ってるんだ? 俺はミツオから聞いて参考にしたけど』

『それにマッチしたのを探すっきゃ無いね。ありえるバリエーションなら採用されなかったパーツとかで良いし』

『今の所決まってるのは、コレを使って相手をメタることかな? 相手次第で戦い方を変えようかなって』

 映し出された画像を見て、二人は『あぁ』と納得した。

 それはとても優雅な姿をしており、同時に戦場を圧倒する性能を持つモビルスーツだった。

 空中戦を好む少女がモデルとするのに相応しい機体ではあった。……問題なのは機能に見合った装備をブラッシュアップする時間が無いことだろうか。

 

●ラストバタリオン

 待ち合わせ場所である隕石群に移動した時、やはりというか近藤一家の姿は無かった。

 居たのはバーザム・ディフェンサー他、以前に出逢ったメンバーが中心に数だけは居るのようだ(改造が間に有ったのかMK-ⅡもGディフェンサー用意して居た)。

 あえて言うならば、比較的に若いダイバーばかりだろうか。

 

『この様子だと予想通りかな、ミツオ』

『そうみたいだね。僕としては何のグループで来るか、どこまで何時もの集団戦用なのかネタに走るか気になるところだけど』

 結果としてはその両方だった。

 全体でパーツと装備を共用可能なミリタリー仕様で、フラッグ機は大幅にネタに走った改造がなされている。

 いや、フラッグ機は全軍を鼓舞し相手を威圧するという意味での運用であれば、十分に実用的かもしれない。

 

『よくぞ来た。地球圏の明日を担う若者たちよ!!』

 隕石を使った基地の中央から現われたのは、巨大なモビルスーツだった。

 渋いメタルグレーを持つ巨体の周辺には、ダークブルーの機体が九機。近衛兵の様に付き従っている。

 

『今回はゼグ・シリーズで統一してるのか』

 九機のゼグ・アインはアーマーコートが追加され、何処かの親衛隊か……越冬行軍を開始する軍隊のようだった。

 武装は実体弾を基本とする第三種兵装を元に、大型マシンガンにサブマシンガンやバズーカとフル装備である。

 ここまでは予想された通り、地味で長期戦を考慮された地味なイメージのままなのだが……。

 

『見てよ中央のゼグ・ツヴァイ……。あの色の変化と肩……』

『PS装甲化にI・フィールドだと? どこまでラスボス仕様なんだ』

 中央の一機のみが大幅に歌舞いているのが特徴かもしれない。

 電力供給によって装甲の色彩が蒼へ鮮やかに変化し、プロペラントタンクがあるべき場所にはI・フィールドジェネレーターと予備電源が装備されている。

 

 武装の方も大幅な改良がなされ、頭の悪いことにメイン装備は巨大な斧槍に変更されていた。

 三日月状の刃は肉厚で、そして幅広い。

 恐ろしいことに拡散メガ粒子砲らしきモノが増量された肩に仕込まれており、サブアームへ普通にビームライフルを構えて居るのが不思議とホっとした。

 

『あっきれた。殆どフル・スクラッチじゃない』

『どうみても野生の魔王です。ありがとうございました』

『あれを倒すのも大変そうだが、回りの連中を倒しながら進むのは苦労しそうだな』

 周囲のゼグ・アインもただ居るだけでは無い。

 フル装備と言う意味では同じだが、それぞれに担当している位置によって武装が違っていた。

 大型マシンガンを露払いとしてバズーカを構えた機体が徹甲用に控え、サブマシンガンを手に構える個体が接近戦に対応して居る。

 いずれの機体も状況によって装備を変更するだろうし、中途半端な倒し方では手足や武装を共有して立ち上がって来るだろう。

 

『さあ若者たちよ! どちらが地球を守るに相応しいか勝負と行こうではないか』

 とはいえ相手の方からも向かってくるので、ボーっとして居る訳にもいかない。

 持って来られた話と微妙に違うとはいえ、上位ランカー率いるチームと戦うという意味では大きく違わないのだ。

 各フォースのメンバーも覚悟を決めたようで、動き始めていた。

 

『……ジャミトフが前線に出てきたらこんなキャラなのかな? それかガトーと足して二で割らなければ感じかもしれんが』

『ええと……ゲームか何かで解釈が増えたんだっけ』

『ギレンに近い目標だけど、増え続ける人類を憂いているから……とかいう設定だったと思う。まあダイバーがノってるだけだと思うよ』

 三人はある程度予想して居たこともあり、壁に使える小隕石に回り込んで居た。

 

 その間にも戦線は開かれているが、当然の様に状況は良くない。

 まだ序盤であると言うのに、無謀に突っ込んだ機体が落とされた他、盾ごと腕を破壊された機体も居る。

 

『やっぱり連携の差は大きいね。僕らを始めとして何機かが参加してないのも大きいけど』

『これ以上は落とされないうちに援護に行くとして、『先輩たち』はどう想う?』

 二人はV2ガンダムの胴部コックピットではなく、背部から肩に増設されたコックピットに向けて話しかけた。

 本来は複座式バエルで培った経験を活かして従来のコックピットを改造する予定だったが、時間が無いので強引に取りつけたのだ。

 

『当たり前だけど相手を一機ずつ集中砲火。ボスは短期間に攻撃を叩き込まなきゃ駄目だって、『この子』も言っているわ』

 コックピット内部のレイアウトは独特で、『ZERO-SYSTEM』と光が明滅して居る。

 そう、バスターパーツのメガビームキャノン(ビッチと呼ばれた少女のE装では望遠カメラ)の代わりに取り付けられた増設コックピットは、ウイングゼロのモノだ。

 予測能力に長けるZERO-SYSTEMを利用して、効率的でアグレッシブなフォーメーションを組み上げる為である。

 

 とはいえガンプラバトルにおけるZERO-SYSTEMは派生作品のver2.5に近く、強制力が低く未来も予測軌道線やタイミングを教えてくれる程度の物でしかない。

 このままいけば味方の行動を示すラインが、敵のラインで圧倒されるのが判るくらいだ。

 何かしら、圧倒的な火力なり攻撃力で状況を変えなければ、優位を保てるほどの能力は無い。……そう単体ならば。

 

『なら僕が分断した後、クリスが一体抑えて』

『了解した。倒せるものなら倒してしまいたいが、難しそうだしな』

 その状況を造り出す為、ヘビーアームズが莫大な火力で戦線をこじ開けた。

 そしてバエルが切り込むことで、相手の陣形を撹乱して集中して倒す敵を設定する。

 

『このまま頭を押さえるから、先輩は後詰めでお願い。他の機体と一緒にやっちゃって』

『時間が無くて弱点むき出しだから踊れないしね。残念だけどフルパワーは、また今度にするわ』

 ヘビーアームズが大型ガトリング砲を振り回して、穴を埋めようとするゼグ・アインに砲撃を振り分ける。

 装填し直したミサイルも遠慮なしに使用して、空になったハードポイントから次々に捨てて身を軽くした。

 その間にV2が盾に長い、これまた独特の盾で増設コックピットを守りながら襲撃する。

 

『このまま一機ずつ潰すわよ! あんたたちも協力して!』

『OK!』

『いいようにやられるよりはマシだな!』

 盾に取りつけたスラスターも利用して、光の翼で牽制しながら一気に前線に取りつくとビームライフルを連射し射撃戦を敢行。

 周囲に居た機体ともども、一機ずつ飽和攻撃で葬って行った。

 

『次! 荒ッポイのぶちかますから、直上には立たないでね!』

『メガ・ビームシールドじゃなくて、ハモニカ砲か! なるほどな!』

『おうよ!』

 縦長のシールドが展開し、推進力で抑えつけなければならないほどの火力が唸りを上げた。

 同時にEⅢファンネルの代わりに腰に取りつけたインコムも併用して、死角からヴェスバーで押し潰しに掛る。

 そこへ他の機体も集中攻撃を掛けて、分断された敵を次々に葬って行った。

 

 このまま行けばやれる!

 そう思うのは勝手だが、この戦場に居るのはNPCではなくPCだ。

 当然の様に残りは隊形を立て直し、ゼグ・ツヴァイを中心に逆襲に掛って来た。

 

『結構潰したつもりでしたが、元の数が違うとそうもいきませんね』

『では戦うべき相手を少し選別するとしよう。立て直せない連中は任せたぞ』

『……何!? フラッグ機が出て来た!』

 守備側である近藤一家にだけ存在するフラッグマーク、それを隠しても居ないのみならず……。

 それを潰せば即座に戦闘が終了するはずなのに、ゼグ・ツヴァイが味方から離れて突出して来たのだ。

 

『傲岸ではあるが、世界を任せるに足りるかどうか試めさせてもらおう! 受けよ、メガ粒子・グランド・ウェエエエエィィブ!』

『拡散メガ粒子砲が!?』

 ゼグ・ツヴァイの増設された肩装甲には、大型の拡散メガ粒子砲がある。

 それら二基で莫大な熱量を放出し、迂闊に近寄ろうとした機体を次々に巻き込んで行った。

 

『想ったよりも威力が低いか? やはりガンプラだし敷居値が……』

『馬鹿、次が来る避けろ!』

 大口径のメガ粒子砲扱いではあるが、火力は一定に調整されている。

 サイズで許される最大値が襲い掛るが、ちゃんと守ることが出来た機体は落とされてない。

 だがしかし、それを知っているからこそ斧槍で斬撃を浴びせ、あるいは後続のゼグ・アインが叩きのめして行く。

 

『ライフルは普通だけど、あのバルディッシュが厄介ね。直撃したら落とされちゃう』

『どう考えても俺の担当だな。なんとか押さえるからその間に取り巻きを頼む』

 そういえばロシアでは斧槍をバルディッシュって言うんだっけ……。

 そんな事を言いながらクリスのバエルが突っ込み、真バエルソードで切り込みに掛る。

 

 何故か、その脇を固めてGディフェンサーを可変させた、バーザム・ディフェンサーとスーパー・ブラックが随伴して来た。

 

『閣下。自分達が御供させていただきます』

『僕らで露払いをしますね』

『お前達……気持ちは嬉しいが、閣下は止めてくれ』

 今判った。

 こいつらきっと厨二病である。

 付いてくるならヘルムヴィーゲかキマリスにしてくれと想うあたり、クリスも立派に素質があるのだろう。

 というよりも厨二病のケがなければ、黒く染めるだけならまだしも、黒騎士などと名前は付けて居ないか。

 

『初撃はボクが止めます。後方に!』

『プラネイト・ディフェンサー? ということはそいつはメルクリウスをモデルにして居るのか』

 バーザム・ディフェンサーが付けて居るプラネイト・ディフェンサーは、フィン・ファンネルのような砲撃能力や広い結界は持たないが束ねて強力な盾にし易い。

 更にユニット一つ一つが小形であることから、フィン・ファンネルよりも持ち運び易く、壊れても代用が効き易いのだ。

 

『その通り。その相方……つまり自分のスーパー・ブラックはヴァイエイトをモデルにしております閣下』

『だから閣下は止めろと……。しかし同道には感謝する』

 Gディフェンサー全てがジェネレーターであり、ビームスマートガンの増幅器なのだろう。

 二枚に展開した強力な砲が急速なチャージを掛け、ゼグ・ヅヴァイの間に入り込もうとしたゼグ・アインに牽制。

 同時にサブアームの一つを狙い撃った。

 

『ほう……惜しいな。直接狙って居れば、潰せたかもしれんが』

『それは俺の役目だ。暫く付き合ってもらおうか』

 I・フィールドに阻まれてサブアームは損傷を受けるだけだった。

 しかしバエルが電磁砲で牽制しながら斬撃を浴びせると、PS装甲による軽減を含めても故障は避けられなかった。

 

 奇襲が不可能と見て、サブアーム潰しに掛った判断を見てゼグ・ツヴァイのダイバーは嬉しそうに笑う。

 

『カカカ、良い判断だ。しかしこんなモノを気にして戦われてもつまらんな。こうしてやるから全力で来い!』

『なっ……自分で。手加減されるのは豪腹だが、今はその挑発に乗ってやる!』

 ゼグ・ツヴァイはバエルと互角に戦う為に、残ったサブアームを自ら破壊した。

 

 しかし本質的にいえば、手加減と言うよりは駆け引きだったろう。

 一騎打ちの様相を呈したことで、バーザムやゼグ・アインを含めた三対二では無くなったのだから。

 

『我々は近づく者から対処します。御武運を』

『みんなと一緒に残りを片付けて来てくれ。それまでは押さえて見せる』

 巨大なゼグ・ツヴァイの豪腕と、ガンダム・フレームの中では最も強力とはいえバルバトスと違って強化パーツを付けて無いバエルの腕。

 一騎打ちに成ってしまった事で、その差が出始めてしまった。

 バルディッシュと真バエルソードがぶつかり合い、僅かながらにゼグ・ツヴァイが押して行く。

 

『ならば、これはどうだ!?』

『温いわ! ゼグ・ツヴァイの加速力を舐めてもらって困る!』

 バエルが機動力にモノを言わせて振り切り、再突入で勢いをつけようとする。

 しかしゼグ・ツヴァイに取り付けられた無数のスラスターが、巨体には不釣り合いな程の加速で追随してきた。

 

 クリスは心得があるのでマニューバー無しで剣を自在に操れるが、相手は上位ランカーだ。

 当然の様に無数のバリエーションの中から的確なモノを操り、寄せ付けないどころか時に圧倒して行く。

 もしかしたら、クリスの様にリアル能力で押して来る相手とも戦った事があるのかもしれない。

 

『筋は良いが未熟! これがガンプラバトルだというのを忘れてはな!』

『何っ! 勝って居る方が防御を捨てるだと!?』

 切り合いで有利な筈のゼグ・ツヴァイが、防御を捨てて逆襲に出る。

 鍔競り合いが起こると思っていたこともあり、カウンターで手痛いダメージを受けてしまった。

 こちらの攻撃も直撃してはいるが、サイズの大きさとPS装甲による軽減でダメージレースでは大幅に交代してしまう。

 

(くそっ。俺の負けか。このまま何もできずに終わるのか……。サブアームを潰しただけ、それも俺がやった訳じゃあ……?)

 クリスはダメージを庇いつつ必死に剣を操るが、機体差に加えて先ほどの様な痛烈なカウンターを警戒せねばならない事で精神的に受けに回ってしまった。

 こうなれば追い込まれるだけなのだが、その途中で奇妙なことに気が付いた。

 

(待てよ。手加減するつもりならば、サブアームに持たせたライフルを捨てるだけで良い筈だ。自分で壊す事で誘導した? 一騎打ちに? それとも他にも……)

 次第にダメージを受けて後退し、視野が戦場から自分達だけに狭まって行く。

 その中で必死に思考を巡らせて、仕掛けられた罠が何かを探っていく。

 

 クリスの腕ならば何かが可能で、それをやらせないために愚直な切り合いに持ちこんだのだ。

 

(俺が考えていたのは残るサブアームの破壊……。そうか、部位狙い! 俺とバエルならば可能な装備、その破壊を避ける為か!)

 気が付いてしまえば後は消去法である。

 真バエルソードの長さと強烈な打ちこみで破壊出来る場所にあり、壊されると後の戦闘に影響を与えるモノ!

 

『残念ながら勝負は俺の負けだ! だがこれはガンプラバトル、フォースの勝利はもらっていく!』

『ほうっ……来るか。ならば良し!』

 クリスは敵の言葉を使って、今から駆ける特攻のことを予め説明した。

 ヒントは相手からもらったようなモノであり、ガンプラバトルとしての知識と経験を鍛えられたのは確かだからだ。

 

 そして、自分とバエルならばやれると信じて最後の攻撃に打って出た。

 大きく振り被り、真バエルソードとウイングスラスターだけを直撃から守る。

 

『答え合わせだ。何を会得したか見せて見よ!』

『まだだ。まだ終わるなバエル!』

 横薙ぎの一閃が無防備になったバエルの胴を真っ二つにするが、既に斬撃の体勢に入っているので真バエルソードはそのまま振り降ろされる。

 人の戦いは死ねば終わりだが、ガンプラバトルはそうではない。最後のモーションでフォースの勝利に貢献する為、重要なパーツをもぎ取りに行く。

 

 肩に設置されたI・フィールドと、予備電源の内の一つを破壊してその動きは止まった。

 吹き飛ぶバエルの残骸に、掛けられた言葉は一つ。

 

『その覚悟は見事! 大会でいずれ相見えよう!』




 と言う訳で野生の魔王……。大人げない改造を施された、大人げない上位ランカーとの戦いの回です。
MMOだったらこういうプレイヤー主導のイベントもあるかなーと想ったのと、高額なキットを更に改造する人とか、過積載で改良する人も居るかと想った為。

●V2ガンダム。E装備 → M装備
 リフレクターが上手く機能しなかったので、ビットを随伴して機能分離。
ビームスマートガンに弾倉使った連射モードとチャージで無限に使えるモードを用意すれば完成。
ずっと優雅に高空に浮かんで、ずっと一丁の武器で戦い続ける優雅なマシンです。
 一方でM装備はゼロ・システムを使ったメタ戦術・重戦闘用。
敵が遠距離に弱ければ遠距離で、近距離が弱ければ接近してフルボッコにする為の機体。
装備は暫定バージョンですがハモニカ砲で増設コックピットを守りつつ、ライフルとヴェズバー・インコム(消えた設定の一つ)で仲間と共に飽和攻撃を掛けます。

 ガンプラバトル中のゼロ・システムの解釈としては、数ターン分の予測行動を出し最適解を表示してくれます。
その通りに動けば命中に良い修正が、無視して行動すれば悪い修正がきます。当然ながら平均値の行動を予測できるだけなので、無茶したり特殊マニューバーには対応して居ません。

●バエル・ザ・ブラックナイト
 EⅢファンネルが盛り込み過ぎて中途半端だったため、リフレクター機能とファンネル部分を削除。ただの阿頼耶識で動くスラスター兼カメラになっています。後は腕部にパイルバンカーかナックルを付ければ完成(カエルの眼・猫の爪)。
 脳波コントロールである機体制御サイコミュをサブシステムに使い、阿頼耶識に頼らないので稼働時間も延びるデータもあるのですが
併用しても他にメリットが無い為、特殊マニューバーなり他のOSの方が良いので外れて居ます。
 ガンプラバトルの解釈としては機体制御系OSを二つ載せると、他が出来なくなる感じです絵すね。

●バーザム・ディフェンサーとスーパー・ブラック
 いわゆる厨二病に掛っているのか、えらく芝居掛った二人組の機体。
プラネイト・ディフェンサーを装備したGデイフェンサーを、やや大型のバーザムが合体してタンク役。
加圧式のビームスマートガンを持ったGデイフェンサーを、スマートでやや耐久性の低いMK-Ⅱが装備してアタッカーに成る。
二機で一組であり、同時にGデイフェンサーそのものも交換可能。

●ゼグ・アイン第三種兵装・改一
 武装を実体弾の使い分けだけにして、追加でコート型のアーマーを取りつけている。手足のニコイチ・サンコイチも健在。
地道な打撃戦や長期戦を想定したモデル。

●ゼグ・ツヴァイ。消鬼(Vanish-On)
 全身にPS装甲を施し実体弾に対抗し、I・フィールドジェネレーターでビームを軽減する無敵の防御。
武装は巨大なバルディッシュで相手を叩き潰しつつ、改良したサブアームで普通のライフルやマシンガンで戦う。拡散メガ粒子砲はオマケだとか。
攻防一体のマシンであり、仲間と共に戦うことで恐るべき威力を発揮する。
 とはいえ頭の悪いカスタムであることは間違いが無く、稼働時間が短いのが最大の欠点。
バスターガンダムを参考に肩へ三つの予備電源を持ち、後部にもプロペラントを減らして予備電源を所持して居る。
どちらかといえば帰って来た上位ランカーが、鬱憤晴らしを兼ねて若いダイバーと遊ぶ為のロマン機体。
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