ビルライブ!サンシャイン!!〜School idol War〜 作:ブルー人
設定を構築するのがだいぶ厳しかったですがなんとか形に…………。
更新頻度はあまり期待しないことをお勧めします()
辿り着く場所はない。ひたすらに“寄り道”を繰り返すだけの生だ。
赤みがかった砂にまみれた大地を見下ろし、オレはこの手で滅ぼした文明の最期を見届けた。
今回のターゲットも問題なく————いや、見栄を張った。想定していたよりも手こずってしまったのはシステムの障害だろうか。
……いや、そんなはずはない。オレは確かにプラン通りの行動を遂行したはずだった。
予想を遥かに上回る、見えない力…………研究する余地がありそうだ。
——————次の惑星は、
「………………」
奇妙な感覚。
何かがこぼれ落ちてしまうような、大事なものが欠けていくような、取り戻さなくては支障が出ると明らかなモノが失われていく。
暗い暗い世界のなかで、木漏れ日のように差し込んでくる一筋の光。
次は————————ここだ。
◉◉◉
“スカイウォールの惨劇”…………それは5年前、この日本で起きた痛ましい大事件。
火星から飛来してきた“パンドラボックス”と呼ばれるアーティファクトによって出現した巨大な壁、“スカイウォール”。
それを要因とした日本列島の分断————それが悲劇の全容。
「……っと、ここまではお前達も知っている常識の範囲……だな」
気怠そうに机へ突っ伏し、腕のなかに顔を埋めた青年が消えそうな声で生徒達に問いかける。
「……先生、きちんとした姿勢で授業をしていただけます?」
「この声は……黒澤か、相変わらず真面目だなお前。じゃあ分かれた地区の名前を全部言ってみろ」
「……外交に力を入れている“西都”、社会福祉の充実を目的とする“北都”、そしてわたくし達の住む“東都”……です」
「パーフェクト。……代わりに教鞭とる?」
「結構ですわ」
教え子と顔も合わせないまま話を進める青年の名は“
数少ない男性教員、そして学校一の変わり者ということもあり内浦の街ではちょっとした有名人だ。
「はあ……さて、黒澤が答えてくれたことはあくまで
顔を伏せたまましばしの沈黙が教室を満たし、直後に静かな寝息が漏れる。
「……鞠莉さん」
「私がこの学校の理事長であることをお忘れなく、センセ」
「はい!真面目にやります!!」
電気でも通されたかのように瞬時に跳ね起きたキリオは流れるような動きでチョークを手に取り、黒板へ文字を走り書きしていく。
その狭間に見えたのは席に腰を下ろす生徒達の姿。その内の三人ほどは学外でも名が知られている少女達だった。
そう、今この日本でいつ内乱が起こるかわからない。……いや、“内”じゃない。もはや三つの国と認識したほうがいい。
冷戦状態を保っていられるのは5年以上前から存在する“スクールアイドル”の存在が大きいだろう。
全国大会まで行われている、学生達によるアイドル活動。
血生臭い争いとは程遠い少女達によるパフォーマンスのおかげで、世間の求めるものは三国の統一よりもエンターテイメントに向きつつある。
なかでも平和維持に一際買っているのがそれぞれの地区を代表するスクールアイドル達。
北都の“
西都の“
東都の“
現在スクールアイドル界での3トップと言われているのがこの3組。
そして何を隠そう————東都を代表する“Aqours”こそ、この浦の星女学院が誇るスクールアイドルなのである。
そのメンバーの内三人が今授業を受け持っているこのクラスの生徒。
授業中に背筋の緊張を解いた試しがない黒澤ダイヤ。
笑顔を絶やさない理事長様、小原鞠莉。
そして後ろの方で堂々と居眠りこいている海の化身、松浦果南。
「松浦」
「……うぇ?」
軽く弾いたチョークが見事果南の頭部に命中。よだれを垂らした間抜けな表情を晒しながらやっと顔を上げる。
「あれ……?イルカは……?」
「ここは陸だぞ、目を覚ませ」
ついさっきまで自分も睡魔に負けていたことは内緒のまま彼女を注意するキリオ。
「今なんの授業中かわかるか?」
「えっと……、あっ自習?“キリオくん”が担当だし」
「違うわ。この俺が珍しくやる気になって教鞭振るうっていう時にそんな態度じゃダメだろ?あと先生と呼べ」
パッと見開かれた瞳をダイヤと鞠莉に向けた後、ニヤついた顔で彼女は言い放った。
「……鞠莉に給料減らすぞって脅されたんだ」
「正解ですわ果南さん」
「容赦ないな黒澤。そうだよその通りだよ…………悪いか!?」
「よくその態度を保っていられマスね……」
「ほら先生!先ほどから無駄話ばかりで授業が進んでいませんことよ!」
「わーったよ!やればいいんだろやれば!!わかったから給料下げないでね!?」
冷めきった表情が途端に温度を上げ、キリオはすぐさま教科書を手にとっては板書を再開した。
◉◉◉
西都のとあるライブ会場。
街中で行われた小規模のライブ————だったはずのそれは押し寄せるようにやってきた観客達によって警察まで出動する事態へと変貌した。
その人気の中心にいるのは————二人組の少女。
片方は小柄で茶髪のショートヘアに活発的な振る舞いを見せる、血のように赤い衣装をまとった少女。
もう片方は長身で肩ほどまで伸ばした黒髪に落ち着いた雰囲気を漂わせた、漆黒のドレスを身につけた少女だ。
「みんなーーーーっ!今日はあたし達のライブに来てくれて、ありがとねーーーーっ!!」
マイクを通した可愛らしい声音に反応して観客達のテンションがヒートアップ。地震でも起きているかのような迫力を見せる。
「ほらほら、みーちゃんも何か言ってあげなよ」
「えっと…………わたしは…………」
「もー!照れ屋さんだなーーーー!!」
「ご、ごめんねユイちゃん」
「さてさて、そろそろお別れの時間がやってきちゃいました……」
会場内を掌握した一人の少女が瞳の色をうっすらと変え、不意に涼しげな笑みを浮かべた。
今の変化に気づいたものはこの場に誰一人いないだろう。
「それじゃあ皆さん、チャオ〜」
一気に高いテンションを引き戻した少女は客席に向かってウィンクを飛ばしつつステージ上から去った。
控え室として設立されたテントの中は異次元のように外とは空気が違っていた。
張り詰めた空間のなか、赤い少女は黒い少女と向かい合うようにして椅子に座り、置いてあったスマートフォンを手にとってはおもむろに操作する。
「きゃはっ……ビンゴー!」
「……見つかったの?」
「うん、この前放ったスマッシュの反応が東都で消滅。これはもう“ここにいます”って言ってるようなもんだよね〜!」
「……じ、じゃあ、すぐにでも東都に……?」
「あはは、バカなのみーちゃん?あたし達が動く必要なんかないよ。…………今はね」
人とは思えない笑顔をにじませた真紅の少女は最後にそう言い残し席を立った。
——————「ふふ、楽しい実験の始まりだよ」
所々に聞いたことのある単語を散りばめておきましたが、原作の設定とは結構かけ離れている部分もあります。
先に言っておきたいのは「Aqoursが廃校を防ぐ話」ではありません。アニメ版とは全く違う展開を予定しています。
Bernageなんてスクールアイドルは本来存在しませんからね(笑)
色々と忙しい時期なのできちんと完結できるかどうか…………。
完結後に何かしらの続編はいりますか?いりませんか?
-
後日談として日常もの
-
シリアス調のもの
-
両方
-
別にいらない。