ヤーパンは好きな国だ。行ったことはないけど。
私が生まれ育ったこの町には大きくて有名なサーキットがある。世界中の色んな自動車メーカーがここにそのサーキットを攻略するための基地があるぐらいだ。その中でもお父さんがヤーパンはすごいって言っていた。けどドイツが一番だなって笑ってたけど。
そんな私は、この町で親が経営する民宿の看板娘をしていた。自分で言うのもあれだけど、私はかわいいと思う。お母さんが美人だから。お母さんは昔、ベルリンでいい暮らしをしていたらしい。だから立ち振る舞いもお上品だ。よく言葉遣いで怒られた。そんなお母さんが二年前にいなくなった。難病でこの町のお医者さんじゃ治せないと言われたらしい。そんなことはないと思ったけど、お母さんはそのまま旅立ってしまった。お父さんは何度も私に謝った。
悲しい話は置いておいて、お母さんが亡くなって暫くすると、民宿にスーツを着た人たちが泊まりにきた。いつも通り、受付で待っていた私を見るなり、その人たちは驚いたような顔をしていたのを覚えている。名簿に名前を書いてもらって、あらかたの説明をしたけど、上の空だったと思う。その日の夜、お父さんの部屋からお父さんの怒鳴る声が聞こえてきた。お父さんはしばらくうるさかったけど、次第に静かになっていく。私は疲れていたからそのまますぐ寝ちゃったけど、それがこんなことになるとは思ってなかった。
それから数ヶ月後、朝早くに民宿の前に高い車が止まっていた。
「私と一緒に来てくれませんか?」
一人のカッコいいお兄さんが私にそう言うと、車の後ろのドアを開けてくれた。
私もついに玉の輿に乗る時が来たのか! と少し浮かれたけど怖かった。こういうことはもう少し段階を踏んで欲しいからだ。しばらく躊躇していると、お父さんが出てきた。手には拳銃が握られている。お父さんは私に近付くと、その拳銃を私に握らせた。
「いいか? 何かされそうになったらこいつを使え。 躊躇わなくていい。責任は俺がとる。お前は何も悪くない。いいな?」
「お父さん? 何言ってるの?」
「この人たちはお母さんの親戚の人だ。お前に話があるらしい。話を聞いたらすぐに帰ってこい。嫌だと思ったらすぐに帰ってこい」
お父さんはそこまで言うと、涙ぐみはじめた。
「でも、もしお前が残りたいというのならここのことは気にしなくていい。荷物もすぐに送ってやる。電話一本、ここにかけてきてくれ……」
お父さんはそう言うと、すぐに背中を私にむけた。その肩がかすかに揺れているのがわかる。
「お父さん……わかった。すぐに帰ってくる」
私はそれだけ言うと、車に乗った。私が車に乗ると、さっきのカッコいいお兄さんがドアを締めてくれた。広い後部座席に、私一人。うちにある古いゴルフとは大違いだ。
「それではここからベルリンに向かいます……何かあればすぐに言ってください」
お兄さんは運転席に乗り込むと、ミラー越しに私を見てそう言った。
私は黙って頷いたけど、私のお腹が声をあげた。お兄さんは顔を咄嗟に伏せたけど、笑っているのはすぐにわかった。
「じゃあブラバスおばさんとこのカフェに寄って!!」
「はい……かしこまりました……」
恥ずかしい。これが私の運命の朝の出来事だ。
ーーーー
朝早かったことに加え、変わりばえしない景色、それに無音の車内。寝ないはずがない。いつの間にかフカフカのシートに横になって寝ていた。
「ここは?」
「あなたのお母様のお家です」
車は玄関の前に止まっていて、今度はメイドさんが扉を開けてくれた。
「お待ちしておりました。どうぞ」
「ありがとうございます」
メイドさんは可愛いってイメージがあったけど、このメイドさんは美人さんだ。
「応接間にて、お嬢様がお待ちです」
「おじょうさま?」
私が素っ頓狂な声をあげると、メイドさんは呆れたように私を見た。
「何も聞いてないの?」
急に砕けた口調になった。私はこの時、失礼だな、とか、不愉快になった、とかそういう感情は抱かなかった。むしろ安心したと言っていい。
「うん。何も」
私も砕けた口調で返すと、メイドさんはため息をついた。
「じゃあ応接間にいくまで距離があるからざっくりと話すわね」
メイドさんはそう言うと、私の横に立つと背中に手を当ててきた。あっちに歩けということだろう。
「あなたのお母様と、うちの奥様は姉妹だったのよ。それで、この前うちのが挨拶に行ったらあなたを見かけてお嬢様にそっくりだと言うことでここに連れてきたのよ」
「なんだ……玉の輿にのれるわけじゃないのか……」
「そんな甘くないし、そんな甘い考えじゃ玉の輿に乗れても長くは持たないわ」
「そんなぁ〜」
少し声が大きかったのか、メイドさんはわざとらしい咳払いをした。
「それで、お嬢様が今度艦娘になりたいと駄々をこねてね。あなたが連れてこられたわけよ」
「仰ってる意味がわからないのですが?」
少し丁寧な口調で言ってみた。お嬢様感を出してみたかったからだ。
「……まぁいいわ。つまり、お嬢様に似ているあなたが現場に立ってお嬢様の戦果をあげるってことよ」
「つまりカゲムシャってやつですか」
「カゲムーシャ? なにそれ」
「ヤーパンの文化です。主人のかわりに主人になりきって身代わりになるっていう」
「よくわからないけど、そんなものね」
「じゃあ帰ります。ありがとうございました」
私はそう言い踵を返した。だが背中に当てられた手がお腹に変わっただけだ。その手に力強く押されて、私は後ろ向きのまま歩くかたちになった。
「別にあなたを強引にカゲムーシャ? にしようとは思わないわよ。お嬢様と少し話して、美味しい珈琲飲んで、美味しい晩御飯食べて、それから帰りなさい。せっかくあなたの為に買った食材が駄目になるわ」
「そんな気を使わずに皆さんでどうぞ。私は用があるので……」
「玉の輿に乗りたいんでしょ? いいチャンスじゃない」
「おッ……降ろせ〜!」
メイドさんは私を片手で持ち上げると、そのまま肩に担いで歩き始めた。
「そんなジタバタすると、パンツ見えるわよ?」
ーーーー
「失礼します」
メイドさんは私を肩に担いだまま応接間と呼ばれる部屋の扉を開けた。
扉を丁寧にしめようとメイドさんが振り返ったことで、室内を見ることが出来た。
大きなシャンデリアの下に可愛らしいテーブルと椅子。テーブルの上にはこれまた可愛らしいお菓子が乗った高価そうなお皿がある。そしてお上品に座るお上品なお嬢様とその横に立つ可愛らしいメイドさん。二人は何とも言えない表情で私を見ている。
「アルピナ! 客人になんてことを!」
可愛らしいメイドさんがそう言うと、お嬢様が申し訳なさそうにこちらに会釈をした。アルピナさんは私を肩から降ろすと、私に一礼してテーブルの方に歩いていく。
「すいません。逃げ出しそうだったものですから。こちらにどうぞ」
アルピナさんは空いている席を引き、私に座るように促した。私は黙って頷くとその席に座る。
「急にお呼びたてして申し訳ありませんが、あなたにはここで少しご滞在頂いてすぐに帰っていただきます」
開口一番、お嬢様は私にそう言った。
「そうさせていただきます」
私はそう言って深々と頭を下げた。お嬢様はそんな私は不思議そうに見ていた。
「どういうことかしら? 私はあなたが自ら望んできたとお聞きしましたけど?」
「いえ。朝起きたらカッコいいお兄さんにナンパされて、美人のお姉さんに運ばれてきただけですから」
私はそれだけ言い、机の上のお菓子にフォークを刺して口に運んだ。
上品な甘さが口に広がる。けど、少し甘すぎるような気がする。横にあった暖かい珈琲を飲んでみる。これは高いやつだ。間違いない。苦味の中に深みがある。甘さと苦味が合わさって何ともいえない高級感のある刺激が味覚を刺激する。
「お昼。何食べたい?」
横に立っていたアルピナさんが珈琲を注いでくれた。
「せっかくベルリンに来たのだから、ここで食べられる美味しいものが食べたいです」
「じゃあハンバーグね。お店を予約しておくわ」
「高いところはお金がありません」
「心配しなくてもいいわ。こっちが出すから」
アルピナさんは携帯を取り出すと、どこかに電話をかけはじめた。
そんな私達を、お嬢様とメイドさんはポカンとした様子で私たちのやりとりを見ていた。
「ロリンザー。どういうことですか?」
お嬢様が横のメイドに話しかけた。ロリンザーさんはよくわからないといった様子で首を捻り、アルピナさんを見た。
「この子は何も知らずにここに連れて来られたんですよ。好き勝手に噂していた、艦娘になりたいからとか、ここの家に入りこむためとか、よく深い女だとか、そういうのは全部見当外れもいいところだったんです。だいたいそんな子が、こんな格好で、車の中で横になって寝ますかね?」
「私、知らないところでそんなこと言われていたんですかッ?!」
「そういうこと。それにあのお方の娘さんです。そんな卑しい心をお持ちのはずないでしょう? ロリンザーさんもあのお方のことはよくご存知でしょうに」
アルピナさんとロリンザーさんはしばらく黙って見合っていた。
二人とも私のお母さんについて何か知っているみたいだ。
「そう……ですね……失礼いたしました」
ロリンザーさんが私に謝ると、アルピナさんは勝ち誇ったかの様に喋り始めた。
「概ね、旦那様とその取り巻きが勝手に言い出したことでしょうね。それに付き合わされる身にもなって欲しいわ。今日一日、私がこの子の面倒見るからね。それと、賭けは私の勝ちよ。連休は頂いていくから」
「まだ……まだ、わからないわ……あなたに抜けられたらこの屋敷の機能が失われることになる……」
「ちょっと。賭けは私の勝ちよ! この子は艦娘になる気はない。その時点で私の勝ちでしょう!」
「いいえ。ここを出ていくまでに艦娘になりたいと思わせればいいのよ。説得してみせるわ!」
「ちょっと! 卑怯じゃない!」
「ウォッホン!」
ヒートアップするメイドさん二人に対して、お嬢様はわざとらしい咳払いをした。二人ともまだ何か言いたそうだったけど、黙り込んだ。
「客人の前です。失礼をいたしました……お菓子のおかわりをお持ちしましょうか?」
メイドさんのコントを見ていた私はいつの間にかお菓子を全部食べてしまっていたようだ。本当は遠慮すべきなのだろうけど、こんな高いお菓子は滅多に食べられない。
「お願いします」
「かしこまりました。他のものにいたしましょうか?」
ロリンザーさんがとても愛想よく私にたずねる。さっきとは全然違う。正直怖い。
「カステーラが食べたいです」
よく民宿にきてくれるヤーパンのお客さんから貰ったお菓子の名前を出してみた。あれは美味しかった。
「カステーラ? わかりました。ご用意いたします」
ロリンザーさんはアルピナさんに何かしらの合図を送った。けど、アルピナさんは首を横に振った。ロリンザーさんは私とお嬢様に一礼し、足早に部屋を出ていった。
「カステーラって何?」
アルピナさんが私にたずねた。
「アルピナ! 客人にそのような口のきき方……」
「私は大丈夫です。というより、こっちの方がいいです。気を使わないでください」
私は気を使えませんから。お客さん相手とは全然違う。普通に喋ってるだけでザ・貴族という雰囲気を醸し出すあちら側の人達と私は違う。
「そうですか……それで、そのカステーラとは何ですか?」
お嬢様は困ったように笑っていた。
「ヤーパンのお菓子です。とても美味しくて、珈琲ともあうんです」
「あなたヤーパン好きなの?」
「私の町はヤーパンから来る人が多いんです。そこでいろんな話を聞くうちに興味がわいてきまして……」
私がそう言うと、アルピナさんがガッと私の肩を掴む。
「ヤーパンなんてとんでもないわ! サムライとかニンジャとかが言われもない責任を押し付けられてハラキリするのよ!」
ものすごく必死にやめておけというアルピナさんにお嬢様はため息を漏らす。
「もうサムライもニンジャもいないみたいですよ?」
私がそう言うと、お嬢様は驚いたように目を見開くと恐る恐るといった様子で話し始めた。
「じゃあ……ゲイシャガールの?」
「最近はゲイシャガールじゃなくてキャバジョーっていうのがいるらしいです」
「「キャバジョー?」」
「今風のゲイシャガールのことらしいです」
私が聞いただけの知識を言うと、二人は興味深そうに聞いていた。しばらくヤーパンの話をしていると、アルピナさんがハッとした様子で首を横に振り始めた。
「そんなことよりも、艦娘になりたいなんて思わないで頂戴」
「何でですか?」
「なんでもよ」
アルピナさんが必死に私を説得しようとしていると、ロリンザーさんが戻ってきた。
「申し訳ありません。カステーラ? のご用意に時間がかかるので、ティータイムまでには用意いたします」
「いえ、ないのであれば他のものでも……」
ロリンザーさんはものすごくいい笑顔を浮かべている。
「私共メイド一同、あなた様のご要望には全力で答えさせていただく所存でございます」
「メイド一同って私も巻き込まないで頂戴。私はこの子に艦娘になられたらイタリア旅行がパーになるのよ!」
「あなたが勝手に組んだ旅行は知りません!」
「ズルいわよ! 旦那様の権力を使ってこの子を艦娘にするつもりでしょう!」
「やめなさい。みっともない」
お嬢様が何度目かわからないため息を吐くと、私の方を真面目な顔で見てきた。
「あなた。艦娘になる気はない? これまで聞いた話はすべて忘れてちょうだいな。あなた自身はどうしたい?」
「興味ありません。艦娘になるっていうことは軍人になるってことですよね? 私は小さな民宿の看板娘です。戦う力なんてありません」
「看板娘って自分で言うかね……」
真面目な会話だったのに、アルピナさんが茶化したせいでロリンザーさんもお嬢様も笑いだしてしまった。先に笑いがおさまったロリンザーさんは補足をはじめた。
「艦娘というのは誰でもなれるわけじゃありません。生まれ持った素質を持った人間だけがなれるものです。その素質を持った人間はこの国にはまだ数人しかいません。ですが、最近の検査で、大奥様……つまりはあなたのお祖母様にはその力がありました」
ロリンザーさんはそこまで言うと、困ったような悲しい顔をしました。どう続けようか悩んでいるように見える。
「あなたのお母様が亡くなったのはその遺伝のせいよ。強すぎる力に体の許容量を超えたの」
アルピナさんがはっきりとわかりやすく、そう言いました。
「何を言って……」
「あなたのお母様はここにいる私とロリンザーさんが殺したのよ……」
「アルピナ!」
ロリンザーさんが声を荒げた。お嬢様はただ黙って俯いている。
「本当のことを話さない方が酷だわ。話してもいいかしら?」
アルピナさんは私と目線を合わせる高さまで屈むと、優しく問いかけた。私は黙って頷くことしか出来なかった。
「あなたのお母様は、今のあなたと同じように艦娘になることを迫られていたの。でも、それは人として生きることを捨てて軍人として……いえ、兵器として生きることになる。そんな時、あなたのお父様と出会ってお母様はあなたを身篭ったの。当然、当時の旦那様や奥様……あなたのお祖父様とお祖母様は激怒したわ。けど、お母様はあなたを産み育てることにしたの。それも兵器としてではなく人間の母親としてね。私とロリンザーさんはお母様がここから逃れる為の手伝いをしたの。その時は私もロリンザーさんもそれが正しいと思っていたわ。けど、それが原因で亡くなるのがわかっているのであれば、意地でも止めていたわ」
アルピナさんはそう言うと、目から涙を流した。
「あなたはまだ若かった。責任はすべてこのロリンザーにあります」
「お父さんはこのことを知って……」
「それはありません。知ったのはお母様が亡くなってからです。昔のお母様は今のあなたにそっくりでした。自由で外の世界に興味を持っておられました。お母様には家柄に縛られず自由に生きて欲しい。それがこのロリンザーの願いでもありました」
「私のこんな性格もお母様は許してくれた。いえ、そのままでいて欲しいと仰ってくれた。返しきれなほどの恩があったというのに……」
二人はそれ以上、何も言わなかった。しばらくの沈黙が流れた後、お嬢様が話し始めた。
「お恥ずかしい話ですが、私の母は艦娘としての力を有していますが、戦いには出ていません。ただの父の妻として生きているだけです。妻として生きるということが楽だとは言いません。ですが、私にはそんなの我慢できない。力を持っている人間が戦わずして、何を守るべきなんだと。家柄を守ることがそんなに大事なのかと。私はそうは思わない」
「……ん?」
私はあることに気がついた。
「アルピナさんとロリンザーさんはお父さんとお母さんが結婚する前からお母さんを知っている?」
「はい。存じ上げております」
「お父さん、今年60歳なんだけど、お母さんとは同い年って聞いてたけど、嘘だったってこと?」
「いえ、同い年のはずよ」
「アルピナさんはお母さんとはいつ出会ったの?」
「私が16の時。お母様はまだ27歳だったわ」
「……計算があわない」
「何の計算ですか?」
「アルピナさん。まだ三十代でしょ?」
私がそう言うと、アルピナさんはキョトンとした顔をしたと思ったら今度は不服そうな顔をした。
「失礼ね。肉体年齢は二十代よ」
「実年齢は?」
私がそう言うとアルピナさんは黙りこんだ。ロリンザーさんもそっぽを向いている。
「49歳ね」
お嬢様がかわりに答えた。私も指を折って数えてみる。
アルピナさんは悔しそうに私を見ている。
「ちなみに! ロリンザーさんは私の5個上よ!」
私は指を六回折ったり伸ばしたりした。
「55……?」
私はロリンザーさんを見た。肌の張りを見てもそんな歳には見えない。年齢が出る首元も手も、若い人のそれと変わらない。
「……ん〜?」
私は首を捻った。
お金持ちに仕えると、歳を取らないのか。いや、そんなことあるはずがない。老化は神様から平等に与えられるはずだ。そんな時、私はお母さんを思い出した。
「……言われてみれば、お母さんも見た目すごく若かった」
歳の離れた姉妹ですか? なんてよく間違えられた。
お母さんは嬉しそうに、母です、なんて言っていた気がする。
「そこの二人は艦娘よ」
お嬢様が探し求めていた答えを出した。
なるほど納得だ。艦娘。なんてすごい力があるんだ。
若い私だけど、老化が来てないわけじゃない。まず太りやすくなった。前はどんだけ食べても、一日受付で座っているだけで体型を維持できた。それが今は、食べた分だけ太る。それに洗い物をしているだけで手が荒れる。これが地味にめんどくさい。
「決めた……私、艦娘になる」
私がそう言うと、アルピナさんは膝から崩れ落ちた。ロリンザーさんはこれでもかと言わんばかりのガッツポーズをしてみせた。お嬢様はポカンと口を開けて私を見ていた。
「あなた……変わってるわね」
お嬢様は呆れたようにため息をついた。