天野夕麻という女子そのものが存在しなかった と。
夕麻ちゃんと過ごした俺の時間が嘘だったかのように。そう、こいつらが言う『幻想』だったかのように。
でも、松田と元浜の発言を裏付けるように彼女のケータイ番号もメールアドレスも俺のケータイメモリには記録されていなかった。
メモリを消した? 誰かに消された? そんなバカな!俺が消すわけないし、誰が消すんだよ!
覚えていた番号にかけてもその番号は現在使われていない。
彼女はいなかった?俺の幻想?んなバカらしい話があるわけ………。
否定したいが、俺の記憶以外で彼女の痕跡は一切見つからなかった。
思えば俺は彼女の住所も知らない。彼女は他学校の生徒だった。夕麻ちゃんが着ていた制服から学校を見つけて、彼女のことを在校生に訪ねてみた。
じゃあ、俺は誰と付き合った?
誰とデートした?
あの夢は、ここ最近見ている夢は俺が生み出した幻想なのか?
おいおい、俺は異常者かよ?
だって、彼女の顔を俺は鮮明に覚えているんだぜ?
………どうしても解せない。
深夜に湧き上がる得体の知らない力といい、何かがおかしい。
何かが変なんだ。
考え込む俺の肩へ松田が手を置く。
「まあ、思春期の俺の家へ寄れ。秘蔵のコレクションをみんなで見ようじゃないか」
「それは素晴らしい。松田くん、ぜひともイッセーくんを連れて行くべきだよ」
「もちろんだよ、元浜くん。俺ら欲望で動く男子高校生だぜ? エロいことをしないと産んでくれた両親に失礼というものだ」
「イッセー俺そろそろ部活いくぜ」
「そうかじゃあお前もまた明日」
「おう」
カイトはイッセーに拳合わせて教室去っていった。
グフフフといやらしい笑い声あげる二人。
変態だ。どこからどう見ても変態すぎる。そしてそのなかにイッセーも入っている。
まあ、いいさ。俺も変態で生きる男子さ。
「わーったよ!今日は無礼講だ!炭酸飲料とポテチで祝杯をあげながら、エロDVDでも視聴しようじゃねぇか!」
半ばヤケクソ気味に俺も賛同する。
「おおっ!それだよ、それ!それこそ、イッセーだ!」
「その意気だ。青春をエンジョイしようではないか」