盛り上がる松田、元浜。
夕麻ちゃんの件はこのさい保留にする。
たまには息を抜く!今日ぐらいは鬱な気分を抜け出して、年頃の男子としていきてやる!
そんなふうに三人の結束を新たにしたときだった。
俺の視界に紅が映る。
鮮やかな紅。
教室の窓から見える校庭。一人の女子の通学風景が俺の瞳を釘付けにする。
真紅の紙をした少女。人間離れした美貌を持った我が高校のアイドル。スラリとした身体は、日本人のそれではない。
当然だ。彼女は日本人ではない。北欧の出身だと聞く。
父親の仕事の都合で日本の高校に通っているそうだ。
誰もが彼女の美しさに目を奪われ、一瞬で心をもとらわれる。
リアス・グレモリー。
この学園の三年生。俺の先輩にあたる。
気づけば、俺以外の者たちも男女問わずして彼女に釘付けだ。松田、元浜も。
これは毎朝のことだ。彼女の通学を、歩く姿を多くの学生が見つめる。ある者は歩を止めて、ある者はおしゃべりを止めて。誰もが振り向いてしまう。
だがカイト、ドラグーン、ゼットはあまりに興味なかった。
全校生徒の視線極一部は集まらない。彼女は優雅に紅の髪を風に揺らす。
腰まである真紅の長髪は風に流れると、さらに一層紅を周囲の風景に映えさせる。
雪のように白い肌が対照的だった。
美しい。
彼女の存在を一言で表すならそれだ。それ以外の言葉はいらないだろう。
俺もその美貌と高貴な雰囲気に夢中だった。
その姿を見かけるたびにそのときしていた行動を止めてまで彼女に見入っていた。
だけど、この頃、その感覚に変化が生じていたんだ。
確かに美しい。彼女は美しすぎる。
しかし、その美貌を少しだけ怖く感じるようになり、いつしか心の隅で畏怖していた。
なぜ、そんなふうに思うようになったかはわからない。だが、そう思うようになった時期は夕麻ちゃんの存在が消えた日からだ。
そのとき、彼女の視線が動く。透き通るような碧眼が、俺を捉えていた。
っ。