天元突破エヴァンゲリオン 作:らぢおえば
更新遅れてすいません。
ちょっと前話とは毛色が違うかも。
本当に必要ないなというところは端折っています。
また、出来るだけ簡潔にわかりやすくを心掛けて何度も推敲はしておりますが何分作者の妄想なのでたまに意図しない箇所で言葉っ足らずになるかもしれません。
長々ごめんなさい。
「良いわね? シンジ君」
「..使徒、の真ん前?」
「あっ」
シンジにとってはとっとと叩きのめす為にもこの位置は都合が良かったが、
新兵をいきなり敵の真正面に置くとは中々NERVも度胸のある組織だ、等とシンジは考えていた。
一方NERVの司令室ではシンジの言葉によって氷点下ではないかと思わせるほどの冷たい空気が通っていた。
いきなり実戦に、それも敵の真正面に子供を放り込んだとなれば一般程度の倫理観を持った大人なら焦るはずである。
シンジの啖呵につい気分が高揚しミス、などと言う言い訳は通じない。
尤も本人はこれでいいと思っているので咎める人間もいない。
「..操作方法は?」
「か、考えた動きがそのまま反映されるわ」
あぁ、ミスだったのか。
司令室の様子からそう判断したシンジは追求することなく操作方法を聞き出した。
大グレン団でのシンジは前に出る戦闘員でありながら頭脳としての役割も果たしていた。
モニターの中の初号機はビルに身を隠す。
「動いた!」
「..よし、これなら」
シンジは初号機を再び使徒の前に動かすとバックステップで距離を取る。
「....ん、コードがジャマだな。でもこれが電源か....ん?」
シンジはある事に気付く。
「ミサトさんッ!」
「何? シンジ君。何かわからない事でも」
「人が倒れてます、女の子ですッ」
シンジから見て遥か下、道路の脇に倒れている少女を発見したのだ。
エヴァの視力がなせる業であった。
「シェルターに逃げ損ねたのね!確認したわ、IDは....鈴原ナツミね。ここの職員の娘か。
シンジ君!使徒に動きがあっては巻き込んでしまう恐れがあるの。そのまま待機しといて!」
「..了解ッ」
使徒が攻撃を仕掛けてくる様子はない。
睨み合いが続く。
シンジが回収を待っているとまた、ある事に気付いた。
「....顔が2つだなんて、生意気だな。なんてね」
小さい声ではあったが発令所には聞こえていた。
勿論彼らには何のことだかわからないだろう。
彼にとって大事な大事な、一緒にいた期間が短いとはいえ人生で唯一の兄の言葉である。
「シンジ君、要救助者は確保したわ!命に別状は無いわ。付近に別の要救助者が居ないかカメラで確認したけど市内はもぬけの殻ね。貴方のお陰よ、ありがとう」
「....いえ、礼なら後で今は」
「そうね..奴さん、待っててくれたのかしら?
ずいぶんと紳士的ね」
使徒は動きを見せなかった。
エヴァがビルに隠れていたからだろうか。
理由は定かではないが、時間を稼げたためNERVの保安部が少女を救出は完了した。
「..よし、出ます!」
少女の救出を確認したシンジはもう一度ビルの陰から身を乗り出し、ここでもNERVの予想を裏切る行為に出る。
「僕は大グレン団のシンジ!
理解できるかはわからないけどお前を倒すものだ!覚えておけ!」
そう、名乗りだ。腕を組みそれはもう立派な仁王立ちで(コクピットの中でシンジも同じように腕を組んで背筋を伸ばしている)名乗りを上げた。
馬鹿らしい、全く以て馬鹿らしい行為だ。
人間の言語などまず間違いなく理解できるはずもない、そんな相手に名乗りを上げるなど。
ゲンドウを始めとした一部のスタッフは今日だけで3回も聞いているその名乗りは、しかし誰も咎める事は無かった。
今どき特撮ヒーローの番組などでしかない、それも大グレン団という知らない組織である事の名乗りなど、取るに足らないことであった。
それでも、誰も目を離し、馬鹿にすることは出来なかった。
ワイシャツにスラックス、変な形のサングラスという出で立ちであってもだ。
「碇、随分と倅はユイ君の血を引いているようだな?」
「....」
シンジの母もまた変わった人物である事をゲンドウとコウゾウは思い出していた。
「、シンジ君!今はそのグレンダン? というのは置いておくとして、やれるのね?」
ミサトの問いにもちろんシンジは目を釣り上げて応えた。
「何度も言わせるな!僕を誰だと思っているッ!!」
攻撃を仕掛ける、蹴りだ。
だがただの蹴りではない、助走をつけての飛び蹴りだ。
「..とりあえずイナズマキィーーック!!」
ただの蹴りではあったが気合を入れる為に叫ぶ。
しかし、その蹴りは壁に阻まれた。
「A.Tフィールド!クソっやっぱり持ってたかって、シンジくんッ!大丈夫!?
様子が....」
「どうしたのかしら、彼。まさか今の蹴りが防がれたことにショックを?」
ミサトが心配し、リツコは適当な予想を立てる。
驚いているのは事実であった。
しかし、シンジを驚愕させた理由はそこには無かった。
壁!? この感じはそうか。リリンと僕以外でもあの壁を使えるんだな....。
待てよ、でもあの使徒ってやつが壁を使えるんだとしたら奴にも心がある?
それに槍もなしで、
なら、姿が変わっているとはいえリリンっぽいこの初号機も....
シンジは壁、A.Tフィールドの存在を知っていたから驚いていたのだ。
何故ならかつてリリンと呼んだ初号機に良く似たガンメンと自分が使っていたからである。
シンジが盾のシンジと呼ばれる由縁でもあったのだ。
尤もシンジが武器としていた槍、というものとセットであると思っていたのだが。
しかし、シンジの思考は身体を揺らす衝撃に中断を余儀なくされる。
「..ぐぅっ、いつの間に近くに!?
しっかりしないと....」
少しの間呆けている間に使徒が近寄って初号機の頭を片腕で掴んでいた。
衝撃、シンジの目に三度伝わる。
「..がぁぁ、痛いじゃないか」
「シンジ君、しっかり!
それは貴方が直接負っている痛みでは無いわ!」
使徒は初号機の頭を掴んだ腕でパイルバンカーのように初号機の目に攻撃を加えた。
いや、痛いもんは痛いよ。
そう言う余裕は無く、使徒は攻撃を加え続けると一際大きい衝撃で初号機を遠くのビルに吹き飛ばしてしまう。
クソッ、大グレン団として名乗りを上げたのにみっともないッ!
シモンやヴィラル、皆にブッ叩かれちゃうよ。
そうだ、槍がここに無い? それがどうした!
武器なんて無くったって、僕には大グレンの魂があるッ
数年間でやっぱり、腑抜けたのか。でもそんな事後でで良い。
今名乗りを上げたんだ、こいつをブッ倒さなきゃ。
でもどうやって....そうだ!奴が槍無しに壁を使ったんだ!確かA.Tフィールドって名前か。
壁と壁どうしをぶつけるなんて、前は僕しか使うヤツが居なかったからどうなるかわからないけど....リーロンがよく気にしていたな。
もし、どうにもならなくても気合でなんとかしてみせるッ!
無理を通して道理を蹴っ飛ばすッ!そうだろ、兄さん!
シンジがそう思考している間にもNERV司令室では慌ただしく動いていた。
少し遡る。
「EVAの防御システムは?」
「シグナル、作動しません」
「フィールド、無展開!」
「駄目かっ!」
「左腕損傷」
「回路断線!」
「頭蓋前部に、亀裂発生!」
「装甲が、もう、持たない」
「頭部破損、損害不明!」
「制御神経が、次々と断線していきます!」
「パイロット、反応ありません!」
「シンジ君!」
シンジが攻撃を食わられてる間、オペレーターの間で慌ただしくやり取りがなされていた。
瞬間、沈黙を破るようにエヴァが吠える。
まるでパイロットのように、パイロットに同調するように。
「........10倍返しだッッッ!この野郎ッッ!」
ガバリ、とシンジは起き上がり、目の前の白い壁を見つめる。
「....知らない壁だ」
「やっぱりクーラーは人類の至宝、まさに科学の勝利ね」
「シンジ君が気付いたそうよ」
「で、容体はどうなの?」
「外傷は無いわね。少し記憶に混乱が見えるそうだけど」
「にしても、あの大グレン団って何なのかしらね〜。報告によるとシンジ君は基本一人ぼっちだったみたいだし」
「わからないわね。シンジ君が自衛の為に心の中で作り上げた妄想、と言うにしてもあの目を見ながら言えないもの。
それに特定の友人を作ることは無かったみたいだけど、ある時を境にシンジ君はたまにあのような姿を見せるようになったそうよ。
それまでは大人しい引っ込み思案な子だったと言うけどあの姿を見たらね。
それで、男の子には遠巻きながら憧れの対象、
女の子にはモテたみたい。
勿論特定の相手を作るみたいな事は無かったらしいけど。
確かにグレン団というものは気になるわね」
「じゃあ聞いてみる?」
「あら、そういう事を根掘り葉掘り聞き出すのは貴女の趣味じゃなくて?」
「バカ言わないでよ。確かに答えてはくれそうだけど、あの目で真っ直ぐ見られたらアタシもちょっち悪いことしてる気分になるわよ」
「まぁわかるわ。それにしても気になるわ」
ミサトとリツコの会話であった。
何かしらの作業中の横、休憩所のような所で二人は話していた。
作業員の声が聞こえる。
「....シンジ君とエヴァならいけるかもしれない」
「あら、ずいぶんと楽観的ね。と、言いたいところだけど確かにね」
「珍しいわね。あんたにしては」
「希望的観測、楽観主義が貴女から移ったワケじゃないわ。
ただ、あんな戦い見せられればね」
「....そうね」
シンジは起き上がると、備え付けられていたスリッパを履いて病室から出た。
「....病院、かな。
....ん?」
ストレッチャーがシンジの側を通る。
ストレッチャーに横たわる少女、レイとシンジの視線が交差した。
うーん、見た目はやっぱりそうでもないけど雰囲気が初めて会った頃のニアに似ているよね。
シンジは一人で頷いていた。
シンジの側を過ぎたストレッチャーが止まった。
ゲンドウが現れ、レイに何か話しかけた。
謝ったのかな。そうだと良いけど。
ゲンドウは視線を一瞬、サングラス越しにシンジの方へと向けるが、すぐに背けてどこかへと去っていった。
「一人でですか?」
「そうだ。彼の住居はファーストチルドレン、綾波レイの部屋の向かい側だ」
「レイと同じ場所かぁ。行ったことないけど、シンジ君は一人で良いの?」
「..はい、大丈夫です。綾波レイ、というのはあの時....」
シンジはあの後検診を受けると着替えて(サングラスも一緒に返された)開放された。
そこへミサトがやって来て、程なくして保安部の職員がシンジのこれからの住居の説明をし出した。
当然シンジはそんな事聞かされて居なかったが、使徒とこれからも戦う為だろうと特に反応することも無かった。
それに家財道具は少ないながらも持ってきてあったからだ。
「そうね、ブリッジにいたあのコよ。可愛いでしょう?」
ミサトは敢えてシンジがゲンドウに対して啖呵を切った一連の流れに言及せず明るく努めてそう言った。
「....そうですね。怪我はしていましたけど髪の毛も珍しい色で綺麗ですし、肌も白くて、きっと笑えば素敵だと思います」
....あら?
シンジの反応にミサトと、ついでに居合わせたレイを知っている保安部の職員は驚いた。
もしかして、脈アリなの?
シンジが返答に窮するかと思いきや堂々と顔色を変える事も無く一息にレイの容姿を褒める言葉を言い切ったからである。
可愛いでしょ、とは言ったものの、ミサトも保安部の職員も、レイの容姿よりも物静かな近寄りがたい雰囲気に意識が行ってしまう。
だが、確かに思い返してみれば顔も整っているし、美少女と言って差し支えない(笑顔は無いが)。
そういえばリツコのヤツ、シンジ君はモテたみたいな事を言っていたわね。
一瞬しか見てないのにこれだけレイのこと偏見抜きに褒めるなんて、化けるわね。シンジ君。
まぁ実際にはさっきもすれ違っていたのだが。
シンジは二人の様子に首を傾げると声を掛ける。
「....それで、場所は何処なんですか?」
「....住めば都かな」
リツコからの電話に何やら慌てたミサトは何処かへ行ってしまい、その後シンジはこれからの居住地となる団地へ来ていた。
その団地はお世辞にも綺麗と言えるような場所ではなく、閑散としていた。
護衛に向いている場所、ではあるかな。
ここに向かう際に車を出してくれた保安部の職員も言っていたことだ。
とりあえずシンジはあてがわれた部屋、402号室へと向かった。
「....お邪魔します..じゃないや、ただいま。で良いのかな」
....よし、掃除開始だ。
独りシンジは呟いた。
403号室の隣人は、まだ居ない。
「え、そんな!シンクログラフ反転、パルスが逆流しています!」
オペレーターの伊吹マヤが叫ぶ。
「回路遮断、塞き止めて」
「駄目です、信号拒絶、受信しませんっ!」
「っ!?
モニターの映像が荒れてる!プラグ内の様子がわからないわ!」
「シンジ君の意識はハッキリしていた筈よ」
「チッ、理由はどうでもいいわ!シンジ君は!?」
「モニター、依然反応無し!」
眼鏡のオペレーター、日向マコトが応えた。
そっか、やっぱりそこに居たんだ。久しぶり、リリン。
そうだ、お前は僕の魂だ。
これだけやられたんだ、思う存分やってやろう。
....ん? この感じ、誰か他に居るの
何だか暖かい....。何だろう、この感じ。
でも今なら、この状態なら壁を使える!槍がなくても!
さぁ、行くよ!反撃開始だッ!
「待たせたな、二枚目ヤロウ!
僕と初号機、一つ一つは小さな火だが、二つ合わされば炎となる。炎となった僕達は無敵だ!」
シンジと初号機はまた、腕を組み相手を睨みつける。
「強力なA.Tフィールドの発生を確認!
発生源は、初号機です!....すごい、一瞬で使徒のフィールドを中和しています」
マヤは目を見開いて驚く、それにリツコが応える。
「いえ、これは侵食ね。すごいわ、あっという間に使徒のフィールドを破るどころかエヴァが一方的にフィールドを展開している。これなら状況は先程とは逆転ね」
「....いける!シンジ君!
使徒を攻撃して!」
「言われなくてもッ、行きます!!!
うおおおおおおおおおお!!」
モニターの映像は途切れていたが音声通信は復活していた。
シンジは雄叫びを上げながら走り、飛ぶ。
「僕を誰だと思ってやがるキック!」
そう叫ぶと両脚を使った強烈なキックが使徒の顔面のようところにある仮面に突き刺ささった。
エヴァのあまりの速さと勢いに使徒は身動きも出来ず吹き飛んだ。
が、シンジの叫んだ技名に司令室に微妙な雰囲気が漂う。
吹き飛ばされた使徒に初号機が近寄る、そこへ使徒が倒れたまま腕を向けパイルバンカーのようなものを打ち込む。
「....遅いッ!こんなもの」
シンジは初号機の腕にA.Tフィールドを纏わせるとパイルバンカーの先端を下から殴りつけるように、要はアッパーで弾き返す手で手刀を叩き込んだ。
「凄いわっ、シンジ君!A.Tフィールドをあんな風に使うなんて」
「そんな、エヴァに乗るのは初めての事なのに」
発令所はシンジの圧倒的な姿にどよめいていた。
「碇、これもシナリオの内か?」
「....」
最上段の二人も、シンジの戦いに魅入っていた。
「....これで決めるッ」
戦いも佳境に入っていた。
シンジは一方的に攻撃を続けると反撃も無く、弱った使徒を掴んで上に投げた。
初号機は投げた使徒に向かって奔り、翔ぶ。
「受けてみろ、使徒!スーパーイナズマキィーーーーック!!!」
初号機の蹴りが使徒の中心部にある赤い珠、コアを貫く。その瞬間シンジ脳内にあるイメージがよぎった。
これは、君の名前はサキエルというのか。
やっぱり心があったんだね。
大丈夫、僕は倒した敵は忘れない。
倒しておいて、なんだけど君の姿は僕の心に生き続ける。
安心して、逝ってね。
それは使徒の心であった。
使徒の心は、魂はとある存在へと回帰する事を願った。
しかし、そこへシンジという存在が現れたのだ。
斃される故に原始の使徒へ還る事は出来ない。
だが、使徒は意思疎通をしてきたシンジの想いに触れ、叫び声を上げることなく霧散するように消えていった。
シンジの心が受け止めたのだ。
気合が成せる、そういうものであった。
一方シンジの戦いを見せつけられた発令所では職員の胸には、皆一様に熱いものが灯っていた。
それは奇しくも、いや。必然であった。
かつてシンジが兄と慕い、変わるきかっけを作ったグレン団のリーダーが幼い彼にその背中を見せつけた時と同じように、皆が感じ入っていた。
「....碇、どうやら計画の修正は免れないな」
「....あぁ」
それに、例外は無かった。
「....うぅん」
掃除終わって、ちょっと寝入っちゃったか。
シンジは荒れた部屋の掃除をし終えると、ベッドで寝て、使徒との戦いを思い出していた。
そっか、そこにいるんだね。サキエル。
心の中に確かに存在するサキエルをシンジは今確認した。
リリンとの繋がりも感じる、ラガンみたいに来てくれたらいいけど。
ちょっと大きすぎるかな。
姿を変えた相棒との繋がりも、確かにそこにあった。
シンジは横になりながら姿勢を変えて呟く。
「....また、知らない壁だな」
うーん、結構暇な間ずっと長いこと推敲してますが中々納得のいく文章にならないですね。
難しい。
まぁグレンラガンですし、気合で何とかしてみせます。
ところで皆さん、無口で純粋な彼女が、シンジに影響されて普段物静かなのに、いきなり天才美少女魔道士と言わんばかりに啖呵切るシーン、読みたくないですか?
俺は読みてぇ。