エヴァだけ強くてニューゲーム 限定版アフター   作:拙作製造機

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大学生となるシンジ達ですが、残念ながら大学生編はありません。申し訳ありませんがご了承ください。


自立と自律

 とある場所にある1LDKの賃貸物件。そこがシンジ達三人が住む事にした場所である。家賃は予定よりも少々高くなってしまったが、以前アスカが指摘した通り、トウジ達を呼んで過ごす事を考えるとこういう造りの方が都合が良かったためだ。

 

 実は、ここへ決めるにあたり一つだけ問題が発生した。家賃が想定を超える事をレイが嫌がったのだ。そこには、リツコの事がある。仕送りをしてもらう事はないが、エヴァパイロット時代の貯えが大きく目減りする事を出来るだけ避けたいとレイは考えた。何故なら、それを知ればリツコがどうするかは考えるまでもなかったためだ。

 

―――当初の予算で探し直しましょう。ここはちょっと高過ぎるわ。

―――気持ちは分かるけどレイ、ここがいいとあたしは思うの。今決めないと他の奴に取られちゃうのよ。

 

 二人の話し合いは平行線となりそうだったので、判断をシンジが下す事にした。結果はアスカの希望を受け入れるとなった。ただし、ここでシンジは父やリョウジから学んだ交渉術を披露する事になる。

 

―――僕ら三人で三つ借りたいって思っているんです。でも、ちょっと家賃が予算超えてるんですよ。なので、少し家賃を考えてもらえませんか? このままだと一つ借りて三人暮らしする事になるんです。

 

 借りずに他の所へ行くと言わない辺りが重要である。つまり、少しだけ家賃を下げれば、一軒分ではなく三軒分の収入になるぞと言っているのだ。そこで若干考え始めた相手を見て、シンジは少し出方を待った。やがてやはり厳しいと返した相手へ、シンジはならばとこう付け加えたのだ。

 

―――なら、正規の家賃で借り手が見つかったら素早く僕らは一つの部屋に合流します。それならどうでしょう?

 

 こう来られては相手としても腕を組むしかない。つまり、空き部屋で何の利益も産まないより多少安くても利益が出る方がいいだろうとシンジは提案していたのだ。しかも、正規の収入が見込めるとなればちゃんと明け渡すとも。こうして本来よりも一万円安い値段でシンジ達は部屋を借りる事が出来るようになった。当初の予定と違い、有事の際は三人での同居となるが、それならそれで言い訳も出来るとアスカは乗り気であったのも大きい。

 

 さて、こうして念願であった一人暮らしを始める事になったシンジ達であるが、見事なまでに三者三様の部屋作りとなっていた。

 

「よし、こんなもんかな?」

 

 シンジは機能性を優先し、出来るだけ無駄なスペースは作らないように物を配置。更にアスカやレイがよく訪れると想定し、二人用にクッションなども用意する周到さ。一人暮らしとはいえ、どこか彼女との同棲を意識した雰囲気になっているのは仕方ないと言えた。

 

「アスカや綾波はどうしたんだろう……?」

 

 気にはなるが、今はとりあえず付近の散策を兼ねた買い出しに行こうと決め、シンジは一人外出の準備を始めた。

 

 一方、アスカはシンジとは違い完全に自分の趣味全開での部屋作りである。機能性や効率は二の次で、ただただ自分の納得いく配置などにこだわった。その結果は独創的で彼女らしい部屋となったものの、そこには大勢の来客を迎える事は考慮されていない。だが、それも無理はないのだ。何せ、彼女が部屋へ入れるのは基本同性のみであり、異性はシンジぐらいしか許可するつもりがなかったためだ。

 

「うん、いいじゃない。遂にあたしだけの部屋となったわ」

 

 特別一人になりたかった訳ではないが、一人暮らしという響きにどこか大人な印象が強いからだろう。アスカは心から嬉しそうに笑みを浮かべるや、リビングへ移動し三人掛けのソファへやや乱暴に座る。

 

「あー、これからどうしよっかな?」

 

 この大学生活は、出来るだけ三人での行動は避けようと彼女は提案していた。それではこれまでと同じだからだ。たった四年、されど四年。その期間だけは、シンジと二人きりの時間を多めに過ごしたい。そうアスカとレイは決めたのだから。

 

「……何か、やっぱり少しだけ寂しくなるもんね」

 

 ドイツから来日して以来、常に誰かと共にいた。それがまた一人になる。嫌ではないし両隣にシンジとレイが暮らすが、それでも微かな寂寥感がある。その感覚を僅かに感じながら、アスカはしばらく宙を見上げるのだった。

 

 残る一人であるレイは、かつての一人暮らしの経験があるため、余計今回の暮らしで実感する事があった。それは……

 

「物が……増えたわね」

 

 あの頃は殺風景だった部屋が、今は様々な物で埋まっていた。まず家具があるのだ。そこには、あの日々でアスカやヒカリ達と共に買ってきた服の数々を収めるクローゼットもあった。もうサイズが変わって着れなくなったものも、レイは思い出として保管しているため、クローゼットは少々大き目になっている。特に、あの初めて買ったワンピースと、あのカクテルドレスは厳重に保管していた。

 

「……花でも育ててみてもいいかもしれない。きっと、華やかになるわ」

 

 何も置かれていないテーブルを眺め、レイは小さく頷いて出かける準備を始めた。とはいえ、財布を持って買い物袋を用意する程度だが。

 そうして彼女が部屋を出ると、丁度シンジがエレベーターへ乗るところだった。彼はレイに気付き、開閉ボタンへ目をやり、開放ボタンを押した。それに気付いてレイがやや小走りにエレベーターまで駆け寄り、中へと入る。

 

「ありがとう、碇君」

「どういたしまして」

 

 ドアが閉まると同時にレイが少しだけ弾んだ息のまま礼を述べる。シンジはそんなレイの姿に小さく笑い、ふとある事に気付いて慌てて顔を逸らす。彼女の格好は淡いブルーのワンピースだった。その胸元が一瞬ではあるがシンジには見えたのである

 

「どうしたの?」

「あ、綾波……それって外出着?」

「ええ。どこか変?」

「えっと……服装は問題ないと思うよ。ただ……」

「ただ?」

「……下着は?」

「……? ……っ!?」

 

 シンジの問いかけの意味が分からないでも、レイは一度自分の胸元を見た。そして彼女も気付いた。部屋では楽だからとレイは下着をつけていなかった。そのまま外出着へと着替えてしまい、今のレイはノーブラ状態だったのだ。

 

「……ごめんなさい。私、一旦部屋に戻るわ」

「う、うん。そうした方がいいよ」

 

 互いに赤面しての会話は、エレベーターの目的階への到着音で終わりを迎える。これがシンジとレイの一人暮らしでの初めての出来事。そして、シンジは内心でガッツポーズをした事を追記しておく。ちなみにアスカはボ~っとしていたらいつの間にか眠ってしまい、目覚めた時にはもう日が暮れていたのだった。

 

 

 

 シンジ達の一人暮らしの裏で、ゲンドウは一つの転換期を迎えていた。

 

「……本当にいいのですか?」

「構わない。使ってもらえる方が部屋も傷まずに済む」

「ええ。シンジもリツコさんならと言っていましたし」

 

 ゲンドウとユイが見つめる中、かつてシンジの部屋だった場所をリツコが感慨深そうに見回していた。まだ同居開始とはならないが、リツコの祖母が亡くなった後は本格的にそうなる事となる。

 レイも一人暮らしを始めた事もあり、リツコは仕事を出来る限り祖母の家でこなし、どうしても立ち会わなければならない時だけ第3新東京市へ来る事にしたのだ。

 

「早いものですわ。ここへシンジ君が引っ越したのが、まるで昨日のよう」

「……そうだな。もうあれから五年近く経った」

「ええ、ゲンドウさんが彼の父親になってからもそれだけという事です」

「そうなの? 意外と長いと言ってあげるべき? それとも短いと言ってあげるべき?」

「短いで構わんさ。あの時のシンジは十四だ。その半分さえも満たない父親歴だ。だからこそ、死ぬまで父らしくありたいと思っている」

 

 噛み締めるようなその声に、ユイだけでなくリツコもゲンドウを見つめた。彼は視線をシンジの部屋へ向けていたのだ。

 男二人の不器用な暮らしは、そこへ顔を出す多くの者達のおかげもあり、最悪の状況だけは回避出来ていた。ゲンドウもシンジの友人達と時折触れ合う事があり、人付き合いが下手な彼なりに息子の同年代と頑張って会話を試みたりもしたのだ。まぁ、結果は上出来とはお世辞にも言えなかったが。

 

 だけど、そんな姿を誰よりも一番喜んでいたのは他ならぬシンジだった。加持から聞いたゲンドウの処世術。それを捨てて、新しい生き方を模索するようなゲンドウの姿を、息子は内心で感激して見つめていたのだ。しかも、もう一つ彼を喜ばせたものがある。

 

―――シンジ、今度休み、予定はあるか?

―――特にないけど……?

―――……釣りに、でも……行くか?

 

 親子二人の海釣り。何するでもなく、竿を垂れて会話するだけの時もあり、それもシンジとしては幸せな時間であった。勿論ゲンドウにとっても。ユイが戻ってきてからは、家族三人で行く事もあり、遅まきながらシンジに家族の思い出を作ってやる事にもなっていたのだった。

 

「いつか、あいつが結婚し、親になった時、私の事は良くも悪くも役立つ教材だろう。そして、その時に孫を抱いてやれるよう、私はあいつの父でありたい。逃げるなと、あの頃のあいつは私へ言ってくれた。だが、きっと本当はそうじゃない意味合いだったと思う。逃げないで。こう、あいつは言いたかったのだろうと」

 

 ゲンドウの脳裏には、幼い頃のシンジが浮かんでいた。無邪気に笑い、手を伸ばすシンジを想像して、ゲンドウは一度だけ目を閉じる。

 

「……本当は、こちらが手を差し伸ばす側だった。それを、私が情けないせいであいつにしてもらった。なら、これからは何があろうと私が、私達があいつへ手を差し伸ばす番だ」

「そう、ね。いくつになっても親にとって子供は子供だもの。面倒を見てもらうかもしれないけど、それでも出来る限りあの子の支えになってあげたいわ」

「出来ると思いますわ。お二人なら、いえ、シンジ君にとってはもう既にそうなっているはずです」

「……だといいのだがな」

 

 かつて過去を見つめていた男は、今や未来を見据えるようになっていた。それを可能にしたのは、一人の少年の無垢なる想いと言葉の熱さ。現在を見つめさせ、未来へ目を向けさせたシンジの力である。そして、それで変わったからこそ、妻もかつての愛人もゲンドウの事を許せたのだ。

 

 この日の夜、ゲンドウはユイから一緒に寝たいと言われ驚く事となる。それは、いわばユイから示された過去の過ちへの許しであった。久しぶりの夫婦の心からの求め合いは深く優しく行われ、その結果なのか知らないが、ユイは見事に第二子を身籠る事となり、シンジ達を複雑な気持ちへ誘う事となるのだった……。

 

 

 

「……終わったね」

「ええ、終わったわ」

「そ、そうね。終わったわね」

 

 場所はシンジの部屋のリビング。そこで彼らは揃ってある映画を見ていた。それはアスカが借りてきた和製ホラーの傑作。時期は夏ともあり、毎年恒例のそういう物を集めた特集コーナーで見つけた物だった。それを一人で見ないでシンジとレイを巻き込む辺り、アスカの本音が透けて見える。

 

 エンドロールが流れる中、シンジは両側にくっついている愛しい彼女二人をどうしようかと思案した。

 

(これ、アスカも綾波も泊まっていく流れだろうなぁ)

 

 表向きはそう言わないだろうアスカに、聞けば素直に肯定するだろうレイ。かつてであれば不可能だった事も、今の彼らは可能になってしまっている。しかも、既にその関係性はかつてのような可愛らしい部分だけではないため、より一層だ。

 

「……二人共、部屋まで送ろうか? 時間も遅いから念のためにだけど」

 

 探りを兼ねた提案にアスカとレイは互いへ視線を送り合い、少しの間を開けた後頷き合った。それだけでシンジにはこの後の展開が想像出来たのだろう。どこか困ったようで嬉しそうな複雑な表情をしていた。

 

「「泊まってもいい?」」

「いいけど、着替えとかは?」

「「シャツを貸してくれたらそれでいい」」

「……はいはい」

 

 話は決まったとばかりに立ち上がるシンジ。それに応じてアスカとレイも動き出した。女性二人はシャワーの順番を話し合い、男は一人着替え用のシャツを取りに行く。やがて先にレイがシャワーを浴びる事になったらしく、アスカだけがソファに座っていた。

 

「綾波の着替え、持って行ってもらえる?」

「ん」

 

 シャツを一枚手渡すとアスカは即座に立ち上がり脱衣所の方へ向かった。その動きの迅速さにシンジは苦笑する。分かったのだ。どうしてアスカがそんなに素早く動いたのか。

 

(綾波がいない間に何かするつもりだ……)

 

 考えられるのは抱き合っていちゃつくぐらいだが、それでも以前であれば抜け駆けのような事はしなかった。今はレイもアスカも互いにシンジを取り合うような行動をするので、彼の方も嬉しいような困るようなとなっている。

 

「置いてきた」

「ありがとう」

 

 ソファに座って待っていると、アスカが足早に戻ってくるなり報告と同時にシンジの膝へ座る。

 

「アスカ?」

「ね、いいでしょ? その……怖かったのよ」

「……あまり綾波を刺激し過ぎないでね?」

「ええ」

 

 重ね合う唇と唇。アスカの体温を感じながらシンジは彼女と触れ合った。キスしたり、ハグしたり、様々な方法で互いに触れ合って。その様は、もう子供ではないと告げているようだった。アスカもシンジの行動に喜んだり、驚いたり、悶えたりと反応を返す。

 

「……シンジ」

「アスカ……」

 

 潤んだ瞳でシンジを見つめるアスカ。それに負けじと真剣な眼差しを返すシンジ。が、突然彼はアスカの服装を直し始め、何事もなかったかのようにして膝から下ろす。すると、髪をバスタオルで拭きながらTシャツ姿のレイが現れたのだ。

 

「お先に」

「ええ。じゃ、あたしも入ってこよ~っと」

 

 自然なやり取りを交わし、アスカが今度はシャワーへと向かう。レイはそれを見届けるや、アスカのようにシンジの膝にこそ座らなかったが、密着するぐらいの近くへ腰かけると彼の胸へと顔を近付ける。

 

「あ、綾波……?」

「……アスカの匂いがする」

 

 その呟きと共にシンジへ向けられる拗ねたようなレイの眼差し。それを彼が可愛いと思ったのも束の間、そのままその体は押し倒される。

 

「綾波?!」

「黙って。アスカと同じ事をするだけ」

 

 それを最後にレイは意味ある言葉を発さなくなった。ただ、シンジの名を呼ぶか息を漏らすだけ。理由は語るまでもない。そんな事をしていればどうなるかは最早言うまでもなかった。レイのようにシャワーから出てきたアスカが二人を見て、自分もとばかりに乱入したのである。

 

 アスカとレイの二人を相手取り、辛くも勝利を収めたシンジであったが、その疲れを汗と共に流していたところへ再度の襲撃を受けてしまう。艶やかな声響く浴室内で満足そうに寄り添う二人の美女を見つめてシンジが一人呟く。

 

―――体、持つかな……。

 

 だが、その疲れ果てた声とは裏腹に、その表情はとてもだらしなく緩んでいるのであった。碇シンジ、十八歳。その体力はあの頃とは比較にならない程増していた。その裏には、高校へ上がると同時に定期的に設けられた人には言えない体力作りが大きく関係している。

 

 汗や何やで汚れてしまった二人の彼女を優しくシャワーで洗い流し、シンジは順番にベッドへと運ぶ。アスカやレイの部屋のベッドとは違い、彼のベッドはダブルベッドであった。それがどうしてかは敢えて書かない。

 

「アスカ、綾波、おやすみ」

「おやすみ、シンジ」

「おやすみ、碇君」

 

 二人の体を優しく抱き寄せ、シンジは目を閉じる。あの共同生活最後の夜には考えもしなかった光景がそこにはあった。一糸まとわぬ姿となって眠る彼ら三人など、誰が予想出来ただろう。生まれたままの姿で寄り添って眠る三人。

 

 翌朝、シンジはとんでもない目覚ましで起きる事になるのだが、それはまた別の話……。




これ、大丈夫ですかね? 少しエロを入れてしまいましたが、R-18まではいってないと思いますが……どうなんでしょう? 一応保険としてR-15辺りを付けておきますが、もしそれでも甘いと方いましたら教えてくださると幸いです。
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