元あった話から変更している点が多々ありますが、ご了承ください。
では、お楽しみください。
その後私はにとりと共に、地下街に来ていた。いや、戻ってきたという方が正しいだろう。街の奥へ進むと、徐々にその屋敷は姿を現す。
誰が通ることを想定して作ったか分からない巨大な門の前に立つと、にとりが門を開け、そこには1人の鬼が立っていた。
長身で筋肉質な女の鬼は、私を見ると笑みを浮かべ、口を開く。
「やぁ正邪、ようこそ星熊組へ」
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「しかしまぁ、にとりから連絡を受けた時には正直驚いたよ。まさか本当に脱獄しちまうなんてねぇ」
星熊勇儀《ほしぐまゆうぎ》という鬼はそういうと、巨大な盃に溢れんばかりの酒を注ぎ、豪快に笑い飛ばす。ここ、星熊組(要するにヤクザみたいなものなのだが)では、私を歓迎する宴会が開かれていた。
「まあね、四季映姫んとこの牢獄はちと私には狭すぎたみたいだ」
すると、横から自慢げににとりが顔を出す。
「ま、正邪の脱獄には私も一枚噛んでるんでね」
勇儀は愉快そうににとりに笑顔を向ける。それを横目に、私は昔の彼女の姿を重ね、あることを思い出す。
「それにしてもあんた、確か体が悪いんじゃなかったか?そんな酒飲んで大丈夫なのかよ」
私が監獄に入れられる前、彼女の体はすでに長年の戦闘の傷や、生活の乱れなどによってボロボロだった。本当なら、こんなに馬鹿騒ぎしていい体ではないはずなのだ。
すると、勇儀は少し考えるような素振りをすると、優しい、子供のような笑顔を浮かべる。
「私にとっちゃ体なんざより、こうして昔の仲間が帰ってきてくれたことの方が大事なのさ」
「……そうか」
敵わないな、この人のこういうところには。私が気を許せる数少ない友人の中でも、彼女の心の広さは私の大きな支えとなってくれていたと思う。だからこそ、脱獄後もこうやってここに戻ってきてしまったのだ。
私には、この場所が大切なんだと思う。
少し照れくさそうな表情の勇儀は、盃を持って立ち上がると、手を上に突き上げ、口を開く。
「それじゃ改めまして、鬼人正邪の復活を祝いまして、乾杯! 」
他の組員たちも勇儀の掛け声に合わせ、盃を交わす。
その後も皆眠りこけるまだ騒ぎ続け、ついにはにとりと勇儀、そして私の三人だけが残った。星熊組創設当時のメンバーの生き残り三人である。数多くの仲間を失って、生き残ったのはたった三人。
ふと勇儀を見ると、少し悲しそうな顔をしていた。
思い返せば、あの時から勇儀の胸には一つの大きな穴が空いたままなのかもしれない。
同時刻。門の前には二刀を腰に携えた白髪の剣士が一人。
そのことに気づいたものは、誰一人いなかった。
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