想像を文章にしたら、こうなった   作:ケーラッド

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 前書きって、何を書けば良いのでしょう?
 そもそも作品投稿自体が初めてなので、いざ投稿となると分からない事だらけですね。
 取り敢えず今回の作品は、4000文字を目標にして書きました。
 話の無い様に矛盾が無い事を念頭に置いてますが、プロット等は全く作ってないので読み切り作品の感覚で読んでください。

 それでは、物語を始めましょう。


一次創作だと、筆者は思っている作品群
ABCD どう行こう?:ABCD同意向


暗黒騎士(ダークナイト)に、僕はなる!」

 

 板金鎧を着込んだ若者は唐突に歩みを止めた瞬間、拳を掲げ大声で叫び……その直後に吹っ飛んでいた。

 若者の隣に居た人物が、鉄兜を被った彼の頭を思いっ切りブン殴った為である。

 

「殴ったね? よく父上にも叩かれるのですが、不意打ちとは卑怯ですよ!?」

「喧しい! いきなり街道で何を叫んでる!? つーかオマエの父ちゃんに同情するわ!!」

 

 吹っ飛ばされた若者は即座に起き上がり、自らを殴った人物に詰め寄って行く。

 殴った方も痛かった様子で、手を擦りながら呆れていた。 

 

「まーいわゆる僕の決意表明とゆーヤツですよ♪」

「それを今する理由が、俺にはサッパリ分からんのだが?」

「何処かで誰かが、きっと見ている的なイメージで?」

「そんなイメージ俺の知ったことかぁ!」

 

 二人の後ろには黒い馬の手綱を引いた少女が付いて来ているのだが、関わりたくないのか他人のフリをしている。

 まぁ旅の最中に街道で怒鳴り合うような人の関係者だと思われたくないのだろう、二人に悪いとは思いながらも(主に恥ずかしさから)

 幸いにして人の姿は無く彼等の遣り取りを見ている者も居ないのだが、それとこれとは話が別という事かもしれない。

 では彼女の懸念が現実化する前に、彼等の素性を紹介しておこう。

 この三人(と一頭)、いわゆる冒険者と呼ばれる存在である。

 

 板金鎧を着込んだ若者は、名をエイクと言う。

 彼は貴族の生まれだが嫡男ではないので家督を継げない。でも自堕落な生活を送られるのは両親が良しとしない(物語が始まらない)

 幸いにも(都合よく)彼の国には、素性ではなく能力で抜擢される『暗黒騎士団』が存在するのだ。

 暗黒騎士団とは武力・知力・胆力を兼ね備えた人物が選ばれる精鋭揃いの親衛隊で、一代限りとはいえ正規の騎士以上の権限と待遇を国から保障される。

 それだけに規律や罰則も厳しく、その権限の悪用を画策すれば、国や民を裏切った代償として同僚や国からの弾劾と粛清が待っていると聞く。

 部隊名こそ暗黒と付くが、漆黒の騎士甲冑を身に纏って国や秩序を守護する姿は、彼の国なら多くの者が憧れる英雄(ヒーロー)なのだ。

 エイクは暗黒騎士になる事を夢見て(周囲の迷惑を顧みず)愛馬(相棒)従者(犠牲者)を連れて武者修行の旅に出た。

 

 エイクを殴り飛ばした人物は、名をバナルと言う。

 彼は蛮族の生まれで、部族内では戦士階級である。彼の部族は成り立ち故に、各自の協調性や役割分担を重要視している。

 彼の部族は元々、訳あって都市に居場所を無くした人々が寄り合って狩猟生活を営む集団だった。

 彼等の生活が定まるまで多くの困難が立ち塞がったが、其々が協力して役割を担う事で困難を乗り越えてきた。

 その最たる出来事は、敵対する部族の襲撃であろう。

 彼等は大きな被害を受けたうえに(多くの同胞を喪い)住む土地を奪われたが、代替わりした族長と補佐を務めていた人物の尽力と彼等自身の努力によって、敵対する部族から土地を取り戻し(落とし前をつけ)ている。

 それ以降、狩猟生活を営む集団(穏健な狩猟民族)だった彼等は、無断で領域に踏み込んで来た余所者に対して容赦の無い武装集団(苛烈な戦闘民族)と化していく。

 バナルは自らの武力を高める(武術や武具を得る)為に族長の許諾を得て旅に出て、今はエイクと行動を共にしている。

 

 黒い馬の手綱を引く少女は、名をクレアと言う。

 彼女は庶民の生まれだが見目麗しく聡明で、エイクの生家であるアグネル家(貴族)に仕えている。

 そのうえ未熟ながらも治癒魔法を使うクレアは、まるで物語に登場する乙女(人数合わせの美少女)の様だと噂されるくらい器量の良い少女である。

 その才気に溢れる姿は、エイク(アホ息子)の両親に旅の同行者(アホの歯止め役)として相応しいと選ばれる理由になった。

 当初クレアは自分が選ばれた事に(「なんで私が?」と)困惑したが、エイクの両親(雇い主)から旅支度一式も取り揃えている(既に退路を塞がれている)事を聞かされ、その期待に応えよう(責任を押し付けられた)と思い、エイクと共に旅に出た。

 

 クレアが手綱を握っている黒い馬は、名をドーン(ドンちゃん)と言う。

 軍馬のサラブレッドとして生まれ、当初は多くの騎士が乗り手として名乗り出たが、狂暴なまでに激しい気性のドーンを乗りこなす事は誰にも出来なかった。

 候補が居なくなって暫く経った頃、暗黒騎士を目指すエイクが「暗黒騎士に相応しい黒さ(見た目の色だけ)」を理由にドーンを愛馬に選んでいた。

 エイクの態度(侮辱)に激怒したドーンは、騎士甲冑を纏っていたエイクを思いっ切り蹴り飛ばし(メートル単位で吹っ飛ばし)たが、逆にドーンこそ愛馬に相応しいという想いを強く抱かれた。

 乗馬の技術に関してなら(以外でも)今まで名乗り出た誰よりも劣っているエイクだが、諦めること無く数年間かけて挑み続け、遂にエイクはドーンの背に乗れるようになった(ドーンがエイクに根負けした)

 ドーンはエイクを自らの乗り手(一応は主)と認め、彼の愛馬として旅を共にする(頼りないし心配だから付いて行く)ことにした。

 

「そろそろ行くぞ。今日も野宿になるのは勘弁して欲しいしな」

「そーですね。今日はドンちゃんを宿で休ませたいですしねー」

「……馬が大切なのは分かるが、オマエは従者も気に掛けろよ」

 

 頃合いも良く二人の言い合いも終息したようなので、話を戻すとしよう。

 クレアは自らの懸念が現実にならなかった(巻き添えで恥をかかずに済んだ)事に安堵しつつも、歩き始めた二人の後をドーンの手綱を引いて付いて行く。

 クレアは手綱をエイクに手渡して、バナルの傍に寄る。

 

「あの、すみませんバナルさ……ん。本当なら私がエイク様の行動を咎めなければ――」

「無理だろ、オマエは従者でアイツは一応だが主。そもそもアイツが他人の言い分を素直に聞くと思うか?」

「ですがバナルさ……ん、貴方はアグネル家にお仕えしている身でもないのに――」

「俺は蛮族だ。街じゃ扱い悪いし、組合での対応もロクなもんじゃねぇ」

 

 バナルがエイクと行動を共にしているのは、自身に利点があると実感しているから。

 都市に住む文明人の視点から見れば、バナルの部族は粗暴な野蛮人の集まりである。

 部族に生まれた者の視点から見れば、都市の住民は傲慢で不誠実な人々でしかない。

 そこまでの不信感(偏見)を抱くに至る経緯の説明は割愛するが、都市に住む人々が想像している以上に部族側の遺恨は根深いのだ。

 

 冒険者に依頼を斡旋する組合では、蛮族や文明化されていない者を同一視(嫌厭)する傾向がある。

 依頼を斡旋する側にとって信用・信頼は大事なモノ(商売道具)だ。

 どんなに強くても、どんなに優れていても、必要な規則を守れない(守ろうとしない)者に依頼を任せようとは思わない。

 組合と言う組織の信用(食い扶持)を自ら進んでドブに捨てる様な人間(愚か者)に、組合での仕事は勤まらない(居場所は無い)

 

「そういえばエイク様とバナルさ~んが出会ったのも、組合の依頼斡旋所でしたね」

「受付の女が共通語の読み書き出来ないヤツだと決めつけて、組合への登録を拒否してた時だな」

「傍から見たら、受付嬢を恫喝しているとしか思えない光景だと聞きましたけど……」

「あぁ、それで他のヤツが絡んできたのか。女の前でカッコつけるのが目当てで」

 

 様付けで呼ばないよう言い淀む(苦戦する)クレアの有り様を横目に、受付の女は見た目が良かった(イライラした)とバナルは吐き捨てるように言う。

 その後は絡んできた男性を即座に殴り倒してボコボコにしたので、あわや大乱闘という騒ぎに成り掛けた時に割って入ったのがエイクだった。

 ……ただ、纏めて全員かかって来い!と豪語したエイクは望み通り袋叩き(当然の如くボコボコ)にされ、乱闘に関わった者は組合の従業員が通報して駆け付けた衛兵達に捕まり詰所へ連行された。

 

 乱闘に関わった者で、最も処分が軽かった(罰せられなかった)のはエイクである。

 組合の従業員がエイクの言動を乱闘の仲裁が目的だったと証言(解釈)したので、寧ろ被害者扱いされた。

 騒ぎを聞いて詰所に来たクレアが身元を証明した事と、エイクが(こう見えても)貴族出身なのも幸いしたのだろう。

 乱闘の切っ掛けとなったバナルは、衛兵の想像(蛮族=悪人)と事情が違っていた。

 先ず問題視されたのが受付嬢との遣り取りだが、取り調べの際にバナルが共通語を書いて単純な計算(算数)もして見せれば、受付嬢が文盲だと決めつけた(マニュアル通りの)対応に非が無かったとは言い切れない。

 次に絡んできた男性に対する過剰な暴行だが、バナルの「刃物を持った人間が襲ってきた」という言い分が真実なら無視できない。

 男性にとって(衛兵にとっても)不運だったのは、バナルに絡んだ時に彼は穂先が剥き出しの槍を手に(冒険時の装備を)していて、バナルは革製のシース()を嵌めた斧を身に帯びていた(使わなかった)事だろう。

 他の関係者にも話を聞いて状況を整理したところ、『肩を叩かれて振り向いたら、抜き身の槍を手にした男が凄んできた』という結果に至った。

 

「二人とも何の話ですか? 逢引の打ち合わせなら、少し待ってますが?」

「違う! オマエと初めて会った時の乱闘騒ぎを話してた」

「あー、牢屋名物『臭い飯』を食した時の話ですな。懐かしいですねー」

「オマエは牢に入ってねぇだろ!?」

 

 歩きながら話していたら、ドーンの手綱を握ったままエイクも話に加わってきた。

 特に不都合も無いので、歩く速度を落とさない程度に思い出話の続きに意識を戻している。

 

 乱闘騒ぎの取り調べ結果は結論から言うと、最も罪が重かったのはバナルに絡んだ男性(文明人)で、最も罰が重かったのはバナル(蛮族)である。

 エイクは手当てを受け、組合は注意喚起を受け、乱闘に加わった者達は注意され、槍使いの男性(絡んだ男性)は厳重注意に処され、バナルは一夜を牢の中で過ごした。

 この時にバナルは、集落から旅立つ条件に共通語の会話と読み書き(文明人の悪意を知ること)が含まれている必要性を痛感したと、後に酒の席で語っている。

 

「……どうしてオマエは、俺を同行者に引き入れたんだ?」

「理由ですか? 強いて言うなら気概ですかね?」

「気概?」

「あの後で場所を移して、僕と勝負したじゃないですか。お互いに満身創痍ながらも、互角の勝負を繰り広げ――」

「エイク様の鎧を殴り続けたバナルさーんが、拳を痛めて攻め切れなくて膠着状態になりましたね」

「それで互いに疲れ切ったところを、あの馬が俺の背を踏み付けたんだよな」

「あれ以上はドンちゃんも、勝負を続ける意味無しと思ったのでしょう。ですが、その後の行動が決め手でしたねー」

「背中を踏まれてる状態から、腕と脚の力で押し返して立ち上がっていく姿は凄かったですよ!?」

「喧嘩を売られたなら買うし、馬如きに見下されて平然としてられる程、俺は寛容でもねぇよ」

「つまり僕は、バナるんの気概を高く評価――」

「その『バナるん』って呼ぶの、止めろって言ってんだろぉお!!」

「あぁっ!? バ、バナルさん落ち着いて!!」

 

 エイクのふざけた呼び名(バナるん)にキレたバナルの拳が、容赦なく顔面に叩き込まれる(ブン殴る)

 和やかな雰囲気は一変し、エイクが吹っ飛び、バナルが怒り、クレアが慌てる光景が目の前で展開される。

 殴られた衝撃で手綱を手放されたドーンは、これからの旅の一行に思いを馳せていた(今夜も野宿になると諦めていた)

 

 今回の話は、ここで終わります。

 語り部が、この世界の彼等に再び目を向ける(の話をする)機会があったなら、またお会いしましょう。




 ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
 キャラクターの設定や彼等が出会った経緯を、箇条書きではなく物語らしくしてみようと試した結果が今回の作品です。

 地の文にルビが多用されているのは、今回の仕様です。
 最後の文章で出ましたが、地の文は語り部の言葉というイメージで書きましたので。
 固有名詞が少ないのも、連載する自信が無いので意図的に抜いています。
 そのせいで逆に分かり難い点もあるんだろうなぁ~とか、説明描写が長くなっても読み難いだろうとバッサリ切っちゃった点もあったりします。
 後で活動報告による補足なども考えています。
 それとクレアさんが不遇なのも仕様なので、悪しからず。

 余談ですが――

 エイク=A=ache
 バナル=B=banal
 クレア=C=Claire
 ドーン=D=dawn

 ――というネーミングになっていました。
 タイトルがABCDなのも、メインキャラの頭文字という言葉遊びですね。
 それでは、この辺で失礼いたします。

【追記:2017年9月9日】
 投稿後に思うところがあったので、此処で少し補足します。
 この世界で蛮族と呼称されている集団は、バナルの部族以外にも多数存在しています。
 ですので組合の基準だと、受付嬢がバナルの登録を拒否した対応は間違っていません。
 ただ欲を言えば上役や同僚が受付嬢を手早くフォローしていれば、乱闘騒ぎに発展する前に事は収まったでしょう。
 槍使いの男性に関しても、彼は依頼終了の報告をしに受付に来ていました。
 そうしたら目の前で揉め事が起きそうだったので、受付嬢とバナルの遣り取りに介入しています。
 割りと善意からの行動でしたが、結果は作中の通り大騒ぎになりました。

 この世界では文明人と未開人の間に、認識や価値観の違い等で大きな溝が存在しているのです。
 投稿時には作品を読むテンポが悪くなると思って省略しましたが、文明人側の偏見が酷いという印象を与えるのも不本意でしたので、後書きに載せるというカタチで補足しました。
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