原作で同じ目線で語り合う相手がいない孤独から
あれになっていったと言う事なので少し救済の手を。
まあ、やったからと言って未来が劇的に変わったりというのは予定していませんが。
二人が卍解を習得してから五年ほど経った。
あの後の『眠計画』は現在四號で進行中。
涅が卍解への足掛かりを今年になって見つけた。
研究との二足のわらじは厳しいから無理もない。
あとは、阿近の奴に自衛手段で一応は始解を教えた。
そして俺が今何をしているのかと言うと……
「こんな場所でわざわざ二人で話すことなどないと思うのですが?」
藍染と向かい合う形で話している。
同席者は無し。
それを平子さんが聞いたら目を丸くしていた。
「まあ、こういう所でないとおまえと話せないからさ」
懐をまさぐり目的のものを取り出す。
藍染に見せるもの。
それは極秘の研究資料。
涅もまだ知らない。
「お前の集めてた魂魄の塊についての話だ」
その資料を机に置く。
それをしげしげと見ていく。
だがこれらは一度は自分も通った道なのだろう。
顎を触って真新しいものはないといった反応を見せる。
「あれだけの魂魄を集めてしまうとどうなるかわかるよな?」
頷きはしない。
きっと魂魄が現世と均等にならないとかいう小言だと思っているみたいだな。
それじゃあ言ってみるか。
「あの塊には『意思』が宿ってしまう」
その言葉に反応を示す。
もしやと思っていたことが本当だった。
そう言った感じの反応である。
「あれは過ぎた代物になりかねない」
目的がなくて、あれを作ったのあれば即刻破壊するべきだ。
俺が放逐した奴らで作った小さな塊ですらかなりのものだった。
「目的も無しにあれを作るわけがないでしょう」
悪い笑みを浮かべている。
きっと理解者がいない事で生まれた野望なのだろう。
だが、そんな事はもうないのだと理解させる。
悩むんじゃないと手を取る。
「その目的に行きついた経緯はなぜだ?」
手を振り払う事が出来ない藍染。
無理もないだろう。
俺の膂力と比べれば引き剥がせるほどはない。
「調べた結果、この世界について知ってしまったのです」
なるほど、尸魂界の在り方について知らなくていい事まで見つけてしまったのか。
だからこそ、あれを作り上げた。
おおよそ、未来の事を見据えた結果だろう。
しかしその未来は……
「お前が考えている未来の事は、今の時代の人全てがこの世界からいなくなった後じゃないのか?」
いつに来るか分からないもの。
それに対する準備にしては速すぎる。
未来でも見えていたら別だが、あいにくそれを知る術はない。
「万が一の事態に備えなければいけない」
そう言って塊を取り出す。
想像以上に大きなものだ。
とんでもない数の死神や霊圧のある相手を糧にしている。
ここまでの『意思』を用いて行いたい事を考えてみる。
「ありとあらゆる壁を崩してくれると信じています」
それはつまり魂魄の壁や境界を打ち崩すという事。
ここから考えられる最悪の形。
それは一つしかない。
「相反するものに呑み込まれかねないぞ」
望んだ結果になったらいいが、分の悪い賭けじゃないだろうか。
こいつがそういう事に身を投げ込むのは想像できない。
すると大丈夫だと笑顔でいる。
「壊すのであって融合させるわけではないですよ」
万能の魂魄へ変化させるのか。
虚であり、死神であり、人間であり、滅却師。
そこからの未来の形。
ここまでして求めるものは十分推測できる。
「お前はまさか霊王にとって代わる気か……」
この想像が見当違いであってくれと願った。
何故ならそれについては俺だって知っている。
何によって生まれているのか。
「まさかこれだけの会話でそこまで考えてくるとは、さすがに厄介ですね」
隠すつもりはまるでない。
それは確固たる決意。
決して譲りはしないという、今まで見せてなかった熱。
それをまざまざと見せつけてきた。
「今どうしても必要な事ではないだろう」
それは零番隊を敵に回す事だ。
流石にお前が凄い奴でも勝てるとは思えない。
それに……
「お前はあんなものになってもいいのか?」
お前が知っている事は俺も知っている。
あれに従う事が嫌なのかもしれない。
それを打破するために意思を持った霊王へなり替わる道を考えているんだろう。
しかし、なれたとしてもその為に犠牲になるものがあまりにも多すぎる。
「貴方や私が見据える先はどういうものかではないのですよ」
その次元に至らずに諦観した者の意見が『どういうものか』を語る。
もしくは元より興味のないものは霊王について調べず日々を過ごす。
興味があって調べても我関せずの者も居る。
「どう在るべきかについて語り合うという事だろう」
俺だって人身御供の上に成り立つ安寧など嫌だ。
それがいずれ他の誰かに押し付ける形になる。
「お前が考えている事が分からないわけではない」
だからこそ、その根底を覆す。
霊王を殺した後、自分が意思を持ったものとして繋ぎ止めていく。
不老不死ならば二度とその輪廻に巻き込まれない。
「しかし慌てているようにしか見えないんだよ」
結論としては何処か早くにしておかなければならない。
不測の事態を考えた構え。
それは良いけれど、それ以上にすぐに何か行動を起こそうとする。
「言っておくけど俺はその考えには反対だ」
お前がその道に邁進した所で、行動が大きければ零番隊に目をつけられる。
そうなれば全てが水泡に帰す。
『王鍵』を作る時点で楔である霊王を含めても魂の均衡が保てない。
異常な事態を引き起こすばかりだ。
そして何より……
「お前が護廷十三隊から消える損失を考えろ、自分の価値をもっと大事にするべきだ」
お前の実力や人望をよく理解している。
理解していない輩のものではあるが信頼はされている。
逆にどれだけその眼差しがお前を苦しめるかわからずに。
「えっ……!?」
まさかそんな事を言われるとは思わなかったのだろう。
ぎくりと身をこわばらせて驚きの顔を浮かべる。
そんな顔もできたんだな。
「お前を理解していきたい、同じ目線で話したい」
その隠している心をもっと見せろ。
表情も何もかも詳らかに。
お前に合わせられるようにするから、お前も俺の眼を見るんだ。
「お前の孤独を癒してやる」
先達として導いてやれる道あれば導こう。
お前の悲しみを受け取り、俺の喜びを分け与えよう。
道を間違えた時に叱り、お前の過ちを許し、お前の寄る辺に俺がなろう。
「見返りってそちらに有るんでしょうか?」
冷静な顔をしてこっちに問いかける藍染。
そんな問いにこちらは腹を立てる。
俺は返答代わりに拳骨を見舞った。
「そんな損得勘定でそういう事するんじゃないんだよ」
あの人が警戒心丸出しだから、余計偉い人の言葉を疑うようになっている。
こんなので大丈夫なのか?
絶対良い上下関係は生まれそうにない。
「俺がしたいし、お前に対する興味が尽きないのも有るんだ」
手を差し出してそう言う。
藍染も手を取っていた。
これはそういう意味でいいんだな?
「手を取った以上、お前が見捨ててくれと言っても見捨てないからな、覚悟しておけよ」
困ったなと言う顔をする。
しかし後悔しても、もう遅いぞ。
俺はしつこい奴だ、研究者の面がある以上はとことん見る。
「よしっ、お前も多少腹割って話してくれたし、食いたいもの頼めよ」
個室の居酒屋でも背伸びをしたわけではない。
秘密話程度なら十分できる場所を選んだ。
ひよ里さんを連れて行ったあの場所は二人だけの場所でいい。
「あれを腹割って話したと思っているんですか……?」
まるでまだ隠しごとがあるような口ぶりだな。
まあ、お前も半信半疑だから全てを打ち明けてはくれないだろう。
「一息ついたら話してくれればいい、強引に聞く手立ては持っていないからな」
そう言うと溜息をつく。
そしてお品書きを見て注文をする。
その間にぽつりとつぶやいてきた。
「聡明だと思ってましたが人情派ですね」
決して縛らずこちらの裁量に任せる。
受け入れてくれる分、気持ちが軽くなる。
だから口も軽くなるし、心も許してしまいそうになる。
そう言ってきた時、微笑みを浮かべていた。
作っていない企んでいない純粋な笑顔。
それが見えた時、確信してしまい悲しみを覚えた。
こいつも普通の死神と同じ感性を持っているのにと。
「汲み取れてこそ隊長だ、顔色は窺う気はないけどな」
だから人情があって当たり前。
人でなしな部分もあるがそれはいずれの瀞霊廷を考えている結果だ。
「心を完全に開いてまた今日のような笑みを見せてくれよ」
そう言いながら今日が終わるのを感じる。
心の距離が確実に縮まった。
そう感じた一日だった。
藍染の本音を聞き出そうと頑張っている図です。
結構言ってますがまだまだ感情を押し殺している感じです。
年上として傑がどこまで歩み寄ってやれるかですね。
ちなみに原作の狛村と東仙の戦いでの一部分を引用して書いています。
オリジナル斬魄刀
名前:『
使用者:阿近
解号:
能力:毒の生成。
その切りつけた相手の霊圧を感じ取り、毒を流し込んでいく。
麻痺だったり血を固めるなど効果は様々。
またこれらは普段作るものではなく、霊圧に応じたものの為、血清や耐性を持たない毒である。
指摘などありましたらお願いします。