ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

3 / 61
同期の死神については皆さんお気づきとは思いますが今回で出していこうと思います。
強さだけ見たら間違いなく十一番隊か、一番隊になるのですが考えた結果の所属先です。


『給金 - Salary -』

「諸君らの誇りある護廷十三隊への入隊を認める」

 

護廷十三隊総隊長である山本元柳斎重國が声をかける。

真央霊術院で卒業した方々が一堂に会し言葉を聞く。

卒業が決まった生徒は、護廷十三隊での所属などが話しあわれて通知が届く。

 

「皆、この護廷十三隊の隊士の誇りを胸に、より一層励むように、以上じゃ」

 

そう言って去っていく。

そう思っていた次の瞬間、息の詰まるような霊圧が押し寄せる。

 

「やはりまだまだ未熟じゃのう」

 

そう言って髭に隠れた笑みが僅かに見える。

試してみたかったのだろう。

結果として自分と残りの八名以外は倒れ込んでいた。

気絶はしていないようだ。

 

「はあっ…はあっ…」

 

呼吸をして片膝付いた状態から立ち上がる。

猿柿さんも両膝ついていたが、ぐぐっと力込めて立ち上がっていた。

 

「まあ、九名も残ったことは嬉しいがな」

 

そう言ってこちらからじろりと眺めていく。

猿柿さんを含めた女性が三名。

男性が五名。

自分を除いた場合の内訳だ。

 

「一刻も早くその『浅打』を始解できるようになり、尸魂界の平和に尽力してもらいたい」

 

そう言って総隊長は本当に去っていく。

そして所属の隊舎ごとに分けられる。

自分が所属する隊舎の隊長は誰なのか?

 

「皆さん、初めまして」

 

穏やかな声が聞こえる。

その声の主の方向を見る。

隊長羽織から『竜胆』の刺繍が覗く。

 

「私が四番隊隊長を務めております、卯ノ花烈です」

 

その眼の奥に見えるのは優しさ以外のものがあった。

厳しさもある。

当然と言えば当然。

最早、学生の時は過ぎた。

平和の礎の為に粉骨砕身する気構えで挑む。

 

「四番隊は霊力を治癒能力に変えることができる死神を中心に組み立てられた隊です」

 

つまりは後方支援。

戦う事が苦手な人。

自分の鬼道の才などを考慮した結果だろう。

 

「当然、例外の方もいらっしゃいますがそれは技術としての習得の為でもあります」

 

じろりと見られた気がした。

役割というものを自覚させる。

重要な心を教える立場を買って出たのだろう。

 

「皆さんがいなければ兵站は崩れます」

 

俺達の治療がないと戦線の維持が難しくなる。

それをきっかけに隊士が死んだりも有り得る。

総崩れにさせないために自分たちの努力は不可欠だ。

 

「戦えるとしても回復の手立てを持つのは自分だけだという意識を持っていくように、お忘れなく」

 

護廷十三隊である以上、ある程度は戦える。

だが、戦える隊士は言い方は悪いが何人だっている。

しかし治せるのは四番隊の隊士だけ。

それを踏まえた動きをしていくのが重要だ。

 

「それでは本日より錬磨するように、よろしいですね?」

 

その言葉に勢いのある返事を返す。

俺自身も一員として、精進することを誓った。

 

.

.

 

「むむむ……」

 

今日も今日とて唸りながら俺は怪我を治す。

配属されてから一週間。

毎日怪我だらけの隊士が来る。

霊力を回復の力に変えるのは難しい。

席官の人の力も借りながら治していた。

 

「速く治しやがれ、唸ってるんじゃねえ」

 

十一番隊に配属された同期の真央霊術院卒業生が言ってくる。

名前は六車拳西。

戦闘集団と言われるだけあって誰か一人がかわるがわる毎日来る。

 

「はい!!」

 

俺は元気よく返事をして治していく。

治癒能力に変わってからは速いが、その制御が難しい。

つまり霊力の運用がまだまだなのだ。

 

「治ってはいるが、唸る暇があるなら速く手を動かすか集中しろ」

 

そう言って拳西さんが去っていく。

そう言われたので俺は集中力を高める。

治癒能力に変える事を考えながら深呼吸をする。

 

「苦労していますね」

 

卯ノ花隊長が声をかけてくださる。

穏やかな目ではあるが威圧感がある。

何か怒らせるような真似をしただろうか?

 

「申し訳ないです」

 

そう言うと首をかしげる隊長。

そして口を開く。

 

「何を謝る必要があるのですか?」

 

だって治すのに時間がかかっているんですよ?

努力をしてはいるけれども、難しくて席官の方の力を借りている状態ですし。

 

「一週間で重軽傷問わず頼まれている時点で察するべきですよ」

 

他の隊士に目を向けていないから、己の凄さに気づけない。

そう言われてぎくりとする。

自分が頑張ると決めているから、隊士の人の出来を知らない。

 

「確かに重傷は席官が手伝ってはいますがその調子ならば十分なれてきます」

 

ですから気にせず精進なさい。

卯ノ花隊長にそう言われる。

俺はその言葉で肩の荷が下りていた。

気を張りすぎだったんじゃないかと一瞬思えるほどに軽く感じていた。

 

.

.

 

その言葉を聞いてからさらに三週間。

一ヶ月も経った。

仕事が終わった夜にお給金をいただく。

巾着に包まれている。

 

「こんなに貰っていいのかな……」

 

死線を掻い潜っている人に比べては少ない。

しかしそれでも多く感じる。

そんな事を考えていると後ろから叩かれる。

 

「何、しけた面しとんねん、イカ!!」

 

声の主は猿柿さんだった。

呼び方が上二文字なのは言いやすいからだといっていた。

こっちがお金を持っているのを見て察する。

 

「四番隊は少ないんか?」

 

巾着を渡すと重さで気づくのか、ほうほうと頷く。

勘違いを受けてはいけないと思って、感じていたことを素直に言う。

 

「多いんじゃないかと思うんですよ」

 

だって、皆さん命を懸けてますし。

自分たちは基本的に安全圏にいる。

そう考えると、これでも多い気がする。

 

「かまへんやんけ、貰っとき」

 

お前のがんばった証や。

自分を否定するようなことはすんな。

そう言われて巾着を返される。

 

「真面目にするのもええけど自分へのご褒美ぐらいは考え」

 

それが思い浮かばない。

贅沢とかそう言うのがわからない。

そんな俺を見て呆れたのか、猿柿さんは溜息をつく。

 

「しゃあないな……御飯のええとこ紹介したるからついてきい」

 

頭をかきながら仕方ないというように言って案内をしてくれる。

提灯が揺れていて、お酒と料理が出るところらしい。

こういった場所にはいかない。

学術院時代の名残で丸薬を作り空腹を満たしていた。

 

「ひよ里やん、誰やその若い男の子」

 

席を探している間に厠から出てきたのだろう。

方言交じりの女性が声をかけてくる。

頭を下げて挨拶をする。

羽織からは『極楽鳥花』が覗く。

八番隊に所属しているのか。

 

「リサ、学校飛び級した奴や、名前ぐらいは聞いたことあるやろ?」

 

猿柿さんがリサと呼ばれていた女性にそう返すと、後ろに気配を感じる。

振り返ると、座敷に男性がもう一人いた。

すごく面白いもこもことした髪形をしている。

座っているが背丈は大きい。

 

「納得するほどの霊圧はあるな、大したもんだ」

 

その声に気づいて猿柿さんも振り返る。

座敷に居たため見えにくい。

 

「なんや、ラブもおったんか」

 

そう言うとラブと呼ばれた人が居る座敷へ移動していく。

猿柿さんが手招きをするのでそっちについて行き、四人掛けの座敷に座る。

 

「お前らの話し声が聞こえたからだよ」

 

そう言ってラブと呼ばれた人は奥の席へ移動する。

その時に見えたのは『菖蒲(しょうぶ)』の刺繍。

七番隊所属の隊士。

護廷十三隊の隊花はすべて頭の中に入っている。

ちなみに猿柿さんの羽織には『(あざみ)』の刺繍だ。

すると口を開いて横の座敷を指さす。

 

「ちなみに後の四人も来るからな」

 

ラブと呼ばれていた人が座ってから口を開く。

初めての給金で祝う席だったのか。

なんだか悪い気がするな。

 

「ハッチは?」

 

四人で計算が合わないのだろう。

猿柿さんが聞くとリサと呼ばれていた人が答える。

その人が卒業試験で四十番台をやった人だな。

 

「鬼道衆は時間が違うから後日頼むっていっとったわ」

 

鬼道衆は別動隊のような部分があるからな。

仕方ないと言えばそうなる。

そんな中、聞き覚えのある声が聞こえる。

殆ど皆勤賞の六車さんだ。

羽織に『鋸草(のこぎりそう)』の刺繍がよく映える。

 

「拳西、この子だーれ?」

 

髪の毛が波打ったような感じになっている女性。

元気というかふわふわというか何だか緩そうな人だ。

羽織の刺繍には『白罌粟(しろけし)』があしらわれている。

九番隊所属の隊士という事がわかる。

 

「白、四番隊の斑鳩で俺らの同期で飛び級した奴だ、前にも話しただろうが」

 

そう言いながら苛立っているような顔をしていた。

どかっと音がするような座り方をする。

するとまた別の声が聞こえる。

 

「拳西、美学に反する振る舞いだよ」

 

長い髪の毛で片眼が隠れているような形をしている。

ゆったりとした座り方で音もたてずに静かだった。

羽織の刺繍には『金盞花(きんせんか)』があしらわれている

この人は、三番隊所属の人か。

 

「こういう所で美学なんてねえだろ、ローズ」

 

そう言って肘をついている。

女性陣も移動していく。

ローズと呼ばれた人の方にリサと呼ばれた人が向かいに座る。

 

「あのハゲ、まだ()おへんのか」

 

いらいらしているのか猿柿さんが水を飲む。

それに倣うように俺も水を飲んで時間を潰す。

それを見てたのか猿柿さんにじっと見られていた。

 

「何、真似しとんねん」

 

飲み方を知らないし、どうしていいかわからない。

だったら同じことをしておけば間違いはないはず。

だから真似をした。

そう伝えると……

 

「お前、娯楽知っとんのか?」

 

猿柿さんが口を開けて、まるで異物を見るような目で俺を見る。

俺だって娯楽ぐらい知っている。

巻き藁を『浅打』で斬る事。

自分の斬魄刀の名前を聞く事。

逆立ちをして隊舎を一周。

そう答えるとまたもやため息をつく。

 

「そんな娯楽は存在せえへん、それはただの『鍛錬』や」

 

そんな事を言ってたら最後の人が来た。

サラサラの長髪。

にやけ面をしている。

羽織には『馬酔木(あしび)』の刺繍が施されていた。

 

「すまんすまん、遅なってしもうたわ」

 

そう言うと軽やかに座敷に座る。

こっちが詰めてラブと呼ばれていた人の向かいになる。

俺の存在に気づくと猿柿さんの方を見て聞いていた。

 

「こいつ、誰?」

 

指をさしてきょとん顔で言っている。

猿柿さんは喧嘩腰に言っていた。

 

「うちらの同期で飛び級したガキや、娯楽も何も知らんつまらん奴やさかい、この席に参加させたんや」

 

ホンマおかしい奴や。

猿柿さんにそう言われて頬をかいていた。

それを聞くとじろりと見て一言。

 

「なんか嘘がへたくそな感じがするわ」

 

平子さんがそう言うと六車さんが同調するように口を開いた。

皆勤賞だけあってよく知っているもんな。

 

「全部真剣に答えて全力投球してるような奴だぜ」

 

肩の力抜かねえとしんどいぞ。

そう言ってくるのでお辞儀で返す。

 

「とりあえずは自己紹介しよか」

 

リサと呼ばれた人が手を叩く。

すると順番をどうするかの話になる。

 

「番隊の順でいいんじゃないか、僕が初めで特別に真子が最後で」

 

そう言ってローズと呼ばれていた人が立ち上がる。

緩やかに伸びるように。

しかし背筋は芯があるように。

凛とした佇まいを保ってこちらに近寄る。

 

「僕の名前は鳳橋(おおとりばし)楼十郎(ろうじゅうろう)、気軽にローズと呼んでくれ」

 

手を差し出して握ってくる。

全ての行動が軽やかで感嘆させてくる。

独自の『美学』が成せるものなのだろうか?

 

そして自分の番になる。

番隊順であれば三番隊の次は四番隊。

普通の話である。

 

「俺の名前は斑鳩傑です、呼び方に関しては名前から呼びやすい形で呼んでください」

 

そう言ってから自己紹介が進む。

面白い髪形の人は愛川(あいかわ)羅武(らぶ)さん。

方言交じりの人は矢胴丸(やどうまる)リサさん。

波打った髪形の人は久南(くな)(ましろ)さん。

六車さんと猿柿さんは知っているから省略。

最後にサラサラの長髪の人は平子(ひらこ)真子(しんじ)さん。

平子さんは卒業時に主席という凄い方らしい。

一番出世するだろうと言われていた。

ちなみに今日来れなかった鬼道衆の方は有昭田(うしょうだ)鉢玄(はちげん)というらしい。

 

自己紹介が終わるとお品書きを猿柿さんが取る。

それに続くように久南さんが取る。

 

「初めての給金だからってなんでも頼んで足出すんじゃねえぞ」

 

久南さんの気性を知っているのか六車さんが釘をさす。

それを聞いて平子さんが笑顔で制する。

 

「まあまあ、こういう時ぐらいはええやろ」

 

それを言ったが最後。

雪崩のように久南さんが頼む。

猿柿さんもそれに続いて行こうとするが……

 

「食べれる量にしましょう」

 

こっちが釘をさす。

飲みたい人間もいる中、輪が乱れる。

ここはあの席の残ってしまう事を考えましょう。

このような場面の食事は勝負事みたいに競わなくてもいい。

そのようにやんわりという。

 

「分かったわ、食べたいもんだけちゃんと考えて頼む」

 

そう言ってお品書きを見ていく。

その姿を見て平子さんが驚く。

 

「なんや、ひよ里、こいつの前やったら偉い素直やんか」

 

笑いながら冷やかすように言う。

すると睨みながら平子さんに言い返す。

 

「年下の前で年上がみっともない真似できるかい、それに年下の言う事聞いたるのも優しさや」

 

そう言うと苦笑いで平子さんが「正論やな」と言っていた。

その発言を聞いていた六車さんが久南さんに再度言っていた。

 

「でも頼んじゃったよ?」

 

その一言でハアッとため息を皆がつく。

何故なのかと聞く。

すると愛川さんが額に手を当てたまま、口を開く。

 

「白の頼むのはマジで多いんだ、しかもこっちまで巻き込む」

 

これは酒飲んでる暇ねえな。

愛川さんがそう言っていた。

それは可哀想だから、助け船を出す。

 

「最初の乾杯の一杯だけ飲んでその後、食べる方に専念しますよ」

 

そう言うと愛川さんが小さな声で「任せる」と言ってきた。

そして最初の酒が届く。

 

「みんな、これから躍進するで、乾杯!!」

 

平子さんの言葉で乾杯をする。

そして飲むまでに食事がどっさりと届く。

 

「やっぱりつまみになりそうにもねえ米まで頼んでやがる……」

 

愛川さんが苦い顔をしながら言う。

これはきついと思って久南さんと向かい合わせになる形で席を移動する。

聞いたら頼んだ数は二桁以上。

しかもすべて一人前の多さではない。

 

「皆さん、必要と思える分だけ取ってください」

 

俺はそう言って取り分けて残ったのをむしゃむしゃと食べる。

久南さんは健啖家なのだろう。

段々と取り分けた後の食事を消していく。

 

「結構食べるんだね、たけるん」

 

久南さんはこの短い間に呼びやすい形を決めたらしい。

残すと申し訳ないでしょう。

そうしないようには食べないといけない。

だから一心不乱に食べているんです。

自分で食べられる量を分からず頼むなんて無茶苦茶ですよ。

 

そんな事を考えながら食べていたら飲んでいた人たちが酔いつぶれていく。

まずは矢胴丸さん。

次に鳳橋さん。

次が猿柿さん。

そこで止めた。

皆、千鳥足に近くなっていた。

 

「俺がリサを連れていく」

 

愛川さんが背負う。

隣の隊舎だからだ。

それなら俺が鳳橋さんを運ぼう。

そして六車さんが猿柿さんを。

 

「明日、こんな状態で仕事が成り立つのか……?」

 

鳳橋さんを背負って隊舎へと帰っていく中。

俺は酔っていない頭で冷静にそんな事を呟いていた。




拳西は血の気の多さから十一番隊に初めは所属。
それ以外は原作での隊のままです。
四番隊所属は色々なことができる万能隊士への道のりです。
少しずつ、主人公のプロフィールを書いていこうと思います。

何かご指摘などありましたらお願いします。

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。