元の始まりからそこが一番ありかと思いましたので。
「君のそれは死神ではないようだが……」
石田が俺の薙刀を見て呟く。
死神の刀とは違う。
「これは特異な環境で生まれた虚と戦う術さ」
そう言って振り回す。
霊圧の感じは分かっているのだろう。
じろりと見ている。
「お前も人の事は言えないだろ、石田…えっと…アマタツだったか?」
そう言うとずっこけそうになる。
お前、そういうキャラじゃないだろ?
「
なるほど『また』間違えたか。
基本的に初対面の相手の名前は間違えてしまう。
朽木は下の名前がカタカナだったし、先生が出欠で呼ぶからすぐわかったが。
入学式の時に見た井上さんは『いうえ』って呼んだ。
茶渡は『チャド』。
黒崎は噛んでしまったのも有って『えちご』。
有沢さんは『りゅうき』って呼んでしまった。
小島は『こしま』、浅野は『あさや』。
「悪いな、癖みたいなもんだ」
少し規制を削がれたのかやんわりした空気になっている。
すると別の所で虚の気配がある。
そして『死神』の霊圧。
「黒崎か」
石田が呟く。
やはりそっちも気づいてたようだな。
「相も変わらず垂れ流しだ」
そう言うとクスリと笑う。
霊圧に誰も気づかないとでも思っているのか。
「君は死神が嫌いか?」
石田が俺に聞いてくる。
嫌いでもないし、好きでもない。
中立な存在だな。
「そうか、僕は嫌いだ」
随分とはっきりと言うな。
どうやら確執があるのだろう。
「何が原因かは聞かない」
言いたい時に言ってくれ。
無理やり聞くのもどうかと思うし。
「おおよそ、君と変わらないよ」
俺と同じ。
それはすなわち家族を虚に殺されたことが有るんだろう。
その救援に死神が間に合わなかったことからか。
「そりゃあ、恨まれるな」
あくまで憶測だけど。
しかしこっちが察したの思ったのか石田が頷いて賛同する。
「そうだ、そして僕の方が死神より優れている……」
その目は冷たいものが有った。
何かこの目をしてる時って、ろくなことしないんだよな。
「誰かを巻き込むなよ」
それはお前の種族云々関係なく、最低な事だからな。
虚に襲われて死ぬ奴らもいるんだぞ。
「善処はするよ」
いや、こいつそう言うのはできないだろ。
直感ではあるが頭固そうだし。
頑固な感じがちょっとにじみ出てる気がする。
「聞き忘れたがお前は何者だ」
そう言えばどう言ったものかを聞いていない。
同じやつならば驚かないだろうし、『死神』なら同族嫌悪で済む。
しかし、言葉に込められた感情はそれ以上の感じからして別だろう。
「僕は『
初めて聞く存在だ。
大昔なのか新進気鋭なのか。
「由緒正しい存在で虚を完全に消滅させる者だ」
魂葬とは違うのか。
俺も人の事は言えない。
斬り落としてからやってはいるが時折そうなる事もある。
「完全に消す理由を知りたいような顔だね」
奴らはすさまじい。
其れであるが故だ。
そう言って眼鏡をあげる。
「それについては秘密というよりあまり分かっていないんだ」
じゃあこれで。
そう言って去っていく。
「あいつもいろいろな理由が有るんだな」
呟いて家に帰る。
その日は寝て翌日。
朝に起きて学校へ行く。
「ん?」
学校に行くと黒崎と石田が接触していた。
あいつ、帰りに黒崎の方に向かったのか。
放課後に帰る途中で変な気配を感じる。
「あれ……何?」
独り言をつぶやく。
天に黒い穴が開いている。
そこから虚が出てきている。
「くそっ!!」
一番危うい奴らの方向へ足を向ける。
女性陣だ。
有沢さん達はこの時間はまだ学校。
「着いた……」
嫌な空気が既にある。
上を見ると虚がいる。
……とにかく後で石田の奴を殴ろう。
「井上さん」
声をかけると肩をびくりとさせる。
きっと見えているのだろう。
だから過敏になったのだ。
「見えているんだね」
再確認で聞くと頷く。
そこからなぜ見えるようになったかを言ってくる。
少し前に虚に襲われていたのを黒崎が助けてから見えるようになったらしい。
「多分たつきちゃんも……」
そうなのか。
じゃあ余計にこの状況は危ない。
「暴れようか」
相手に向けて薙刀を向ける。
誰かを護る戦いを始めるのだった。
織姫を護る戦いに参戦。
誰に向かってもいいのですが、こっちかチャドぐらいしかないんですよね。
主人公の悪癖『名前を間違える』
わざとではなく純粋に漢字の読み間違いです。
ただ、学力高いので天然です。
指摘などありましたらお願いします。