ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

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今回で織姫覚醒です。
次回ぐらいに結末を端折って朽木隊長来訪になるかと。


『目覚め - Get Up - 』

「速くいこうよ、たつきちゃん、千鶴ちゃん!!」

 

井上さんは二人を急かす。

危ない場所から逃すつもりのようだ。

しかしそれを言っている間に相手が降りてくる。

 

「ちっ」

 

舌打ちをして相手を見る。

見た目はタコのような感じ。

お目当ての相手ではない。

 

「お前も私が見えているのかい?」

 

その問いかけには答えない。

即座に薙刀を振るう。

そんな動きをする相手に驚いたのか、後退した。

 

「なんて神経だい、普通は問いに答えるもんじゃないか!!」

 

そうは言っているが目はギラリとしていた。

そして何かを吐き出す。

それを薙刀を振るって薙ぎ払った。

 

「避けたら本城さんに当たっている、計算したな?」

 

井上さんが腕を引いて逃れようとする。

しかし男子生徒がゆらりと動いていた。

まるで操り人形のように。

 

「ん?」

 

目を凝らすと何かが撃ち込まれている。

それが原因で操られているのか。

……問題だな。

 

「二人とも円を描くように回って時間を稼いでくれ」

 

そうしておけば何とかなる。

相手が連射してくる。

薙刀を扇風機のように回して打ち落とす。

 

「背中についてくれ」

 

そう言って井上さん達が背中に着く。

大きく振りかぶって独楽のように回る。

その勢いで男子生徒が払われていく。

 

「数が多いな……」

 

一クラス以上の人数だ。

群がられると厄介極まりない。

本城さん達は戦力としてはか弱いしな。

 

「お前ら、織姫に何やってんだよ!!」

 

有沢さんが駆けつけてきた。

そして状況を把握すると瞬く間に殴り倒す。

『次!!』と勇ましく言う姿はかっこいい。

 

「お荷物抱えて戦えやしないだろ!!」

 

砂煙を巻き上げる。

目つぶしのつもりのようだが……

 

「それに乗じたあの操りにするための攻撃だろ?」

 

砂煙を払うように振る。

すると触手を伸ばしていた。

 

「無駄だ!!」

 

切り裂いて空に舞わせる。

それを見て相手がほくそ笑む。

 

「こっちも読んでいたのさ!!」

 

無防備になった俺に向かって発射してくる。

回避はできない。

回避したら有沢さんに当たる。

 

「くっ!!」

 

肩で受ける

相手の笑顔を見て歯軋りする。

操ろうってか?

 

「そんな安くはない」

 

恐怖など微塵も無し。

肩が勝手に動くがお構いなしで相手に攻撃を仕掛ける。

薙刀から手を離して首を掴み始める。

 

「……なるほどな」

 

首を絞めて殺すつもりだ。

元々両手で薙刀を握ってきたからまだ時間はある。

それだけあれば十分だろう。

 

差し違えても構わない。

元より虚を殺すために存在しているようなものだからな。

相手も恐れを抱かず向かって行くその姿を見て慄いている。

 

「狂っているのかい、お前は!?」

 

狂っていないといつから思っていた。

もうあの天涯孤独の日から人生の歯車はぐしゃぐしゃだ。

 

「お前らを倒せば他はいらない」

 

徐々に腕の力が強くなっていく。

酸素が上手く行き渡らない。

数分はいけるがそれ以上の時間は保証されていない。

 

「シャッ!!」

 

上段から振り下ろす。

横薙ぎに振るう。

この二つを相手は死角に潜り込んで回避する。

 

「ぬるいねぇ!!」

 

そう言って攻撃をするが転がって避ける。

ぬるいとは言うが庇ったこっちの隙を見て打ち込んだ一撃だけだぞ

まぁ、情に付け込んだと言えばそれまでだが。

 

「けけけ!!」

 

砂煙を巻き上げていく。

それを払うと既に目の前に居なかった。

どこに行きやがった!?

 

「隙ありだね!!」

 

しまった。

そう思ったときにはすでに遅い。

此方の無防備な方向から有沢さんを狙ってきた。

 

「なっ!?」

 

有沢さんが驚く。

頭に打ちこまれたから完全に操られているのだろう。

なんとか抵抗しようとしているが無理だ。

 

「畜生が……」

 

その眼には涙が有った。

傷つけたくないものを操られているとはいえ攻撃する。

その悔しさや悲しさが入り混じっている。

 

「間に合え!!」

 

井上さんの前に出て有沢さんの蹴りを防ごうとしていた。

こっちが腹部に喰らわないように屈む。

首を絞めあげる手を視認した。

 

「がっ……」

 

手首を蹴り上げられる。

ボキリと嫌な音を立てて骨が折れるのを実感する。

しかしそのお陰で首を絞めあげていたものが無くなった。

 

「あれっ?」

 

上部に影が有る。

上に視線を向けてよく見ると振り上げられた足が有った。

 

「無理だね」

 

その言葉の後に踵落としを喰らう。

頭が揺れる。

……仕方ない。

 

「峰打ちで留めておく」

 

片手で薙刀を振るって勝負をする。

井上さんの髪飾りが光っていたがそれは気にしてられない。

 

「ぐえっ……」

 

腹に重い蹴りを喰らう。

昼ごはんが逆流しそうだ。

 

「かあっ!!」

 

気合で斬りつける。

それを有沢さんが腕を交差して受けとめる。

だがまだまだ。

しかし次の瞬間、有沢さんの体がよろめく。

 

「えっ?」

 

素っ頓狂な声を上げると倒れていく。

後頭部を打ちそうだったので支えるように抱え込む。

 

「たつきちゃん!」

 

井上さんが駆け寄る。

渡すが非常に無防備。

片手で薙刀を回して攻撃を防ぐ。

 

「くっ、あの小娘たちもお前も……」

 

焦燥に駆られたような表情だ。

こうなるともう脆い。

勝負は決まった。

 

「『弧天斬盾』、『私は拒絶する』!!」

 

 

その言葉で井上さんからの攻撃が放たれる。

それは相手を真っ二つに切り裂いた。

相手の絶命に際してこちらの肩に有った物も消える。

 

「一件落着か」

 

息を吐き出して安堵する。

誰かを護って戦うのはやはり難しい。

相手が上手く姑息だったからかもしれないが。

 

「英くんも治さないとだめだよ」

 

井上さんに手の骨の部分を治してもらう。

その間に上を見ると黒い穴はさらに大きくなっている事に気づくのであった。




原作では一撃腹部に蹴りを入れてしまうところから、主人公と抗戦する形に変更しました。
精神力で操作から逃れてましたが、学校でなく一対一なら勝負がついていました。
主人公の弱点は誰かを庇いがちになってしまうという点です。

指摘などありましたらお願いします。

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