ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

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ノイトラ戦第2話です。
更木の見せ場を作っていけるようにします。


『一番首 - First Neck - 』

「くそが!!」

 

立ち上がって蟷螂野郎が俺を切り裂こうとする。

三分の一の速度では悠々と受け止められる。

それを受け流すとすぐに懐に入る事ができる。

 

「二撃目!!」

 

蟷螂野郎の胴体を斬り裂く。

首筋に刺した時と同じ手応えで浅いものだ。

元々の体質であるからこそ、影響を受けていないのだろう。

これが霊圧に依存した硬度であればスパスパと小気味よく斬れただろうに。

 

「一度でも傷がつくと脆いものだ」

 

そこからボロが出る。

そうなるとこちらも相手の硬さに息苦しさを考える必要はない。

 

「言ってやがれ!!」

 

そんな言葉を打ち消すように攻撃をしてくる蟷螂野郎。

徐々に大振りになっている。

俺は回避こそしているが風切り音が凄まじい。

当たってしまえばそのまま命を奪えるだろう。

そうでなくとも戦闘不能並の深手を負わせることは明らか。

そして、そんな回避ばかりされている現状にさらに蟷螂野郎は苛立っていた。

 

「たかが人間如きに負ける俺様じゃねえんだよ!!」

 

振り回してくる蟷螂野郎。

受け止めるが力任せな分、後ずさりしてしまう。

それを繰り返すと当然こちらも体勢が悪くなる。

その隙をついてこちらに致命傷を負わせる考えなんだろう。

 

「どこもかしこも戦いが始まったみたいだ」

 

刀を受け止めながらあちこちでの霊圧の衝突を感じる。

阿散井さんと朽木さんが来たな。

全員、死ぬんじゃないぞ。

 

「こっちも攻撃していくか」

 

一旦、解除をして前へ進む。

すると蟷螂野郎の顔に驚愕の色が浮かんだ。

 

「なっ!?」

 

砂漠に深々と刀がめり込んでしまった。

速度がいきなり三倍。

そうなると勢いが段違いに変わる。

そのせいで今の現象が起こったのだ。

 

「亀の体勢になったら終わりだぜ」

 

後ろに回って蟷螂野郎の首に俺の腕を回す。

そして万力のような力で一気に締め上げていく。

蟷螂野郎も一度刀を収めていく。

振り回しても場合によっては自分の腕力と刀で体を斬る事になる。

そうなると無敵の皮膚でも意味をなさないだろう。

 

「う……がぁああああ!!」

 

蟷螂野郎は立ち上がってそのまま砂漠に倒れ込む。

俺を押しつぶすつもりなのだろう。

その瞬間、俺は手を離す。

倒れ込む軌道上に薙刀を出現させてやる。

 

「刺さってしまえ」

 

脇腹に深々と刺さる。

自分の筋力とあの勢いならば流石に防御力を超える。

さっき、俺が首に腕を回した時と同じ考えで正解だったようだ。

 

「畜生が……」

 

立ち上がった蟷螂野郎から薙刀を引き抜く。

血が流れているが関係ない。

この穴を起点に切り裂いて行けばいいのだ。

一気に光明が見えた。

 

「硬度自慢も意味がなくなったな」

 

そんな事を言っていると気配を感じる。

今いる場所から俺は大きく飛び退く。

すると刀の一撃が振り下ろされた。

 

「この野郎……」

 

そう言えば前に交戦した時に、蟷螂野郎を主とか言ってたな。

いきなりの二体一ってわけか。

見事なまでの忠誠心だ。

 

「テスラ……邪魔してんじゃ……ねえ!!」

 

そんな状態で叱ってやるなよ。

こいつが横槍入れなかったら呼吸も整えられなかったんだぜ。

 

「気にするなよ、こいつを殺した後に追わせてやるから」

 

薙刀を従属官に突きつけて言ってやる。

相手はこの俺の殺気に息を呑む。

 

「舐めるなよ……」

 

しかしそう思ったのも束の間。

主を失う恐怖と罰で己が死ぬ恐怖。

前者の恐れが後者の恐れを超えたのか刀を構える。

 

「打ち伏せろ『牙鎧士(ベルーガ)』」

 

その言葉と同時に姿が変わっていく。

猪を思わせる姿へと変わる。

見えた右目には傷が有って隻眼。

一気に巨人ともいえる大きさにまで肉体が肥大した。

しかし、正直変身を見た後でも何とも思わない。

これでは的が大きいだけだ。

尸魂界での激戦に比べればこの程度怖くもない。

 

「それで終わりか?」

 

その言葉と同時に攻撃を仕掛ける。

三分の一の膂力と速度。

横に薙いで脇腹を打ち付けて一気に振り抜く。

その動作だけで相手は吹っ飛んだ。

 

「何……だと!?」

 

大きいならば飛ばないと思ったのか?

甘い考えだ。

ほんの僅かにでも足が浮けば図体の大きさはそれほど意味がない。

 

「もう一丁!!」

 

石突の方で相手を突く。

突き飛ばされた相手はさらに蟷螂野郎との距離が開く。

ゴロンゴロンと砂漠にしては上手く転がっていった。

 

「これで心置きなくやれるぜ、邪魔者」

 

俺はあえて薙刀の能力を解いて挑発をする。

俺のその言葉を皮切りに相手が向かってくる。

 

「遅いな」

 

相手の速度を見て呟く。

更木さんや砕蜂さん、市丸さんや雀部さん、白哉さん。

あの五名に比べたら全然怖くない。

何もかもがあの人たちより劣っている。

それが第一印象だった。

 

「お前の主は三分の一でもお前より速かったぞ」

 

膝裏を蹴って相手に尻餅をつかせる。

不意な一撃と油断。

それが揃えば体勢が整えられない事もある。

 

「くっ!!」

 

立ち上がる瞬間に俺は動く。

相手の膝に飛び乗ってさらに追撃でこめかみを蹴りぬく。

俗にいう『シャイニング・ウィザード』だ。

相手は片膝をついてしまう。

 

「そりゃあ!!」

 

こちらに都合のいい顔の高さに相手がなった。

それを好機と悟った俺は、身軽に動いて足を相手の首に絡ませる。

そして四の字になるようにしてギリギリと締め上げていく。

 

「はあっ!!」

 

相手が力づくでこの状況を打破をしに来た。

まずは立ち上がってきて、俺の頭を掴んで投げ飛ばす。

俺はくるくると回って着地をする。

そして、相手にペースを掴ませないように薙刀の力を発動させる。

 

「喰らえ!!」

 

血が頭に上ったのだろう。

自分の強さが三分の一の状態になった事に全く相手は気づいていなかった。

相手が俺を倒そうと一撃を振るうがこれは無意味なものだろう。

これだけ大きくなった体では小回りも利かない。

それを回避すると相手の脇腹ががら空き。

そこを俺は薙刀の刃で突き刺す。

 

「ぬがっ!?」

 

痛みで相手が僅かにくの字に折れる。

そうすれば顔面がすぐ目の前に差し出されている形となる。

その瞬間、俺は相手の顔面に石突を打ち付けてやる。

そうしたら相手は後ろに倒れ込んでいった。

 

「そりゃ!!」

 

顔面、それも左目に躊躇いなく突き刺す。

この一撃で両目が見えなくなっただろう。

無論、これで終わりじゃない。

肩から片腕を斬りつける。

 

「ぬがあああああ!!」

 

立ち上がって咆哮をあげる相手。

こちらに向かって突進をしてくる。

 

「お前さん、もう終わっているんだよ」

 

平然と俺は佇みながら狙いを定める。

そしてまるでそうする事が至極当然というように一撃を繰り出す。

その一撃は相手の脳天から顎にかけて真っ二つに切り裂いた。

手応えは十分なもの。

 

「えっ……」

 

三分の一の力にしたから、お前の主に優勢に立ち回っているとでも思ったのか?

その考えが甘すぎるんだよ。

こっちも鍛えているんだから霊圧や実力も上がる。

特に魂魄は死にかけが一番上がる要因になる。

あの尸魂界の激戦において数度も死にかけた事が原因だろう。

その結果で生まれた予想外の恩恵。

あの時の俺とは雲泥の差が生まれている。

その確信があるほどだ。

 

「そんな馬鹿な……」

 

それがこの相手の最後に発する言葉だろう。

言葉を発した直後に深々と切り裂いた相手の頭から血が噴き出す。

その勢いは強く俺の顔や服を真赤に染める。

そして徐々に相手の巨体が崩れ落ちていく。

 

「全く…倒す順番が逆になっちまったじゃねえかよ」

 

事切れた相手を見下ろして道を戻る。

これだけ時間が経てば蟷螂野郎も立ち上がっている頃合だろう。

今度こそ俺とあいつの因縁に決着を付けなくては。

しかしその思考も途中で止まる。

大きな霊圧がここに近づいている。

 

「新手か……」

 

折角、蟷螂野郎との決着をつけられると思っていたのにとんだ乱入者だ。

俺は溜息とともに構える。

今から出てくる相手がどういったものなのか?

俺はここで倒れるわけにはまだいかない。

そう、心で念じて最大の警戒を持って臨むのであった。




原作では剣八に一撃でやられたテスラを使いました。
剣八の見せ場はこの新手をぶつけようと思います。
その後は原作に近いので早く空座町決戦にもっていこうと思います。

指摘などありましたらお願いします。
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