ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

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虚圏部分は終わりです。
ブレソルで出ている形態も出せるように生かしていこうと思います。
ゾマリとアーロニーロは残念ですが。


『三つ巴 - Three Violence- 』

ようやく戻ってきた俺。

血を流しながら勝ち誇っている蟷螂野郎。

そこには傷付いた幼女とこれまたボロボロの黒崎と井上さん。

止めないと非常にまずい事になる。

 

「ゾマリとの戦いで気づかなかったな」

 

乱入した戦いで俺の片腕は使い物にならない。

さっきよりは難しい勝負だ。

 

「こっちも同じぐらいのダメージで条件が五分ってところか」

 

そう言いながら接近をする。

蟷螂野郎も俺に気づいて構える。

しかし次の瞬間、割って入る一つの影が有った。

 

「なっ!?」

 

その男はよく知っている顔だった。

最強の死神だと俺が感じた人。

更木剣八が間に立っていた。

 

「そんな片手の奴に務めさせる訳にはいかねえな」

 

片手でもやらないと駄目な相手なんだよ。

俺の仇なんだ。

そっちに入る隙は無い。

 

「人の獲物、横取りしようとしないでくれません?」

 

そう思った俺は薙刀を更木さんの首筋に押し当てて威嚇する。

これだけは絶対に譲れない。

こいつの部下やゾマリ・ルルーならまだ譲っただろう。

 

「てめえ、何人か斬った後だから別に良いだろ?」

 

ギロリと睨んでくる更木さん。

あいつら斬ったからこいつは譲るとか無理です。

他の奴を当たってください。

 

「仕方ねえな」

 

そう言うと更木さんは一歩引く。

しかし次の瞬間、蟷螂野郎の方へ顔を向ける。

そして砂を巻き上げて突っ込んでいった。

 

「早い者勝ちってわけだ!!」

 

そう言うと蟷螂野郎へ攻撃を放つ。

それに反応して蟷螂野郎も動く。

 

「巻き添え喰らっても文句言わないで下さいよ」

 

そう言って俺は蟷螂野郎に向かって駆けていく。

因みにこれは二体一ではない。

単純なバトルロイヤル。

恨みっこなしというわけだ。

 

「オラァ!!」

 

更木さんの一撃を蟷螂野郎が受け止める。

その一瞬で俺は蟷螂野郎の腕を取って持ち上げる。

 

「どりゃあ!」

 

更木さんに向かって投げる。

それを殴って叩き落とすあたり流石だと思う。

蟷螂野郎も勢いのついた投げとその勢いを活かした鉄拳ともなれば多少痛かったようだ。

 

「まとめて殺してやるよ、『祈れ』!!」

 

青痣の出来た顔で激昂しながら刀を掲げる。

息を吸い込んで空に向かって叫ぶ。

 

「『聖哭螳蜋(サンタテレサ)』!!」

 

霊圧の上昇が凄いな。

腕がにょきにょき生えている。

終わった時には傷が完全に塞がっていた。

 

「六刀流か……」

 

流石に3分の1が重複する事は無い。

仮にそうなったら3分の1の六乗だ。

その計算結果は729分の1。

最早、それはそこいらの雑魚虚より酷くなる。

 

「片方、三本ずつあれば問題ねえだろう!!」

 

そう言って俺の薙刀と更木さんの刀を同時に受け止める。

そして追撃の一撃を放ってくる。

それは回避して距離を取った。

 

「流石にお前の皮膚が固くてもやり方はあった」

 

そう言うと俺は再度接近する。

握っている腕に攻撃をして軌道を変える。

六もの腕を同時に動かす。

そこで十分な管理が行き届かないものもある。

 

「それは同じ人物の肉体や武器を使う事だ!!」

 

俺に襲っていた刀の攻撃を薙刀で弾く。

その攻撃は蟷螂野郎の別の腕に当たってしまう。

勢いは落ちずに皮膚へめり込んで、そのまま切り裂いていった。

 

「ぐっ……」

 

実質二対一となって面倒な状況だから生まれた隙。

追撃で俺が薙刀を捻じ込むと、ずぶずぶと刺さっていく。

そうなると内部から抉ってしまえばいい。

 

「一本貰いだ!!」

 

捩じ切るように攻撃を繰り出す。

グルグルと回り、筋肉が傷つけられていき、繊維が断ち切られる。

手首が音を立てながら落ちていった。

これで残りこっちの腕は二本だ。

 

「この野郎が……」

 

斬られながらも耐えている蟷螂野郎。

二人とも三分の一だからな。

その時点で言うほど差は開いていない。

因みに標的を選んだりできるほど器用ではない。

距離さえとってくれれば範囲から外れるんだけどな。

 

「まずは痛い目見てもてめぇを消す、その力が目障りなんだよ!!」

 

更木さんの攻撃に完全ノーガードになって残った五本の腕で俺への攻撃を仕掛けてきた。

各個撃破に踏み切った蟷螂野郎。

当然、その代償は高くつく事だろう。

相手の半身に立てかけるようにして三本の腕の攻撃を防ぎながら跳躍。

跳び膝蹴りを俺は繰り出していた。

 

「最小限にしたつもりだろうが……甘いんだよ!!」

 

顔面に喰らいながらも俺に攻撃を繰り出してきた。

俺は脇腹を斬られてそのまま地面へ叩きつけられる。

砂漠をその勢いのまま転がっていく。

蟷螂野郎も更木さんの一撃で腕を落とされていた。

 

「畜生が……」

 

俺は薙刀を支えにして何とか立つ。

血も流れているし、今の一撃はかなりきつかった。

しかしそれは相手も同じことで蟷螂野郎はもう大半の腕が機能不全となっていた。

再生する暇を与えない程に苛烈な攻めが続いているからだ。

 

「倍返しにしてやるよ」

 

そう言うと俺は一目散に落ちている腕に向かって走り出す。

目的はその腕が掴んでいたものだ。

 

「油断禁物だな」

 

そう言うと俺は薙刀を口で咥えて落ちていた蟷螂野郎の武器で斬りつける。

勢いよく皮膚が切り裂かれて血が噴き出す。

それを離して跳びあがり、更木さんに蹴りを繰り出していく。

バトルロイヤル方式の為、攻撃が乱れ飛ぶ。

刀傷を三人三様つけながら、血を流して戦いに熱中していく。

 

「これで終わりにしてやるぜ!!」

 

蟷螂野郎の筋肉がビキビキと唸りをあげている。

高々と掲げて全力で振り下ろすと宣言しているようだ。

 

「それはこっちの台詞だぞ!!」

 

こちらも全力で横なぎをする構えで呼吸をする。

狙う相手はもう既に見据えた状態だ。

 

「上等だ!!」

 

両手に構えた更木さんもにやりと笑って全力で踏み込む。

そして勢いよく振り下ろした。

 

「がはっ……」

 

蟷螂野郎が血反吐を吐く。

横に薙いだ事で胴体に横一文字に切り裂かれていた。

 

「ぐふっ……」

 

俺は血を口から噴き出す。

右肩から膝にかけて切り裂かれていた。

 

「かはっ……」

 

更木さんは斜めに切り裂かれていた。

右肩から左脇腹にかけてと一番範囲は広いだろう。

 

あの瞬間、全く同時に違った標的に向かって攻撃を繰り出していた。

蟷螂野郎が更木さんに。

俺が蟷螂野郎に。

更木さんが俺にという構図になっていた。

 

全員が血飛沫をあげる。

俺は地面に倒れ込む。

蟷螂野郎もほとんど同時に倒れていた。

結局、更木さんの勝利と言うわけだ。

 

「楽しめたぜ、お前らとの戦いはよ」

 

更木さんがそんな事を言っていると別の気配がやってきた。

あれは化ける十刃だったか……。

なんとか気骨を振り絞る。

 

「気にするな、回収しに来ただけだ」

 

そう言って俺達から通りすぎる。

よく見るとこいつもボロボロだ。

 

「命が有るだけよかったな、ノイトラ」

 

そう言うと蟷螂野郎を担ぎ上げて去っていく。

あいつは喚き散らしていたがどこ吹く風と言う感じだった。

 

「ルキアに構っている隙に逃げられたがどうやら問題は無かったようだな」

 

白哉さんが朽木さんを背負いながらこっちに来た。。

どうやらあいつも死ぬまでやる気は無かったのだろう。

ゆえにお互いに戦いもそこそこに切り上げてしまった。

 

「兄たちは治療をしてもらって速く空座町へと戻るのだ」

 

自分達は死神として残存勢力と戦う必要がある。

しかし故郷を護るのは俺達の仕事。

そう白哉さんが言ってくる。

 

「その通りだヨ」

 

ガラガラと引いている女性の傍を歩く死神。

どうやら涅さんと言うらしい。

斑鳩さんからは一応名前は教えて貰って居たが奇妙な感じだな。

 

「治療を行ってからとしましょうか」

 

女性の死神の方が来る。

凄い霊圧と深さを感じる。

更木さんも恐ろしいんじゃないのか。

瞬く間に治っていく。

数分したら怪我が完全に治った俺は立ち上がって用意をしてくれた穴の方を見やる。

 

「浦原さんの奴よりは安心設計な気がするな」

 

実はあの霊圧の道を安定した形で作れるようにしたのは斑鳩さんらしい。

そう言った所も引き継いで制作をしてくれていたわけだ。

 

「感謝します」

 

頭を下げて俺は黒崎と女性の隊長……卯ノ花隊長と共に空座町へと戻る。

道中で俺が先行して黒崎の霊圧を卯ノ花隊長が回復させていた。

どうか間に合ってくれ。

心の中で念じながら無我夢中で走っていた。




ノイトラ戦決着。
とは言っても今後もまだ因縁は続くといった感じです。
次回からは空座町決戦ですが斑鳩も参戦ですので多分並の奴はボコられるでしょう。

指摘などありましたらお願いします。

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