ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

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リアルが忙しくて更新できてませんでした。
今回であと三話ほどで千年血戦編へ入れるようにしていきます。


『不意打ち - Foul Play -』

あれから十月後。

丁度あの決戦から一年と半年が過ぎた。

今の所、痣城はマユリから『超人薬』を貰って対話をしている。

副隊長達は卍解の実用化にまだ至らないもののあと一歩だろう。

十二番隊の隊士は席官に数えられる程の戦闘力を有した。

想定した期間まであと少しという状態でこれならばまだましか。

妥協とも満足とも取れる感覚だった。

 

「さあ、復習だが雑巾を絞るように固く握ってから力を緩めてみなさい」

 

俺は眠六號に斬術を教えていた。

体術以外の防衛手段を手に入れたいと直訴されたのだ。

鬼道もある程度使えるはずだけどな。

 

「確かこうですね」

 

飲み込みは良かった。

基礎的なことはほとんど一発でやってのけた。

昔に教えても居たが本当にさわり程度の自衛だったからな。

 

「そうだ、そこから振りあげるのは速いが脱力した状態、振り下ろす時は同じく速いが力を込めるんだ」

 

そう言うと眠六號は一拍置いて刀を振り下ろす。

その斬撃は初めて見た時から洗練されて空気を割いた。

自分のあの時の肉体の情報と眠六號自身の成長と鍛錬。

それが女性の膂力では想像できない威力を放っていた。

 

「素晴らしい」

 

浅打でありながら副隊長の始解と同格の一撃。

しかも余力を残している。

 

「ひよ里さんに稽古つけてもらうわけにはいかないがその状態は維持しておきなさい」

 

元々はマユリの補佐。

其れの空いた時間にこういう事をしている。

 

「自衛手段としては合格ですか?」

 

無論合格だとも。

副隊長と同格。

それが今のお前の時点だ。

更に卍解を有している現状。

 

「マユリの許可が無ければ前線に出る必要は無いからな」

 

今回、想定した相手は強い。

其れこそひよ里さんが死ぬかもしれないと思えるほど。

俺はあの人が死ぬ事にも、お前が死ぬ事にも耐えられはしないだろう。

あの人は心から愛した人。

そしてお前は俺が誠心誠意を込めて育てた子。

今までの『眠計画』の一號から五號には申し訳ない。

だがお前とはこの世に生を受け、百年以上も共に生きた。

情も移って当たり前。

 

「はい」

 

この言葉の真意を理解したのだろう。

真剣な眼差しで頷く。

 

「戦闘部隊の錬磨に行ってくる」

 

そう言って隊舎に送り届けた後に再び出かける。

彼等の実力は上がっている。

高い奴で席官一桁並みのものも居る。

末席から差はあるが問題ない。

 

「全員一丸でやればいいんだから」

 

そう言って俺は道場に入る。

ひよ里さんに鍛えられて逞しい奴らへと育った。

いや、俺も貢献したのだが。

 

「三席、お手合わせお願いします」

 

そう言ってくる。

ひよ里さんに目配せをする。

流石に毎度毎度手を差し伸べはしないようだ。

 

「分かった」

 

そう言って卍解を使う。

能力こそ使用しないがその強力な一撃を相手にどう立ち向かうのか。

敵は出し惜しみしてくるとは限らない。

こういった形も必要なのだ。

 

「くっ!!」

 

こちらが薙いだ一撃を防げず飛ばされていく。

跳躍が無理。

伏せたとしても危ない。

とは言っても真正面から受け取るのは間違い。

回避できないのであれば鬼道を使えばいい。

 

「終りだよ」

 

飛ばされた相手の頭を掴んで叩きつける。

既に刀は収めている。

呻いている相手は亀の体勢。

 

「そんないい場所に首を見せるな」

 

ひゅるりと首に腕を絡ませる。

細腕ではあるが絞め落とすのには十分だ。

ツボを押さえるようにしめあげていくと僅か時間にして3秒。

其れだけで相手は力を無くして白目をむいていた。

 

「次は誰が来る?」

 

そう言うと数人が挑む。

しかし結果は同じ。

多少は動きを見抜くが経験の差でこちらに軍配が上がる。

 

「で、次は?」

 

そう言うと踏みだす影が二つ。

戦闘部隊筆頭の男女の二人組。

『小豆沢実幸』と『枝宮豆吉』。

なかなか筋がいい。

 

「二人がかりで来い」

 

こっちも二人で行くから。

そう言って視線を向ける。

仕方ないなという感じで立ち上がる。

 

「こいつが卍解するから外に出てやるで」

 

指示ばかり飛ばして大したことなさそうって顔してる。

その感覚はのちに恐れを抱く事になる。

そして後悔するのだ。

 

「お先にどうぞ」

 

そんな事を言うものだからひよ里さんが先制攻撃を仕掛ける。

その速度に面食らった枝宮は何とかして防ぐ。

だがそんな一度防いだ程度で攻撃はやまない。

二度、三度打ち付けていくひよ里さん。

 

「ぐぐぐ……」

 

膂力があるから余裕だと思ってたのだろう。

しかし今の状況はどうだ。

ひよ里さんが圧倒的に押している。

 

「で……こんなにも隙だらけの俺に何故打ち込まない?」

 

ニヤリと笑って小豆沢を見る。

その笑みで確信したのだろう。

肩を竦めておどけるような口調で返してきた。

 

「踏み込んできたら抜刀の一閃で終わらせに来たでしょう」

 

ご名答。

この間合いで居合をすれば確実にとらえられる。

 

「真っ向勝負はこちらとしては避けないといけません」

 

そう言うと小豆沢は両手を下にかざして鬼道を唱えた。

やり方は悪くないが失敗している。

ここで組んでいる仲間を見失うのは悪手だ。

霊圧の大きさを調節して感知を鈍らせる事は出来るんだからな。

 

「『赤煙遁』」

 

小豆沢が目の前で煙を発していく。

その間に距離を取るようだが、感知には引っかかっているぞ。

何がしたいのか考えていると殺気が後ろから押し寄せた。

 

「かあっ!!」

 

後ろから枝宮の声が聞こえる。

成程、『曲光』で姿を消していたのか。

確かにこれは効果はある。

だが俺は今にも喰らうというのに穏やかだった。

何故ならば……

 

「なんでそこに……!?」

 

肉を斬る音ではなく甲高い、刀同士がうちつけられる音。

手応えが無い事に驚愕する小豆沢。

あいつの目にはひよ里さんがいきなり現れたように見えたのだろう。

後ろに下がった小豆沢の刀を受け流して跳躍。

そしてここまで距離を稼いで落下。

単純明快な動きをしただけだよ。

 

「あの程度、自分でなんとかせんかい」

 

ひよ里さんは防いだ後にこっちに首を向けながら言ってくる。

なんとか出来たのは否定しない。

鬼道で吹き飛ばせばよかったのだから。

 

「防いでくれるって信頼していたんですよ」

 

だからひよ里さんを頼りました。

言葉を交わさなくても互いの危機が察知できる。

そんな間柄なので。

 

「全く……そんな心づもりやったら死ぬで、お前」

 

ひよ里さんが頭を掻きながら言ってくる。

すいませんでした。

そう言おうとした瞬間、びりっと背筋に感じるものがあった。。

 

「『赤火砲』」

 

俺はひよ里さんの方を見ずに鬼道の一撃を放つ。

その一撃は小豆沢に当たって吹き飛ばす。

その隙に俺達は体勢を立て直した。

 

「お互いに見てもないのに防げるのか……」

 

虫の知らせってものだ。

お前らがその数か月でお互いを理解できていたとしてもその程度は無意味に等しい。

そんなお前らの何倍もの期間、俺達は分かり合ってきたのだから。

 

「こうなったら……」

 

そう言ってひよ里さんの方へ二人がかりで襲い掛かる。

しかし次の瞬間……

 

「お前ら……甘いわ!!」

 

跳躍すると両足で小豆沢の頭を挟み込んで投げ飛ばす、

そのまま枝宮にぶつけると枝宮は衝突した事でよろめく。

その枝宮に対してひよ里さんは飛び膝蹴りを喰らわせる。

そのまま枝宮は昏倒してしまった。

顎に綺麗に当てられたのだろう。

 

 

「呆けてる暇ないで!!」

 

ひよ里さんはさらに追撃の為に飛びかかって、小豆沢の首に足を絡ませて締めあげていく。

そのまま小豆沢は体勢を崩していき、徐々に抵抗できなくなっていく。

数秒もしたら絞め落とされていた。

結果としては全然白熱もしなかったというわけだ。

 

「まあ、はねっ返りたちが俺達に勝つのは無理でしょう」

 

二人がかりで勝つにも格が違う。

運んでいくが駄目なもんだ。

喧嘩売ったり戦う相手は選ばないと。

お前らが何年居るか分からないが死神としてはかなりの練度を誇っているんだからな。

 

「まあ、伸びてきたのは認めたるか」

 

そう言って小豆沢を背負うひよ里さん。

俺が枝宮を背負い、十二番隊舎へと帰っていくのだった。

そして浦原からの連絡が届く。

遂に黒崎君の状況の最終段階に入ったようだ。

 

「少しでも骨がある奴と戦いたいね」

 

それだけ言って空座町へと向かう。

すると後ろから足音が聞こえる。

何だ、お前らも行くのかよ。

 

「好かれてるねえ、黒崎君は」

 

頭を掻きながら俺は降り立つ。

精神的に打ちのめされたのだろう。

ちょっとおいたが過ぎる奴らだな。

 

「『五龍転滅』」

 

その強力な鬼道を見て井上さんと茶渡君が盾と一撃で防ぐ。

成程ね、この霊圧の干渉具合は操られてる。

あの優男の霊圧が感じられるからな。

 

「邪魔するなら容赦しないよ」

 

俺には勝てない。

其れでもいいんだね?

目で威圧する、それと同時に皆が到着してきた。

それを見て優男が接近して二人に何かを吹き込む。

そしたら二人とも震えだすので……

 

「はっ!!」

 

霊圧の威圧で気絶をさせる。

その動きを手を叩いて賞賛する。

 

「素晴らしいね、君の名前を聞かせて貰え……!?」

 

その言葉に対する返答をせずに踏み込む。

相手はその動きに驚愕をしているが知ったことではない。

 

「外道に名乗るつもりはないし、名乗らせるつもりもない」

 

俺は有無を言わさずに抜刀して斬りかかるのだった。




一応鍛錬は完了。
この話が終わっていくと徐々に千年血戦編になります。
そこで強化フラグ、および死なない敵陣営、原作ではいなかったはずの味方なども出てきます。

何か誤字等、指摘点がありましたらお願いします。
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