ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

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今回は第一次侵攻を描いています。
第二次侵攻からどうなるのかを今は考えています。


『幕開け - Open The Cartain -』

一番隊隊舎に向かっている間に滅却師を見かける。

まさかこんなにも早く侵略をするとは予想外にもほどがある。

そいつらに向かって俺は鬼道を放つ。

無論九十番代の強烈なものだ。

 

「ぬっ!?」

 

気づいた相手が何とか回避するも遅い。

こいつらは所詮は尖兵。

俺は刀を抜いて頸動脈を狙って切り裂きに行く。

 

「むっ!!」

 

俺の腕に伝わってきたのは、妙に筋張った筋肉を斬ったような手応えだった。

これが単純に硬いと思う手応えならば、首筋の筋肉が頑強だから防いだと結論付けただろう。

しかしこの妙な手応えから得たのは、滅却師の技術を駆使して止めたという確信だった。

斬撃を浅い所で止めていた滅却師がこちらに攻撃を仕掛けようと弓を構える。

 

「尖兵程度と侮ったら痛い目を見そうだな」

 

その技術を加味して切り裂かないと。

今みたいな反撃の機会を与えてしまうからな。

この人数だし、情報が欲しいから次の一手は決まった。

 

「悪いがお前らを捕虜にさせてもらうぜ」

 

弓矢を打つ事も出来ない俺の鬼道を見舞ってやろう。

そして捕虜になった暁には、自白剤を嫌というほどぶち込んでやる。

ありとあらゆる同胞相手には試せないような実験に使ってやる。

肉片どころか細胞一つ残らず、尸魂界の発展の為に提供してもらおうか。

 

「『寒晒』」

 

周囲の空気との凍結。

それが徐々に足元から侵蝕していく。

数十名いた滅却師が氷像へと変貌していく。

 

「はっはあ!!」

 

相手の中でも上位の存在。

そいつが進軍していやがるのか。

何人かはすでに殺されている。

 

「『卍禁』!!」

 

死覇装を広げて上位の存在に投げつける。

それは相手を縛り付けていく。

軋む音が聞こえているのは相手の強さを表しているのだろう。

 

「霊圧が強くなった……」

 

致命傷の隊士を治療していく最中、若くない者や深い者が数名命を落としていく。

すると徐々に軋む音が大きくなっていく。

つまりこいつの能力は敵を殺害するほど強くなるという訳か。

このような戦争では加速度的に強さが増す厄介な能力だな。

 

「うぅ……」

 

呻いて起き上がった隊士の肩を叩き、総隊長と副隊長に通達するように伝える。

こちらの想定よりも一手速かった。

しかしこいつらぐらいの数ならば問題ない。

 

「はっ!!」

 

軋んでいた拘束が壊れてしまう。

相手はこちらに視線を向ける。

そして次の瞬間……

 

「壊れろよ!!」

 

近づいてきたかと思ったら大振りの拳で氷像となっていた滅却師たちを砕く。

すると相手の霊圧がまたもや上昇した。

 

「敵味方問わずかよ……」

 

予想と違って溜息をつく。

一体残らず塵になる前に相手の拳を掴む。

貴重な実験体であり捕虜をやられても嫌だからな。

 

「相手を見ろよ」

 

投げ飛ばして距離を取る。

相手は背中を強かに打ち付けるがあまり効いていない。

これもおよそ技術を使って、衝撃を緩和しているのだろう。

……それを差し引いてもかなり強靭な肉体のようだが。

 

「……流石に刀使うか」

 

出し惜しみというよりは警戒。

其れゆえやる気はなかったが始解程度ならば問題はない。

そう勘ぐって『年輪』を抜いた。

 

「俺を切り裂けると思うな!!」

 

そう言いながら相手は矢を打ってくる。

それを軽やかに俺は避けていく。

 

「その程度でいい気になってんじゃねえぜ!!」

 

さっきの倍以上の数を一斉に放ってくる。

量があれば通用するなんて浅はかな考えだな。

考えるのが苦手な系統の幹部だろう。

すぐに決着をつけた方がいいな。

 

「甘い」

 

そう思った俺は矢を斬り払い接近する。

外部に相手が結界のように張る。

防御はしっかりしているようだが……

 

「無意味」

 

『廃炎』を胸元にあった義骸に喰らわせる。

黒く焦げた腕をずるりと引き出す。

不気味な光景に相手は警戒心を剥き出しにする。

 

「これで終わる」

 

俺が投げ飛ばしていくと相手は掴んでいく。

その瞬間、指を鳴らす。

放つのは犠牲鬼道である『一刀火葬』。

相手は危険を察知して防御の結界を張るもその内部で火柱が上がる。

そしてその威力で結界が破られていた。

 

「よくやった、私も加わろう」

 

雀部副隊長が到着した。

突けば倒せるほどの相手。

其れだというのに嫌な予感がした。

 

「私の卍解で塵に還そう」

 

そう言って肩に手をかける雀部副隊長。

まさか完全に情報の共有がされていないのか?

あの時居なかったとは言え、総隊長が既に伝えているものだとばかり思っていた。

俺はそれを止めようと言葉を発する。

 

「いけません、卍解は封じるように……」

 

しかし声を出すのが一瞬遅かった。

解放されるかと思われた瞬間、相手が死に物狂いで取り出したものに卍解が奪われていく。

それは相手の一手を知ると同時に絶望感を募らせるものだった。

 

「なんて事だ…」

 

卍解の解放については警戒してくれと総隊長には伝えた。

しかし雀部副隊長にその連絡は至らなかったのだろう。

 

「喰らっていろ!!」

 

俺達が二人とも雷の餌食となる。

奪われた力が牙をむいて襲い掛かっていた。

俺は体が痺れているがまだ戦える。

 

「長次郎!!」

 

総隊長が来るがもはや手遅れ。

最悪の事態となった。

一撃は軽いものの何度も落とされるとしんどい。

どうやら完全に再現できるわけではなく相手の技量に左右されるようだ。

 

「副官さんは死んでろよ!!」

 

相手が強大の雷撃を雀部さんに見舞う。

それを何度も何度も絶え間なく。

俺が避雷針代わりに刀を上にするも効果は薄い。

徐々に喰らう回数が増えているし、俺も少なからず消耗している。

 

「仕上げだ!!」

 

そう言って相手が手を振り下ろすと目がくらむ雷撃が二発。

俺は体が痺れて皮膚が焼けていた。

俺は意識を保ちそれほどひどい損傷はなく立ったまま、相手を睨む。

しかし俺よりも焼かれてしまった雀部さんは息も絶え絶えに総隊長へ謝罪しながら息を引き取った。

あまりにも呆気ない死に哀しみと苛立ちを覚える。

忠告を守ってくれれば、伝えてくれれば防げた死。

 

「次はあんただ、総隊長さんよ」

 

そうは言うが俺が立ちふさがる。

しかし、総隊長が俺の肩に手を置いて押しのけて相手の前に立った。

その触れた手はとても熱かった。

内に秘めた怒気を表すように。

 

「やってみるがいい、小童風情が」

 

そう言って抜かれた『流刃若火』。

相手は雀部副隊長の卍解を奪って良い気になっていたのだろう。

にやにやと笑って雷撃を落としていく。

幾度となく落とされるも無防備に受ける総隊長。

その背中は大きく視線は雀部副隊長に向いていた。

 

「お主の耐えがたい悔しさも無念もよく分かるぞ、長次郎」

 

総隊長はそう言うと徐々に腕を上げて構えていく。

その腕が上がりきった時、相手は死ぬのだろう。

その確信が確かにあった。

 

「護廷の同士を痛めつける為にある力でなく、悪逆打つために錬磨したお主の卍解……」

 

炎を纏った刀はゆらゆらと松明の様だった。

そして陽炎のように総隊長の姿が揺らめき始める。

その秘められた熱が如何ほどのものか推し量るべくもなかった。

 

「この程度では断じてない!!」

 

怒りの斬撃が相手を二つに割きながら焼き尽くしていった。

それは骨のみを残していく。

その火が消えた時、敵陣営もいつの間にかいなくなっていた。

氷像となった幾らかの人数は自白用の捕虜だな。

あるいは爆弾に変えよう。

ここまでやられて清廉潔白な戦をするつもりは毛頭ないからな。

 

「隊葬の用意をしてくれんか?」

 

総隊長のその言葉に頷いて、俺は即座に雀部副隊長および一番隊隊士の隊葬を行った。

その後に総隊長からの命令で、当事者の一人である俺が緊急の隊首会を行う旨を通達。

完全に滅却師と死神の全面戦争の火蓋が落とされたのであった。




長次郎は原作と違って不確定要素ゆえに通達が無くて、使って死亡といった形にしました。
敵を完膚なきまでに倒すという護廷十三隊を全うする。
そのような気構えがきっちりしすぎたのが仇となった感じです。
その代わり、原作と違って敵の奪い方の仕組みを見させた分、功績具合は明らかに凄まじいです。

指摘等ありましたらお願いします。
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