ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

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今回は後半で第2部主人公を出してます。
茶渡や織姫もいて出さないのもおかしいと思ったので。


『頭領 - Top -』

ほどなくして全ての隊長が集まる。

珍しく更木もいた。

おおよそ卯ノ花隊長に釘を刺されたのだろう。

俺は今回の当事者の為、同席を許された。

 

「皆さん、貴重な時間をいただき申し訳ない」

 

俺の同席というのが異例。

其れであるがゆえに皆が真剣な眼差しでこちらを見る。

 

「この度は滅却師の侵攻により一番隊隊士および席官が五十一名、そして雀部副隊長が殉職されました」

 

その言葉に皆が固唾を飲む。

強さで言えば上位に位置するであろう副隊長の死。

其れも一番隊とあれば尚更だ。

 

「今回は相手は『卍解の簒奪』が可能であり、奪ったものをこちらに使用したのも確認されています」

 

体験した内容を話す。

そんな真似が可能なのかとため息をつくのもちらほら。

一名だけ卍解もできないのでどこ吹く風ではあるが。

 

「奪われたのはお二方のいずれかという事ですか?」

 

卯ノ花隊長がそう聞くが首を振る。

すると皆が驚いた顔をする。

まさか雀部副隊長が卍解をできるなど想定していなかったのだ。

 

「予測したのが昨日、忠告したのは本日、その後に外部協力の取り付けから帰還したら鉢合わせ」

 

それは相手の実行速度の速さの裏付け。

今後の相手の予定を聞きこむつもりだ。

 

「しかし卍解を使用せずに戦うなど不可能に等しいのでは?」

 

素朴な疑問を言うのは狛村。

確かに相手の上位にもなれば始解と鬼道でやっても苦しい。

今回敢えて言える事は……

 

「虚の霊圧でもあれば奴らの毒な為それを無効化できる」

 

しかしそれで無効化できても一抹の不安が頭をよぎる。

あまりにも見せびらかしていた。

まるでこれを壊しても問題ないと言わんばかりに。

 

「相手の奥の手はそれだけだと思うカネ?」

 

マユリの問いに俺は首を振る。

相手に備わった能力の発展は確実にある。

それは確信できた。

 

「およそ幹部には特殊な力を与えられている、それが我々の始解と仮定すれば……」

 

相手は敵味方問わずの殺害で強化されていた。

同等の強力な力が備わっていると思うのが筋だ。

 

「無論卍解に相当するものがあるだろうな」

 

浮竹隊長が言ってくるので頷く。

おおよそ、前回尸魂界に旅禍としてきた滅却師の石田雨竜。

彼がマユリに見せたもののさらなる進化系を想定しても良いだろう。

 

「今後自白させていき相手の次の襲撃の日時を即時通達いたします」

 

そう言って隊首会を終える。

直ぐに十二番隊に戻らないと。

自白後には改造で爆弾にしなくといけない。

 

「マユリ、滅却師どもを自白させたら爆弾にするから手伝ってくれ」

 

そう言うとにやりとマユリが笑う。

そこまでするのかと言いたげな目。

全てを尽くしてこの場所を守れるようにしないと。

 

.

.

.

 

ところ変わって虚圏。

黒崎一護や井上織姫、茶渡泰虎。

そして三人を誘ったネリエルとペッシェが降り立つ。

数日前から滅却師の侵攻を受けるも現在に至るまで完全制圧されてはいない。

 

制圧されていないその原因は前述の5名が虚圏に到着するよりも前に遡っていく。

虚圏に立つ男の名前は英。

1年半前にここで仇であるノイトラ・ジルガと交戦。

決着がつかなかったので鍛え直して再戦の為に赴いた。

 

「決着の為に来たはずが……」

 

本来見ないはずの人の数。

格好を見るに死神ではない。

滅却師が消去法として考えられる。

 

「なんで今更侵略するんだ?」

 

これだけの人員と幹部が居れば、もっと速くに行動に移しても不可能ではない。

其れこそ破面になる前、藍染さんが動くよりも前でも。

それでも今動いたのにはきっと明確な理由があるはずだ。

 

「こんな相手を倒さないと目的は果たせないのか」

 

因みに黒崎が苦しんでいる時も尸魂界に籠っていた。

その間も組手をしていたから鈍っていないだろう。

自分があの場に居たら確実に手駒にされていたかもしれない。

そんなきな臭い予感が相手からしていたのだ。

 

「獲物を横取りされても困るんだよな」

 

恨みはないがこちらの事情で相手をする。

譲ってくれそうにもないだろう。

 

「貴方がた、どうしてここに?」

 

俺は滅却師の肩を叩いて呼び掛ける。

相手もまさか人間がいるなんて予想できていなかったのだろう。

 

「無論侵略のつもりだ、我らは全ての虚を捕らえる、そして滅ぼす」

 

一応の確認だったが相違ない。

これじゃあ、こっちの目的まで瓦解するだろう。

まだ始まっても居ない事だがやむを得ない。

 

「俺が邪魔をしたらどうしますか?」

 

薙刀を向けて聞いてみる。

すると相手も射るような眼差しで弓を番えた。

それだけで開戦の合図だろう。

 

「危険分子として排除せねばなるまい」

 

そう言って弓矢を放つ相手。

連射してくるがこれは問題のない攻撃だ。

速度ならば今まで戦った相手に置き換えれば怖くもない。

 

「はあっ!!」

 

俺は薙いで攻撃を打ち払う。

そして人差し指と中指を相手に向ける。

 

「『白雷』」

 

相手に鬼道が当たる。

其れで痺れたのだろう、相手の動きが止まってしまう

戦いでは一瞬でも動きが止まれば致命傷。

相手の顎に石突の一撃を加える。

顎から脳を揺らされた相手は動きが止まってそのまま地面へと倒れ込んだ。

 

「流石に殺す気はない、峰打ちだ」

 

昏倒した相手を見て一言。

それを見た滅却師がこちらに向かってきた。

 

「多勢に無勢は困るね……『赤煙遁』」

 

赤い煙を発して俺はそれに紛れていく。

これは尸魂界に籠って手に入れた鬼道だ。

これ以外にも幾らか覚えている。

 

「小癪な真似を!!」

 

向かってくる相手を確認。

相手の弓矢の速度は速いのだが煙を晴らす程度。

目が高速戦闘に慣れた。

避けるのは造作もない。

 

「かあっ!!」

 

一気に接近して切り裂く。

薄皮を割く程度。

しかし衝撃と痛みで相手は倒れ込む。

 

「ふっ!!」

 

ぐるりと薙刀を一回転させて他の滅却師を一気になぎ倒す。

その一撃で五名は倒れ込んだ。

意識はもはやないだろう。

仕留めそこなった相手に近づいていく。

 

「たかが一人に何を手間取っている」

 

威厳のある声が響く。

その瞬間、兵士たちが跪く。

途轍もない霊圧が降り注ぐようだった。

 

「青年よ、何故我らに牙をむく?」

 

見下ろす者の正体を見た瞬間。

俺は指を向けていた。

それをした理由は危険度。

あの藍染さんを凌駕する恐怖が背筋を伝ったからだ。

 

「雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に別つ 縛道の六十一『六杖光牢(りくじょうこうろう)』!!」

 

六の光の帯が相手を捕らえる。

それを見て滅却師からの怒号が飛んでくる。

傍に居て麻痺でもしているのだろう、もしくは盲信か。

毛穴が開いて冷や汗が出始めてきたほどだ。

 

「恐怖を感じたからこそ、質問に答えるにせよ無力化したかったのであろう、健気なものよ」

 

喰らっていながら平然とする。

罅が入る鬼道。

霊圧の差が生んでいる状況なのだろう。

 

「こっちにも獲物はいる、殲滅や侵略されるのは個人的な理由で困るから牙をむく」

 

見据えてこちらの理由を言う。

それを聞くと相手は髭を撫でて微笑んでいた。

既に一本の帯が砕けていた、その隙間から抜き出したのだろう。

 

「こちらも降りる事は出来ない、そちらも譲れないのであれば……戦うしかあるまい」

 

そう言って相手が降りてくる。

眼前にするとさらに恐ろしいな。

だがそれを押しのけてこそ意味がある。

呼吸を整えて構えていた。

 

「陛下の手を煩わせる必要はありません」

 

するとそれを遮るように立ちはだかる滅却師。

陛下と呼ばれた滅却師も微笑んで肩を叩いていた。

 

「私自らの手を汚させないとは大した忠誠心だ、やって見せろ『蒼都(ツァン・トゥ)』」

 

そう言われて弓を番える滅却師。

名前を呼ばれている事と雰囲気の差。

この相手は幹部と見て問題はないだろう。

 

「不敬を働いたお前を即座に死なせてやろう」

 

相手はそう言いながら矢を放つ。

回避は出来るがさっきの相手より段違いで速い。

幹部と下の差が大きすぎると感じてしまうほどだ。

 

「懐に入らせてもらうか」

 

俺はそう言って走って近づく。

相手が的を絞れないように体を忙しなく動かす。

無論、頭や胴体は厳重に防いでいる。

相手は其れゆえ足元を狙ってくるだろう。

しかし動いている的でなおかつ小さい箇所。

 

「当てられないな…!!」

 

相手が放ちながら歯をきしらせて呟いている。

これは流石に予想できただろうに。

俺の打開策なんて弓矢を引く隙も無いほどの接近。

或いはこちらの射程距離に入るか。

其れだけでしかなかった。

しかし、それを達成した場合は相手は攻め手が欠ける。

 

「だからこそ……」

 

俺は回避を続けて相手の懐に地を這うような姿勢で潜り込む。

そして薙刀が唸りをあげる。

相手の正中線を切り裂く強烈な一撃が放たれる。

 

「無駄だ、こちらの聖文字の『I』に生半可な攻撃は通用しない」

 

そう言った瞬間、手応えはあるが硬さを感じる。

これは久方ぶりの感触だった。

鋼の皮膚つまりは『鋼皮(イエロ)』を斬った時と同様のもの。

 

「確かに硬いがこの程度ならば……」

 

あいつの皮膚の方が硬かった。

或いはあれから強くなったがゆえに、難なく切り裂く事が出来るようになったのか。

いずれにせよ相手に薙刀がめり込めばやる事は一つだ。

 

「まずは一撃」

 

俺はそう言うと薙刀を振り切って、相手の皮膚を斬り裂いた。

地面に向かって相手の流した血が滴っていく。

 

「言っとくが鋼の硬さは斬った事が有るんだよ」

 

だからその程度なら負けないぜ。

相手はその態度に苛ついたのだろう。

俺はそんな事を気にせずに、相手の顔面に向かって手をかざす。

 

「破道の三十二『黄火閃(おうかせん)』」

 

広範囲の衝撃波が相手に迫る。

威力よりも牽制の意味合いが強い。

相手は防御力に自信があるので回避もしない。

その慢心ともいえる姿勢を逆手に取って行動している。

 

「うっ!!」

 

まともに衝撃波が当たった相手は一瞬の間、息が出来ない。

その為に空気を求めようと呼吸の為に口を開ける。

それが俺の狙い目とは知らずに。

 

「内部まで鋼鉄じゃないとしたら……」

 

俺は相手の口の中に突き刺す。

皮膚に比べると随分と柔らかい手応えだった。

前歯を圧し折るように押し上げる。

相手の眉間から薙刀の刃が出てきて顔を大きく切り裂いた。

 

「くっ……」

 

膝を付いて痛みに呻く相手。

血が口からだらだらと流れている。

 

「降参しないとあんた死ぬよ」

 

内部ならいくらでも壊しようがある。

陛下と言われた人は見降ろしているだけだ。

 

「舐めるな……」

 

そう言って立ち上がってくる。

相手の霊圧が上がっているのが分かる。

何かしらの奥の手だろうか?

しかし……

 

「遅い!!」

 

俺は待たずに相手に攻撃を繰り出した。

相手の肩を切り裂いて霊圧の上昇を止める。

 

「何もせずに立っていてくれるとでも思ったか、そんな甘い男じゃないぜ」

 

相手が憎しみに満ちた眼差しを向けてくる。

こちらへ手をかざして霊圧が集中する。

止めようとしたら片手を地面へ向けていた。

 

「ふっ!!」

 

地面を矢で吹き飛ばす。

だがそれは目晦ましにしかならない。

煙は風で晴らせばいい。

 

蛇勁爪(シェジンツァオ)!!」

 

そうはさせまいと間髪入れずに攻撃をしてくる相手。

鉤爪から蛇のような霊圧を撃ちだしてきた。

回避と打ち払いで無効化する。

おおよそ人間に負ける訳が無いと思って慢心していた。

それがこうも劣勢に立たされたから苛立ちや焦りで大技を出したのだろう。

そんな心で打っても半分の力も発揮できずご覧の有様なのだが。

 

「くそっ!!」

 

悪態をつく相手。

その隙を逃すまいと俺は一気に接近をする。

 

「はっ!!」

 

顔面全体を強く打つのではなく、頬をなぞるように局所的に斬撃を繰り出した。

鋼の皮膚であれど関節の感触は十分に感じられた。

 

「この程度の斬撃で……」

 

離れた俺を見ながら口角をあげて呟く相手。

しかし次の瞬間に、ガコンと音がなって相手の顔に変化が生じた。

 

「なっ!?」

 

顎がいとも簡単に外れて口が半開きになる。

相手は驚く。

鋼鉄と言えど関節が溶接されるわけではない。

縫い目に沿うように攻撃をすれば今のような現象は起こってしまうのだ。

 

「他愛ない一撃と思ったのが落ち度だ」

 

そう言って俺は再度接近していく。

相手は驚愕を浮かべたまま、一瞬動きが硬直していた。

今の一撃で外れた顎によって開いた口に俺は手を突っ込んでいく。

 

「蒼火の壁に双蓮を刻む 大火の淵を遠天にて待つ、破道の七十三『双蓮蒼火墜(そうれんそうかつい)』!!」

 

本来は火柱が上がる攻撃。

それが体の喉から爪先にかけて放たれる。

その一撃を喰らった相手は目を見開いていた。

 

「がはっ!!」

 

盛大に煙を吐き出す相手。

こうなってしまうのも無理はないだろう。

なんせ体の中に鬼道が入っていったのだから。

構造が一緒であれば内臓も焼けているのだから致命傷に他ならない。

 

「今度立ったらあんたは死ぬぞ」

 

いくら手心加えようとも既に棺桶に足を突っ込んでいるほどの重傷。

次の一撃がそのまま命を絶つ事になるだろう。

しかも相手の変化を待つ気もない。

 

「ほざけ、貴様をやらねばどちらにせよ粛清だ」

 

息も絶え絶えに睨み付けてくる相手。

それほどの覚悟であれば仕方あるまい。

俺は動けなくなった相手に薙刀を振り下ろした。

 

「眠れ、永遠に」

 

そう言って大きく袈裟斬りする。

相手の最期の皮膚は鋼鉄ではなく人の柔らかさであった。

血を噴き出してそのまま倒れ込んでいく。

地面にじわじわと沁み込んでいった。

 

「……止まらないならこうするしかないんだよ」

 

俺だって見逃して殺される危険を背負う気はない。

相手は徐々に眼の光を無くしていく。

そしてそのまま力が抜けていき、死んでいった。

止めていたなら拾えた命。

それを捨てるほど恐ろしいのだろう。

 

「見事だな、人間よ」

 

手を叩きながら陛下と呼ばれる男が賞賛してくる。

しかしその目は笑っていない。

戦った相手から立ち昇る霊圧が吸収されている。

 

「だがこれは看過できることではない」

 

手をあげた瞬間、全方位から囲まれる。

ここで俺を倒そうという腹積もりか。

俺が構えようとしたその時……

 

「ぐわっ!!」

 

水の斬撃が滅却師を切り裂いた。

この技が出来るのは破面ではただ一人。

俺はその方向を見た。

 

「侵略者の報を聞いたが既に交戦済みとはな」

 

そこには『第3十刃』であるティア・ハリベルが立っていた。

あれから磨き上げられた霊圧に感嘆する。

皆強くなっているのだろう。

そんな事を考えていると今度は虚閃の銃弾が降り注いだ。

 

「こっちとしては見過ごせないねぇ」

 

『第1十刃』であるコヨーテ・スタークが服をはためかせて浮いていた。

今の銃撃で多くの滅却師が致命傷を負っている。

滅却師には虚の攻撃が効果的なのだろうか?

そんな事を考えていると、ついに相手の首領が動き始めた。

 

「流石にこの手練れ共が相手となれば私が自ら出ねばなるまい」

 

ゆらりと優雅ともとれる所作でもう一度眼前に来る。

霊圧の差は感じる事は出来るが、この三人がかりでも歴然ともいえる。

しかしそれでもやらねばならぬ。

その精神を芯として強大な相手と相まみえるのであった。




日番谷の卍解簒奪は別の奴に任せます。
或いはZが居るのでどうとでもなります。
相変わらず強い奴との勝負しかできない英。
ちなみに原作と違って生きている破面はまだまだ居ます。

指摘等ありましたらお願いします。
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