ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

88 / 103
長くなったので分割して2話にしました。
斑鳩の瀞霊廷第一次侵攻を書きます。
原作では来てなかったであろう奴を出しています。


『血戦 - Blood War - 』

あの緊急隊首会から何日か経った頃。

何時、滅却師どもが攻め込んでくるのかと緊迫した空気を保つ瀞霊廷。

そして、そんな緊迫感と静寂を破るように奴らは現れた。

 

「霊圧はそんなに多くはない、全てが幹部級と見て問題ないな」

 

そう言って口角をあげる。

今までこんな相手を爆弾にといった行為はをしてこなかった。

奴らに終わりを告げるために如何なる手も使うと決めたが故の行為である。。

 

「十二番隊は任せましたよ」

 

俺はひよ里さんに言う。

ひよ里さんは感じ取っている。

これが別れになる可能性がある事を。

顔を見るとわずかに強張っていた。

 

「藍染、お前の役目を果たしてくれ」

 

市丸と東仙は既に向かっている。

どうか死者を減らしていくしかあるまい。

 

「とにかく、宣戦布告にはこいつで返事しとくか」

 

俺は指を鳴らす。

すると轟音が鳴り響く。

それは滅却師を素材とした爆弾。

壊滅的な損害を与える為にはどんな真似でもしてやるさ。

其れこそ後で謗られることになってもな。

 

「雑魚はともかく卍解無くして勝てる相手どれだけ居るのか」

 

敵の幹部が弱くても卍解を奪えばそれだけで化ける。

だからこそ勝つための最善が相手に善き状況を与えるジレンマに悩んだ。

 

「我慢できる奴はいないだろう」

 

対処法も一応虚の霊圧を摂取して一時的に毒化して蝕んで奪い返すというのがある。

それで十分ではあるが……

 

「当てが外れれば壊す以外にないだろう」

 

そう言うとあちこちで激戦が始まる。

そして俺の前にも当然敵が現れた。

 

「随分と小柄だな、だが……強い」

 

霊圧は幹部級。

見かけによらないものだ。

そんな事を思っているともう一人、特徴的な髪型した奴が屋根伝いに来やがった。

降りた時に俺の後ろに陣取ったため、挟み撃ちの形になった。

こうなったら逃げられはしない。

とは言ってもここは瀞霊廷であの時のような内部紛争でもない。

もとよりそんなつもりもない。

 

「かかってきやがれ!!」

 

刀を抜いて声を張り上げる。

すると向こうもそれを皮切りに動き始めた。

 

「オイからいくじょ!!」

 

相手はそう言って弓矢を作り出して放ってくる。

俺は軽やかに回避していく。

見切ってしまっていればこの程度どうという事はない。

二人がかりで来ても恨まないのにな。

まあ、俺が回避したらお互いに流れ弾が来るから、回避できるようにそうしてるのかもな。

 

「簡単に接近させるんだな」

 

そう言って俺は斬撃を相手に振るう。

喰らえば絶命を免れない一撃。

今回は既に情報を得ているため、わざわざ峰打ちをするつもりはない。

 

「一番首は貰っていくぜ!!」

 

斬撃は振り下ろされて轟音が鳴り響く。

しかし気持ちは晴れてはいない。

何故ならば確かに捉えたはずの人を斬った手応えが無かったのだ。

その答えは聞こえてくる声とともに理解をした。

 

「ろこ狙ってるんら?」

 

平然と立っている相手。

立ち位置と素振りを見る限り、どうやら相手が動いて回避した訳ではない。

何よりこの距離でいくら力が衰えていても外すほど落ちぶれてはいない。

 

「外したんじゃなくて、外れたんだな」

 

地面にできた傷から見ても、斬撃の軌道が歪んだのが分かる。

これは相手の能力だろうが、中々いやらしい真似をしてくるもんだ。

しかしこの能力の弱点は見抜いた。

どんな能力も種が分かれば、度を過ぎたものでなければ脆い。

 

「意気込んで戦おうとしたら、思った以上につまらない相手だ」

 

俺はそう呟くと再度構えて振りあげる。

それを見てニヤリと相手は笑う。

きっと懲りずに斬撃を繰り出すと思っているのだろう。

手をかざしてこっちの腕へ狙いをつける。

 

「うれを捩じ切ってやるじょ」

 

歪ませる極致に至ればそれは可能だろう。

だが生憎様だったな。

こっちは準備を終えている。

 

「一手遅いぜ、坊や」

 

無詠唱で展開した鬼道の照準は相手に向いている。

つまりこちらの攻撃が先に通るというわけだ。

捻じ曲げて回避をしては腕が自由になり、折角の攻撃の機会を見失う。

 

「こんにゃのは避ければしゅむ話なんらぞ!!」

 

相手は腕を諦めて歪曲で逃れる一手を選んだ。

しかしこちらの『一手遅い』の意味を勘違いしていたようだな。

『一手遅い』というのは先制攻撃を指したのではない。

勝負の決着についてだ。

 

「後ろを見てみろよ、安全地帯はないんだぜ」

 

相手が強張った瞬間に集中砲火。

回避できないように全包囲に対して鬼道を放つ。

しかし当然これは捨て身なわけだ。

俺も衝撃にさらされていく。

 

「こんなの卑怯らろ……」

 

俺の攻撃が終わると相手は集中砲火の痛みと消耗からか気絶する。

命を取るために刀を突き刺そうと動く。

 

「流石に全方位で俺自身を巻き込むのならば捻じ曲げようがねえ」

 

相殺するのはありだがその隙に横薙ぎの斬撃で終わっている。

こういう手合いとのやりようは探せばまだあったはずだ。

しかし時間は無いし速く助太刀に行く為、捨て身の攻撃を決行して気絶させた。

 

幹部級は全員が能力を持っているのだろう。

英文字の並びを数えれば隊長格と丁度同じ数なのだ。

席官では歯が立たないと考えれば、能力の事を差し引いても面倒な奴らが目白押しだ。

 

「無茶しやがるな、てめえ」

 

声をかけてくる相手。

相手は指をこっちに向けていた。

炎が揺らめいている。

爆弾を喰らったのだろう。

よく見ると所々に血や肉片が付いていた。

 

「俺の名前はバズビー、ニャンゾルの分もやらせてもらうぜ」

 

自己紹介までご丁寧にしてくれて……。

その隙に斬られるとは思わなかったのか。

 

「どいつもこいつも自惚れが過ぎるんじゃねえか?」

 

そう言って懐まで一気に踏み込む。

相手は手を広げていき、四本の指で構える。

防御する方法なり、外させる方法があれば隙が生まれるのだろう。

 

「『バーナーフィンガー……4』!!」

 

手刀のような手つきで巨大な炎の刃が上がる。

望むところだと言わんばかりに俺はバズビーに斬撃を放つ。

衝突したが手ごたえあり。

俺の刀は易々と溶解する事は出来ない。

 

「ちっ!!」

 

よく見るとバズビーの指から血が滴っている。

こちらが強く斬撃を放てたようだ。

斬撃の衝撃波が傷を負わせた。

 

「『バーナーフィンガー……1』!!」

 

俺に向かってバズビーは人差し指の先から熱線を放つ。

指の本数で動きが変わるなんて柔軟性に富んでいやがる。

こんなものがあれば滅却師特有の弓矢なんて要らないぞ。

 

「うおっ!!」

 

避けるが直撃した建物の損害を見ると威力の高さがうかがえる。

付け加えるならば貫通力も良い。

 

「避けたら足がお留守だぜ、『バーナーフィンガー……2』!!」

 

地面を人差し指と中指を使った熱線で焼き切る。

そこで俺の足場を崩してきた。

それを見てバズビーは微笑みながら、掌をこっちにかざしてきた。

 

「『バーニング・フル・フィンガーズ』!!」

 

成程、あの微笑みは最大の技を出せる喜びか。

じゃあ、喜びの後には哀しみを与えてやらないとな。

霊圧と刀を盾に俺は攻撃に備える。

 

「うぉおおおおお!!」

 

余りにも大きな炎の衝撃波。

熱は俺の後ろにいたニャンゾルすら巻き込みかねない。

敵であれ、流れ弾で死ぬのはごめんだろうに。

衝撃波で服だけではなく、皮膚が裂けて血が流れていく。

建物は倒壊、あるいは燃えていく。

 

「流石にこれを喰らったら……」

 

そう言って息を吐き出すバズビーが見える。

問題はない、継戦可能。

俺は笑顔でバズビーの眼前に立っていた。

 

「何終わったような面してんだ?」

 

死覇装が灼けているが問題はない。

立っている俺を見てバズビーは歯軋りをする。

実力差ともいうべき現実を突きつけた。

 

「はあっ!!」

 

俺は力を込めて刀を両手で振り下ろす。

バズビーも四本の指を使って対応する。

 

「『バーナーフィンガー……4』!!」

 

炎の刃と再度相対する。

しかしさっきよりも鋭くなった斬撃は並ではない。

それはバズビーの攻撃を無情にもいとも容易く切り裂いていく。

 

「な…ん…だと」

 

その斬撃はそのまま勢いを落とすことなくバズビーを斜めに大きく切り裂く。

しかし絶命には至らず。

緩やかに地面へと倒れ込んでいった。

 

「がはっ……」

 

すぐには立てないほどの損傷をバズビーは受けていた。

昔ならあれで死んでいてもおかしくはないのに。

やはり力は落ちているな。

いや、もしくは滅却師の能力が高くなっただけなのかもしれない。

 

「おい……とどめをさして行けよ」

 

そういう相手の頭を掴んで引き起こす。

確かに俺は殺意を持って戦っている。

だが根本的な部分を勘違いしていやがるな。

 

「俺の一撃を耐えるってのは運良く命を拾えたって事だ、その強運を無駄にせず強くなれ」

 

わざわざ戦えない奴を嬲る趣味は持っていない。

ましてや仮にそんな趣味があったとしても今はする気は起きない。

迅速に動き回って、お前らを打倒し危機を脱却するのが優先事項なのだから。

 

「そして次はきっちりこの首取りに来い」

 

そう言って掴んでいた頭から手を離す。

気絶した相手は放っておいて俺は更なる相手を探しに行った。

すると一際大きな霊圧を感じる。

そっちに向かって行くと更木を持ち上げる男の姿があった。

 

「新しい相手か……」

 

男はそう言って更木を投げる。

俺は受け止めずに自分の足元に来るまで待っていた。

受けとめたら無防備になるからな、仕方ない。

一応、足元に来たので回道である程度回復させるが意識は戻らない。

 

「更木をやって良い気分になったようだが、あんたの名前は?」

 

幹部級とは一線を画す強さ。

ある程度の想像はつくが確認をしておかなくては。

仮に予想が外れていれば相手の層の厚さを伝えておく必要も出てくる。

 

「ユーハバッハ、滅却師の頭目だ」

 

予想が的中する形となった。

速く遭遇できたのは良い事だ。

此処で消耗、あるいは倒せればいいのだから。

 

「なるほど、更木に勝ったのも不思議じゃないか」

 

とは言えど、まるで本気ではない更木。

こいつの本来の力を見定めていない状態。

頭目がそんな節穴だと思えない。

僅かな疑念を抱いていた。

 

「お前も倒さねばならない、『元特記戦力』斑鳩傑」

 

相手の言葉に耳を傾ける。

『特記戦力』とは言い方を変えれば要注意人物だろう。

想定した中で挙がるとしたら『更木剣八』や『兵主部一兵衛』は入る。

身内びいきで悪いが藍染と喜助も入っていそうだな

『元』という言葉があるには入っていたが外されたものもいるのだろう。

俺や……おそらくは卯ノ花隊長や総隊長あたりか?

 

「『元』とは随分と甘く見られてしまったものだ、俺を侵略の片手間に倒せるとでも?」

 

確かに斬術ならばこいつの方が上だ。

しかし全てを総合すれば互角の戦いは出来ると自負している。

そんな相手をまるで眼中にないと言われた気分だった。

誇りが傷つけられた気分になったし、腹立たしい気持ちが沸き上がる。

 

「当然だ、お前は朽ちている、愛ゆえに強さを捨てた愚かしい存在である」

 

冷笑して近づいてくる。

こちらに苛立ちを募らせたいのか、言葉を選んで発言している。

俺は冷静に努めていた。

 

「無防備に近づく、相手の強さを見誤る……お前本物の頭目なのか?」

 

あれだけの距離で相手が何を仕掛けているか分からない。

例え自分の能力に自信があっても警戒心は持ってしかるべきだ。

ましてや自分が頭目であれば敗北や手痛い傷は士気の低下につながる。

それを分かっていない振る舞いに疑念は深まった。

 

「随分とおかしな事を言うな、私が頭目で相違ない」

 

そう言って臨戦態勢を取るユーハバッハ。

疑念は彼方に追いやろう。

強者は全力で叩き潰さねばなるまい。

俺も卍解をする心づもりで相手をする。

 

「あの人みたいになるのなら構わないさ」

 

それだけ呟いて俺はユーハバッハに斬りかかるのだった。




2話合わせると9000文字近かったことに驚き。
これも途中で切るような形だったのでユーハバッハ戦を書くと10000文字超えてましたね。
ちょっとペース考えます。
ニャンゾルやバズビーがかませになっていますがダメージを与えたりしてるので、バラガンよりは普通に仕事してます。

指摘等ありましたらお願いします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。