こっちの被害が抑えられているだけで、相手の戦力とかは思ったより減って無い感じですね。
原作での卍解簒奪組の所へ基本は向かっているので。
「攻撃当ててもいないくせに余裕こいてんじゃないわよ!!」
バンビエッタ・バスターバインが語気を荒げて攻撃してくる。
爆撃を斬ってしまえばいいのは分かる。
しかしあの全包囲攻撃は厄介だ。
どうしたものか考える。
「はっ!!」
俺は前方の爆撃を斬り裂いて駆けていく。
後ろから迫る分は同士討ちさせる。
再度跳躍で接近する為に足に力を込めた。
「甘いのよ!!」
バンビエッタ・バスターバインが嘲るように笑っていた。
霊子の壁をこちらが跳躍する軌道に対して作り出す。
見事な返し技だ。
「ドカンと一発喰らってなさい!!」
霊子の弾が撃ち込まれて一気に爆発した。
爆風で吹き飛ばされてしまう。
空に飛ぶ力がある訳でもないからあんな力技しか無理なのにな。
「全方位を安心して防げるものは無いものか……」
そう言って俺は考える。
そこで思いつくのは狛村の『黒縄天譴明王』だった。
何故、狛村の『黒縄天譴明王』をあの子は奪わなかったのかという思いに至る。
奪ったうえで今の状態になっていればもっと優位に進められただろうに。
「もしかしてあの子や他の滅却師は卍解を奪った場合にはあの能力を使えない?」
だとすればあの面倒な攻撃を無闇に切り裂く必要もない。
鬼道の同時展開で背中を守るのが厳しかったのも解決だ。
「無様ね、手も足も出ないじゃない!!」
高笑いして俺を見下すバンビエッタ・バスターバイン。
俺の後ろでは歯軋りしている二人。
俺のせいでお前たちを困らせている。
だがもう心配するな。
「『卍解』、『印せ』、『年輪重歌』」
深い柿色の霧が体の周りを包む。
相手が苦い顔をしているのは分かる。
あの反応を見る限り、やはりあの状態では奪えないのだろう。
奪ったとしても刀を持っていなければ自分が老いて骨になる。
その可能性に前回の侵攻の際に俺はまるで気づいていなかった。
「この霧を破れるかな、バンビエッタ・バスターバイン」
手も足も出なくなるのはお前の方だ。
斬撃に乗せる事はせず、全て防御面に回す。
お前の攻撃の全てを封殺する為に。
「上等よ、破って後悔させてやろうじゃない!!」
雨霰の爆撃が始まる。
確かに今まで以上の手数でこちらを絶命させるには十分だろう。
しかし霧が壁となって防がれている。
爆発しても飛ばす事が出来ていない。
「絶え間なく攻撃を防ぐ壁だ」
刀を劣化させる事すらできる。
爆撃を無に帰す事も。
お前がいくら練っても難攻不落だ。
「はあっ!!」
斬撃を放つが旋回して遠ざかる。
その方向をよく見て次の動きを行う。
「『吊星』」
足場を作って空中で動く。
これが出来なければ滑空するように落ちていくのみ。
この動きをする間にも爆撃が襲い掛かってくる。
しかし霧に当たっていき、こちらの体に触れる前に爆発する。
「これで破れなさいよ!!」
バンビエッタ・バスターバインがさらに連続攻撃を仕掛ける。
折角、霧の壁を破ったと思った瞬間に、またもや霧の壁が形成される。
霊圧の盾が何重にも有るのとさほど変わらない。
爆風が老いてそのまま霧散して煙も起こさない。
持っている以上、俺に悪影響を及ぼさないから視界は良好。
相手をずっと追っていられる。
「全然破れないしそっちの攻めが緩まないじゃない」
さっきまで気がかりだった背中を気にしなくていいからな。
ただ、やはり旋回とかをお前がするから連続攻撃をしても手応えが無い。
服には掠るがその瞬間に爆撃の反動で距離を取る。
「緩めていい相手なんかいないだろ」
小休止できる相手なわけがない。
今まですんなり勝っているから誤解されてそうだが、こっちも真剣にやっているのだ。
お前らの強さを見くびっていない結果がこれだよ。
「こうなったら地上の方がよっぽど上に自由に動けるわよ」
本来、バンビエッタ・バスターバインにとって空ならば、全方位で攻撃を当てて回避は出来るはずだった。
それが老いの力のせいで出来なくなった。
それに防御面は落ちないがとめどなく攻撃されてしまう。
地上に降りれば旋回とかは意味をなさなくなるが狛村たちを人質に取って戦える。
老いの力が奴らに及ぶので各々の防御を信じるしかない。
こっちの卍解の防御性能を縛れるのだ。
「俺の卍解の力を封じたが羽搏くのも難しくなるぞ」
一方でこっちは我慢すれば懐に一直線。
そのまま勝負を付けられるのだ。
実際は地上に降りる方がこっちとしても向こうとしても得をする。
さて、ここから真っ向勝負でケリを付けてやる。
「行くぞ、バンビエッタ・バスターバイン!!」
その言葉を皮切りに地上戦が始まる。
しかし長続きしないのはきっとお互いに居回はしているだろう。
爆撃が何度も当たる。
肩を、膝を、腹部を、頭を撃ち抜いていく。
俺は衝撃や火傷の痛みも介せずに向かって行く。
「命が惜しくないって言うの!?」
バンビエッタ・バスターバインが驚きの声をあげる。
この反応も無理はないだろう。
相手の攻撃を受けながら前進するなど正気の沙汰ではない。
ましてや卍解に相当するのだから。
ただ、対策を打っていなければ死にに来ているとでも思っているのだろうか。
こうでもしないとお前に近づきにくいからだ。
警戒されて空を飛ばれると厄介だからな。
「惜しいさ、とても」
またもや爆撃が体に直撃する。
目の前が煙で覆われるし、全く効かないわけでもない。
命なんぞ惜しくないはずがない。
其れこそ昔は無かったが、今はそれを強く思う。
しかし命惜しさに戦わないというのならこの強さは張りぼてだ。
自分より大事な世界や人を護る為にこの力がある。
だからこそ命惜しさと天秤にかけて戦場に立つのだ。
そう言ったものを見せない滅却師やお前はなぜ戦うのか?
それがとても気になった。
ゆえに問おう。
「お前は何故戦うのだ、バンビエッタ・バスターバイン?」
俺は爆撃を斬り裂いて目を見据える。
ただの忠誠心ならばそれを咎めはしない。
戦いが好きでそこに生き死にをかけるのならばそれも咎めない。
しかしいずれでも無いのならば、お前はここに立たない方がいい。
命惜しさが勝っていいのは忠義や闘争本能、あるいは闘争による生死を問う者、端的に言えば戦闘狂だ。
「負けたら死ぬから、そして死にたくないから戦うんじゃない!!」
戦う理由の問いに声を荒げて答えるバンビエッタ・バスターバイン。
成程、どうやら陛下と呼ばれるユーハバッハの為に命を捨てる集団ではないようだ。
仮にユーハバッハの強制ならば仕方なしとは思える。
しかし違うのならばこの場に立たない方がいい、引きこもっていた方がいい。
「戦わない選択肢を用意しない勇気はあっても、お前は普通の感性を持った少女だったな」
まず根本からして戦う事をしなければそもそもこの気持ちは生まれない。
死を恐れるというのに戦いに身を投じた故の感情。
それは強制でも戦いにおける恐怖をねじ伏せるという勇気無くしては至らぬ答え。
強制の為、自身が心の底から戦いを望んだわけではない。
其れゆえあの言葉が漏れ出たのだろう。
「仕方ないじゃない、戦わなければ殺されるのよ!!」
しかも殺さなくても命が危ないとバンビエッタ・バスターバインが叫ぶ。
ユーハバッハが敷いているのは恐怖政治だ。
其れともその腹心たちがそう言う真似をしているのかもしれない。
「もうここであんたらの侵略を成す以外、皆生きられないのよ!!」
今更引く事も出来ないよな。
ならばその心も何も受け止めてやる。
俺は手をくいくいと動かして、かかって来いよと示した。
「俺に全力ぶつけてみな、こっちも引いてはやれないんだ」
余力残して勝たせてやるほど俺は馬鹿でもなきゃ甘くもない。
バンビエッタ・バスターバインは歯軋りをしながら腕をあげる。
「大丈夫さ、安心しろ、きっちりこっちも本気で相手してやるからよ」
お前の力を真正面から打ち砕いてやるよ。
だから先に来い。
そんな心を読みとったのか、バンビエッタ・バスターバインは腕を振り下ろす。
「『
こいつの最後の攻撃。
迫りくるは超弩級の爆弾。
俺も全力を持って受けて立つのみ。
切り裂いてやる為に刀を構える。
しかし次の瞬間、爆弾が爆発する。
「ぐあっ!!」
俺は爆風で吹き飛ばされる。
あの一撃で終わる訳が無い。
爆風と煙で顔は見えないがほくそ笑んでいるだろうというのは予想できる。
「あの爆弾は種、向日葵の満開はここからよ!!」
内部から割れるように球体が俺を取り囲む。
幾らかの球体型の霊圧を入れ込んでいたのか。
そこに霊圧を打ち込み連鎖反応を起こし続ける。
「全力という事に嘘が無くて良かったぜ」
勝利への心、相手への殺意が見える一撃だ。
取り囲まれている事や絶え間ない爆風で呼吸が出来ない。
酸欠にもさせるとは恐ろしい効果だ。
「目の前がくらくらしてきやがる」
熱風が喉を傷める。
汗がとめどなく噴き出すから脱水症状も出始めた。
片膝をつきそうになる。
「凄い火力だぜ、こいつは……」
最後の奥の手と言って差し支えないだろう。
しかもまだそれより一回り小さい球体が出てくる。
全力の名に恥じない最大の技だ。
あれだけ強固かと思われた死覇装が焦がされていく。
「畜生が…」
俺は口元がひくひくしていた。
生命の危機を感じさせる攻撃は俺を昂らせてしまう。
「笑わせたらお終いだぜ」
強い奴にしか見せない笑顔。
それをあと一歩まで引き出したのだ。
本来はニャンゾルやバズビー、マスキュリンの三名もそれだけ強かったのだろう。
その全てを見る前に仕留めてしまったからそう映らなかっただけだ。
「ここから抜け出して勝負をつけてやる」
霊圧を腕に宿して白打で内部から弾き飛ばしていく。
その間にも爆破で皮膚は焼かれている。
呼吸も苦しくなるし目の前が霞んできた。
全てを打ち砕く為に腕も足も暴れさせていた。
「手応え有ったわよ!!」
満面の笑みを浮かべているバンビエッタ・バスターバイン。
汗もかいて息も荒い。
ありったけを叩き込んだのは今の一撃で分かった。
「……でもあんた耐えてんでしょ?」
困ったような顔をして問いかけてくる。
其れに答えの言葉を返す事はしない。
目の前に現れて健在である事を示す。
例えぼろぼろに見えたとしてもそれがある種の礼儀に他ならない。
当然、回復が出来るからといって見せるのも相手への礼を欠く。
それを見た瞬間、悔しそうな顔を浮かべてこちらの目を見上げてきた。
「こっちもむざむざ喰らってやらないから」
最後の抵抗と言わんばかりに目を輝かせる。
こちらを吹き飛ばす気は無いのだろうか。
いずれにせよこの斬撃を放つしかもう決着をつける術はない。
「これで決着だ、死ななきゃ幸運と思え、バンビエッタ・バスターバイン」
そう言って振り下ろす。
爆撃の壁をも切り裂いて深手を負わせる。
しかし手応えとは裏腹にため息をついていた。
「んっ……かはっ…」
爆風まで使って後退して損傷をさらに抑えているのだ。
死にたくない一心で自らの体を焼くような真似をするとは。
随分と無茶な真似をする女だぜ。
「新手か……」
狛村が呟く。
上空から降り立つ黒い影。
流石に四人も来るのは予想外だったな。
とにかく緊張感は保たないと。
「はあっ……はあっ…」
息を荒くして立ち上がろうとするバンビエッタ・バスターバイン。
しかし俺が切りつけた傷は浅くはない。
力が出ないのか立ち上がれずに天を仰いでいた。
放置しておけば命が絶えてしまうほどである。
そんな中、四人が近寄っていた。
「バンビちゃんが死んだら、悲しいもんねー」
目が邪悪な奴が覗き込んでいる。
言葉に何も信用が持てない奴の特徴だ。
恐怖に染まった眼でバンビエッタ・バスターバインが言葉を発する。
「やめて…やめてよ……ジジ」
何か見て見ぬ振りもできないよなあ。
仕方ない、あいつの身柄を貰って捕虜にしよう。
俺はジジと呼ばれていた奴に刀を振って牽制した。
「何のつもり?」
回避こそしたものの邪魔をされて気分を害したのか睨んでくる。
こちらとしては仲間意識というのがこいつらから感じられないのが違和感だ。
とにかく質問に答えてやるか。
「やめてという子に無理矢理は紳士に反するんじゃねえのか」
仲間と言えどもそう言うのは見過ごせない。
こいつの能力は分からないがあんな目をされると敵とは言えど弱い。
マスクド・マスキュリンに比べたらどうも殺す気にはなれない。
「女ですけど?、それにそっちにバンビちゃんを庇うメリットなんてないでしょ」
やめろ、そう言った横文字は弱いんだよ。
庇うのはバンビエッタ・バスターバインが死にたくないというからだ。
其れに……
「勝者が止めをさすかどうか決めるべきでお前がさしていいもんじゃねえんだよ」
そう言ってバンビエッタ・バスターバインの頭を掴む。
痛いだろうけどちょっと辛抱してくれ。
「狛村、受け取れ!!」
そう言ってバンビエッタ・バスターバインを投げる。
宙を舞ってそのまま狛村の腕に収まる。
回道で怪我も治しているから問題は無いだろう。
「その子を連れて何処かへ行ってくれ」
その言葉に頷いて狛村は走っていく。
其れについていくように平子や雛森副隊長、藍染の三人も去って行った。
少しは気を遣わずに戦えそうだな。
「あの子が一番強かったならお前ら諦めた方がいいぞ」
こちらの言葉に気分を害せずに見てくるのは二名。
青筋を立てていきり立っているのが一名。
そして獲物を取られた事とごちゃ混ぜになっているのかとんでもない形相で見てくるのが一人。
「止めといた方がいいな、この乱戦で気を伺った方がいい」
そうしないと全滅しかねないぜ。
小柄な奴が言って場を収めようとする。
状況を把握した桃色髪の女が頷く。
二人がそう言った決断を出すのであれば他の奴らもついていく。
「絶対に後悔させてやる」
去って行く時にジジという奴が俺にそう呟いた。
脅しとは思えない。
こいつらの実行力の凄まじさは承知済みだ。
「忠告だが調子に乗った真似したら……」
地獄を見せてやるからな。
それだけ言って相手が去って行くのを待つ。
俺が先に去ったら不意打ちをしてくる可能性がある。
.
.
「警戒心が強くて嫌になっちまうぜ、まったく」
視線を向こうから感じる。
不意打ちはしてこないみたいだがあんまりいい気分ではない。
私が呟いているとキャンディスが食って掛かる。
黄色い髪を振り乱しては怒りの顔でこっちを見ている。
「何感心してんだよ、四人でも勝てないみたいになったじゃんか!!」
仕方ないだろ。
向こうも後ろに居る奴数えたら五人だ。
もしかして見てなかったのかよ。
「陛下が言ってた『特記戦力』とそれに準ずる奴がいるのに飛び込むのか?」
引き返さないとも限らない。
そんな無駄死には御免だぜ。
そう言って次の獲物を索敵する。
きっとあいつは安全になればバンビを避難させてまたこっちへ襲撃をするだろう。
そんな事を考えているとジジが苛ついたような声で言葉を発した。
「僕、別の所に行ってくるね」
そう言ってジジが去って行った。
バンビの奴を奪われてご機嫌斜めだな。
あっちの言う事は間違っていない。
「見つけたぜ」
マスキュリンにやられた奴だ。
あいつらと戦わないとな。
そんな事を考えているともう一人こっちの味方が来た。
「エス・ノトじゃねえか、どうしたんだ?」
声をかけるとこっちに気づく。
珍しくしょんぼりしてやがる。
自分の手を見ながらぼそぼそと喋り始める。
「リルトット、僕の卍解なくなっちゃった……千本桜消えちゃった」
奪ったものとしてもかなり気に入ってたんだろう。
そんな事を言っていると黒髪の女がエス・ノトへ攻撃を仕掛けやがった。
「俺達はあの男を相手するからそっち頼んだぞ!!」
どうやらエス・ノトが卍解を奪った奴の妹らしい。
しかも赤髪の方はそいつの部下。
闇雲に行って面倒な所引いちまったな。
ある程度戦ったらすぐに離脱して体勢を整える。
「ここで殲滅したいが乱戦を待つのが一番いいんだよ」
実力に差があっても覆せるからな。
多分、状況は劣勢。
攻め手に欠けるのと思ったよりも相手の数が多い。
「面倒な事になっちまってるかも」
俺はそう呟いてキャンディスとミミーニャを手招きで呼びながら、どのタイミングで抜けるか考えるのであった。
バンビエッタ・バスターバインが滅茶苦茶善戦しているように見えますが、他の滅却師も完聖隊を使いこなしたり大技を当てれば苦しめる事は出来ました。
次回はすらすらとしながら別のキャラの方へと向けようと思います。
指摘等ありましたらよろしくお願いします。