ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

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今回は色々なキャラを出しています。
本作で書こうと思っていた一つの部分にやっと追いついた感じです。


『御名前 改め - Name Change - 』

「どいつもこいつも大きな声を出して無駄な事この上ない」

 

雨露石榴は今出てはいない。

あまりにも長い時間をくれたお陰で対話を終えた。

そして戦場に出たらこの有様。

 

「二番隊まで歩んだが……さて」

 

峰打ちは一切していない。

敵の一般兵を切り裂いてきた。

無駄は無く一撃で倒している。

時間に押されたり焦る必要もない。

 

「もう一度聞く、二番隊隊長はどこだ?」

 

先ほどから二番隊の副隊長、大前田希千代は隊長である砕蜂の行方を知らないと言っている。

その目に嘘はない。

喋らないのは忠義では無いのだ。

 

「無駄な質問に意味があるのか?」

 

俺がそう言って目の前に現れる。

こっちの存在は再度計算しているようだが……。

 

「結論は後に回し、お前の回答拒否に対して趣向を変えよう」

 

そう言って相手は鉄の指を伸ばす。

単純に見ても殺傷力がある。

鬼道を見ると本人を狙ってはいない。

後ろには大前田希千代によく似た霊圧がある。

……そう言う事か。

 

「下らん、殺害目的ならば本人をやるべきだ」

 

伸びていた鉄の指を斬り落とす。

大前田希千代がその方向へ視線を向ける。

その隙も狙わない相手。

 

「無駄まみれだ」

 

大前田希千代は先ほど相手が指を伸ばした方向へと走る。

相手が指を再度向けるが……

 

「目の前の相手に集中せずにできるとでも思ったか」

 

俺は平然と相手の腕を斬り落とす。

たかだか鉄の塊を切り裂くなど造作もない。

 

「折角だから始解を見ておくか」

 

霊子を操作するお前らには卍解が使えないのは理解済みだ。

それでも始解が違っている場合もあるから、使えるどうか試さねばならない。

 

「勝てるとでも思ったか?」

 

そうは言うが気配に気づいていないようだな。

好き放題にやらせておこう。

どうせ人の言葉も聞かずに無駄な手順を増やした愚か者。

愚か者同士どうやり合うのか。

 

「まあ、相手の方は卍解を手元に戻されることぐらいは予測しているだろうが」

 

白打と霊圧を組み合わせた戦い方である『瞬閧』を使って相手に対して優勢を取る。

どうも頑丈な相手のようだな。

卍解を奪った甲斐が無いだろう。

事実、失望したという言葉を吐いている。

 

「仕方あるまい」

 

俺が仕留めた方がいい。

流石に近くに居て何もしないのも無駄なのでな。

 

「『空より落ちて地に馴染み実るはいずれの夢なりや雨露石榴(うろざくろ)』」

 

霊子の操作による融合から解き放たれ、今までの力が圧縮した刃。

融合には時は掛かるが問題は無い。

そう、最強の矛なのだから。

 

「いくぞ」

 

攻撃を告げて相手へ振り下ろす。

紋章か何かを犠牲に奴は回避をする。

だがそれは悪手だったのだろう。

砕蜂に卍解が戻っていく。

 

「出る幕は無いかもしれんな」

 

実質、相手は脅威と感じたから奪ったのだ。

その力が再度牙をむく。

それがどれほどの恐怖か。

 

「やはりこうなるか」

 

感じていたが決着はすぐだった。

相手は成す術もなくやられていた。

余りにも脆い心だったようだな。

 

「大罪人、痣城剣八だな、何故貴様がここに居る?」

 

砕蜂が俺に問う。

俺は平然と目を見て答えた。

 

「この未曽有の危機の為に斑鳩が一時的な戦力として開放した、これが終われば無間に帰る」

 

あの男は尸魂界の為ならば誹りを受ける事も厭わない。

だから俺に助力を仰ぐ。

正義の為に罪人を使わないというくだらない感覚。

それでこの全てが崩れては意味が無いのだ。

 

「自分たちの日常の維持の為に割り切るあいつは強い」

 

次の場所に俺は向かう。

其れだけ言い残して俺は別の隊へと歩を進めた。

その時に平子真子や狛村左陣とすれ違う。

きっと彼らは一番隊に向かう。

俺は三番隊へと向かっていた。

 

.

.

 

「こっちに行っても何も無いだろうが……胸騒ぎがする」

 

私はそんな事を言っていた。

本来ならば五番隊から六番隊へ向かう方が良かった。

其れでも嫌な予感がしたのだ。

 

「何にも無いんやないか?」

 

平子隊長がそう言うがそんなはずがない。

相手は確実にその気持ちに付け入るだろう。

狛村隊長も周りを見渡している。

 

「見抜いてきたんだー、面倒な奴らだね」

 

隊舎の方から声が響く。

その正体はさっき抗戦した、バンビエッタ・バスターバインの仲間のジジと呼ばれていた者だった。

その眼は狂気に満ちていた。

 

「バンビちゃんを奪った事に対する復讐の時間だよー」

 

君が人道に外れた行為や仲間意識が皆無な真似をしたからではないかね?

私としてはそんな感じがする。

そう言ってジジとやらが繰り出したのは屍の軍団であった。

数としてはどうしたものか。

護廷十三隊の隊士達だから手心を加えなくてはいけない。

 

「『黒棺』」

 

結論は威力を押さえた高位の破道である。

一人一人相手をしてはきりが無い。

気絶程度に抑えた一撃で倒れさせる。

 

「あと何人用意したのかね?」

 

囲む事もせずに前方からの攻撃だけなら私が連続で放って終わりだよ。

相手が腕を動かせば第二波がやってくる。

 

「ここの隊士だけなわけないじゃん」

 

成程、ありとあらゆる隊の死者を利用しているようだ。

幾度となく突っ込んでくる隊士。

六連続の鬼道が出来ないようにこまめに出してくる。

 

「くっ!!」

 

ここまで執拗ともなれば時間稼ぎなのは十分承知している。

四方八方から来ているのを何とか狛村隊長と平子隊長で撃退する。

そんなやり取りがいくらかは続いていた頃。

ジジの後ろから霊圧の柱が立ち昇っているのが見えた。

 

「やっとできたよ……最高のゾンビがさ!!」

 

けたけたと笑いながら勝ち誇ったようなジジ。

一体最高のゾンビとは何なのだろうか?

そう思いながら、彼の後ろから出てきたのはなんと……

 

「卯ノ花隊長…」

 

赤黒く変色した肌。

ぼろぼろの死覇装。

おいたわしい姿としか言いようが無かった。

 

「『無間』とか言う所に居たんだよ、今や僕の忠実なゾンビってわけ」

 

卯ノ花隊長が刀を抜く。

姿が無い所を見ると始解状態ではないようだが……

 

「……!!」

 

呼気を勢いよく吐き出して駆けてくる。

まずいと思って刀を抜いて応戦しようとする。

しかし標的は私ではなく通りすぎていく。

 

「儂か!!」

 

狛村隊長が叫ぶ。

この速度では卍解は出来ない。

『天譴』で応戦する。

 

「防いだ!!」

 

刀が交差しようとした瞬間に雛森君がそう言う。

確かにあの軌道ならば防げるだろう。

しかし次の瞬間、目に映ったのは恐ろしい事実だった。

 

「なっ……!?」

 

防いだはずの狛村隊長。

しかし、その斬撃は彼の防御を通過して深々と切り裂いた。

針の穴を通すように防御を無効化したのだろうか?

いずれにせよその一撃は彼を前のめりに倒れ込ませた。

 

「狛村隊長!!」

 

雛森君が驚いている。

卯ノ花隊長の一太刀で頑強さでは一・二を争う彼が沈んだ。

医療部隊の四番隊隊長がよもや一撃で……。

そう思っているのだろう。

 

「どう、凄いでしょ!!」

 

そんな事を言っていると斑鳩元隊長がこちらに追い付いていた。

おおよそ砕蜂隊長に小言でも言われたのだろう、うんざりした顔をしていた。

しかし、卯ノ花隊長を一目見るとその眼は怒りに満ちていた。

 

「狛村……息は有るな」

 

私が卯ノ花隊長の動きを『禁』で止める。

狛村隊長の治療へと動く。

血液を生成する薬剤を打ち込み、傷を癒す。

うっすらと目を開けている狛村隊長。

 

「あとは俺がやろう、俺が蒔いた種だ」

 

首を鳴らして臨戦態勢となる。

私と戦った時と同じほどの気の張りよう。

いや、もしかするとそれ以上かもしれない。

 

「誰か目隠しできるものはあるか?」

 

血を止める包帯ぐらいしかない。

そう、雛森君が言うとそれを出してくれと斑鳩元隊長は言う。

雛森君が渡すと斑鳩元隊長は目を隠してしまった。

相手に対してこのような真似をしたこともない人が初めて見せる行為。

 

「下がっていろ」

 

そう言う斑鳩元隊長に平子隊長が驚いている。

目を隠して狛村隊長を一太刀で斬り伏せた卯ノ花隊長とやり合うのかと。

私には分かっている。

戦いに真摯な方がこのような無礼とも取れる真似をする理由を。

あの人には逆鱗がいくつかある。

その内の一つに彼は触れたのだという事を。

 

.

.

 

「馬鹿丸出しじゃん、目なんて隠しちゃってさ」

 

そう笑ってくるジジ。

お前には分かるまい。

このような無礼を働く理由を。

そしていかにお前の行為が俺を怒らせているのかを。

 

「バンビちゃんも僕のものだからさ……死ねよ」

 

そう言って『卯ノ花烈』に命令をする。

無言である以上操られているにしても使えてはいないのだろう。

滑稽な事だ。

刀が奔る音を聞く。

無茶な軌道が幾度も交差しあっているのが感じられる。

 

「はっ!!」

 

斬撃の全てを受け流す。

無論、こちらが返す斬撃も受け流されていた。

それを見ていたジジは苛ついた声で、平子は驚いた声で言葉を発していた。

 

「なんで斬られないんだよ!!」

 

知っている斬撃だからだ。

ただ、それだけの話。

こんな場面ならば尚更喰らうわけにはいかないのだ。

 

「あんなどんな流派にもない攻撃を悠々と受けたやと!?」

 

それはそっちが知らないだけ。

明確にある流派として根付いていた昔々のもの。

 

「刀を受けきれる理由はただ一つだ」

 

何故俺がそんな昔の流派を知っているのか。

そして斬撃を喰らうわけにはいかないのか。

その理由は単純だった。

 

「俺が後継したからだよ」

 

あの遺言書に書かれた言葉にはあの名を継ぐようにとあった。

それは免許皆伝ともいうべきもの。

それを謹んで受ける為にも刀を使う者に対しては誰であっても恥じぬ戦いをせねばならない。

 

「斑鳩傑 改め……斑鳩『八千流』が推して参る」

 

刀を構えて霊圧を放つ。

見えなくても刀の軌道が心で描ける。

さあ、始めましょうか。

 

「最後の戦いを」

 

今、楽にします。

歯を食い縛って駆けだした。




名前を受け継ぐというのは結構初めから考えていた部分です。
そして悲しいのはジジの能力って実力が同じで卍解も同じですが『感情』とかは無くなります。
その差が出てもおかしくは無いと思われます。

何かしら、指摘などがありましたらお願いします。
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