ガーベラに寄り添うネリネ   作:勿忘草

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グレミィとの勝負から最終決戦に向けて駆け足でやっていきます。
長くなっているので少し分けました。


『突入 - Broken Door - 』

「向かってはいるが段々おかしい規模になっているんじゃねえか!!」

 

拳西さんが叫ぶ。

十一番隊に向かっているがこちらから見ていても霊圧のぶつかり合いが常軌を逸していた。

いや、相手の攻撃に滅却師らしさが微塵もないのが大半の理由だけど。

さっきから現代の重火器が見えたり岩がせり上がっているのが見える。

 

「相手は何者なんだろうね?」

 

鳳橋さんが呟く。

ここまで来たら正体不明は不気味にしかならない。

ましてや滅却師らしさが見えないからな。

 

「恐らくグレミィの奴ね、陛下も閉じ込めとけばいいのに……」

 

相手の事をバンビエッタ・バスターバインが言ってくる。

閉じ込めた方が良いという事は元は幽閉されていた滅却師。

能力は何とも恐ろしいもので『空想』を『現実』に変化させるもの。

ただ、こいつが説明してくれたのが意外だった。

 

「あいつの情報ぐらいは良いのよ、正直こちら陣営でも最強ともいえるわ」

 

あっ、更木の獲物だな。

これは横槍を入れるのはまずい。

終わった後の攻撃を気を付けた方が良い。

 

「おいおいおい、あんなんまで有りなんか?」

 

平子が驚く。

上空からはあまりにも巨大な岩。

火を纏っている事も考えれば途轍もない。

 

「隕石か」

 

ひよ里さんが呟く。

流石の狛村も苦い顔をしていた。

自身の卍解以上の大質量はあまり見た事が無いからだろう。

 

「一太刀の元に切り崩せるだろうが絶対とは言い切れないな」

 

それに斬った後が厄介だ。

完全に被害が無くなるというわけではない。

火を纏った破片が瀞霊廷に降り注ぐからだ。

 

「鬼道で崩せても後をどうするかが鍵ですね、ここからでは間に合いませんが」

 

『五龍天滅』から『黒棺』につなげるのがやりやすい手段だろう。

重力で押しつぶして粉々にすればいいのだから・

今、言ったように間に合わないから話をしても意味は無いけどな。

 

「まあ、更木なら大丈夫だろ」

 

あの霊圧で考えると相手の方もグレミィか理屈じゃない能力。

或いは単純な怪物でもない限り勝てる奴はいない。

 

「なんでそんな事言えるんですか?」

 

藍染が聞いてくる。

あの人が命を懸けたのだ。

断言するだけの価値がある。

 

「それはあいつが……」

 

笑みを浮かべて、隕石を見る更木。

刀の形状が身の丈ほどの斧になった。

遂に始解を手にしたか。

 

「『剣八』だからさ」

 

その言葉と同時に隕石は切り裂かれる。

よもや一刀のもとにやられるとは思っていなかったのだろう。

上空に居る相手の顔が苦いものに変わっていた。

 

「この勝負はもう決まった」

 

更木が埒外な存在であると気づいてしまえば、あるいは見せつけられれば。

グレミィはきっと打つ手がなくなる。

そうなれば単純な帰結に至るだろう。

更木剣八を超えた力を手にすればいい。

 

「グレミィは体を壊してしまう」

 

想像の中であいつを膨れ上がらせてしまう。

そうなれば己の限界を超えた姿になりかねない。

 

「怪物だと思えば思うほど遠のくのは皮肉だ」

 

藍染が言う。

想像力が豊かなのも考え物だ。

 

「宇宙空間まで作れるんか……」

 

平子が言うと不思議なものが見えてきた。

暗闇と煌きが見える世界。

あの世界に入った直後、更木の体に異変が起こる。

浮遊して血が蒸発し始める。

目の粘膜は凍り始めていた。

僅かに青白くなった顔、空気を吸えてもいない様だ。

 

「それでも斬るってなんなんだよ、あいつ」

 

拳西さんが溜息をついていた。

満身創痍だろうし、動ける状況でもないのに。

段々理屈で語れる存在からかけ離れていく。

俺も流石にその状況から相手を斬れるような確信は無い。

そんな事を言っているとしがみついていたグレミィの分身が爆発した。

 

「自分の分身を爆弾にしたんだな」

 

鳳橋さんがぽつりと言う。

もうもうと立ち昇る煙。

しかも霊圧全部使うような爆弾の集中砲火。

流石にあいつも無傷とはいかないだろう。

しかし状況はさほど変わらない。

 

「お終いやな」

 

ひよ里さんが言う。

確かに煙が上がってはいるものの立っている。

次が止めになるだろう。

最早成す術がないはず。

其れこそ危惧していた行動をとるしかないのだ。

 

「ん?」

 

向かっている人影が三人。

あっちを止めなくては。

しかし次の瞬間、嫌な予感が背筋を駆け抜けた。

 

「あの穴が塞がってない…」

 

藍染も気づいたか。

余りの質量に復元が間に合っていない。

更木を倒すためだけの一手ではなかった。

次の事を考えていた一撃。

 

「あんたらをここで戦わせてその隙に零番隊に侵略していく予定やったんか」

 

その目的を知ったひよ里さんがバンビエッタ・バスターバインを見て言う。

囮ともいえるその作戦。

それを知らなかったからか怒りの形相になる。

 

「私達は陛下のなんなのよ!!」

 

地団太を踏むバンビエッタ・バスターバイン。

その後に何かしら見捨てる動きをする。

そんな予感というか確信は有った。

 

「あいつにとっては目的の為の駒だよ」

 

それ以外にこんな真似をする理屈は無い。

単独で零番隊を相手取るのか分からない。

およそ自分の肝入りの奴らを揃えている事だろう。

 

「本人に聞きたいならこっちに協力した方が良いぜ」

 

確実に奴らが攻め入っている場所を知っているからな。

その前にやるべき事はある。

 

「更木を死なせるわけにはいかないんでな」

 

三人がかりの攻撃。

それを受け止める為に前へと出た。

三人同時攻撃を踏ん張って受けとめにかかる。

その瞬間、降りてきた影が一つの攻撃を引き受けた

 

「剣八、助けに来たぜ」

 

黒崎君が修行を終えたようだ。

随分と掛かったな。

小柄な奴が黒崎君を認識して露骨に面倒だという顔を浮かべた。

 

「特記戦力が相手とは不足なしってわけか」

 

しかしそれでも役目を忘れていない。

黒崎君に襲い掛かる。

俺の相手はこの二人か。

 

「へっ、そこでぼろぼろの奴ほったらかしていいのかよ!!」

 

帯電させたまま、こっちに言ってくる女。

放置しているように見えるのかね?

 

「落として死ぬタマじゃないと思っているんでね」

 

あんたの首さえ落とせばいいんだからさ。

落としたければご自由に。

俺のそんな態度が気に入らなかったのだろう。

腕を一気に振り下ろしていた。

しかし雷は逸れていき、いきなり現れた人影が掲げたものに当たっていた。

 

「浦原さんが通してくれて助かったぜ」

 

英くんが立っていた。

薙刀を避雷針代わりにして受けたのだろう。

霊圧で影響を無くしたようだが無茶な真似だな。

 

「あん時のけりつけようぜ、雷女」

 

そう言って英くんが構える。

相手もにやりと笑って構える。

 

「お前さんが相手か、名前は?」

 

桃色の髪を振りながら腕を振り上げていた。

固く握りしめた拳を力一杯に振り下ろしてきた。

先ほど振り上げていた細腕とは違った丸太のような腕が迫りくる。

 

「ふんっ!!」

 

こちらも片腕で受け止める。

その重さは見た目以上のものだった。

足裏が僅かに地面へとめり込んだのだから。

 

「ミニーニャ・マカロンって言うんです、よろしくお願いしますねぇ~」

 

間延びした声で名乗りを上げるミニーニャ・マカロン。

さっきの感触から考えると筋力の増強が能力なのだろう。

太さに見合わない高い攻撃力という点から筋密度の操作までできると仮定した。

 

「そぉれ!!」

 

ミニーニャ・マカロンが両腕を振り下ろす。

後ろに下がるが風圧が凄い。

頭を回せば厄介度合いは跳ね上がる。

 

「ぬんっ!!」

 

ミニーニャ・マカロンが一気に距離を詰めてくる。

足の筋肉を増量して踏み込む力や推進力を手に入れたか。

単純な動きでも圧倒できるだろう。

見る限り、時間経過による強化じゃないから単騎や長期は関係ない。

 

「はいーっ!!」

 

ミニーニャ・マカロンが連打を放ってくる。

俺も受けて立つという事で構える。

白打が下手というわけではない。

あと、筋力次第では刀を強引に圧し折りそうだからな。

 

「はあっ!!」

 

肘打ちを逸らす。

瞼を切るほどの風圧。

受けた腕が痺れる重さ。

捌いてこちらも攻撃を加える。

 

「ぬんっ!!」

 

体を丸めて受けきるミニーニャ・マカロン。

筋肉の鎧を纏っているから感触としては固い。

そのまま腕を伸ばしてくるが回避する。

 

「捕まえましたぁ」

 

ニヤリと笑うミニーニャ・マカロン。

手を開いて指を限界まで伸ばしていたのだろう。

ミニーニャ・マカロンの小指が俺の鎖骨部分にに僅かに引っかかっていた。

 

「てぇい!!」

 

引っかかっていた指を上空へ勢いよく振り抜いた。

俺は地面から足が離れて浮遊感を味わう。

驚愕しながらぐるりと回る空を見ていた。

 

「指一本で……」

 

四十貫はある俺の巨体を投げると思っていなかった。

宙を舞っていた俺の目に映るのは拳に力を貯め込むミニーニャ・マカロン。

次の動きを模索しなくては。

 

「と考えても、単純なものほど対処法もなくなりやすい」

 

だが落ち度はミニーニャ・マカロンにはあった。

地面にそのまま叩きつけたらよかった。

体勢も整っていなかったのに。

 

「お終い!!」

 

ミニーニャ・マカロンが貯め込んでいた拳の一撃を放つ。

その拳を両の掌で受け止める。

そのまま衝撃を足にまで受け流していく。

 

「倍返しの踵落としだ」

 

返し技で相手の右肩を断ち切る様な一撃を放つ。

そのように見えるだけで実際は筋繊維や骨を力任せに破壊するといったものであった。

自分の筋力を逆手に取られた一撃にミニーニャ・マカロンは蹲った。

 

「こんなの……」

 

肩を押さえながら苦痛に歪んだ顔を浮かべるミニーニャ・マカロン。

俺は着地をしようとする。

しかし、片足だけ着地をするおかしなものだった。

 

「……折れてやがる」

 

よく見ると肘の骨も飛び出ている。

指もひん曲がっていたり手の皮も破けている。

それだけ途轍もない威力の拳を放っていたのだ。

 

「……ついでに治してやろうか?」

 

死覇装はどうしようもないが体は治せるからな。

流石に放置できる状況ではなくなってきた。

ミニーニャ・マカロンは俺の提案を聞くとこっちに視線だけ向ける。

 

「要りませんっ!!」

 

突っぱねる為に大声出したから呻くミニーニャ・マカロン。

仕方ない奴だ。

意地を張っても大して意味がないような事を言っておこう。

 

「断わってもこんな大怪我の奴はユーハバッハは見捨てるんじゃないか?」

 

既にお前ら犠牲にして霊王宮へ攻め込もうとしているんだからよ。

精鋭部隊が別に居てそいつらにだけ特別な力を授けるだろう。

相手の愛や怒りを滑稽などという心の機微を理解しきれないものなのだから。

 

「こっちも勝ちましたよ」

 

雷使いの女も担がれた状態でこっちに来ていた。

服や皮膚が焼けたり焦げたりしている所から考えると苦戦はしたようだ。

こいつら強いんだよな。

 

「なんだ、二人ともやられたのかよ」

 

小柄な奴も傷付いた状態で黒崎君と一緒に戻ってきた。

三人とも命が有って何よりだな。

 

「どうすんだよ、この状況?」

 

そんな事を黒崎君が言ってくるが俺は天を指差す。

一体どういう事だと上を見上げていた。

 

「こいつらは囮で零番隊に攻め込みやがった」

 

ここまで大きな穴ぼこが出来れば移動手段があれば可能となる。

大方黒崎君が降りてきたあたりに動き始めたんだろう。

 

「こいつらを治して協力してもらう、ユーハバッハを倒しに行くのさ」

 

そう言って小柄な奴を治療する。

嫌な顔もなく受け入れてくれている。

そうでもしないとあいつは捨て駒扱いで何かをやってくる。

それだけは確信してる。

 

「陛下に反逆しろってのか?」

 

治した小柄な奴が聞いてくる。

反逆というよりは真意を問う方が良い。

その際にあの場所への突入は簡単には行かないだろうからな。

こちらは手段を提供するという訳さ。

 

「とにかく全員集合しているだろうから向かうぞ」

 

雷娘とミニーニャ・マカロンも治して立ち上がる。

嫌がっていたが捨て駒にされたりする可能性がよぎったのか渋々と受け入れていた。

 

「で……結局協力してくれそうなやつら全員集めたらこうなったってわけか」

 

歩いて十二番隊に向かうとかなりの人数が集まっている。

誰が行くかで迷っているらしい。

マユリの奴も言うようだが…

 

「何回かに分けるならそこにいる茶渡君たちと黒崎君で行かせるべきだ」

 

四楓院元隊長と六名ほどの侵入。

その後は隊長格に限定した上で選定を行う必要がある。

ひよ里さんがそわそわしている。

曳舟さんが気になるのだろう。

 

「気がかりではあるし、心配だが問題ない」

 

和尚たちが負けるにせよ、戦えるのがいなくなるわけにあらず。

すぐに崩壊していくわけでもない。

和尚の思惑は既に理解しているが、それを打ち崩したうえでユーハバッハに勝つのみ。

それに……

 

「『零番隊はそう簡単に死ねる存在じゃない』からな」

 

霊王の力の一端を受け継いでいる以上、死ねる状態ではない。

『崩玉』の力で不死になった藍染と同じ権能を持っているのだから可能なはず。

 

「とにかくもう打ち上げとけよ」

 

そう言うとマユリが機械の操作を行う。

射出を行う中で、志波岩鷲が来た。

この戦いが改めて総力戦だというのを思い知らされる。

 

「あのー、ワタシも用意してるんっすけど……」

 

一足遅く喜助が来た。

何番目に行くかを今から審議するから加わってくれ。

 

「浦原と私とお前のどちらかは最後まで残らないといけないんだヨ」

 

機械を使える奴らがいないから仕方ない。

あとに行くかどうかという話だ。

 

「連続射出が出来るようになっているだけまだましッスよ」

 

お前が技術を詰め込んだおかげだな。

そうしないと本当に一発撃ったら終わっていた。

 

「これでもその場しのぎダ、永続して射出は出来ン」

 

ここで人数を選別した方が良い。

瀞霊廷の守護と上で戦うかどうかを。

 

「俺も今回は出ますよ、隊長」

 

阿近が上を指差す。

井上昊と黒崎真咲、大前田副隊長、鳳橋さん、吉良副隊長、雛森副隊長、狛村、射場副隊長、拳西さん、久南さん、檜佐木副隊長、綱彌代。

松本副隊長、海燕、そして意外にも痣城とギンがここに残るといった。

 

京楽総隊長、伊勢副隊長、砕蜂隊長、平子、朽木隊長、阿散井副隊長、日番谷隊長、更木、班目三席、綾小路五席。

マユリ、阿近、眠六號、ひよ里さん、朽木三席、藍染、東仙、喜助、四楓院夕四郎。

バンビエッタ・バスターバイン、リルトット・ランパード、ミニーニャ・マカロン、キャンディス・キャントニップ、バズビー。

自分を含めてなんと二十四名。

因みに滅却師の女性二人には名乗って貰った。

 

「何回も打ち上げるけど大丈夫か?」

 

一度は大丈夫でも複数回だからな。

最後に俺が行く事にする。

誰を連れていくかは残った奴らで問題ないだろう。

 

「問題は無いヨ」

 

強度としては大丈夫なようだ。

じゃあ、安心して始めようか。

 

「総隊長、この女の子四人の面倒見て貰えません?」

 

バンビエッタ・バスターバイン、リルトット・ランパード、ミニーニャ・マカロン、キャンディス・キャントニップを指差す。

正直まとめられる人物は限られるからね。

仕方のない人選だ。

 

「私達が聞き分けない我侭な子供みたいな扱い止めてもらえる!?」

 

バンビエッタ・バスターバインが指差して怒る。

そうは言われてもこの中で一番女性に優しいんだぞ。

適任だと思うけどな。

 

「いや、君が責任持ちなさいよ」

 

そう言われては仕方ない。

京楽総隊長は伊勢副隊長、砕蜂隊長、朽木隊長、阿散井副隊長、朽木三席で向かう事になった。

砕蜂隊長の配置が一番気遣いする部分っておかしいんだけどな。

 

「浦原が第二陣だな、バズビー、平子と日番谷隊長、東仙、ひよ里さん、そして四楓院夕四郎で良いか?」

 

体が小さいので無理を言って入れて貰っている。

遺恨が無いとは言えないが問題は無いだろう。

むしろ次の選定がどうあがいても敵対しあうだろうが。

止める奴が胃痛に悩まされないかのが気の毒である。

 

「その次はマユリさんと眠さん、阿近さん、更木さん、班目さん、綾小路さんで良いっすか?」

 

その提案に頷く。

正直何も起こらないとは思えない。

奴の実力は折り紙付きだからな。

 

「俺、藍染、バンビエッタ・バスターバイン、リルトット・ランパード、ミニーニャ・マカロン、キャンディス・キャントニップで行くか」

 

お前らとはそこまで協力関係をする。

その後は各自動けばいい。

最後に飛ぶ分、気にしないでいいのがましだ。

そんな事を言っていると上から眩いものが迫っていた。

 

聖別(アウスヴェーレン)かよ!!、親衛隊の為に俺達の力を奪うのか!?」

 

光の帯が降り注ぐ。

怒りに燃えるリルトット・ランパード。

やっぱりユーハバッハはこういう奴か。

 

「「『滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧き上がり 否定し 痺れ 瞬き 眠りを妨げる

爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち 己の無力を知れ破道の九十『黒棺』』!!」」

 

俺と藍染の六連続黒棺。

その光は呑み込まれていくがそれでも力の簒奪が止められたわけではない。

倒れ込みそうになっている。

 

「零番隊が優勢だったわけだ、それでこれをやったという事は形勢は逆転したか……」

 

俺の言葉にひよ里さんも歯軋りをする。

恩師の危機には今すぐに向かえないのだから。

心中は察する。

 

「飛ばしていきますよ」

 

そう言って喜助が操作をしようとする。

京楽さん達が乗り込んで準備は万端だ。

そして一気に勢いよく射出される。

そのまま到着を無事にしてくれ。

 

「第二陣も集まった方が良いぞ」

 

そう言って全員が水晶の周りに手をかざす。

霊圧で球状の膜が張られる。

流石に隊長格がぞろぞろあつまりゃこうなるか。

そして第一陣が到着してすぐに準備が出来る設計だったのだろう。

大砲の砲身が下からせり上がってきた。。

 

「じゃあ行くゾ、死ぬ事は無いだろうが頑張ってくれタマエヨ」

 

マユリが操作をしていく。

砲身の増強の装置まで軌道を行い万全にする。

しかし次の瞬間、景色が変わっていく。

 

「おいおい……あまりにも不吉じゃねえか」

 

阿近が頭を掻く。

暗闇が瀞霊廷を覆っていく。

空から降り注いでくるものが見える。

単眼の黒い球体が悍ましい量だ。

 

「霊王が死んだというわけか……」

 

この暗闇で考えうる最悪の可能性。

そして嫌な感覚が体を這いずる。

こういう場合は当たってしまうのが悲しい。

 

「皆、速く乗ってくれ」

 

俺達でなんとかする。

痣城、藍染、俺が詠唱を始める。

 

「「「『滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧き上がり 否定し 痺れ 瞬き 眠りを妨げる

爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち 己の無力を知れ破道の九十『黒棺』』!!」」」

 

三人で重力による圧殺を図る。

一体一体細かく潰すときりがない。

範囲で一気に仕留めるのが良い。

 

「「千手(せんじゅ)(はて) 届かざる闇の御手(みて) 映らざる天の射手(いて)光を落とす道 火種を(あお)る風

集いて惑うな我が指を見よ 光弾・八身(はっしん)九条(くじょう)天経(てんけい)疾宝(しっぽう)大輪(たいりん)

灰色の砲塔 弓引く彼方 皎皎(こうこう)として消ゆ 破道の九十一『千手皎天汰炮(せんじゅこうてんたいほう)』」」

 

ギンと東仙も放っていく。

その間にマユリが操作をして第二陣を送り届けた。

 

「第三陣も早くしてくれ、これが止んでいる間に飛んだ方が良い」

 

止められるのは良いがそれ以上に安全圏で飛ばしたい。

いつの間にか海燕たちが居なくなっていて浮竹隊長も消えていた。

まるで溜め込んでいるような状況。

いつ、豪雨のようにあの怪物が襲い掛かってくるのか。

 

「なんや、地鳴りがするけどこれもその影響かいな」

 

ギンが異変に気付き首を傾げる。

徐々に浸食されていく。

 

「第二波きたぞ!!」

 

再度強烈な鬼道で押しつぶす。

六人が入り込んだのを確認して機械の操作を始めた。

 

「発射!!」

 

そう言って第三陣を送り込む。

これが終わると第三波に警戒しないといけない。

藍染も俺も入り込むのだから。

 

「ギン、さっきまで操作見てたからできるよな?」

 

操作担当はギンだ。

東仙たちが一丸となって防いでくれれば何とでもなるだろう。

 

「うん、入って貰ったら押すで」

 

そう言うので滅却師たちと藍染が先に入る。

第三波が来ていない事を確認して俺も入る。

それを見届けたギンが操作をして俺達も相手の本拠地へ乗り込んでいく。

 

本来なら皆の霊圧で門を作成したらよかった。

しかし、せっかく何度も射出可能となった以上有効活用にしなくては意味がない。

相手に入ってきた座標を上書きする力が無いとも限らない。

今回のものでも絶対とは言えないのだが。

 

最後の射出。

これより下の事は皆に任せるしかない。

どうか無事であってくれ。

それだけを望み、霊王宮へ最後の戦いへ赴く。




原作なら門を作るのですが、本作ならば開発力が上がっているので射出して突入という形にしました。
24名の内訳はかなり悩んでいました。
とにかく次回からは親衛隊との勝負を描きます。

指摘等ありましたらお願いします。
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