原作でも勝ち方がユーハバッハの聖別だったため、かなり悩みました。
また、かなりのこじつけとかになるので気を付けて書きました。
「我が名はジェラルド・ヴァルキリー、最大であり最速であり、最強の滅却師である!!」
上から降ってくる声。
かなり大きくなったのは何かしらの理由があるはず。
とにかく指示を飛ばそうか。
「ティア・ハリベルとキャンディス・キャントニップは他の負傷者の回収をしてくれ」
そして、パイアソー・ソロは俺と最前線で戦う。
俺に変身した方がやりやすいという判断だ。
向こうの頭領に化けても疑われるだけだからな。
「悪いが今のあんたを模してもあいつは強いぜ」
そう言われるが問題はない。
相手の分析を図るために人手が必要だからな。
「じゃあ行くぞ!!」
こちらが攻撃を仕掛けると受け止めてくる
相手の刀の大きさで遠近感が狂いそうになる。
この刀も嫌な予感がするな。
「盾の方の腕を狙ってくれ」
ペルニダの時のような特殊な力も考慮しなくては。
その実験体は俺だ。
楽しくなるなら大歓迎だがな。
「無駄なあがきだ!!」
攻撃を仕掛けるジェラルド。
その攻撃をかいくぐるが風圧が凄い。
掠っただけでも大怪我に繋がるだろう。
「一撃で殺しに行く」
脳天から真っ二つになる斬撃を放つ。
刀で受け止めるが剛力を見せつける。
「無駄と知れ!!」
刀を圧し折ってそのまま振り下ろす。
盾まで使ったのだろう。
固めの手応えを感じたまま残心を残した。
「やってくれるがこの刀を圧し折った罰は重いぞ」
ジェラルドがそう言った瞬間、俺の腹が裂ける。
なるほど、その刀に反射する力がついていたのか。
だが……
「それがどうした?」
回道で回復をして睨み付ける。
何度でもやり合ってやろうじゃねえか。
目の前に煌きはない。
この時点で俺にとってこいつの立ち位置は決まった。
「回収が終わったぞ」
一度離れて傷付いた面々を回復する。
巻き込まれないように離れるように言う。
「これ以上大きくなると難しいな」
瀞霊廷に落ちると困る。
今の大きさを何とかしないと。
「『印せ』、『年輪重歌』」
深い柿色の霧を放つ。
相手は鼻を鳴らしているが驚愕するがいい。
理屈がお前を封じ込めていくのだから。
「包まれろ!!」
頭のてっぺんから爪先まで包まれていく。
制御する事は可能。
さあ、終れ。
「塵となれ」
霊圧が異常にあるのだろう。
或いは筋肉の層があまりにも分厚いのか。
徐々に骨となっていきそこから塵へ変わっていく。
しかしその速度は今までと比べても遅く感じるほどだ。
意識はあるのか、頭部が塵に還る前に不敵な笑みを浮かべるジェラルド。
「この程度で我を倒せるなど思うなよ、所詮は『老い』であろう!!」
繰り出してきた鉄拳が腹にめり込んで俺を殴り飛ばす。
それでもなお、何事も無かったように立ち上がった。
目を疑う光景が広がっていく。
塵に還っていったはずの肉体が徐々に再構築されているではないか。
「大きさの変化がないのは損傷とは位置付けられなかったからか?」
克服する速度も異常。
だがこれで十分すぎるほどの意味を持った。
柿色の霧を止めて俺は眼前へと躍り出る。
「小細工で倒せないならばそれも一興、結局は斬り伏せるのみ」
そう言うと口角を上げるジェラルド。
一人で戦う愚か者と断じたか?
言っておくが戦う相手にも格はある。
副隊長や此処に居る隊長は大勢がお前に勝てるわけではない。
「先に言っとくが……」
跳躍して睨み付ける。
脳天を串刺しにする。
或いは首を斬り落とす。
「簡単に死んでくれるなよ?」
全力の一閃。
肩の筋肉、腕の筋肉。
足の筋肉、臀部の筋肉。
ありとあらゆる筋肉が連動して放たれる。
そして骨が砕けるほどの負荷がかかり、振り下ろされる。
「がっ……」
刀も盾も。
自慢の筋肉の鎧さえ。
俺の一太刀の前に沈む。
ジェラルドもまさかこのような一撃とは思っていなかっただろう。
「ここで俺の出番や!!」
そう言うと平子が再生をする前に刀を構える。
なるほど、それを使えば確かに相手の能力が無駄な存在へと変わる。
「『天地逆撫』」
そう言うと刀の形状や色味が変わる。
相手の再生が始まるものの小さくなっていく。
迫力が失われていく。
「これでお前は弱くなったんやで」
再生が終わった後のジェラルドに対して言う平子。
とは言ってもゆうに十尺以上はある相手。
火力不足だったから俺か更木を待っていたわけね。
ただ、順応性が高くもうこれも通用しないだろう。
ここからは本当に真っ向勝負だ。
「あとは任せたで」
それだけ言って平子は離れていく。
後始末は俺かよ。
そう思っていたら拍動がジェラルドから聞こえてきた。
「この音、まさか心臓だとでもいうのか……」
規格外にも思える巨躯。
隊長格を一蹴するだけの強さ。
ペルニダと同じ霊王の部位だとは思っていたがまさかそこかという驚き。
生きる力の象徴。
霊圧がそう言ったものに特化しているのであれば折角のこの行為も水泡に帰す。
しかしその考えを吹き飛ばす声が聞こえた。
「兄に一人任せるわけにはいかない」
朽木隊長が高い所から声をかけてくる。
有難い限りだぜ。
こんな戦なら強い奴が何人いても困らない。
「まだ戦えるからよ」
日番谷隊長も朽木隊長とは向かい側の高い所から声をかけてくる。
隊長の中でも戦いに関しては真摯な二人だ。
こういう時は本当に頼りになる。
「じゃあ、三人がかりで行くぜ」
そう言って動き出す。
全員、自分の最適な動きは分かっている。
それが隊長というものだ。
「はっ!!」
盾を腕ごと日番谷隊長が凍らせる。
これで防御は手薄となる。
ジェラルドの視線がこっちに向いた。
「はあっ!!」
剣の一撃を俺が受ける。
これで完全に無防備となったジェラルド。
そこに朽木隊長の攻撃が放たれる。
本体ではなく盾を持つ腕を標的に。
「ぬううっ!?」
ジェラルドが唸るも盾は砕かれ腕には夥しい裂傷が残る。
盾を砕いた事で状況は好転しているはず。
そう思いたいが拍動の音が強くなるたびに姿が変わっていく。
「『老い』は一種の成長で有り、こちらの能力を克服した事で強くなることは防いだと思っていたが……」
さっきとは違って、体が絞られている。
さっきまでとは肉体の構造が変化しているのだ。
戦闘に向いた肉体に。
「肉体の根本原理が変わろうとする『進化』には意味をなさないってわけか」
骨の部分がごきごきと鳴り始める。
節も徐々に変わっている。
生きる為に順応するつもりか。
なんとも驚異的な力だ。
「これまでやっても枷が外れぬとは『不可能』なようだな……見事だ」
なんとあの変化でこっちの老いを無効化するつもりだったみたいだ。
鋼鉄よりも純度を増していく筋肉。
踏みしめている脚はしなやかに思える。
「だが貴様を倒せばこのおかしな状況も打破できるであろう」
そう言って攻撃を仕掛けてくるジェラルド。
刀の一撃を受け流して腕に振り下ろす。
硬い感覚はあるが無意味。
「コツはさっきの盾ごと斬ったので掴んでいる」
俺はそう言って腕を斬り落とす。
だがジェラルドもそう簡単には退かない。
「ふんっ!!」
しなる鞭の如く蹴り。
それを受け止めようと俺は構える。
すると大きな聞き覚えのある声が聞こえた。
「暴れたりねえから来たが、隊長三人任せとは……情けねえ!!」
更木がジェラルドの足を斬り落としたのだ。
一撃を喰らう事は無かったが逆に面倒だな。
なんせ巻き込まれかねないから。
「あいつがさっきまででかすぎたんだ、今は大きくならないけどな」
俺はそう言いながらジェラルドを指差す。
腕が太くならないし足にも変わりはない。
ただまだまだ純度が増していく。
これが長引けば受けとめる事もままならないだろう。
「何度でも『奇跡』を目の前に実現してやろう」
拍動の音がまたもや響く。
『不可能』を覆す事は『奇跡』
その理屈が実現するとまたもや面倒な事になる。
「ここで仕留めてやる」
そう言うと風が通り過ぎる。
更木が飛び上がってジェラルドに迫っていく。
四人がかりだが待つのや合わせるのは嫌なのだろう。
「ふんっ」
更木の攻撃を受け止めるジェラルド。
眼帯もいつの間にか更木は外していた。
身体能力が進化と最適化で上昇している相手。
様子見する余裕もないという事だ。
「おい、こっちのこと忘れるなよ」
そう言って俺も斬りかかる。
更木一人に構っていたジェラルドの額を切り裂いた。
指で日番谷隊長と朽木隊長に合図を送る。
「こんな手を平然と組み込むのに恐ろしさを感じる」
朽木隊長にはジェラルドの額から千本桜の刀を潜りこませて貰う。
悍ましい一手だが相手に憐憫も遠慮もないからな。
「刀を持った腕を凍らせた」
日番谷隊長がジェラルドの腕を凍結させた。
このまま腕を斬ってしまえばいいのだから、刃毀れも起こりはしない。
こうやって相手の策を潰すのが一番いいやり方だ。
「くっ、四人がかりでこれほどとは!!」
ジェラルドがそう言って俺の斬撃を防ごうと腕を動かす。
そんな真似をすると籠っていた力が一瞬解けてこちらに突き出される。
その隙を更木が逃すべくもない。
「貰いだ!!」
盾を持ったジェラルドの腕ごと、更木に斬り飛ばされる。
そして俺の斬撃が凍り付いた腕を斬り落としていく。
ごとりという音が響いて腕が転がった。
「これで少しは致命傷であろう?」
頭部から爆ぜるように刀が舞う。
再生していくが腕は斬り落とされて刀は凍っている。
戦いにおいて致命的な状況だ。
「溶けていなかったはず……」
朽木隊長が呟く。
確かに日番谷隊長は凍らせていた。
「俺の氷が炎でもないのに溶けるなんざおかしすぎる」
拍動を繰り返して温度が上がっていたわけでもない。
簡単に溶けたり砕けるような温い真似はしていないだろう。
そのはずなのにジェラルドは刀を手にしている。
「物理法則とか完全に無視しやがった……」
流石は全知全能の一部。
『奇跡』を起こして刀を手に入れた。
これじゃあ、俺の能力を克服するのも時間の問題だ。
「まずはお前から先に倒そうか、死神」
ジェラルドはそう言って俺と朽木隊長、日番谷隊長の前に斬り落とされた自分の腕を投げてきた。
それを跳躍で避けるが一時的に分断される。
そして更木とジェラルドの戦いが始まった。
「こんな塞がったら出るのに一苦労だ」
朽木隊長が呟く。
筋肉隆々の壁。
跳躍で越えるか、多少の回り道。
或いはこの腕を切ってその隙間から行くか。
「万が一の時は更木の一撃を喰らうじゃねえか」
俺は頭を掻いて言う。
隙間から入ってきた時に流れ弾が来ないとは限らない。
そうなったら目も当てられやしない。
「流石にそれが理由で死ぬのは勘弁だぜ」
日番谷隊長が溜息をつく。
よく見ると氷の花弁が残り三枚ほど。
「この霊圧……まさか!?」
戦慄するほどの爆発的な霊圧の上昇。
更木の奴、まさかこの状況で卍解まで手に入れたか。
だがこれは……
「あんなものじゃ体が壊れる」
強さに肉体の強度が付いていかない。
相手の攻撃を搔い潜る更木。
ジェラルドの頭上に至ると勢いのまま振り下ろす。
するとジェラルドの防御も何もかも無意味に帰すように真っ二つにしてしまった。
「おい……なんだよ、あれは」
ジェラルドの本気の姿を見た。
権能を全開にしてしまったのだろう。
老いも何もかももはや通用しない。
破面の帰刃と同じようにそれ以前の損傷や影響を無効化したのだろう。
「やっぱり来たか……」
想定通りだった。
もう一撃と腕をあげた更木の肘から腕までが開放性の骨折を起こす。
そのまま崩れ落ちる更木を飛び込んで俺は回収をする。
一時的に卍解も解けて気絶するのに留まっている。
「朽木隊長、こいつを頼む」
癒した更木を投げ渡す。
俺が動くが日番谷隊長も卍解で支援をするようだ。
もはや限界も近いだろうに。
「無意味なものよ!!」
刀を振り下ろすジェラルド。
その一撃をいなしていく。
力比べとかは更木に分があるが、こういうやり取りは俺が強い。
「むっ、小癪な!!」
ジェラルドは駆け上っていく俺を払っていこうとする。
しかしそれを回避し続ける。
風圧だけでもこちらの接近を防げそうだな。
だがそういう場合は踏ん張るやり方はある。
「ふんっ!!」
一本の刀を突き刺して足場にする。
そしてもう片方を前方に突き刺していく。
損傷を与えながら頭上に躍り出る。
「喰らいな!!」
振り下ろしていくと頭部に刀がめり込む。
骨の硬度も兜込みで高くなっている。
しかし物には『点』や『目』があり、その部分を見極めたならば、さほど力は要らない。
勢いを増して徐々に体が下降する。
俺は地面に着地した時、返り血と刀にべっとりと付いた血を見る。
手応えがあった事とこれほどの大物を斬った事の無い歓喜が身を包む。
「技術で斬るのが意外かな、ジェラルド?」
浅かったのか、手応えとは真逆に命を奪うほどには至らなかったようだ。
さっきまで真っ向勝負というよりは小細工を弄していた。
それがジェラルドには苛立ちを募らせる理由だったのだろう。
「こんな小細工塗れな真似をするとは恥ずかしくないのか!?」
ジェラルドが立ち上がって怒号を放つ。
恥なんてこの戦いに存在するとでも?
それ言いだしたら、こそこそと陰に潜んで千年間も準備。
さらに半ば不意打ち気味に襲撃をしたお前らも同じ穴の狢だよ。
「理屈が通じない相手にはこれくらいするのが礼儀だからな」
俺がそう言うと、ジェラルドの腕と足が凍結する。
防御する術もないジェラルドに絶命させる一撃を放てというわけだ。
「四肢の凍結で花弁が散ってしまう、これで頼むぜ」
日番谷隊長の支援も最後だ。
正常な判断や温度が下がった事で鈍る動き。
これで仕留めてやる。
さっきの奴よりも確実にできるように策を講じたのだから。
「死ね」
全力の一撃を振り下ろす。
腕が折れるほどの一撃。
それを見て、頭を動かして迎撃態勢を取るジェラルド。
五体を封じなかった落ち度ともいえるだろう。
「うがああああ!!」
刀を歯で挟みに来たジェラルド。
必死の行為は実を結ぶ事はある。
その想定は見事に当てはまる。
「この野郎……!!」
大きく硬い歯が俺の斬撃の勢いを殺していく。
その結果、致命傷ではあるが命を奪う事は叶わず。
「冷や汗をかいたがこれで終いだ!!」
ジェラルドに蹴り上げられる。
そして返しの拳の一撃を喰らって、地面へ叩きつけられる。
意識はあるがかなりの衝撃である。
「二人とも済まない、止めを刺しきれなかった」
そう言う俺の肩へ手を置く朽木隊長。
そして花弁が散って卍解が解けたかと思っていた日番谷隊長が前に出る。
その姿は大人びており霊圧も強くなっていた。
「俺が行ってくる」
そう言って踏み出した日番谷隊長。
そこからは圧倒的なものだった。
実力よりも恐ろしい本当の力。
僅か四歩のみの猶予しか与えられない氷結の世界。
ジェラルドは凍り付いてそのまま砕けていく。
「流石にこれで決着だろ」
そう言って戻ってくる日番谷隊長。
しかしその背後からの斬撃に気づいた俺は飛び込んで引っ張る。
間一髪回避に成功した。
見上げるとジェラルドはまだ死んでいなかった。
いや、意思があるだけの光の巨人と言えばいいのだろう。
人格等は消えてしまったわけだ。
「光ならば一つ手はある」
鬼道で呑み込む荒業がな。
これでも無理なら、もはやどうしようもない。
皆も避難していたが、出てきて手を前に出し始める。
総勢十名以上の有る鬼道の発動である。
「『滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧き上がり 否定し 痺れ 瞬き 眠りを妨げる
爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち 己の無力を知れ破道の九十『黒棺』』!!」
これをジェラルドの頭上に集中して放つ。
完全詠唱でなおかつ十以上の九十番台の一撃。
これはある一つの事象を生み出して倒すもの。
「黒い穴が出来てきたが…!?」
朽木隊長が言った瞬間、ジェラルドが吸い込まれていく。
抵抗こそするものの徐々に引きずり込まれていく。
光すら逃さない真っ黒な穴。
あの向こうに吸い込まれたジェラルドがどうなるのか。
考えるだけでも恐ろしい。
小さくなっていく黒い穴。
ジェラルドの全てを吸い込んだその後は何もなかったかのように皆が立っていた。
「行かないとな」
そう言って俺は黒崎君や藍染の助太刀に向かう。
全員が疲労困憊な中でも動かねばならない。
止められないと分かっているから何も言わない。
そう思っていた。
「がっ!?」
背中を蹴られてよろめいた。
後ろを向くとひよ里さんが立っていた。
俺は微笑みながら頭に手を置く。
「全員の分、あの馬鹿にくらわしてきてやりますよ」
そう言って方向を見据えて駆けていく。
この戦いに終止符を打つために。
平穏な日々を今一度過ごすために。
正直ペルニダよりも書きにくかったです。
単純かつ強い能力で不死身とか欠点が見当たりません。
次回からはユーハバッハとの最終決戦を書く予定です。
指摘等ありましたらお願いします。